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おっちょこちょいのかよちゃん

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140 大戦前夜の宴

 
前書き
《前回》
 平和主義の世界の本部の大広間に到着したかよ子達はフローレンスとイマヌエルよりこの地の戦いの説明会を聞く事になる。そして日本を再び戦争への道へと進む事を阻止する為にも選ばれし者達は立ち上がり、異世界への戦いに臨むのだった!!

 オリジナルキャラ紹介・その11
 溝口みゆき (みぞぐち みゆき)
 杯の所有者・安藤りえの友人。初登場94話。やや気の強い性格をしている。投げると光線が放たれ、周囲を爆破するブーメランを使用する。好きな食べ物はチャーハン、プリン、ヨーグルト。 

 
 房子と丸岡は飛行機でレバノンへと向かう。
「これで全ては揃ったわね」
「はい、本拠地でレーニン様に献上したらもう安心だ」
「しかし、あれは偽物ではないかしら?」
「まだ疑ってんですかい?」
「ええ、でも本物のようで何か仕掛けでもあるんじゃないかしら?」
「まさか、それに和江と正生を向こうに送りつけましたし、憲法9条の改正も確約されるはずですよ」
「だといいんだけど・・・」

 フローレンスの説明会は続く。
「皆様、ご同意ありがとうございます。私達の世界の人達も貴方方に全力で協力してくださります。そして皆様にはそれぞれの役割をお願いしたいと思います。担っていただきます役割は四つ。一つ目は『本部周辺の守備』。私達も迎撃してはいますものこの本部を狙います者が後を絶ちません。その為我々の世界の周囲を警護し、侵入してきました敵と戦っていただきます。二つ目は『敵に支配されている場所の攻撃』。これは私達の世界は今戦争を正義とします世界に次々と領土を奪われています。その地を奪還しに動いていただきます。三つめは『剣の奪還』。今、敵の方に剣がありますと思われますが、その剣を取り返す役目です。そして四つ目は『藤木茂君の捜索・救出』。赤軍は政府に憲法9条改正と護符・杖・杯の献上の交換条件として静岡県清水市に住む藤木茂君といいます少年をお返ししますと言いましたが、その割には全く返しますつもりに見えません。しかし、クリスマス・イブの夕方にその少年は敵の世界によって連れ去られましたと判明しております。その藤木茂君を探し出して頂きたいのです」
(藤木君はこの世界にいる・・・)
 奏子は隣の家に住む笹山かず子が藤木がいなくなって寂しがっていた事を思い出した。
「皆様にそれぞれどの役割を担って頂きますかは手紙の色変わりで決めましょう。本部守備します者は黄色、領土攻め込みをしていただきます者は緑色、剣の奪還に行きます者は赤色、そして藤木茂君の救出をしていただきます者は青色に手紙を変色させます」
(手紙が変わる・・・。私はどれを担当するんだろう・・・?)
 かよ子は自分の係がどれになるかドキドキした。とはいえ、どの役割にせよ、全力で行わない訳にはいかないが。
(私、大野君と一緒がいいわあ・・・)
 冬田は大野と一緒の役割になれる事を願った。
「では、変色させましょう」
 フローレンスは指を鳴らした。それぞれの持っている紙の色が変わる。かよ子の手紙は・・・。
「あ、青になった・・・」
 かよ子は気づいた。つまり、自分に課された役割は藤木を奪還する事であると。
(杉山君はどうだろう・・・?)
 杉山の手紙は緑だった。彼の役目は敵地の進撃だった。
(杉山君とは違う役目か・・・)
 冬田の手紙は緑だった。
(私のは緑・・・。大野君のはあ!?)
 冬田は大野の手紙を確認する。大野は青だった。
(ええ~、私、大野君とが良かったのにい~、どうして、どうしてえ!?)
 冬田は泣きそうになった。
(どの役目になったって今の俺には何もできねえ・・・!!)
 杉山はどの役割に当てられようが自分には関係ないと考えていた。 
「私は黄色だから本部を守る係ね。健ちゃんはどこ?」
 さりは従弟に聞く。
「俺は赤です。剣を取り返しに行く事になりますね」
「あら、私と光江ちゃんと同じね」
 ゆりと光江は赤に変色した手紙を見せた。
「健ちゃん、一緒ね」
「宜しくね」
「はい、ただ武器を持たぬ俺が役に立てるかどうか心配です。それに赤軍は俺の能力を複製した機械を量産してますから、俺と同等の力を得ているはずですし、それを戦争主義の世界の連中に持たせているとなるとかなり大変な事になるかもしれません・・・」
「大丈夫よ。きっと」
「はい・・・」
「皆さん、役割は決まりましたね。それでは戦いの前の宴と参りましょう。一旦壁に避けてください」
 人々は壁に避けた。フローレンスは腕を一回転させると、そこにはテーブルが現れ、様々な料理や飲み物が乗っていた。
「本日は食べて飲んでゆっくり休んでください。この世界の最初の一日を楽しんでくださいね」
 まる子と友蔵は食べ物に目を光らせた。
「おじいちゃん、食べ物がこんなに!」
「ああ、食べなきゃ損じゃな!できればウチにも持ち帰りたいのう」
 さきこは妹と祖父の食欲に呆れた。
「あ、そういえばまるちゃんは手紙は何色に変わったの?」
 かよ子が聞く。
「アタシゃ青だよ。だから藤木を探す事になるね」
「藤木君ってあの家が火事になった子かい?」
 友蔵が聞いた。
「それは永沢だよ・・・」
「んじゃ、あの子か。いつも食べすぎな子じゃな」
「それは小杉・・・」
 かよ子も、まる子も、大野やブー太郎も友蔵の勘違いぶりに心がしらけた。
「藤木ってのは唇が紫の男子だよ」
「ああ、そうじゃったか」
「まるちゃん、私も一緒だよ」
「あ、そうなんだあ~」
「俺も藤木を捜すぜ」
「オイラもだブー」
「大野君、ブー太郎・・・。私、おっちょこちょいしないように頑張るよ!」
「皆、頑張ってね。私はここの守備をやることになったわ」
 まる子の姉は黄色に変色した手紙を見せた。
「そっか、お姉ちゃんは違うのか・・・」
 友蔵はまる子とさきこで役割が異なる事で少し落ち込んだ。できればこの二人と一緒に行動したいと考えていたからである。
(儂は何方に行こうか・・・。お姉ちゃんはここに残るようじゃから・・・。よし、まる子じゃ、まる子と共に行こう!!)
 友蔵は決意した。そして晩餐は続いて行く。
「りえちゃんはどこを担当するの?」
 かよ子はりえに質問した。
「私は緑になったから攻め込みよ。私の友達も同じだって」
「へえ。私は藤木君を助けに行くよ」
「藤木君、か・・・。頑張ってねっ!」
「うん!」
「で、杉山君はどうなの?」
 りえは杉山に聞く。
「お前には関係ねえだろ!」
 杉山は素っ気なかった。
「何よ、失礼ねっ!」
「りえちゃん、杉山君もりえちゃんと同じ攻め込んで行く係だよ!」
 かよ子は慌ててフォローした。
(全く、臆病者なんだから・・・)
「りえちゃん、あんな男子ほっとこうよ!」
 みゆきがりえに忠告した。
「うん・・・」
「それで、君のその杖がりえちゃんの杯と同じくらいの強さがあるのね」
 みゆきがかよ子に聞く。
「うん、そうなんだ。お母さんから貰ったんだよ」
「うわあ、魔女みたい!」
「そうかな・・・?」
 かよ子は少し照れた。その中、さりとありが割って入って来る。
「杖と杯の持ち主も案外仲良いのね」
「あ、おばさんのとこのお姉さん達!」
「ご無沙汰してます」
 りえはありとは東アジア反日武装戦線の襲撃の際に対面しているので面識があったが、さりとは護符の所有者としての存在は聞かされてはいた者の、顔を合わせる事はこの地が初めてであった。
「こっちが護符の持ち主の私の妹よ」
「羽柴さりです。宜しくね。ここに最強の道具が三つ揃ったわけね」
「へまやるんじゃないよ、さり」
「私ってそんなに信用ないの?」
「ありお姉さん、さりお姉さんとは大雨の時でも色々助けてくれました。おっちょこいする私と違って役に立つよ!」
「かよちゃん・・・」
「そうね、失礼したわね」

 皆が宴で楽しく食事や会話をする一方で、三河口はフローレンスとイマヌエルの元に言っていた。
「フローレンス、イマヌエル」
「貴方は三河口健さんですね。見聞・武装・威圧三つの能力(ちから)を全て兼ね備えし者。何でしょうか?」
「敵が今ここに攻めてくるかどうかという切羽詰まった状態の筈だが、そんな時に呑気に宴をやっていて大丈夫なのだろうか?今すぐにでも動かなければならないと思うのだが」
「確かにそう思われますのも解ります。しかし、赤軍は政府にこの日に杖、護符、そして杯を渡せと要求しています。首相の三木武夫氏もその交渉を終えました所ですし、赤軍達も受け取りました物がまだ偽物とは気づいていませんはずです。その時に特に山田かよ子ちゃん、羽柴さりさん、そして安藤りえちゃんが今動けば向こうの世界に知られ、赤軍に渡しました物が偽物とバレます可能性は100%となります。その為、招集当日の行動を控えていただく意味もございます」
「そうか。よく分かったよ」
「そうだ、三河口健さん。貴方は三つの能力(ちから)を宿すがゆえに私達は今までは道具無しでも十分戦っていけますと判断していましたが、赤軍が能力を複製し、同じように能力を行使できる機械を発明されましては辛いでしょう」
「ああ、この世界では俺は最弱かもしれん」
「そんな事はございません。この手紙をお渡し致しましょう。貴方の為に用意しました。移動中にでもお読みになられてください」
「我々も君の活躍を祈っているよ」
「はい、ありがとうございます」
 三河口は手紙を受け取って戻って行った。
「三河口君!」
 奏子に呼ばれて三河口は行く。
「ああ、すまん」
「ミカワはどの係だい?」
 濃藤が聞いた。
「剣の奪還だよ」
「俺達と同じだな」
「鯉沢さんや湘木君も同じだったわよ」
「そうか、従姉のゆりちゃんや光江ちゃんも剣の奪還だったよ」
 三河口は友達と同行する事を意識すると共にフローレンスから貰った手紙が気になった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「監視下に置かれた首相」
 赤軍の政治委員・足立正生と吉村和江に監視されながら記者会見を行う事になった三木首相は放棄した交戦権の復活及び再び軍を持つ事を宣言する選択しか用意されていない状況に会った。そんな首相を救うのは・・・!? 
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