| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おっちょこちょいのかよちゃん

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

120 混乱する政府

 
前書き
《前回》
 かよ子は届いた年賀状を確認する。そこには自分の好きな杉山からも来ており、更には夏休みに出会った杯の所有者・安藤りえからも来ていた事を確認し、彼女がまた清水に遊びに来る事を知ると思うと待ち遠しく思うのであった!!

 今回、かよちゃん登場無しですみません。次回はちゃんと出します。

 オリジナルキャラ紹介・その3
 羽柴さり (はしば さり)
 三河口の甥で羽柴家の三女。初登場31話。七夕豪雨の日にて赤軍の奥平純三と異世界の人間・バーシムを追い払う事に貢献した。その後、母から異世界の護符を受け継ぎ護符の所有者となる。現在は名古屋で一人暮らしをしている。攻撃・防御双方の武装の能力(ちから)を有している。好きな食べ物は豚カツ、シュークリーム。 

 
 ここは平和を正義とする世界。現世にて平和の為に活動していた、あるいは人の為に活動していた人間が辿り着く場所である。そこに暮らす人間は本来ならば穏やかに暮らしているはずなのだが、この世界には戦争を正義とする世界が縄張りを奪おうとし、平和主義であるにも拘らず武器を持って戦うという異常事態になっていた。そこに清水の次郎長は子分の大政・小政らと共に戦争を正義とする世界からの侵略者を追い払っていた。
「く、奴等の侵食が増え続けおる!」
「へい、我らの陣地も前より縮小している模様です!」
「く、だが、我々の戦いの疲労も既に限界を超えておる。一旦撤退しよう」
 次郎長の兵団は引き下がった。現在次郎長はフローレンスとイマヌエルによって新しく建てられた屋敷を根城とさせて貰っていた。次郎長はそこで休む。
(はて、石松、お前は『向こうの世界』でよくやっているか・・・)
 自身の部下の一人・森の石松の行動に関してはフローレンスとイマヌエルから間接に聞いてはいるものの、派遣させて以降、彼はこちらの世界にあまり戻っていない為、少し心配になっていた。また、秋の時にエレーヌという女性が援護に赴き、石松が赤軍によって召喚された敵にあと一歩で殺される所を彼女に助けられたと聞く。次郎長は少し眠りについた後、呼び出しの声が出た。この平和の世界を統治する女性の声だった。
『全ての者、これからの作戦会議を行います。本部においでになられてください』
「作戦会議・・・。一体どのような事か!?」
 次郎長は子分らと共に本部へと向かった。

 こちら内閣総理大臣官邸。現在首相を務める三木武夫は日本各地で異世界の人間だの赤軍だのが国内で暴動を起こしている様に頭を悩ませていた。何しろ前総裁の田中角栄が日本列島改造論を打ち出したものの、その結果が単なる物価の上昇のみのうえ、オイルショックの影響もあり、金権政治として世間の評価を下げられて辞任した事でつい去年12月より自身が総理になったのである。そして元旦から数日が過ぎ・・・。
「総理!赤軍から年賀状なるものが届きました!」
 副総理兼経済企画庁長官から急遽呼び出された。
「赤軍からの年賀状だと!?」
 三木首相は半信半疑で驚いた。年賀状は通常の年賀はがきではなく、封筒で届いた。副総理から受け取ると首相は危険な登山をするわけでもないのに恐る恐る封を切った。

 迎春

 三木武夫総理大臣および三木内閣官僚の皆様

 この度我々日本赤軍は昨年は今の腐れ果てた日本国を再建すべく異世界の人間と協力して動いております。大日本帝国を復活させる為に我々に協力していただきたい事がございます。以下をご覧ください。

 ・異世界の道具とされている杖、護符、杯をこちらに集め、我々赤軍の元へ集めてください。杖は静岡県清水市在住の山田かよ子という小学三年生女の子が、護符は愛知県名古屋市在住・勤務の羽柴さりという女性が、杯は東京都在住の安藤りえという小学三年生の女の子が保持しております。1月20日に羽田空港にてお待ちしておりますのでその時までに回収し、お納めください。

 ・国会に憲法改正を行い、戦争放棄を撤回し、軍事政権の復活を求めてください。

 以上の条件が吞み込めない場合はこちらも実力行使で道具を奪取し、我々が内閣の行政権のみならず、国会の立法権、裁判所の司法権全てを握らせて頂きます。要求に応じてくれたらクリスマス・イブの辺りから行方不明となっている静岡県に住んでいた藤木茂という小学生の男子をそちらにお返し致します。この少年は今、異世界にてお預かりしております。吉報をお待ちしております。

 日本赤軍最高幹部政治委員 重信房子

(確か静岡県に住む小学三年生の男子が行方不明という話はテレビでも見ている・・・。その異世界とやらに誘拐されているのであるならば・・・。だが、この国は戦争放棄をしている・・・。軍を持つ事など断然国会も反発するし、全国民の怒りを買うに違いない・・・)
 三木は葛藤に悩まされる。

 そして、緊急議会が始まった。国会議員がいる中で総理は発言する。
「先日、日本赤軍から年賀状なるものが届きました。要求内容としては異世界の道具である杖、護符、そして杯を日本赤軍に渡す事、そして憲法改正を行い、軍事政権を復活させる事です」
 議員は騒然とした。そして文句がとんでくる。
「冗談じゃない!この国は戦争放棄をすると決めているのだ!また戦争への道に進むなんて論外だ!」
「赤軍の要求に簡単に納得できるか!」
 三木首相は野次の中、話を続ける。
「だが、要求を呑まないと実力行使に出るとある。これは脅しではなく、本気だと私は思う!それに要求に応じれば、今行方不明になっている静岡県に住んでいる小学生男子を解放すると書いてありました」
「人質解放の為に総理は要求に容易く応じるつもりですか!?」
「そのつもりはない。だが、異世界の杖、護符、杯を持っている者に何とか協力を申し出なければならない」
「協力を申し出てどうするおつもりですか!?あの道具が異世界から貰ったという事はただの杖や護符、杯ではないはずだ!!」
 一人の議員が反抗し、他の議員も「そうだ、そうだ!!」と野次を飛ばした。
「この旨は勿論各々の所有者に伝え、情報を集めたいと考えている・・・」
「情報を集めたらどうするおつもりですか!?」
 首相は返答に困った。
「それは彼女らの意見を尊重し・・・」
 その時、部屋の扉がゴン、ゴン、とノックされた。
「だ、誰だ!?」
 一同は驚いた。男女二名が入って来た。
「議会中、邪魔をしまして申し訳ございません。その異世界の杖、護符、および杯につきまして私達に説明させてください」
「何者だね!?」
「私はフローレンス。そしてこちらはイマヌエル。私達は異世界から参りました者です」
 異世界から来た者として議員・官僚達は騒然とした。
「では、そのフローレンスにイマヌエルとやら、こちらに来て説明をお願いしよう」
「フローレンス、私が話そう」
 イマヌエルが喋り出す。
「異世界には二つの世界があります。平和を主義とする世界、そして戦争を正義とする世界。その二つの世界の中で私達は平和主義とする世界を創り出しました。ですが、その別の世界、戦争を正義とする世界ができ、我々が住む平和主義の異世界を脅かしているのです。その上、その戦争主義の世界の人間達は日本赤軍と同盟を組み、協力し合ってそれぞれの目的を達成しようとしているのです」
「で、その異世界の道具ってのは何かね?」
 三木首相が質問した。対してフローレンスが返答する。
「それは、この日本が終戦を迎えました時、我々が貧困に喘ぎます当時の子供達に授けました道具です。東京の者に杯を、静岡の者に護符を、同じく静岡の者に杖を、そして広島の者に剣を。この、杯、護符、杖、そして剣は我々の世界において最上位の能力(ちから)を有します道具なのです。終戦の混乱が収まりました時、その授けた四つの道具を持つ子供達に一度封印し、次の代の子に引き継ぎますようにお願い致しました。しかし、剣のみは相手は継ぐ子はおろか結婚もしていませんでしたので、日本赤軍にそのまま奪われましたのです。他の三つ、杯、護符、杖は元の持ち主の子に受け継がれ、赤軍や異世界からの侵略者に対抗しております。その杯、護符、杖を赤軍に渡しますと、間違いなくこの国は赤軍に乗っ取られます」
「じゃあ、あんたらに何か策はあるのか?」
 議員の一人がぶっきらぼうに質問した。
「勿論、練ってあります」
 イマヌエルはそう言うと手を床にかざす。発言台の上に杯、護符、そして杖が現れた。
「これは私達が授けた道具の偽物です。これを赤軍との取引にお渡しください。そして、我々もグズグズしてはいません。赤軍の総長が四月の下旬に行った戦争を正義とする世界とこちらの世界の接続、それによってこの地に自身のような振動が起きました。それに対して我々は異常事態して日本各地の老若男女に異世界の道具を与え、守るように戦ってきました。ですが、杖、護符、杯の場所が分かってしまった今、これ以上『ここ』に置いて戦わせるのはまずい」
 イマヌエルに代わってフローレンスが喋る。
「その為に、一旦杯、護符、杖の所有者を含め、その道具の所有者達を私達の世界に一旦お預かりしまして戦ってほしいのです。私達の世界と協力して戦争を正義とする世界を滅し、藤木茂といいます少年と剣の奪還の為に。そうしますと赤軍の勢いも失えます」
「そして日本国憲法第九条は絶対に改正しないで欲しい。私達からもお願い致します」
 副総理は首相に確認をする。
「どうします?総理」
「・・・分かった。その異世界の道具を授けられたものを異世界に派遣して戦争を正義と考える者を静粛して貰う事にする。そして赤軍にはこの偽物を授け、憲法は改正しない!」
 三木首相は決断した。
「ありがとうございます。会議の邪魔をしまして本当に申し訳ございませんでした」
「それでは失礼します」
 フローレンスとイマヌエルは退室した。
「では、私達も戻りましょう」
「ああ」
 二人は自分達の世界へと戻って行った。間もなく始まる大いなる大戦に備える為に。 
 

 
後書き
次回は・・・
「異世界からの依頼状」
 三学期が始まり、かよ子は学校へ急ぐ。3年4組のクラスメイト達と再会したが、一人の男子が未だ行方不明だった。始業式を終えて帰って来たかよ子の元にはある手紙が届いており・・・。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧