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とある3年4組の卑怯者

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2 学校

 
前書き
 夏休みに花輪和彦の別荘で出会った少女・リリィと再会をした藤木。彼女と同じ学校に通うことになると知り、胸を躍らせるのだった・・・!

 リリィのフルネームは、私が考えたもので、公式設定ではありません。ご了承ください。 

 
 次の日、学校に行く途中、藤木はリリィに会えるか気になった。しかし、登校中で彼女に会うことはなかった。
(なんで会えないんだろう・・・、もしかして昨日のことは夢だったのかな・・・?)
 藤木は不安になってしまった。その時、後ろから藤木を呼ぶ声が聞こえた。
「藤木君・・・」
「な、永沢君!?」
 藤木を呼んだのは永沢だった。
「どうしたんだい?落ち込んでいるようだけど・・・」
「いや、何でもないよ」
 藤木は心の中では永沢ではなく、リリィと一緒に学校に行けたらなあと思っていた。
「藤木君、君もしかして僕と一緒に学校に行きたくないとでも思っているんじゃないのかい?」
「い、いや、そんなことないさ!」
 藤木はまたもや永沢に心の中を読まれた。

 学校に着き、いつもの3年4組の教室に入った。藤木はクラス内には変わったことがなく、いつもと同じ様子だった。
(もしかしたら違うクラスかもしれないし、学年が違うかもしれないか・・・。同じクラスになるなんてそんな都合のいいことあるわけないよな、ハハハ・・・)
 そして先生が入ってきた。が、その時・・・。
(え、リリィ!?)
 藤木は驚いた。
「あの子って・・・」
「マジかよ・・・」
 藤木のみではない。花輪家の別荘のキャンプへ行ったメンバーのさくらももこや浜崎憲孝、丸尾末男なども驚きを隠せなかった。
 担任の戸川先生が「静かにしてください」と皆を黙らせた。
「皆さんに転校生を紹介したいと思います。では自己紹介をお願い致します」
 リリィが自己紹介をした。
「はじめまして、リリィ・莉恵子(りえこ)・ミルウッドです。リリィと呼んでください。イギリスから来て少ししか経っていないので日本には友達があまりいません。仲良くしてください。よろしくお願いします」
「それではリリィさんの席は藤木君の隣でお願いいたします」
「え・・・?」
 藤木はまたこの上ない幸運を感じた。同じクラスになったうえ、席が隣になったのだ。こんないいことがあるなんて・・・。
 そのとき、リリィが藤木に話しかけ、微笑んだ。
「藤木君と同じ(クラス)なんてびっくりしちゃった。よろしくね」
「あ、うん、よろしく・・・」
 藤木は思わず照れてしまった。逆隣の席の永沢が話しかけた。
「よかったじゃないか、藤木君。またリリィと会えるなんてね」
「あ、うん・・・」
 なお、その様子を、笹山が遠くから見ていた。

 休み時間になった、花輪の別荘へキャンプファイヤーに行った面子はリリィの机に集まっていた。
「リリィ、あたしビックリだよ。ウチの小学校に、しかも同じクラスでさ」
「まる子」 のあだ名を持つさくらももこがリリィに言った。
「いや~、藤木、アンタもよかったね~、またリリィに会えてさ」
「あ、うん」
「藤木君とは昨日会っているの。昨日清水がどんな町なのか見て回っていたら偶然会ってね、ね?藤木君」
「うん、そうだよ」
「でも、文通してたんじゃないの?藤木からラブレターもらってさ」
「文通?返事は出したけどあれから何もなかったの・・・」
 藤木は隠しておきたかったことをばらされてしまい、凍りついてしまった。
(ああ、リリィ、それは言わないで欲しかったよ~、さくらもそんなこと聞くなよな!)
「藤木、アンタ上手くいってたんじゃなかったの?」
 藤木はまる子に疑いの目を向けられた。
「じ・・・実は返事にはギターを弾いていた人なら喜んで文通させていただくと書いてあってリリィは僕じゃなくて、花輪クンがいいんだと思って諦めたんだ」
「ふうん、それを隠してたわけか・・・」
 まる子は藤木を軽蔑した。そのとき永沢が言葉を発した。
「藤木君、君は上手く行っているように見せかけて隠していたなんて、本当に卑怯だね」
 また言われた、卑怯・・・。藤木は自分を追い詰めなければならなかった。
「フンッ!ちょっとアンタ、私の花輪クンと文通で仲良くなって狙おうなんて許さないわよ!フンッ!」
 みぎわ花子が鼻息を荒げてリリィに詰め寄った。
「え・・・!?」
「ちょっとみぎわさん、落ち着きなよ」
 まる子がみぎわを抑えようとした。そのときお金持ちのお坊ちゃまの花輪和彦も口を出した。
「まあまあ、みぎわクン、落ち着き給え。僕は誰とでも文通してもOKだよ、Baby」
「なら花輪クン、私と今日から文通しましょ~」
「う・・・君とはいつも学校で会っているじゃないか・・・」
 みぎわと花輪の暑苦しそうな会話をよそに、リリィが喋った。
「でも、藤木君は悪くないわ。私の返事で藤木君を落ち込ませたのが悪いのよ」
(リリィ・・・。はあ、こんな卑怯な自分を庇ってくれるなんて、ホント僕って情けないなあ)
 そのとき、みぎわに苦労していた花輪が呼びかけた。
「あ、そうだ、今日みんなで僕の家でリリィクンの歓迎Partyをやろうじゃないか」
「いいね、賛成~!」
「楽しみだブー!」
「ありがとう、花輪クン。藤木君ももちろん行くよね?」
「え・・・、うん、もちろんさ!」
「花輪くう~ん、私も行っていいわよね~」
「ああ・・・、いいとも、Baby」
(花輪クンは渡さないわよ・・・!フンッ!)
 みぎわはヤキモチの炎を燃やしていた。

 次の休み時間、トイレから戻っている藤木を誰かが呼んだ。笹山だった。
「藤木君。リリィさんって人と知り合いなの?」
「あ・・・、その、夏休みに花輪クンの別荘へキャンプに行ったときに出会ったんだ」
「じゃあ、藤木君ってあの人にラブレターを出したの?」
「・・・うん、そうなんだ」
「へえ~。藤木君、また会えてよかったわね」
「あ・・・、うん」
 笹山は笑顔を藤木に見せて教室へ戻った。しかし、藤木は彼女の後ろ姿を見て何らかの寂しさを感じた。
(確かに僕はリリィが好きだ。でも笹山さんも好きだ。リリィと再会できたのは嬉しいけれど、逆に笹山さんが僕から離れていきそうな気がする・・・)
 藤木はリリィも好きだが、笹山も好きだ。もし、リリィが花輪を好きになって笹山が勘違いしたまま今よりももっと遠い存在になってしまいそうな事が今の藤木には怖くてたまらないのだった。 
 

 
後書き
次回:「嫉妬(ヤキモチ)
 リリィはクラスの女子の注目の的となり、会話を弾ませる。一方、藤木はリリィが羨ましく思う。そして放課後、花輪家でリリィの歓迎会を行うのだが・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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