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イヌカレたのはホノオのネッコ

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第弐話「環の気持ち」

 
前書き
第2話、ようやく完成です。
前回を一部修正したり、プロット見直してやっと完成しました。

どうやら暁の炎炎SSは本作を除けば、1話でエタったやつが一作だけ。ハーメルンでは11件中2件が3話以内で去年から更新無しの状態と、中々過疎ってるらしいですね。
加えてpixivは件数こそ1000を超えますが、案の定腐向けと夢小説が多め……。オリ主ものが少ない印象です。

というわけでエミヒロ、動きます。
炎炎オリ主ラブコメSSの代表作と呼ばれる事を目標とし、この未開の地に旗を掲げる事にしました!
皆さん、応援よろしくお願いします!とりあえずコメントと宣伝ツイート、頼みます!  

 
「はぁ……」

第1特殊消防隊庁舎、シャワールーム。
現場から戻ってきたタマキの溜息に、黒髪ロングとショートボブ、二人のシスターが反応する。

「どったの環ちゃん?現場で何かあった?」
「どうせ例の彼でしょう。聞くだけ無駄ですよ」
「ちょっとヒータ、それどういう意味よ!?」
「その反応、さては図星だな~?」

慈温 須藤(シオン ストウ)とヒータ・スミス。
この第一に所属する消防官であり、同時にシスターだ。

黒髪ロングの先輩、シオンはタマキ達と1つ上。
ショートボブの同僚、ヒータは同い歳。
3人は入隊以来、仕事の合間によく喋っている仲である。

「もしかして、またラッキースケベられたとか?」
「そうなんですよ……。せっかく謝れたのに、その傍から……まったく……」
「まったく……もはやここまで来ると運命なのでは?」
「こんな運命あってたまるかーッ!!」

タマキの叫びに、シオンは苦笑する。

確かに、ここまで何度も……というのは只事には思えない。
ヒータはともかく、シオンには2人の姿がそういう風に映っていた。

「それで結局、環ちゃんは狛司くんの事をどう思ってるの?」
「ど、どうって……何が?」
「一部で噂になってますよ~。環さんと狛司くん、実は好き合ってるんじゃないか~って」
「はぁ!?そっ、そんなわけないじゃん!?」

ヒータの言葉を慌てて否定するタマキ。
両手をバタバタと振るその姿に、シオンはニヤリと笑った。

「え~、そうなの~?」
「そうですよ!第一、誰があんな真性ド変態野郎なんかと……」
「じゃあ、興梠くんの事、嫌いなんだ」

その瞬間、タマキの様子が変わった。

「べっ、別に嫌いとは一言も……」
「でも狛司くんの事、好きじゃないんでしょ?」
「それとこれとは話が別です!」
「じゃあ、環ちゃんはどう思ってるの?」
「そ、それは……」

物の見事にシオンに翻弄されるタマキ。
その時、半ば呆れながら髪を洗っていたヒータの脳裏に電流が走った。

ヒータはシオンに視線を送りながら、煽るように呟く。

「環さん本人がそう言うなら、そうなんじゃないですか~。可愛い顔してますけど、本当は環さんのラッキースケベられを利用して不幸な事故を装ってる痴漢常習犯かもしれませんね」

ヒータの意図を察したシオンは、即座に更なる餌を撒く。

「うわっ、何それ最低じゃん」
「人は見かけによらないって言いますもんね~」
「ひょっとしたら他にも犠牲者が……」
「そんな事ないッ!!」

タマキの声がシャワールームに反響する。
2人はしめたと言わんばかりに、タマキの方を見る。

「興梠はそんなやつじゃありません!律儀だし、真面目だし、転んだ時はいつも気にかけてくれて……悪いやつじゃないんです!ただ、真面目過ぎてちょっとほっとけないというか、不幸過ぎて見てられないというか……」
「ほうほう」
「な~るほど……」

先程のド変態野郎発言は何だったのか。凄まじい勢いでハクジへの誤解を解こうとするタマキに、2人は心の中で突っ込んだ。

「とにかく!興梠はそんなクソ野郎じゃないんです!!誤解しないでください!!」
「あ~……うん。なんか、ごめんね……」
「すみません……私も口が過ぎました」
「分かってくれればいいんです。それじゃあ、私はお先に」

そう言ってタマキは、シャワールームを出ていった。

「さすがに意地悪すぎたかな……?」
「かもしれませんね~……。でも、あの反応は……」
「ん~、どうだろ?後でもっかいカマかけてみようかな」
「今度は穏便に、ですよ?今みたいな意地悪なのはナシです」
「分かってるよ~」

タマキが出ていったドアを見ながら、2人はやれやれと肩を竦めた。



「にゃあああああああッ!?」
「わああああああああッ!?ごめんなさぁぁぁぁぁい!!」

その後、廊下で風呂上がりのタマキとランニングから戻って来たハクジがぶつかった悲鳴が轟いたのは、タマキが更衣室を出て5分と経たない頃だったという。



「それで、結局のところさ。環ちゃんの好きな人って、誰なの?」
「ふぇっ!?」

昼休み。食堂で突然振られた話題に、タマキは思わずテンパった。

「狛司くんではないんでしょ?」
「興梠はあくまで同僚です。そういう目で見たことはないですよ」
「ってことはさ、他に居たりするわけ?」
「そっ、それは……そのぅ……」

分かりやすくモジモジするタマキ。
シオンは思わずニヤニヤしながら、頬杖を着く。

「その人、第一の誰か?」
「ま、まあ……」
「同僚?それとも先輩?」
「いえ、その……」
「分かった!中隊長達だ!」
「ッ!?」

図星を突かれたようで、タマキは思わず肩を跳ねさせる。

「タマキさん、顔に出やすいですからね。わかりやすいですよ~」
「そっ、そんなに顔に出てるかな……?」
「出てる出てる~!で、誰なの?タマキのハートを射止めた中隊長は!」

興味津々、といった様子でずずいっと間を詰めてくるシオン。
タマキは思わず身を引きながら、両手の人差し指を突き合わせる。

「やっぱりフォイェン中隊長とか?中隊長の中で一番優しいし!」
「いやいや、カリム中隊長かもしれませんよ?一見怖そうに見えますけど、厳しい人ほど本当は良い人って言いますし~。口が悪いように聞こえますが、言ってることは特に悪くないですから~」
「え、えっと……」

隣には押しの強いシオン。目の前には切れ味鋭いヒータ。
この2人に挟まれてしまったタマキに逃げ道は……無い。

観念したタマキは、ぽつりと呟いた。

「その……烈火中隊長」
「「……へ?」」
「だから、烈火中隊長。……もう、二回も言わせないでよ」
「「……えぇぇぇぇぇ!?」」

タマキから返ってきた意外な答えに、2人は思わず席を立ち上がる。

「まさかの烈火中隊長!?」
「あの、中隊長で一番熱苦しい……いえ、熱血漢の烈火 星宮中隊長ですか?」
「そんなに驚く事ないじゃん……」
「いやー、意外だったもんでつい……」

突然の大声に驚く周囲に頭を下げつつ、シオンは席に座り直した。

「烈火中隊長のどんな所が好きなの?」
「そりゃあ、誰よりも熱いところがかっこよくて~、優しくて、いつも笑顔なところ……かなぁ」
「なるほど~。環さんは熱血系が好みなんですね~」
「皆は熱苦しいなんて言うけど、烈火中隊長の何事にも全力で挑んでいく熱意、私は憧れちゃうなぁ……」

両手で頬杖をつきながら語るタマキを見て、シオンは確信する。

(あ~……これ、ガチなやつだ。こりゃ噂は噂止まりって事かぁ……)

思いのほかお熱らしいその姿に、先程まで勝手に盛り上がっていた自分がバカらしく思えてしまう。

だが、そんな考えはものの3秒で切り替わった。

何故ならシオンは……かなりの恋愛脳なのである。

(まあでも、ここから狛司くんとの三角関係に発展するとか、まだまだ余裕で有り得るし?恋愛への興味関心の観点から見れば、狛司くんの方が望みありそうだし──これは見応えのあるレースになりそうね~」
「慈温先輩?何か言いました?」
「へっ?ううん、何でも!」
「ん~、やっぱりパンにもヨーグルトにも、イチゴジャムが一番ですね~」

思わず漏れていた心の声を誤魔化すシオン。
首を傾げるタマキに、黙々と昼食を食べ進めるヒータ。

そんな3人の元に近づく足音。
噂の主は、大盛りの白米を手に現れた。

「おっ、何だ何だ?女子会ってやつか~?」
「れ、烈火中隊長!?」
「ありゃ、噂をすればなんとやら……」
「こんにちは、烈火中隊長。お昼、今からですか~?」
「おうッ!組手の後の飯は、最ッ高に美味いからなッ☆」

噂の当人、烈火 星宮はいつもと変わらぬキラッとした笑顔を向けてくる。
手にしたお膳には山盛りの白米に、キャベツの千切りと大量の揚げ物が盛られていた。

「これ全部食べるんですか!?」
「勿論だ!やっぱ米には肉と揚げ物だぜッ☆」
「だからって、取り過ぎないでくださいよ?」

と、その後ろから声をかけたのは、同じく噂の当人だった。

「そう堅い事言うなよ狛司~!俺だってまだまだ食べ盛りなんだぜッ!せいッ☆」
「ちょっと興梠!?なんであんたが烈火中隊長と一緒にいるわけ!?」
「いや~、烈火中隊長が組手に付き合ってくれてさ。どうせだから一緒に昼飯食おうって言われて、ご一緒させてもらう事にしたんだけど」
「組手!?烈火中隊長と!?」

頷くハクジに、タマキは席を立って猛抗議する。

「一体どんな手を使ったの!?」
「同系統の能力だし、参考になるだろうからって中隊長の方から……」
「ズルいズルいズールーいー!!私だってまだなのにぃぃぃ!!」
「ええ……そんな事言われても……」

羨んでくるタマキの厚に押され、思わずたじろぐハクジ。

見かねた烈火は、タマキの頭に手を置いた。

「環も今度相手してやるから、な?」
「ホントですか!?約束ですよ?」
「勿論だぜ!俺は約束は守る男だからなッ!」
「ありがとうございます!!」
「ふぅ……危うく昼飯がひっくり返る所だった……」

ハクジは胸を撫で下ろすと、お膳をテーブルに置いて座る。

その向かいに、ホオズキが腰を下ろした。

「やれやれ、相変わらず騒がしい奴らだな……」
「あ、鬼灯くん。やっほー」
「ごきげんよう、シスター慈温にシスターヒータ。今日もガールズトークかな?」
「乙女は24時間365日、いつだってガールズトークに花を咲かせるものよ!」
「慈温さんの口は花咲かせすぎて、そろそろ萎れてるんじゃないですかね~」
「ん~?また毒が出てるねヒータ?ちょっと搾っちゃおうか~?」
「すみません生意気言いましたこめかみはやめてぇぇぇぇぇ!!」
「飯時に実力行使はやめてくれないか!?」

ヒータのこめかみを笑顔でグリグリするシオン。
半ギレ気味に止めに入るホオズキ。

人の事を言えない騒がしさに身を投じるホオズキ。その隣では何処か似た者同士な3人が、各々の昼食に手を付け始める。

「元気がいいな!俺も負けてられねぇぜッ!いただきますッ!」
「冷めたら勿体ないもんな。いただきます!」
「私も食べ終わらないと……いただきます!」

手を合わせた3人は箸を手に取り、茶碗に盛られたご飯をかき込む。

「二人とも、いい食べっぷりだなッ!その調子なら、二人ともすぐに強くなれるぜっ☆」
「ふぁいッ!ひんじんふぁいはい……んぐっ、新人大会、負けられませんからッ!」
「今年の代表は私と興梠の2人……第1の名前に恥じない活躍をお見せしますッ!」
「おうッ!まあでも第1の肩書きとか、そういう硬っ苦しいのは気にしない方が楽でいいぜ?お前らが全力で挑んで出した結果なら、誰も文句は言わないさっ☆」
「「烈火中隊長……」」

熱血漢からの思わぬ言葉に、2人は箸を止めて烈火を見つめる。

「まあ、どうせ目指すなら優勝がいいってのは、違いないけどなッ!」

烈火は再び豪快に笑うと……ハクジの皿からフライを一切れ掠め盗った。

「あああああああッ!?なに俺のアジフライ盗んでんですか!?」
「カッチャ☆」
「カッチャ☆じゃないですよ!?」
「いやー、美味しそうだったんでつい箸が動いちまったぜ☆」
「そりゃないですよ烈火中隊長ぉ!」
「もー、しょうがないなぁ。ほら、代わりに私のあげるから」
「ニンジン、ピーマン、セロリ……ってこれ全部野菜じゃん!?さては古達ちゃん、俺に苦手な野菜全部押し付ける気だな?」
「ギクぅっ!?」
「環、好き嫌いは駄目だっていつも言ってるだろっ☆熱くなれないぜ☆」
「だってさ。ほら、自分で食べろ~」
「ぐぬぬぬぬ……」
「からの烈火中隊長の唐揚げいただきっ!」
「うおぉぉぉぉい!?やるじゃないか狛司ぃ!」

年甲斐もなく、騒がしいやり取りを繰り広げる中隊長と二人の新人隊員。

皿のおかずを奪い合い、笑い合いながら食卓を共にする光景はまるで……。

「シオンさん、あの3人……」
「うん。多分私も同じ事思ってる」
「なんというか、まるで……」
「「「兄妹みたいだね(な)」」」

先輩二人と同僚は、その光景を微笑ましげに見守る。

これからも、こんな日が当たり前に続いていくのだと……この時、誰もが信じて疑わなかった。 
 

 
後書き
本日の烈火:めっちゃ兄貴ヅラしてくる

烈火中隊長、個人的には「嫌いじゃないけど絶対許せない」タイプのキャラだなぁと。
炎炎を既に観てる人達は、今回かなりの気持ち悪さを感じていたと思います。
でも烈火中隊長ならこんな感じで接してそうだなぁ……ってのが安易に想像つくから尚更なー……。

次回は新人大会、いよいよ原作主人公の登場です。
ハクジくんとどう絡むのか、お楽しみに! 
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