星河の覇皇
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第七十六部第二章 戦闘開始その三十
「しかしです」
「海草となるとな」
「解釈次第です」
「そこが難しいな」
「まず豚肉は羊や牛の肉で代用とします」
そこはそう代えるというのだ。
「その様に、そして海の幸はです」
「最初からだな」
「鱗等があるものだけです」
「それだけだな」
「出せますが」
「しかしだな」
「海草となりますと」
どうしてもというのだ。
「解釈の問題があります」
「そこが難しいな」
「植物ならばです」
「構わないか」
「そうかと、ですから」
「出そうと思えばか」
「法学者の解釈次第ですが」
イスラムのだ、イスラムでは基本聖職者は置かれていない。ただしシャイターンの宗派等シーア派には存在している宗派もある。
「若しくは閣下の宗派ならばです」
「聖職者達のだな」
「解釈次第では」
「私も聖職者として言う」
「ご自身の嗜好も排除されてですね」
「そのうえでの言葉だ、いいと思う」
シャイターンはこう考えていた。
「海草は別にな」
「宜しいですね」
「発酵させていないならな」
「唾液で固めていますが」
「それならまずだ」
「いいですか」
「そうなるだろう、あくまで私の解釈だがな」
こう前置きして己の考えを述べた。
「燕の巣もな」
「食べられますか」
「そう思う、では中華の珍味もだな」
「食することが出来ます」
「それなら何よりだ、そして欧州のそれもだな」
「キャビア、フォアグラ、トリュフですね」
「内臓はどうも、だがな」
イスラムでは内臓は食べない、このことは同じ遊牧民族出身でもモンゴル人達とは違う。
「他の二つはですね」
「食べられるな」
「そうなるかと」
「ならいい、しかし私はフォアグラはな」
「お嫌いですか」
「食べたこともないがだ」
イスラムの戒律で内臓は口にしないことからもだ、だから羊の内臓でもムスリムならば食べることはしないのだ。
「しかしだ」
「それでもですか」
「ガチョウをあえて太らせるのだったな」
「首から下を埋めて特別な餌を与えて」
運動もさせずただただ食わせてだ。
「そうして肥大化させたガチョウの内臓です」
「如何にもガチョウは不健康そうだな」
「そうしたガチョウを食べるなぞですか」
「いいとは思えない」
シャイターンはその顔に嫌悪を浮かべて語った、今はそのガチョウの肉を食べているがそれでもだった。
「とてもな」
「だからですか」
「最初からフォアグラはだ」
例えコーランで食べられてもというのだ。
「いい」
「召し上がられませんね」
「そうだ」
こうシェフに語った。
「最初からな」
「左様ですか」
「フォアグラだけはいい」
この珍味だけはというのだ。
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