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あつまれおおかみたちの森 ~南の島に流れ着いた俺が可愛いどうぶつたちとまったりスローライフを目指す話~

作者:和泉書房
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さぁ、船出だよ!(10/18追加)

 
前書き
楽しいキャンプファイアーが終わってお休みの時間。さて起きたら今日は新たな船出です。 

 
「たぬきち」とか名乗るその狸に会い、キャンプファイアーで「後片付け」をした。その後相変わらずのすきっ腹を抱えながら、辺りがいい加減暗くなったころで、俺はそのキャンプファイヤーから少し離れた場所にあった芝生にゴロンと横になった。南の島の唯一の利点が夜中でも寒くないってことか・・・。瞼を閉じる。これからどうなるんだろかという不安。というかこんな得体の知れない島の道端で寝て大丈夫なのか?という不安。それ以前に一緒にいる頭のおかしいあのアメリカ人といつ離れられるんだ?辛うじて敵とは認識されていないが、味方とも思ってないだろう。正直油断も隙も無い。色々考えていると眠れなくなってきた。キャンプファイアーの火はさっき消した。当のトレバーもその横で寝ているはずだ。その寝ているトレバーが何かやっている音がかすかに聞こえた。俺は上半身を起こし、暗闇の中で奴の姿を確認する。


「・・・何やってんだ?」


キャンプファイアーの燃えカス。それでも結構残って山になっているのだが、奴はどうもそれを漁っている。


「何だぁ起きてたのかぁジャップ!ディナーだ!こいつらインド人よりいけるぞ!」


そう言って、この男はさっきまで燃やしていた「燃料」の山からその「一個」を引っこ抜き・・・、


まぁ・・・そのまま喰っているのだ。


俺は何というか、頭が真っ白になった。その思考の空白になる数秒間を味わった後、なんかもう色んなものがどうでも良くなってきた。俺は再びゴロンと横になり、


「お生憎様、俺は遠慮しとくよ・・・。」


という意味を込めて右手を振った。

















翌朝、俺たちは波間に漁船を走らせていた。

漁船と言ったが、それはやや特殊な船だった。サイズが全長30メートルはある。かなりでかい。恐らくトロール船かそれなりの漁船を改造したものかと思われた。デッキの上の作りを簡単に説明すると、後方に操舵室を備えた操縦スペースがまずある。そしてその前方部分には、謎の二階建ての収納スペースが設けられていた。ようは船の上に操縦棟があり、その前に2階建てのアパートの様なものが載っているような、見た感じはそんな物だと思ってほしい。そしてこの2階建てのスペースであるが、これはコンテナを数個くっつけて、中の壁をぶち抜き、広い一部屋にしたものであった。本当にそれだけのスペースを1階、2階と二個重ねた作りになっていた。人間なら1フロアに10~20人くらいは入るだろうか・・・。俺が舵を切って船を操縦していた。操舵室の窓からは、その船室スペースが見える。その上では仁王立ちになっているトレバーがこちらに背を向けて仁王立ちしていた。

この船は例の狸が持ってきた船だ。


話を数時間巻き戻す。昨日の狸は予告通り、俺たちがたどり着いた島に朝方戻ってきた。今俺たちが乗っているこの船と一緒に。

そして野宿している俺たちをたたき起こすと、


「一仕事するんだなも。」

と言ってきた。

続けて、さもなくば仲間の中国マフィアを呼んで、俺たちをハチの巣にすることもできるのだぞというようなことを言った。その命令をトレバーがおとなしく聞いているのが不思議でならないが、恐らく奴のクライアントの一人に確かに中国系マフィアがいるということだろう。俺の側も、アイツの側も結果として仕事をとちってしまった今、トレバーの立場はそのクライアントである中国マフィアに対しても弱い。命を狙われている可能性があると考えるのが自然か。もっともそんな中国マフィアとあの狸が本当につながっているのかどうかは何とも言えないが・・・。まぁ、今それはいいだろう。俺は面倒くさいことを考えることをやめた。代わりに与えられた地図を見て、ちゃんと予定通り進んでいることを確認する。

その地図に書かれた目的地の島が近くなってくる。そして前方にその島の姿が見えてきた
 
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