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Fate/magic girl-錬鉄の弓兵と魔法少女-

作者:セリカ
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A's編
  第六十話 密会と引っ越し

 互いに戦闘準備を整えた状況下で

「昨日の事、説明してもらうぞ」

 俺は静かに言葉を発した。

「答えるのはかまわん。
 だがその前に一つ問いたい。
 衛宮、お前は我々の事を管理局には」
「伝えていない。
 だが」

 両手に使い慣れた干将・莫耶を握り

「返答によっては伝えるし、ここで叩き潰す」

 明確な敵意を持って答える。

 普段ならこんな血気盛んではないが、なのはを傷つけられた事にいささかイラついているようだ。

 そのままシグナム達の返答を待つ。




side シグナム

 我々に向けられた明確な敵意。

 だがそれはあの白い少女を襲われたことによる苛立ちによるものだろう。
 しかしここで衛宮を納得させることが出来なくてはその敵意は殺意に変わり、我々に降りかかるだろう。

 それがどうした。
 ここで語る事は偽りなどではなく、真実と我々の想いのみ。

 それが届かぬであれば、剣を持って斬り進む。

「事の始まりは衛宮、お前が管理局に行ってから二日後の事だ」

 ヴィータ、ザフィーラ、シャマルに視線を向け、全員が頷いたの確認して話し始めた。




side 士郎

 シグナムが語った言葉。

 それはあまりにも残酷な話だった。
 ようやくシグナム達という家族を得て、幸せな生活を送り始めたというのに。

「現状、打てる手は闇の書の完成だけなのか?」
「少なくとも我々の出来る手はこれだけだ」

 自分の主であるはやてに秘密にして、騎士の誓いを破りながらも、はやてのためだけに罪を背負う。

 はやてという『1』を助けるために、周囲の『9』に刃を向ける。

 正義の味方なら、昔の俺なら止めるのだろう。
 一人でも多くの人を守るために、はやてを切り捨てるのだろう。

 だが今の俺には出来ない。

 俺自身が進む道を迷っているというのに、答えなんて出せるはずがない。

「衛宮、お前に何かいい案はあるか?」
「……案か」

 ただの病なら布都御魂でどうにかできるかもしれない。
 だが病の原因が呪いとなると話が変わる。

 根本的な解決ならはやての病の原因が闇の書というなら闇の書との契約を切ればいい。

 俺の剣の丘にもそれが可能なルールブレイカーがある。
 だがそれは

「はやてと闇の書の契約を強制的に斬る事ならできる」

 俺の言葉に息をのむシグナム達。

「それって」
「ああ、はやてとシグナム達が別れることになる。
 だがそれは、はやてにとってあまりにも酷だ」

 ずっと一人だったはやて。
 だけど家族を得てしまった。
 温もりを知ってしまった。

 その温もりを、家族を手放せば、前と同じ生活に戻るのではなく、さらに辛く、悲しい事になる。

 そんな時、俺の頭に触れるナニカ。

「闇の書?」

 まるで俺を慰めるように俺の周りを浮かぶ闇の書。

「闇の書? ついてきたのか」
「ついてきたって単独で動けるのか?」

 突然現れた闇の書に驚くシグナムだが、単独で動ける事自体俺としては驚きだ。

「ええ、私達やはやてちゃんの前だとよく一人で動いてるんだけど」
「まあ、闇の書もはやてや私達の事を真面目に考えてくれてる士郎を信用してるってことだ」
「ありがとう、ヴィータ」

 俺の言葉に顔を赤くしてそっぽを向くヴィータ。
 そんな様子にシグナム達も構えを解く。

 そして俺は手に持つ干将・莫耶を霧散させ、闇の書に大丈夫だという思いを込めて丁寧に触れる。

 お前の主が、お前やシグナム達が幸せになれるように俺は諦めない。
 そんな俺の心に応えるように再び俺の頭に触れる闇の書。

「今の俺にシグナム達を止める資格はない。
 だが表立っては手を貸す事も出来ない」
「衛宮、表立って手を貸すことが出来ないというのは?」

 手にあったデバイスを待機状態に戻しながら、シグナムが問いかけてくる。

「俺もはやては救いたい。
 だがはやて以外にも守りたい人がいる。
 彼女達のためならば剣を執るのを躊躇わない」
「その彼女達というのは昨晩の少女とテスタロッサか」
「そうだ」

 俺の静かな返答にシグナム達は頭を下げた。

「海鳴に侵入した魔導師と勘違いしたとはいえ、大切な者を傷つけてすまなかった」
「もう済んだ事だ。
 頭をあげてくれ。
 それに他にも聞きたい事がある」
「ああ、我々が答えられる事ならな」
「ひとまず場所を変えよう」

 シグナム達もバリアジャケットを解除して、俺はバリアジャケットのようにしまえないが、ベンチがある場所に移動して全員が片手にジュースを持ち、いつも通りの雰囲気で話しあう。

「で聞きたいこととは?」
「闇の書について」
「そりゃ、さっき説明したろ」

 シグナムへの俺の返答にヴィータが何度も同じこと聞くな、みたいな顔をしているが

「管理局の中では闇の書はロストロギアとして扱われていた。
 闇の書を完成させたらどうなる?」
「主は大いなる力を得るが」

 シグナム達の表情が曇る。
 まるで迷っているようだが……

「具体的には、その……覚えていないのだ」
「実際に闇の書が最後のページまで完成した事に立ちあった事自体、ほとんどないから」

 シグナムとシャマルの言葉に嘘はないのだろう。
 ザフィーラも頷いているし、嘘をつく意味がない。
 そんな中

「なあ、闇の書が完成したら、はやては……助かるんだよな」

 ヴィータ自身、違和感があるのかシグナム達に問いかける。

「何を言っている、ヴィータ」
「わかってる。
 おかしなことを言ってるのはわかってんだけど、なんか変な感じが」

 シグナム達の言葉といい、ヴィータの言葉と妙だ。 

 自分達が宿る闇の書が完成してどうなるかわからない。
 まして完成して助かるかどうか違和感がある。

 まるで記憶を改竄か消されたか、封じられているような感じだ。
 なぜ闇の書と主を守る守護騎士の記憶を改竄したり、封じる必要がある?

 お前に直接話を聞ければいいんだがな。
 俺の事を気に入ってくれたのか、傍に浮かんでいた闇の書に視線を向けると、どこか申し訳なさそうに本を傾ける。
 無論、言葉が交わせないからといって闇の書を責める気はない。

 気にするなという気持ちを込めて撫ぜる。

 しかし、こうなると管理局にある闇の書の資料も見たいところだな。

「少々解せないところもある。
 闇の書の完成後、あと主にかかる呪いや管理局の資料を見ることが出来ないか、やってみる」
「可能なのか?」
「知り合いはそれなりの立場にいる。
 どうにかなるだろう」

 リンディさんにまた頼る事になるが、闇の書についての知識があまりにも足りない。
 それを補う必要がある。
 今後の俺の方針は闇の書の調査として

「それから、海鳴に管理局員が移住してくるから」
「なに?
 なぜ管理局員が」
「フェイト自身とその身内だ」

 リンディさんはもう一人の母親だし、クロノも立場でいえばフェイトの兄だ。
 エイミィさんは……クロノの恋人候補になるのだろうか?

 なんだかんだ言いつつ気があう二人。
 まあ、いらぬ心配ごとか

「そういうことか。
 極力気をつけて動くとしよう」
「そうしてくれ。
 闇の書の事で何かわかればいつも通り使い魔で連絡を取る」
「心得た。
 こちらも主はやての事や、なにかあればまた連絡する」

 シグナム達と別れ、家路につく。

 さて、明日はフェイト達の引っ越しもあるし、その時にリンディさんにも少しお願い事をするとしよう。

 それにまだ話していない仮面の男の件もある。

 狙いは魔術なのか
 シグナム達、闇の書が狙いなのか。
 それともなのはやフェイト達か。

「考えたところでも答えが出るわけではないが」

 闇の書もそうだが、今回はあまりに情報不足だ。

 うまく情報を集め立ち回るとしよう。

 もしあの男が敵になるのならば、容赦しないだけだ。

 進む道にはいまだ迷っている。
 だが彼女達を、大切な人を守るために剣を執る覚悟だけは出来ているのだから。




side グレアム

 現在、私の作戦は成功と失敗の瀬戸際にある。

 私の故郷である世界。
 第97管理外世界

 その極東の島国の日本、その海鳴という街で現れた高い魔力資質をもつ少女、高町なのは
 私の目的でもある一人の少女、八神はやて。
 そして、海鳴を管理する未知の技術を持つ魔術師、衛宮士郎。

 なぜこの三人があの海鳴の地に集まってしまったのか。

 もし衛宮士郎がいなければ、高町なのはが守護騎士に襲われたとしてもここまで心配する事もなかっただろう。

 だが現実は高町なのは、八神はやて、この二人を繋げる存在、衛宮士郎がいることで守護騎士たちの存在、闇の書の主の存在がリンディたちに知られることになればこの作戦は破綻する。

「ただいま」
「遅くなりました」
「おかえり。
 どうだ?
 動きのほうは」

 部屋に戻って来たロッテとアリアに状況を確認する。

「今のところは大丈夫。
 クロすけ達は今回の事件の調査と明日の引越し手続きをやってる」
「武装局員にも動きはなく、海鳴周囲から確認した限り結界や戦闘の動きもありません。」
「そうか」

 ロッテとアリアの報告に安堵の息が漏れる。

 昨晩の高町なのはが襲われた件で魔術師襲撃事件が闇の書にかかわりがあるという事が、管理局と衛宮士郎に知られたのだ。

 衛宮士郎が八神はやてと守護騎士たちを知っているのだから、管理局にも話が来ると覚悟していたが、今のところは大丈夫のようだ。

 衛宮士郎の実力は計り知れないが、クロノ達の報告によるとかなり高いとのこと。
 もしも彼が守護騎士達と戦えば結界なり反応があるはずだ。

「最低一週間はクロノ達の動きと海鳴の監視を強化してくれ。
 これを切り抜けられれば、衛宮が守護騎士たちに協力すれば作戦は順調に進む」

 そう。
 闇の書が完成するまで八神はやての存在と居場所が管理局に伝わらなければ私の作戦は成功する。

「頼んだぞ」
「「はい(うん)。父様」」

 事がうまく運ぶことを願いながら、部屋を後にする二人を見送った。




side 士郎

 日が昇る前に起きて動き始める。

 今日は大きなイベントでもあるフェイト達の引っ越しなのだ。
 特に我が家にはプレシアが共に生活するようになるのだから。

 元々プレシアとフェイト、アルフが住む事になっても大丈夫なようにベットや部屋の家具などは最低限は揃えている。

 まあ、食器などは少し買い足す必要もあるだろうが。

「さて、そろそろ行くか」

 いつもの朝の鍛錬をこなし、朝食を摂り、洗濯物と布団を干し、着替えて出かける。

 俺が辿りついたのは海鳴のとあるマンションの部屋。

「おはよう、クロノ」
「ああ、おはよう」

 そこで挨拶をかわす俺とクロノ。

 フェイトをリンディさんの養子にする事を話してからわずか二日。
 その短期間で新たな生活の部屋など手続きを済ませたのだ。

 予定を延期しなかったところをみると養子の話も特に問題なく進んだようだ。

「引っ越しは順調か?」
「まあね。
 奥の方は自分で運ばないとまずいけど」
「まあ、それはな」
 
 クロノがどこか面倒くさそうにため息を吐いたが、こればかりは仕方がない。

 この部屋だが、今回の事件でのリンディさん達が滞在する司令部兼、リンディさん達の住居兼、今後プレシアが本局への通勤へ使う転送ポートの設置場所になる。

 住む人数も多いが、管理局と海鳴を繋ぐ場所でもあるので部屋の数も多い。

 そしてその中には一般人に見せることが出来ない機材が多くある部屋もある。
 転送ポートなどその最たるものだ。

 そのため物によっては引っ越し業者に頼めない荷物などもあるだろう。

「リンディさんは?」
「艦長なら待ってるよ。
 左奥の部屋だ。
「了解。ならお邪魔します」
「ああ、散らかってるがね」

 あまり作業の邪魔をしてもあれなので、話はそこそこに家に入らせてもらい、クロノの言っていた左奥の部屋をノックする。

「はい。どうぞ」
「失礼します。リンディさん」

 部屋に入ると荷解きもそこそこにソファに腰掛けて資料を読んでいるリンディさんがいた。

「いらっしゃい。士郎君。
 ごめんなさいね。散らかってて」
「いえ、こちらこそ、すみません。
 引っ越し当日に時間をつくってもらって」

 俺がここに来たの目的は二つ。

「いいのよ。
 はい、これ。
 プレシアさんの身柄の引き渡しに関する書類ね。
 フェイトさんの養子に関してはレティが後見人にもなってくれたしね。
 それにクラウン中将が賛成してくれたのも大きかったわ」
「中将が?」
「今後、未来への友好の投資とすれば安いものだ、ですって」

 友好の投資ね。
 クラウン中将に借りが一つ出来てしまったな。

 目的の一つがプレシアが海鳴に住むにあたっての迎えの手続き

「あと話があるって言ってたけど」
「はい。なのはが襲われた夜」

 もう一つは

「結界の外に仮面をつけた何者かがいました」

 結界を破る時に気がついた仮面の男についてである。




side リンディ

 ビルの屋上から結界を見ていた仮面をつけた男ね。

 士郎君の話によるとアースラからの転送後、海鳴への降下中に見たとのことだけど

「あのスピードで?」
「はい」

 士郎君は当然のよう言うけど、普通ならあの速度で降下中にビルの屋上に立っている人間、しかも性別と仮面をつけていた事まで見えたとは考えにくい。

「士郎君、それは魔術か何かで見たの?」
「いえ、普通に肉眼で」
「……士郎君って眼がいいの?」
「視力強化なしでも2kmぐらいまでなら相手の表情はわかります」

 ……2km……か。
 2km先の相手の表情がわかるって視力いくつになるのかしら?

 士郎君の事を知るたびに驚いている気がするのは気のせいなんかじゃないわね。

「わかりました。
 結界の外から見ていたことから闇の書の主である可能性も捨てきれないわね。
 局員達に周知しておくわね」
「はい。お願いします。
 闇の書に関しても資料があったらいただけますか?」
「闇の書の?
 ええ、かまわないわよ。
 今度用意しておくわね。
 士郎君が協力してくれるのなら頼もしいもの」
「ありがとうございます。
 サインをしましたのでこれもお願いします」
「はい。ありがとう。
 こっちは士郎君の控えね」

 プレシアさんの身柄引き渡しの書類の控えを渡しながら、士郎君がまたその仮面の男と接触する可能性も0ではないのだから、通信と記録用のデバイスを渡すべきかを考える。

 だけどこれは駄目ね。
 記録されたデータに魔術のデータが入るとややこしい事になる。

 そんな事を考えていると

「「こんにちは」」

 女の子の声が聞こえた。
 この声、フェイトさんとなのはさんじゃないわよね。

「アリサとすずかが来たようですね」
「ああ、ビデオメールにも映ってた子達ね」
「はい。今日フェイトがこっちに来る事はなのはから伝わっているでしょうから、挨拶に来たんでしょう」

 そういう事なら

「なら私も挨拶しないと。
 プレシアさんも呼んでくるわね」
「わかりました。
 俺も顔を見せてきます」

 部屋を出て、私はプレシアさんの所に、士郎君はフェイトさん達の所に向かう。



 
side 士郎

 さて、アリサとすずかはどんな顔をするかな?

 昨日はミッドとアースラでの翠屋の売上なんかの話があって高町家の方々とは会ったが、月村家の方々とアリサには会ってない。

 なのはから帰ってきた事は連絡がいっているとは思うが

 そんな事を考えながら玄関に向かうとなのはとフェイトがアリサとすずかと話していた。
 俺が来た時にはまだなのはは来ていなかったから、俺の後に来たのだろう。
 アリサとすずかも元々ビデオメールでは何度か会っているから問題はないだろう。

 そんな中で

「あ、士郎君」

 俺に一番最初に気がついたすずか。

 その言葉に反応する三人。

「士郎、なんで奥から出てくるのよ」
「少し引っ越しの手伝いをな」
「あんたらしいわね。でも」

 アリサの目つきが睨むような目つきに変わる。

「なんで帰ってきたら連絡よこさないのかしら」
「そうだよ。なのはちゃんから昨日の夜にメール貰うまで知らなかったんだから」

 やはり帰ってきた事を連絡をしなかったため機嫌がよろしくないらしい。
 すずかもアリサに同意見らしい。

「その件に関しては謝る」
「謝るだけ?」
「近いうちにデザートでも」
「三回よ」
「……承知した」

 なんだがデジャヴなやり取りだな。
 その時の相手は赤い悪魔だったか

 やはり将来の金の悪魔か。

 そんなやり取りを苦笑しながら眺める三人。
 と俺の後ろから

「いらっしゃい」
「こんにちは」
「「こんにちは」」

 リンディさんとプレシアが出てきた。

「アリサさんとすずかさんね」
「え? はい」
「私達の事」
「ビデオメール、私達も見せてもらったから」
「あ、そうなんですか」
「よかったら皆でお茶でもしてらっしゃい。
 勿論、士郎君もね」

 話が終わったから引っ越しの手伝いでも思っていたが、そんな事を言ったらさらに機嫌を損ねそうだ。

 今回はアリサ達を優先させてもらうとしよう。

「それじゃ、うちのお店で」
「それはいいわね」
「なら私達もなのはさんのご両親に挨拶に行きましょうか?」
「そうね。少し待っていて」

 喫茶・翠屋という事でリンディさんとプレシアも一緒に行くことになり、二人の準備をまつ。
 そんな時

「きれいな人だね」
「どっちがフェイトのお母さん?」
「えっと、二人とも」

 恥ずかしそうにでもはっきりと答えたフェイト。
 アリサとすずかは母親が二人との答えに目を丸くするも。

 そういう事なのだとすぐに納得していた。

 それにしてもユーノとアルフはまた動物形態なのだな。
 特にアルフは大型犬ではなく、仔犬だ。

 まあ、仔犬の方が目立たないとは思うが、そんな事を思いながら全員で翠屋に向かう。



 で俺は本日はお客としてのんびりとなのは達とテラス席で過ごす。

 アルフとユーノはそれぞれアリサとすずかに撫でまわされている。
 ユーノが本当は人だという事がわかったらどうなる事やら。
 そんな事を思っていると

 向こうから歩いて近づいて来る眼鏡をかけた見覚えのある男性。

 アースラのオペレーターの確かアレックスだったか。

 ちなみに今日から一週間は機材の搬入などで時間がいるだろうと考えて、アースラスタッフの海鳴への出入りは許可している。

「こんにちは」
「アレックス? どうしたの?」
「リンディさんとプレシアさんからの贈り物だよ」

 アレックスから渡された箱を見て首を傾げるフェイト。

「フェイト、開けてみたらどうだ?」
「え、う、うん」

 俺の言葉にフェイトが頷き、包装を剥がして箱を開ける。

 そこには白い制服と赤いリボン。

 俺達の通っている学校の制服。
 そういうことか

「えと、これって」
「聞いてみるか?」
「う、うん」

 なぜ自分にこれが送られたのか、少々困惑しているフェイト。

 そういうわけで皆で翠屋の中にいるフェイトの二人の母親に話を聞き行く。

 扉が開いたベルの音でこちらを向くなのはの両親とフェイトの二人の母親。

「あの、プレシア母さん、リンディ母さん。これって」
「転校手続き取っておいたから」
「来週からなのはさん達とクラスメイトよ。
 フェイトをお願いね」
「「「はい」」」

 リンディさんとプレシアの言葉にしっかりと返事をするなのは達。
 勿論、俺もしっかりと頷いて見せる。

「よかったわね。フェイトちゃん」
「あの、えと、ありがとう、ございます」

 桃子さんの言葉に恥ずかしそうに、でもうれしそうに。

 そして、大事そうに制服を抱きしめるフェイト。

 それがとても印象的だった。 
 

 
後書き
無事に六十話更新。

また最近忙しくて執筆の時間がない。

のんびりぐて~としたい。

来週にまたお会いしましょう。

ではでは 
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