| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Fate/WizarDragonknight

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

私、小っちゃくなっちゃった!

 
前書き
色んなアニメから引っ張り出すけど、やっぱり限界あるな……せや!
この枠で紹介すればいいんだ! 

 
「ただいま」

 チリンという音とともに、ハルトは喫茶店のドアを潜った。
 ラビットハウス。ウサギ小屋を意味する店名は、ハルトの泊まり込みの職場だった。レトロな雰囲気あふれるその店に入れば、カフェインの匂いが鼻腔を駆け巡る。

「お帰りなさい」

 そう答えたのは、赤いエプロンを着た少女だった。髪を短く結んだ、健康的な四肢の少女。衛藤(えとう)可奈美(かなみ)という名の少女は、カウンターに盆を置いた。

「ハルトさん。チノさん、どうだった?」
「元気そうだったよ。メグちゃん……だったっけ? っていう友達も来てたし」
「ああ、私も昨日会ったよ。結構元気そうだったね」

 可奈美はニッコリとほほ笑む。
 ハルトは彼女の隣の座席に座った。
 いつものように、喫茶店ラビットハウスに客足などという耳に優しい言葉は似合わない。いるのはいつものように、店員の可奈美のみだった。閑古鳥が鳴く店内で、ハルトは肘をつく。

「あれ? 今日は休みじゃなかった? どうしたの?」
「ああ……ちょっと、ピンチヒッター」
「ピンチヒッター?」

 ハルトの疑問に、可奈美は背後を指差した。ハルトの位置から見て、丁度可奈美と一直線上。カウンター席に、ラビットハウスの制服が仕事を放棄していた。店員業務ではなく、飲んだくれのようにカウンターにうつ伏している。
 何事かと回ってみると、そこには仕事を放棄している店員がいた。

「……ココアちゃん?」

 保登心愛___通称ココア___は、目をグルグルと回しており、「チノちゃん……チノちゃん……」とうわごとのように呟いていた。

「え? ココアちゃん、どうしたの? ……可奈美ちゃん、これ何事?」
「それがさあ」

 可奈美が苦笑する。

「チノちゃんショックだってさ」
「チノちゃんショック?」
「うわあああああああああ!」

 突如として、ハルトの死角よりココアが掴みかかってきた。

「チノちゃんがああああ! 私から離れていくよおおおお!」
「なになになに⁉」

 しかもココアは、そのままハルトの首をぐるんぐるんと揺さぶる。女子高生によって殺されかけるという明日の一面を飾らないよう、ハルトは彼女の腕を振りほどいた。

「落ち着いて! どうしたの?」
「チノちゃんが……チノちゃんと会えなくなって、もう一週間だよ!」
「お、おお……お見舞い行ってないの?」

 ハルトへの応えは、ココアの泣きじゃくり。とても話にならないので、ハルトは可奈美に助けの視線を投げた。

「えっと……ほら。アサシンの色々が終わってから、チノちゃんたちの学校の人みんな入院したでしょ?」
「あれは結構てんてこ舞いだったよね」
「うん。それで、ココアちゃんそのまま真っ直ぐ学校から病院に向かったの」
「うんうん」

 それまでは何も不自然はない。ハルトがそう思っていた時。

「ココアちゃん、意識はっきりしてる全校生徒の前でチノちゃんに抱きついたらしいよ。頬ずりいっぱいしながら」
「うわぁ。思春期中学生になんてことを」

 すると、ココアが涙目でこちらを見上げた。

「だって! チノちゃんのことが心配だったんだもん!」
「はいはい……それで? それだけ?」

 すると、可奈美の目がハルトの知らない人種の目に変わった。
 噂と恋愛ネタが大好き(偏見)な、女子中学生の目だ。

「これは昨日マヤちゃんから聞いた話なんだけど……ついでに本人にも確認しちゃおうか?」
「何?」

 ココアがこちらから可奈美へ振り向く。

「ココアちゃんが病院のど真ん中で、『チノちゃんは私の可愛い可愛いラブリープリチーな妹なんだから!』って大声で宣言したって本当?」
「うわぁ……保登さんひくわー」

 ハルトは体の重心をずらす。支えを失ったココアは四つん這いになったが、それでも「違うよ!」と訴えた。

「私が言ったのは、『チノちゃんは私の可愛い可愛い愛しの大切で大事で家族にも紹介したい一生涯を添い遂げる妹だよって言ったんだよ!』
「「……」」

 ハルトは何も言えなくなった。さっきまで面白そうな目をしていた可奈美も、今や目が死んでいる。
 そして。

「「保登さんひくわー」」
「なんで⁉」

 奇しくも可奈美と同時に後ずさる。一人取り残されたココアは、まるで子供のように四肢で暴れ出した。

「嫌だ嫌だ嫌だ! チノちゃんがいないといやだ!」
「駄々っ子か!」
「私とは遊びだったの⁉ 私は、もう捨てられるの⁉ 私への愛は、どこ行っちゃったの⁉」
「俺に言わないでよ! 言い方! 言い方! 話の流れはともかく俺にしがみつくココアちゃんっていう絵面のせいで、俺がココアちゃんを遊び回して捨てたみたいな言い方しないでよ!」
「松菜さんひくわー」
「違うから! ……ああもうっ まだるっこい!」

 自棄が回ってきたハルトは、ポケットから新しい指輪を取り出す。まだ使ったことのない新品の指輪をココアにはめ、バックルにかざす。

『スリープ プリーズ』

 すると、ココアの体を小さな魔法陣が通過する。ココアはウトウトと、目線をあいまいにしだした。

「あれ? 何か……体が重くなってきたよ……?」

 フラフラと体を揺らすココア。そのまま倒れこむ彼女を、ハルトは受け止める。

「疲れて眠くなっちゃったんでしょ? お姉さま」

 ハルトは大人しくなった妹離れできない姉をカウンター席に戻す。

「ふう……新しい指輪が役に立った」

 ハルトはココアの指から指輪を回収しながら呟いた。
 覗き込んだ可奈美は、

「それが新しい指輪? そういえば昨日、新しい指輪を作ったって言ってたよね?」
「あ、うん。今日三時ぐらいまでで、三つできた」

 ハルトは三つの指輪を見せる。

「結構大変だったよ」
「そういえば、指輪ってどうやって作るの? その辺で売っているわけでもないでしょ?」
「ああ。魔法石っていう石から作るんだ」
「魔法石?」
「滅多に見つからない石。魔力が溢れた場所にあるんだ。例の事件の後、中学校の近くで見つけた」
「へえ……」

 可奈美が指輪のうち一つを取る。

「これって何の魔法なの?」
「それはコピー」

 ハルトは、その指輪を自身の右手に通し、ベルトに読み込ませる。

『コピー プリーズ』

 すると、ハルトのすぐ隣に魔法陣が出現する。それが通過し、もう一人のハルトを作り出した。

「うわ! ハルトさんが増えた!」
「むにゃむにゃ……ハルトさんが三匹」
「「俺は羊か」」

 寝言を言ったココアに、二人のハルトが同時につっこむ。

「「……まあ、こんな風に、完全にトレースした分身を作れるんだ。動きとかも一緒だから、人手不足の解消には役に立たないけどね」」

 ハルトの声が二重になる。可奈美は目を横一文字に結びながら、

「まあそもそも、このお店が人手不足になること少ないけどね」
「止めてあげてよお!」

 分身を消滅させながら、ハルトは叫んだ。

「……まあ、そんな感じで。こっちのスリープは、今やって見せた通り、使った人が寝ちゃう魔法」
「ああ、それで昨日ハルトさん部屋のど真ん中で寝てたの?」
「うぐ……まさか遅刻しそうになるとは……」

 ハルトは頭を押さえる。その間に、いつの間にか可奈美が最後の一つを自分の指輪に通していた。

「あれ?」
「最後の一つはどんなのかな?」

 ハルトが止める間もなく、可奈美はハルトのベルトに指輪を通す。
 可奈美がつけた指輪の効力は、

『スモール プリーズ』

縮小の魔法。三つの魔法陣が、可奈美の体縮めていく。
果たして可奈美は、身長わずか三十センチの動く人形となってしまった。

「なにこれ⁉ すごい!」

 可奈美は小さな体でピョンピョンと跳ねる。

「ハルトさん! これ何の魔法?」
「小さくなる魔法。だから説明も聞かずに使うからそんなことになるんだよ」
「すごいよこれ! いつも見てるラビットハウスが違う世界に見える!」
「聞いちゃいないし。……ほら」

 ハルトは小さい可奈美に手を差し伸べる。

「……ん?」
「いや、肩に乗るかなって」
「ああ、そういうこと。オッケー」

 承諾した可奈美は、あっさりと掌に乗る。そのまま体を伝い、肩……を通過し、そのまま左手からカウンターに着地した。

「うわぁ……いつものカウンターも、街みたい!」

 テンションが上がった可奈美は、そのままコップやティッシュ箱の裏などを散策している。

「何してるの?」
「ほら、昔から言うでしょ? 物にはみんな魂があるって。一生大切に使っていると、いいことがあるって死んだおばあちゃんが言ってたんだ」
「俺は初耳かな」
「いっぺん小さくなって、そういうのを体験してみるの、やってみたかったんだ!」
「要は座敷童(ざしきわらし)ってやつか」
「そう!」

 ニッコリと返した可奈美に、ハルトは頬をかきながら、

「悪いけど、スモール、大体十分くらいで効力切れちゃうからさ、あまり狭いところには入らないでほしいんだよね。大きくなるとき大変なことになりそうだから」
「十分だけ? そっか……」

 可奈美はしょんぼりとするが、すぐに復活。

「だったら、せめて今だけでも遊びたい!」

 可奈美が走り回ろうとしたとき、ドアチャイムが鳴った。
 制服を着た店員が誰一人として接客できない状況だが、ハルトはとりあえず「いらっしゃいませ」と声をかけた。
 だが、入ってきたのは人間ではない。赤、青、黄の三色の動くプラモデルだった。
 ハルトは一瞬顔が引きつるが、穏やかに足元に寄ってきた様子に、胸をなでおろした。

「よかった……ファントムじゃなくて魔力切れか……お疲れ様」

 青い馬、黄色のタコ。そんな印象のプラモデルたちは、ハルトが触れるとその体を消滅させた。残った指輪を、またベルトに読ませる。

『ユニコーン プリーズ』
『クラーケン プリーズ』

 虚空の空間より、青と黄のランナーが出現する。そこから外されたパーツがくみ上げられ、たった今消滅した馬とタコが組みあがった。
 全自動プラモデル組み立てを一瞥することなく、ハルトはその二体に再び指輪を埋め込む。
 プラモンスター。魔力で動く、ハルトの使い魔たち。普段はファントムの探索のために町をパトロールしており、今は休憩のため、ココアという台座の上で跳ねまわっている。

「あれ? ガルーダは?」

 ハルトは、もう一体あるべきプラモンスターの姿を求めて店内を見渡す。
 店に戻ってきたのは三体。最後の一体、レッドガルーダの姿がどこにもなかった。

「うわっ! ガルちゃん、くすぐったい!」

 そんな声が、カウンターから聞こえてきた。見下ろせば、赤いプラスチック製の鳥が、同じくらいの背丈の可奈美に甘えるように頬ずりしている。

「え? 可奈美ちゃん、いつの間にガルーダとそんなに仲良くなったの?」

 ガルーダが、これまで見たことないくらい小さな可奈美の姿に興奮している。
 可奈美はガルーダを制しながら言った。

「この前の事件の時から、懐かれちゃって」
「懐かれた?」

 一番肯定しているように、ガルーダが鳴き声を上げる。

「ほら。私、ガルちゃんのサポートで色々頑張れたところもあるから。それでかな?」
「俺にはそこまでしてくれたことないのに」

 するとガルーダは、可奈美の体を放り上げる。そのまま背中に乗せ、飛び上がった。

「うわっはははは! すごいすごい!」

 可奈美の声が、天井近くから聞こえてくる。
 ガルーダはそのまま店内を滑空。カウンターの真下、机の下、ハルトの頭上、柱旋回。どれも普通の人間では大きすぎて探検できないエリアだ。
 止めようとするが、暴走する使い魔は、ご主人様(ハルト)の声よりも、可奈美と一緒にいられることを選んだ。

 そのままガルーダは、店を飛び出し、夜空へ上昇していく。
 
「おい!」

 ハルトが店を飛び出すが、ガルーダの影はすでに暗闇に紛れている。

「すごいすごい! どんどん上昇していくね!」

 ガルーダの嬉しそうな声。
 ハルトは二人に、大声で伝えた。

「ガルーダもうすぐ魔力切れだよ! 危ないから、早く戻ってこい!」

 すると、その言葉が現実になった。
 ガルーダが指輪を残し、消滅。小さな可奈美は、上空でただ一人取り残されてしまった。

「え?」

「えええええええええええええええええええええ⁉」

 哀れ小さな可奈美は、そのまま重力によって落下。
 慌てて受け止めようとするが、いかんせん可奈美の小さな体は、その輪郭を捕らえるのがとても難しい。
 おまけに夜だ。視界も利かない中、可奈美の体はどんどん加速していく。
 そして。

 ちょうど、ハルトの頭上で、スモールの効力が切れた。

「ぐぎゃっ!」
「きゃっ!」

 つまり、ハルトからすれば、突然可奈美の体が出現したことになる。それが、ハルトの体を押し倒した。

「だ、大丈夫ハルトさん⁉」

 クッションになったおかげで可奈美は傷つかずに済んだが、そのダメージは全てハルトが肩代わりすることとなった。
 額に落ちてきた指輪に、ハルトは目を回しながら恨めしそうにつぶやく。

「ガルーダ……覚えてろよ……ガクッ」
「ハルトさあああああああああああああん!」

 可奈美の断末魔を子守歌に、本日の松菜ハルトは営業を終了した。 
 

 
後書き
ハルト「はい、というわけで今回から始まりましたアニメ紹介コーナー」
可奈美「イエーイ!」
ハルト「これからは、後書きで、アニメをランダムに一つ紹介していきます……って、どうせ平成後期に偏ってるんじゃない?」
可奈美「そこは気にしちゃいけないよ! 最近になるほどアニメの数だって増えているんだし。それに私も平成後期だからね」
ハルト「そもそもここに登場してるキャラだってほとんどが平成後期……」
可奈美「言わせないよ!それでは今回のアニメは、こちら!」

___高すぎる景色の向こう側で待ちわびた世界があると知っている涙___

可奈美「彼方のアストラ!」
ハルト「2019年7月から9月まで放送されていたね」
可奈美「魅力といったら、何といっても伏線だよね! 第1話から違和感を感じたアナタ! それは大正解!」
ハルト「最近では珍しいSFものだよね。冒険冒険。少年心を思い出させてくれるよ」
可奈美「原作も5巻完結だから、集めやすいのも魅力! 十五少年漂流記をモチーフにしているっていうのも、目から鱗だよ!」
ハルト「可奈美ちゃんそんなことわざ知ってたんだ」
可奈美「所謂最初の必殺技が最後に役立つ、熱血主人公、オマケに共通点は……」
ハルト「だああああああああ! ネタバレダメ絶対! こ、今回はここまで! ありがとうございました! このコーナーは、不定期に更新していきます! おい、可奈美ちゃん! それ以上は言っちゃいけないっての!」
可奈美「ぷはっ! 次回もお楽しみに!」
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧