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銀河転生伝説

作者:使徒
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第16話 アムリッツァ星域会戦

恒星アムリッツァの上空に自由惑星同盟軍の残存艦隊は集結していた。

ビュコック中将の第五艦隊。
アップルトン中将の第八艦隊。
ボロディン中将の第十二艦隊。
ヤン中将の第十三艦隊。

他、第九、第十艦隊の残存兵力が各半数ずつと、第三艦隊の逃亡に成功した一部の艦がアムリッツァへと到達していた。

その兵力を合計すると約55000隻。
それも損傷艦を含めての数である。

帝国領侵攻開始時には10万隻以上もあったことを考えると、実に半数近くが失われたことになる。


特に損傷の酷い3000程度の艦は破棄またはその他艦艇と共にイゼルローンへ離脱させることにし、再編の結果、4個艦隊52000隻で帝国軍を迎え撃つことになった。

そこへ、帝国軍が襲来する。

ラインハルト艦隊(キルヒアイス艦隊含む)
ケンプ艦隊
ミッターマイヤー艦隊
メックリンガー艦隊
ビッテンフェルト艦隊
ルッツ艦隊
ロイエンタール艦隊
ワーレン艦隊

8個艦隊10万隻の大艦隊であった。

「全艦、砲撃開始」

同盟軍の攻撃により、戦いの火蓋が切って落とされる。

「艦長、恒星アムリッツァに融合弾を投下してくれ。ローエングラム伯に何時ぞやのお返しをしてやろう。多少アレンジしてね」

ヤンは恒星アムリッツァに融合弾を投下して、恒星風によって加速を得ることで迅速な奇襲攻撃を敢行する。

その反対側では、ボロディン中将の第十二艦隊も同じ方法でロイエンタール艦隊を奇襲していた。

「やむを得ん、いったん後退しろ。後退しつつ陣形を再編、敵が引くタイミングを計って、反撃しろ!」

だが、ミッターマイヤー、ロイエンタールもさるもの。
いったん後退しつつ艦隊を再編し、直ぐに反撃できる態勢を整える。

「深追いはするな、敵は反撃してくるぞ」

ヤンもそれは分かっているので、麾下の艦隊に深追いしないよう注意を促す。

「提督、新たな敵が二時方向に現れました」

それは、帝国軍随一の攻撃力を誇るビッテンフェルト艦隊であった。

「装甲の厚い戦艦を並べて防御壁を築き、その隙間から小型艦の主砲で砲撃しろ」

ビッテンフェルト艦隊の突進を第十三艦隊は巧みな防御で受け流したが、その先にいた第八艦隊はそうはいかなかった。

「進め進め、勝利の女神はお前らに下着をチラつかせているぞ」

第八艦隊は側面からビッテンフェルト艦隊の猛攻を受け半壊状態に陥り、旗艦クリシュナも被弾して機動を確保できなくなる。

「ここまでか……総員退艦せよ、急げ!」

「閣下は?」

「私はいい」

「閣下……」

その後、クリシュナは恒星アムリッツァに墜落して撃沈し、アップルトン提督も戦死した。

「よぉーし、全艦反転。先ほど避わされた第十三艦隊を背後から撃つぞ、メックリンガー艦隊と挟み撃ちにする。主砲を短距離砲に切り替え、ワルキューレを出撃させろ」

ビッテンフェルト艦隊は第十三艦隊を挟み撃ちにするべく180度の回頭を行う。

「今だ、全砲門、背後の空域で回頭する黒い艦隊を撃て!」

回頭中に第十三艦隊の砲撃を浴びたビッテンフェルト艦隊は大損害を出す。

今のところ、戦況は互角であった。


* * *


<アドルフ>

「閣下、前方空域に宇宙機雷群を確認しました。数、およそ4000万」

「予想通りだな、ゼッフル粒子を出せ」

「はっ」

指向性ゼッフル粒子が機雷群の中に放たれる。
俺たちの艦隊が背後に現れたときの反乱軍の顔は見ものだな。

……いや、実際には見れないんだけどさ。
現実って時に厳しいよね。

「主砲、撃て!」

ゼッフル粒子が起爆し、その爆発は周囲の機雷に誘爆。そしてまた周囲の――という風に爆発の連鎖を作っていく。
そうして、4000万あった機雷は残らず宙に消えた。

「全艦、全速で突入し敵の後背を突け!」

はっはっは、勝利の女神が下着をチラつかせているぜ!
このまま犯しちまうか~。

……ん?
あれ?
何かおかしいぞ。

原作では第五、第八、第十三艦隊の3個艦隊が帝国軍の追撃を振り切ってアムリッツァに辿り着くことに成功し、アムリッツァで第八艦隊がビッテンの艦隊に壊滅させられるから残りは2個艦隊だけのはずだ。

だから、敵に3個艦隊が健在なように見えるのは俺の見間違えだろう……。
最近疲れているからな(主に夜遅くまでのエロゲのやりすぎで)。
目薬は何処だ?

「攻撃開始! 特に一番左の第十二艦隊を重点的に狙え、端から順に潰していくんだ」

何にせよ、不確定要素はここで潰しておくに限る。

アーメン!


* * *


同盟軍第十三艦隊の旗艦ヒューベリオンのレーダーが背後に新たな機影を捉えた。

「背後に新たな敵艦隊出現! 数……お、およそ50000!!」

「50000隻!?」

艦橋にいた全員の顔が驚愕に染められる。

「まさかっ、機雷原はどうしたのだ!?」

「突破された模様!」

突入したハプスブルク艦隊以下4個艦隊は同盟軍を背後から一方的に砲撃する。

標準時10月15日 23時―――勝敗は決した。


* * *


アムリッツァ星域で帝国軍と相対した同盟軍は、ハプスブルク艦隊に背後を突かれ壊滅の危機にあった。
特に、攻撃を集中して受けたボロディン艦隊の被害は凄まじく、旗艦ペルーンを始め分艦隊旗艦のほとんども撃沈された。
もはやこれまでと同盟軍の各艦隊は撤退行動に移る。


<アドルフ>

十数万隻による追撃戦――おそらく歴史上最大の追撃戦だろう。
これは見ていて圧巻だな。

ん?
良く考えたら今がヤンを殺る最大のチャンスじゃね?
原作では先の戦闘でヤン艦隊にボコられた結果薄くなったビッテンの艦隊を突破されて逃げられたが、俺の艦隊でビッテンの穴を塞げばいいんじゃ……と、今更ながら気づいた。

そうこう思案している内に、ヤン艦隊が殿となって、追撃する帝国軍の各艦隊の先端部をピンポイントで攻撃し、こちらの追撃を阻む。

その間、俺は艦隊を移動させてビッテンフェルト艦隊を補填した為、原作の方法での脱出は不可能だ。

第十三艦隊が全面攻勢をかけてくる。

くくく、甘いぞヤン・ウェンリー。
既にビッテンの穴は補填済み……(゚Д゚;)ん?

(;つД⊂)ゴシゴシ

(゚Д゚;)あれ?

(;つД⊂)ゴシゴシ

(゚Д゚)え?

ヤン艦隊が一気に撤退していく……。

「な……ぬぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

やっ、やられた。
まさか疑似突出を使って撤退するとは。
せっかくヤンを仕留めれる好機だったのにorz。

あ~、マジでテンション下がるわ~。

「総司令部より入電、『残敵を掃討しつつ帰投せよ』とのことです」

「もう勝手にしてくれ……」

もう何もやる気起きね~。

寝よ寝よ。
後の事は、ここにいる優秀な幕僚たちに任せて俺は寝る!


* * *


こうして、アドルフは幕僚たちの静止も聞かず自室に戻って眠りについた。

その後、ラインハルトからの呼び出しを寝過し(幕僚たちは残務処理を全部押しつけられた仕返しに起こさなかった)、怒られる一人の大貴族が居たとか居なかったとか。

実にどうでもいい話であった。
 
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