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天才少女と元プロのおじさん

作者:碧河 蒼空
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序章
  プロローグ

 春も暮れ。時折、心地よい風が流れる河川敷のグラウンドでは青年からおじさんまで、幅広い年代の者達が白球を追いかけていた。

 

 彼等が行っているのは草野球。身に付けられるユニフォームは二種類。ただいま練習試合中である。

 

 グラウンドに散らばっていたチームが入れ替わり、守る側の練習時間が終わると、攻撃側の選手がバッターボックスに入った。

 

 ピッチャーはテンポ良く投げ込み2ストライクに追い込む。キャッチャーは一球外そうとボール球をを要求するが、ピッチャーは制球を乱し、白球はストライクゾーンに吸い込まれていった。

 

 バッターはその球を捉え、打球は三遊間を抜けると思われた。しかし、足から滑り込んできた小柄な身体が打球の行方を阻む。しっかりとグラブにボールを納めた遊撃手は素早く立ち上がると1塁へと送球し、バッターランナーを刺殺した。

 

「サンキュー。ナイスプレー!」

「いえいえー」

 

 ピッチャーの称賛の言葉に返ってきたのはソプラノボイスだった。たった今、好守を見せた遊撃手、三輪みわ 正美まさみは高校生になったばかりの少女である。

 

 その後も試合は順調に進み、正美のチームは勝利を収めたのだった。

 

 

 

 

「それじゃあ、お疲れー!」

 

 試合後、チームのメンバーで打ち上げが行われた。大人達で運転する人以外のほとんどがビールを飲むなか、未成年の正美はタピオカミルクティを飲んでいた。

 

「正美ちゃんもお疲れ」

 

 正美に声を掛けてきたのはチームの最年長者でレフトを守っている青木である。

 

「正美ちゃんがショートにいると俺の出番が少なくなっちゃうよ」

「青木さんの膝、腰、肩を守ってあげてるんだから感謝してくださいよー」

「そんな気遣いまだいらねぇよ」

 

 笑顔で毒を吐く正美に青木は渋い表情を浮かべる。

 

「ところで、正美ちゃんは本当に高校でも野球部に入らないの?」

 

 正美は中学校でも野球部には入らず、父親の所属する草野球チームに所属していた。

 

「入りませんよ。ここで気楽に野球をするのが一番です」

 

 気楽にといっても、このチームは草野球レベルでいうと3程度なので、決して低レベルのチームではない。

 

「勿体無いなぁ。俊足巧打のユーティリティプレイヤーなんて強豪校も喉から手が出るほど欲しいだろうに······」

「そんな誉めても何も出ませんよー」

 

 正美はそういいながらも青木の肩を揉み始める。彼女は今日もご機嫌だ。

 

――それに、私は反則みたいなものだからねー。

 

 正美は心の中でそう付け加えるのだった。

 

 

 

 

 三輪 正美は若くして亡くなった元プロ野球選手の記憶を受け継いでいる。

 

 それは彼女の人格に影響を及ぼすものではなかった為、前世の記憶であるのか、はたまたプロ野球選手の無念がそうさせたものかは正美には判断が付かない。しかし、元プロ野球選手の記憶を有する自分が同年代の女子達に混じって野球をすることに後ろめたさを感じ、正美は今までに部活動で野球をすることは無かった。 
 

 
後書き
(注)転生、憑依のタグが付くような物語ではありません。




 初めまして。碧河 蒼空(みどりかわ そら)と申します。

 久し振りに小説を書いてみたら筆が乗ったので投稿してみました。

 本当なら『八月のシンデレラナイン』(以下、ハチナイ)か『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います』で二次を書こうと思っていたのですが、気付いたら球詠で書き始めていました。

 初めに申し上げておきますと、恐らくエタるかと思います。私がギブアップした後に続きを引き継ぎたいという物好きな方がいらっしゃいましたら、大歓迎です。



 ユーティリティプレイヤーの三輪や、最年長の青木でお分かりかもしれませんが、筆者は東京ヤクルトスワローズのファンです。今後もオリキャラが出て来る時はスワローズの関係者の名前が多くなるかと思います。 
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