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オズのケーキ

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第一幕その六

「匂いもきつい」
「そうなんですよね、その二つが」
「どうしてもな」
「問題ですね」
「味はよいし身体にもよいが」
「それでもですね」
「あの姿と匂いだからのう」
 この二つが問題でというのです。
「どうしてもな」
「日本以外の国の人達には」
「馴染みがないのう」
「僕も最初大変でしたよ」
 王子が言ってきました。
「いや、本当に」
「王子は最初見て何だとなったのう」
「ベジマイトみたいで」
「あれも凄いのう」
「何かって思いました」
「ほっほっほ、わしはあちらも好きじゃが」
 そのベジマイトもとです、リンキティンク王は王子に応えて言いました。
「王子はどちらにも苦労したのう」
「今ではどちらも食べますが」
「左様じゃな」
「納豆は大豆ですよね」
 王子はここで首を傾げさせて言いました。
「お味噌やお醤油の原料で」
「そうじゃな」
「お豆腐やきな粉、ずんだにもなる」
「色々と使えるのう」
「枝豆にもなって」
「あれも最高に美味いのう」
「枝豆は僕も大好きですが」
 それでもと言う王子でした。
「納豆がこうしたものと同じなんて」
「想像も出来んかったな」
「全く別の食べものだと」
 それこそというのです。
「思いました」
「そうじゃな」
「とにかくです」
 王子はさらに言いました。
「あれは衝撃的ですね」
「ほっほっほ、その衝撃もよいのじゃ」
「そうしたことまで楽しまれるから」
「わしはいつも幸せなのじゃ」
 楽しめるからだというのです、何でも。
「そうなのじゃ」
「そうですか、ですが」
「ですが。何じゃ?」
「いえ、王様のそうしたところは僕もです」
 王子はリンキティンク王にあらためて言いました。
「見習います」
「わしをか」
「何でも幸せに感じられるところは」
「そんなことは別によいが」
「いいんですか?」
「わしは王様じゃが全然偉い人間でない」
 リンキティンク王はこう王子にお話するのでした。
「我儘で勝手な人間だからのう」
「それで、ですか」
「わしを見習うよりもな」
「他の人をですか」
「見習うべきじゃ。例えば」
 ここでリンキティンク王が言う人はといいますと。
「オズマ姫とかのう」
「あの方を見習うべきですか」
「左様、わしを見習ってもじゃ」
 それこそというのです。
「何にもならんぞ」
「そうでしょうか」
「わしはそう思う」
 実際にという返事でした。
「だからじゃ」
「いえ、王様は最初の冒険で凄いことをされましたし」
 クッキーがそのリンキティンク王に言いました。
「他にも色々なことをされていていつも陽気で明るい政治でお国をよくされていますし」
「見習うべきというのか」
「そのうちのお一人だと思いますよ」
「だといいがのう」
「はい、ではまずは」
「クマセンターにじゃな」
「行きましょう」
 こうお話してです、クッキーとカエルマン、リンキティンク王にボボ王子の四人はお弁当を手にクマセンターに向かうのでした。 
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