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BanG Dream! ワーカーホリック少女が奏でるオト

作者:アキナ
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Pastel✽Palettes Ⅰ
  #007 わたしたちのライブ前

 
前書き
ご無沙汰です。

3ヶ月ぶりの本編更新でございます。

それではどうぞ。 

 
 Pastel✽ PalettesとSublimatumのライブが決まった翌日である土曜日。
 私達は各々、ライブに向けた準備を進めていた。

「亜麻音ちゃん……一度、休憩してはどうですか?」

 芸能事務所のオフィススペースで私はライブに関するスケジュール調整案を作成していた。そこへ燐子がお盆にマグカップを2つ載せて此方にやってきた。

「あ、有難う燐子」

 私は書類作業を中断し、燐子からマグカップを受け取る。中身は……ホットハニーミルクだ。

「いえ、私は……亜麻音ちゃんのマネージャーですから……」
「それでもだって。超助かる」
「ふふっ……喜んで……貰えて……嬉しいです」

 ホットミルクの丁度良くて、心地良い甘さが身体に染み渡る。今までの疲れも吹き飛ばされている感じがする。

「疲れた時には甘い物が一番とはよくいったものだ」

 私はそう思いつつもホットミルクを堪能後、その効力で疲れを回復し再び作業に戻るのだった。
 暫く作業をしてデスクのデジタル置時計を見ると時刻は15:20と表示されていた。確か……、次の個人練は15:40からだったな。
 私は着替えのジャージが入ったカバンを手にスタジオへ向かうのだった。

 Pastel✽Palettesの所属事務所のビルを出て徒歩5分の所にあるレッスンスタジオ。そこで今日の個人練が行われる。ビル内に入った私は受付を済ませ、鍵を受け取った。その後、更衣室へ向かいジャージに着替える。今の私の格好は……私服なんだけど、個人練で汗かいちゃうから風邪をひかないための対策である。あと気分の問題でもある。
 着替えを終えて、レッスン場に到着した私。
 さて……と。練習の開始時刻6分前だけど始めちゃおうか。
 先ずはベースの練習からにしよう。
 そう思った私はレッスン場備え付けの私のライブ名義『Shion』とプレートのある鍵付きの扉を受付で受け取った鍵で解錠しスタンドにセットされているEDWARDS ( エドワーズ ) / E-AM-160QM Black Cherryを手に取る。
 このベースの他にもIbanez ( アイバニーズ ) / Prestige RG3327FX TDF 7弦ギター、ROLAND ( ローランド ) / JUNO DS61がスタンドに立て掛けられている。
 この楽器は私の私物で、練習時に一々持ち運ぶのも難があるので、このスタジオのオーナーに相談したところ、此処での練習用の楽器をこのスタジオ内で保管してもらえることになった。
 このレッスン場は私以外のSublimatumメンバーも利用するので、メンバー全員分の此処での練習用の楽器が保管されている。

 さて……どの曲から演奏しようか。
 そうだな……この曲にするか。

『METANOIA』


 一曲弾き終えた時にレッスン場の扉が開いて中に入ってきた人物に私は声をかけられた。

「精が出るわね、あーちゃん」

 復活ライブに向けて練習をしていた私の前に現れたのは、Pastel*Palettesのベーシストである、ちーちゃんだった。

「準備は好調に進んでるわよ。復活ライブには間に合わせるから」
「ふふっ♪ 楽しみにしてるわね?」

 そう意味あり気な笑みを浮かべたちーちゃんは、私の隣に腰を下ろした。

「そう言えば、ダーリンがあーちゃんの事を心配してたわよ?」
「さーくんが?」
「ええ♪ やっぱり、幼馴染の活躍は見たいらしいわ♡」
「そっかぁ……だったら尚更頑張らないとね。 愛する彼の為にも……ね」
「あーちゃんといえど、ダーリンは渡さないわよ?」
「そこから奪うのも臨むところよね。 覚悟しなよ、ちーちゃん?」
「言うようになったわね。人見知りが酷くて何時も私の後ろに隠れていたのに」
「なぁっ……/// なんでそれを言うかなぁ!? やめてよぉ!! 私の忘却したい事を思い出させないでよ!」
「ふふっ……冗談よ、あーちゃん。 でも……」
「『無茶な練習量は厳禁』でしょ? 解ってるわ」
「ならいいのよ。破ったら日菜ちゃんにあなたの小学生時代の事全部バラすから」
「ちょま、日菜に!? マジでか、ちーちゃん」
「マジよ。あーちゃん♪」
「解った。絶対に無茶しないわ。ちーちゃん」
「よろしい。解かればいいのよ」
「敵わないわ。ちーちゃんには」
「あーちゃんには負けてたまるもんですか」
「なにそのプライド。ちーちゃんも練習だっけ?」
「ええ。一緒に練習しないかしら? その方が効率も良いもの」
「え、良いよ。じゃあ、どの曲からする?」
「そうね……この曲、大丈夫かしら?」
「ええ。大丈夫よ。私が彩のパート歌えばいいかしら?」
「そうね。お願いするわ」
「りょーかい」

 演奏する曲は『ハッピーシンセサイザ』だ。
 この曲は本来は彩とちーちゃんのツインボーカル曲なのだが、彩は不在なので私が彩のパートを歌うことにした。
 ダブルベースというのも良いが、私はギターに持ち替えて演奏する事にした。
 スタンドからIbanez ( アイバニーズ ) / Prestige RG3327FX TDF 7弦ギターを取り出してチューニングを手早く完了させ、私の合図でちーちゃんとのデュエットで演奏が始まる。


演奏したは良いのだが、ちーちゃんの指の動きが何処か迷いがある様だった。

「ちーちゃん、何か悩んでない?」
「!?……な、何を言い出すのかしら?あーちゃん」

私は思い切ってちーちゃんに尋ねた。
ちーちゃんは図星を突かれたのか必死に平静を取り繕おうとしていた。

「隠しても無駄よ。話して?」

私は語気を強めてちーちゃんに迫った。此処で打ち明けて貰って解決しないと後々の練習に支障が出てしまう。……と、言うのは建前で本音は明らかに思い悩んでるちーちゃん(幼馴染)を放っておけないからだ。
こればかりはちーちゃんが何と言おうとも譲れない。

「…………のよ」

ちーちゃんの表情に翳りが差し、震えた声で呟いた。

「……ちーちゃん?」
《big》「解らないのよ!! ……あーちゃんや彩ちゃん達の行動が正しかったら、今までの自分は何だったのか。これからどうすれば良いのか!」《/big》

ちーちゃんは普段より大きな声で叫ぶ様に自分の悩みを打ち明けた。

「……………」

私は敢えて何も言わずに次のちーちゃんの言葉を待った。

「あーちゃんはその答えを知ってるんでしょ?! だったら、教えてよ!! 私は……私はどうしたら良いの!?」

ちーちゃんは泣きながら、私に縋る様に訴えかけた。
私はちーちゃんを先ずは何も言わずに抱き寄せ、諭すように私なりの答えを言葉にして紡ぎ出した。

「何が正解で何が間違ってる……。 そんなの私にも解んないわよ」
「……あーちゃんでも解んないの?」
「ええ。でもね、これだけは自信持って言える。 解んないならさ……同じ目線に立って、一緒に歩んで行けばいいじゃない。 つまずくこともあるかもだけど、でもそれって、相手の事を知る事にも繋がる。 ……ってね」
「『同じ目線で』……私に出来るかしら?」
「大丈夫よ。ちーちゃんなら絶対に出来るわ。1人で無理なら誰かを頼ればいいのよ。私なり、彩達なり……にさ。 その時にはちーちゃんの支えになってあげるわよ」
「本当に……?」
「ええ。ホントのホント。……そうよね? 《《さーくん》》」

私はドアの向こう側でこの一連の会話を聞いていて、このタイミングで入室した彼……Pastel✽Palettesマネージャーで私とちーちゃんの幼馴染のさーくんこと、盛谷(もりや)颯樹(さつき)に話を振った。

「あーちゃんの言うとおりだよ、ちーちゃん。 「ちーちゃんが助けて欲しいと思うなら、僕たちは何時でも協力するよ。できない事だって少しずつ努力すれば、いつか身を結ぶはずだから」

さーくんはそう言って、ちーちゃんを諭していく。そしてちーちゃんは、さーくんの元へと駆け寄って抱き着いていた。

「ダーリン……!ありがとう……私、私……!」
「気の済むまで泣いていいよ。僕でよかったら胸を貸してあげるから」

さーくんのその一言で、ちーちゃんは更に泣き始めた。……そう言えば。

「さーくん、このタイミングで入ってきたって事は、なにかご用事?」
「あーちゃん、そうなんだよ……って、ああっ!大変だ!彩が今雨の降る中でチケット配り続けててさ!傘もささないでただひたすら配ってんだよ!」

しかも雨は増す一方……下手したら、翌日から数日間は風邪っぴき確定路線突入寸前まで来てる!

「確かにそりゃあ大変だ。 風邪っぴき確定なんて話になんないわ。颯樹、悪いけど……」
「『先に行って彩のフォロー』でしょ? 了解だよ。あーちゃんはちーちゃんを頼むね?」
「解ってる。 私達も追いかけるから」
「了解。じゃあ、またあとで」

さーくんはこの豪雨の中、傘もささずにチケット配りをする彩の下に急いで向かう為、レッスン場から退出した。

「ちーちゃん……大丈夫?」

私はちーちゃんに尋ねた。

「ええ。 私は大丈夫よ。 迷惑かけちゃったわね、あーちゃん」
「迷惑だなんて思ってないから気にすんなって。これ以上言うなら私……怒るよ?」
「ごめんなさい。あーちゃん。 でも…これだけは言わせて頂戴」
「なに?」
「ありがとう、あーちゃん」
「どういたしまして。 ちーちゃん。……ああ、もう!どうして無茶するのかなぁ彩は!?」
「彩ちゃんったら……!ダーリンの手を煩わせて……」

そう言ってスタジオを後にした私達は、さーくんの案内を受けて、彩がチケット配りをしている駅前へと向かった。


……そこでは。

「Pastel*PalettesとSublimatumのライブ、見に来て下さーい!お願いしまーす!」

今にも喉が張り裂けんばかりの声で、彩が呼びかけているも……周りの人達は気づく様子すら見えない。

……助太刀するかな。

「Pastel*PalettesとSublimatumのライブ、見に来て下さーい!お願いしまーす!」

今にも喉が張り裂けんばかりの声で、彩が呼びかけているも……周りの人達は気づく様子すら見えない。

……助太刀するかな。
そう思った私達の行動は迅速だった。

「Pastel*PalettesとSublimatumのライブ、見に来て下さーい!お願いしまーす!」
「Pastel*PalettesとSublimatumのライブ、見に来て下さーい!お願いしまーす!」
「Pastel*PalettesとSublimatumのライブ、見に来て下さーい!お願いしまーす!」

彩の足下のカゴに濡れないように保管されているチケットを手に持って、私達もチケット配りを始めた。

「えっ……亜麻音ちゃんに千聖ちゃんに……颯樹君!? どうして此処に!?」
「『 どうして此処に!?』じゃないわよ。 彩。 一言だけでも言ってくれれば良いのに」
「そうだよ。そうすれば何時でも手伝いに行ってたよ?」
「彩ちゃん、私達は同じバンドの仲間よ?助け合うのは当然でしょ?」
「えっ……でも…」
「彩ちゃん、早くチケットを配ってしまいましょ? このままだと私達仲良く風邪をひいちゃうわよ」
「確かにそれは勘弁したいね。ちーちゃん」
「私もさーくんに同意ね。 ホラ、彩。何泣いてるの。泣くのは……配り終わってからでも遅くないでしょ?」
「うん……そうだね!よーし、頑張るぞー!!」
「頑張るのは良いけど、レインコート着るのが先よ。 彩ちゃん」
「うっ…はぁーい……」

ちーちゃんの指摘に図星を刺された彩はさーくんが用意したレインコートを羽織ってチケット配りを再開した。
それを見た私達もチケット配りを再開したのだった。
後に私の連絡を受けた日菜、麻弥、イヴ、レイ、ますき、由愛、萌々、帆乃花も合流してPastel✽PalettesメンバーとSublimatumメンバー、それにさーくんの総勢12人で復活ライブのチケットを手渡しで通りゆく人達に配布したのだった。


それから……5日後。
私達は『Pastel✽Palettes&Sublimatum 復活ライブ』の当日を迎えるのだった。


To_Be_Continued... 
 

 
後書き
如何だったでしょうか。

今回はメッチャ難産だったわ。
もうね、アイデアが降ってこないから書き始めてから2ヶ月かかるっていうね。
書いてたは良いけど、最後の方で悩むっていうね。

実際言って悩み打ち明けとかの人シーン…って言うの?
それが超付くほどに苦手なんよな。

そういうのもあって尚更に難航しましたよ。ええ。
話は変わるけれども、今回のお話で登場したキャラ、盛谷颯樹くん。
このキャラは別作品の主人公なのだけども、その作品の作者さんと意気投合した結果、お互いの作品にお互いの主人公が出演しています。

今回初登場の颯樹君の出番は以降増加していくのでお楽しみに。
では最後に謝辞を。
次回のお話も読んでくれると嬉しいです。
また、この作品を読んでの評価・感想もお待ちしております。

それが次回執筆時の励みになったりしますのでね(本音)

支援絵もバッチコイです。
来れば自分のテンション「るるるんっ」って感じになりますんでね。
なので絶賛お待ちしております。

それでは、更新時期が不透明で全くの未定ですが、また次回のお話でお会いしましょう!。
ばいばいっ!


 
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