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ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)

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紅いイレギュラー

21XX年 ポイント00

まだエックスとゼロがイレギュラーハンターに所属していなかった頃。

イレギュラーハンターはあるポイントで研究所の跡地と思われる遺跡を発見した。しかし、中に侵入した部隊は突然と目の前に姿を現したイレギュラーによって全滅。この知らせを受けたハンター本部はすぐにこのイレギュラーを排除するべく、当時シグマと並ぶ実力を持つガルマ率いる精鋭部隊を送り込んだが施設に入って一時間も経たないうちに部隊は全滅してしまい、最後の通信からは「紅いイレギュラー」と言い残し、外で警戒に当たっているハンターたちは怯えながら監視をしていた。

「や、奴の様子はどうだ?」

「・・・・・今のところ出てくる様子はない。・・・・・・幸い入り口が閉まっているからいいが・・・・・・」

待機しているハンターたちはおどおど遺跡の入り口を見る。強固な防護扉なこともあってイレギュラーはまだ破壊して出てくる様子はない。しかし、ロックは、内側らしいのでいつ出てきてもおかしくはない。彼らは本部からくる応援を待ちながら様子をうかがう。

「どうだ様子は?」

そこへまだイレギュラーハンターだった頃のシグマがやってきた。

「隊長!?」

「ガルマの部隊を全滅させた紅いイレギュラーはどこだ?」

「はっ、はい!あちらの扉の中に・・・・・・・」

部下たちは敬礼しながら報告するが不審に思った。

何故、シグマ一人しか来ていないのか?

精鋭だったガルマの部隊が全滅したのだからそれ以上の数で来ると考えていたからだ。シグマはその報告を聞くと真剣な目つきで遺跡の方を見る。

「ご苦労。・・・・・後は私がやる。」

「「!?」」

シグマの言葉に思わず驚く部下たち。別にシグマの実力を疑っているわけではない。イレギュラーハンターが設立した時からその実力はどのハンターよりも高く、イレギュラーに全滅させられたガルマの部隊も渋々その実力を認めるほどだ。だが、10体近くのレプリロイドを相手にしても敵わなかった相手に果たしてシグマ一人に行かせて大丈夫なのだろうか?

「隊長自らが?」

「これ以上お前たちに犠牲が出ては困るのでな。」

シグマはそう言うと部下たちに背を向け、遺跡の方へと歩いていく。一瞬呼び止めようと思ったがシグマは一度言うとその意思を捻じ曲げることはないため見守ることしかできなかった。























遺跡の入り口に着き、シグマは慎重に扉を開く。

(・・・・・・・やはり、生存者はゼロか。)

目の前には先に乗り込んだ調査隊及びガルマの部隊のハンターたちの破壊された残骸が転がっていた。奥に進んでみるとそこは明らかに古びた研究設備で所々は埃は被っていたものの整備すれば十分使えそうな場所だ。

「ん?」

シグマはふと足を止める。その先には、後頭部に長い金髪を持つ紅いレプリロイドがいた。その手には破壊されたハンターの骸が握られている。

(奴がガルマの部隊を全滅させた紅いイレギュラー・・・・)

目の前にいる得体のしれない存在にシグマは警戒する。紅いイレギュラーは残骸を捨てると今度はシグマを標的に定める。

「ヌウウオォオオオオオオオオオ!!」

「・・・・・・フウ(動きが甘いな)」

ゼロの攻撃をシグマはすぐに推測して回避する。紅いイレギュラーは背後に回ってきたシグマに回し蹴りを披露しようとするがそれも躱され、壁を破壊して煙を上げた。

「フフ・・・・・・・ん?」

動きが意外に単調なことでうまくかわしたシグマだったが紅いイレギュラーは何事もなかったかのように煙の中から現れる。

「面白い・・・・ヌウウオオオオオ!!」

両者ともに接近し、拳を交わし合う。紅いイレギュラーは拳を何度も振るうがシグマはパターンを見切って回し蹴りを繰り出し、防御するものの勢いに押されて壁に衝突した。

「うおわぁ!?」

紅いイレギュラーが衝突したショックで劣化していた壁は壊れ、隣の部屋へと飛ばされる。シグマは、そのまま追撃するべくゆっくりと部屋の方へと入って行く。

「ウオォオオ!!」

紅いイレギュラーはすぐに立ち上がり再びシグマに向かって拳を振るう。

(パワーは十分高い・・・・・・だが、私は受けるほど甘くはないぞ。)

シグマはイレギュラーの腕を掴み地面にたたきつける。そして、その反動を利用して天井へと放り投げ、天井の壁を破壊した。

(今ので通常のイレギュラーならほぼ機能停止する・・・・・・・ん!?)

決まったと判断しかけたシグマは天井にめり込んだイレギュラーの表情を見て驚く。

笑っているのだ。敵わないと既に分かってもおかしくないにもかかわらず笑っているのだ。

(・・・・・流石ガルマの部隊を全滅させたイレギュラー、一筋ではいかんか・・・・)

シグマは落下してくるイレギュラーに向かって拳を振るう。同時にイレギュラーも拳を振るってきた。

双方の拳がさく裂し、閃光が発生する。

互いに距離を取り合うとイレギュラーは真っ先にシグマに向かってきた。シグマは、攻撃を躱していくがあることに気が付いた。

「コイツ!?(先ほどよりも私の動きを読んでいる!?)」

先ほどに比べてイレギュラーの攻撃がシグマの動きを掴んでいるのだ。レプリロイドの高度な情報処理とはいえこんな短期間で相手の動きを学習できることはまずない。イレギュラーの攻撃は更に早くなる。

「ウオォオオオオオオオオオ!!!」

「クッ!(これ以上戦闘を長引かせれば私もガルマの二の舞になる!早く勝負を付けなくては・・・・)」

シグマは天井へと飛び乗る。幸い武装が使われている様子はない。ならばこちらは武器を使って戦闘パターンを変更して対処を遅らせればいい。彼はさっそく装備しているサーベルを展開した。

「・・・・・・・」

イレギュラーもシグマの戦闘パターンが変化したことに気が付いたのか近くの鉄パイプを捥ぎ取って剣の代わりにする。


「フン!」

「テリャ!」

双方飛び上がり、剣を交える。シグマは執拗にサーベルでイレギュラーを攻撃する。イレギュラーは、不器用ながらも鉄パイプで攻撃を防ぐのが精いっぱいだったが地上に着地した頃にはすでに反撃できるほどにまで動きが良くなっていた。

「コイツ!」

シグマはさすがに焦りだした。イレギュラーの学習速度は自分の想像を遥かに超えている、早く決着をつけなければ。

「ハアァアァアアアアアアア!!」

「オリャアァァアアアアアアアア!!」

イレギュラーの接近にシグマは決着をつけるべく、向かっていく。最初の一撃で鉄パイプを破壊し、今度は不本意ながらも手足を封じるべく右腕を斬ろうと急接近する。

(もらった!)

両者が交じり刺し違える。


























「ヌ、ヌオッ!?」

走り去ったシグマは忽然と来た右腕の痛みに襲われる。後方を見ると目の前にはサーベルを握ったままの右腕が転がっており、さらにその奥では狂気の笑みを浮かべたイレギュラーが無傷のまま立っていた。

「ぬうぅ・・・・・・・こ、こんな筈は・・・・・・・・」

「フフッフフフ・・・・・」

シグマは右腕を押さえている間にもイレギュラーは彼に向かっていく。














それからは一方的な蹂躙だった。

シグマは一方的に痛めつけられ、既にボロボロになっているにもかかわらずイレギュラーは攻撃をやめない。

「ぬうう・・・・・・」

イレギュラーの攻撃でシグマは床に倒れる。しかし、それでもかとばかりにイレギュラーは倒れたシグマの首を捥ぎ取ろうと手をかける。

「うおぉ!?」

「フッフフフフ・・・・・・・」

苦しむシグマの姿を楽しむかのようにイレギュラーはさらに力を籠める。その吐噶喇にシグマの体は悲鳴を上げる。

「うぅ・・・・うおぉあああ!!(殺される・・・・・・・・殺される・・・・・・)」

「フッフッフッフフフフフ・・・・フハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!」

イレギュラーは大笑いをしながらシグマを苦しめる。



・・・・がっ、その直後、イレギュラーの頭部のクリスタル部に「W」の字が浮き上がる。

「ハッハッハッハッハッ・・・・ハッ!」

「うぅ・・・・・・ん?」

突如手を離したイレギュラーにシグマは驚く。後ろを振り向くと先ほどまでとは反対に苦しんでいるイレギュラーの姿があった。

「あ、ああ!?うあぁ・・・・・わあぁあああ!?」

(なぜ急に苦しみだした?・・・・・・・だが、今なら反撃できる!)

シグマはボロボロの体を動かして苦しんでいるイレギュラーに向かっていく。

「うぉおおおおああああああ!!!(奴の頭部の水晶部にさっきまで浮かんでなかった文字が・・・・・・ならばあそこが急所のはず!)」

シグマは渾身の力を込めて左腕でイレギュラーの頭部を殴りつける。拳は頭部のクリスタルを砕き、イレギュラーを後方へと吹き飛ばす。

「ハア・・・・ハア・・・・・ハア・・・・・・」

シグマは倒れたイレギュラーがまた起き上がってくるのではないかと警戒したが今度ばかりは動く様子はなかった。

「ま、まさかこの私がここまで追い込まれるとは・・・・・・・・・」























しばらくしてシグマは足を引きずりながらも入り口とへと戻ってきた。外に出ると待機していた部下たちは喜んでいた。

「シグマ隊長だ!」

「流石だ、隊長に敵うレプリロイドなどいるわけが・・・・・あっ!」

しかし、ボロボロのシグマの姿を見るやあまりにもひどい状態に唖然とする。

「紅いイレギュラーを修理センターへ運べ・・・・。ハア、ハア・・・・・それとDr.ケインに連絡を・・・・・・ハア、あの紅いイレギュラーを調査する。」

「た、隊長・・・・・お体の方は・・・・・・」

足を引きずるシグマの姿を見て部下は心配するが今のシグマはイレギュラーに徹底的に痛めつけられた屈辱で頭がいっぱいだった。

「う、うるさい!」

シグマは部下の手を払いのけその場から去って行った。






























「その後、私は再び紅いイレギュラー・・・・・・・つまり、ゼロ。お前が再びあの状態になることがないように私の部隊に配属させた。だが、お前はあの時のことを一切覚えておらず、まるで別人のように大人しくなっていた。」

「「・・・・・」」

シグマの話を聞いて二人は黙る。

「これがどういう意味か分かるか?私がイレギュラーと呼ぶ以前にゼロ、お前こそが真のイレギュラーだったのだよ!あのダブルを惨殺した時の表情、あれこそが私を殺す寸前にまで陥れたお前そのものだったのだ!」

「・・・・・・ゼロ・・・・・」

シグマの言葉を聞いてアイリスはゼロの顔を見る。

「・・・・・・それがどうした。俺は得体のしれない存在なのかもしれない。だが、今の俺に何の偽りもない!それに昔のことはどうでもいい!俺にとって・・・・今の俺をイレギュラーと呼ぶお前こそが“本当のイレギュラーだ”!シグマ!カーネルやレプリフォース、ハンターの命を弄んだ!俺はそんなお前を許さない!!」

「ゼロ。」

ゼロの言葉を聞いてアイリスは、安心すると同時に二人でシグマを見る。

「フッフッフフフ・・・・・素晴らしいよ、ゼロ。そうこなくてはな。」

「死んでいった者たちのためにもシグマ、貴様を倒す!!」

「面白い。ならば、早くこの先の動力室へと来るがいい。エックスたちも来るだろうしな。待っているぞ!!」

そう言うとシグマは姿を消した。

強気で言ったもののダメージがまだ残っている影響かゼロはその場で膝をつく。

「ゼロ、大丈夫!?」

「あ、あぁ・・・・・・・少し叫びすぎた・・・・・」

ゼロは、自分の体を診るアイリスを見てふと口が滑った。

「アイリス・・・・・・お前は、俺のことを恐れないのか?」

「えっ?」

「俺は・・・・・・シグマの言う通り、本当に破壊を望んでいるのかもしれない。確かに今の俺には何の偽りもない。だが、俺自身も俺のことがすべてわかっているわけじゃない。もし、今の俺が本当の俺じゃなくてシグマの言っていた昔の俺が本当の・・・・・・・・」

「馬鹿!」

「!?」

ゼロの言葉に我慢できなかったのかアイリスは涙目で彼の顔に平手打ちをする。同時に彼のことを強く抱きしめた。

「あ、アイリス・・・・・・・」

「さっき言ってくれたじゃない・・・・・・・私を護る為に戦いたいって・・・・・・・」

アイリスは泣きながら言う。その姿を見てゼロは思わず弱気になっていた自分に気が付く。

「・・・・・・・そうだったな。すまない。」

ゼロもそう言うと彼女の体を強く抱きしめた。

今の自分は、シグマの言っていた自分とは違う。かけがえのない仲間がいる。

それに・・・・・護りたい人がいる。

ゼロは、アイリスの唇と自分の唇を重ね合わせた。先ほど気を失ったときとは違い、今度は自分の意志でやった。

「・・・・・・もう、迷わない。俺はどんなことがあろうともお前を護ってみせる。」

「ゼロ・・・・・ありがとう。」

二人は顔を合わせるとお互いの体を寄せ合う。

「早くこの戦いを終わらせましょう。そして、みんなのところ・・・・・・・・」

「お~い!お二人さん!迎えにき・・・・・・・・」

その直後、二人の目の前にどこでもドアが現れ、中からドラえもんが開ける。

「「・・・・・・・・・・」」

「・・・・・え、えっと・・・・・」

ちなみにドラえもんの後ろにはエックスたちも二人の様子を見ていた。

「ゼロ・・・・・・・」

「アンタ、よりによってこんなところで・・・・・・・・」

「隊長・・・・・・うん、嬉しいことのような・・・・・ちょっと待ったと言いたいような・・・・・」

「お、おい!こ、これには・・・・・」

「ご、ごめんね!僕たち動力室の前に先に行っているから!!本当にごめんなさい!!このドア放置しておくから!落ち着いたら開けてね!!ホントに、ほ・ん・と・う・に!ごめんなさい!!」

ドラえもんは顔を真っ赤にしてドアを閉めた。


二人は、顔を赤くしていたがすぐに切り替えて立ち上がる。

「い、行くぞ、アイリス。」

「え、えぇ!」

二人は手を繋ぎながらドアを開けてエックスたちに合流する。
 
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