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おっちょこちょいのかよちゃん

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54 またクラスメイトに

 
前書き
《前回》
 夏休みの宿題に勤しむかよ子は1年生の頃の自分を思い出す。その頃はクラスメイトの男子・杉山を好きになったきっかけ、彼に少しでも近づく事ができたのだった・・・。 

 
 かよ子は昔の事に耽り続ける。
(あれから杉山君と近づけたって気がしたかな・・・。でも、進級する時、クラスメイトじゃなくなるかもしれないって正直不安になったな・・・)
 かよ子は今度は二年生になった時の自分を思い出す。

 二年生になり、かよ子はまた杉山と同じクラスになった。これは奇跡か、それとも神の力なのか。
(よかった、また杉山君と同じクラスになれた・・・!!)
 かよ子は好きな男子とまたクラスメイトになれて嬉しかった。
「おう、大野お!お前もまた同じクラスか!」
「ああ、また二人で張り切って行こうぜ!」
 杉山は大野とまた同じクラスメイトになれた事をお互い喜び合っていた。
(杉山君、よかったね、また大野君と同じクラスで・・・)
 かよ子は杉山と大野の最強で頼れるコンビが健在である事を安心に思った。

 そしてとある日に杉山、大野と共に掃除当番になった。かよ子は杉山の前で醜態を晒さぬようにと気をつけた。かよ子はせっせと箒で塵を掃く。そして塵取りで集める係に渡していた。
(杉山君にいいところを見せようと!)
 かよ子は不意のおっちょこちょいに気をつけた。そして、雑巾がけに入った。
「よし、始めるぜ!」
「ああ!」
 大野と杉山は全力の雑巾がけを始めた。その渾身の意気込みは床が光るように綺麗になった。
(す、凄い綺麗になってる!)
 かよ子は自分にはここまで綺麗な雑巾がけはできないと思った。そして掃除は後半に入った。大野と杉山は机と椅子を動かす。二人が軽々と机と椅子を動かす。その二人がまたかよ子は羨ましかった。
(よし、杉山君の為にも頑張んなきゃ!)
 かよ子は自分も杉山と大野のように机を運ぶのを手伝おうとした。ところがだった。足を滑らせて机ごとひっくり返そうになった。
「ああっ!」
「危ねえ!」
 あの頼れるコンビが助けてくれた。大野が机を抑え、杉山がかよ子の体を支えてくれた。
「危なかったな」
「す、杉山君。ありがとう・・・」
 そしてかよ子は机を抑えた大野にも礼をする。
「大野君もありがとう・・・」
「本当におっちょこちょいだな、お前!気をつけろよ」
「うん、ごめんね・・・」
 杉山に注意されてかよ子は恥ずかしくなってしまい、泣きそうになった。
「おい、山田、泣くなよお・・・。机運ぶのは俺達でやるからよお、お前は箒で履いたり雑巾がけをしてくれ」
「うん」
 かよ子は杉山の言う通りに箒で掃いたり雑巾がけをしたりした。
「よし、終わったな」
 掃除が終わり、皆は下校した。かよ子は杉山と喋りたかった気分だった。
「あ、あの、杉山君・・・!!」
「何だよ?」
「ご、ごめんね、おっちょこちょいして迷惑懸けて・・・!!」
「ああ、気にするなよ。お前も掃除頑張ってたじゃねえか。気にするなよ」
「う、うん・・・!!」
「何かあったら助けてやるよ」
「うん・・・!!」
 かよ子はそう言われてどこか嬉しくなった。そして気付いた。杉山にとっても自分はクラスメイトの一人なんだと。
「じゃあなあ!!」
「うん、じゃあね!」
 杉山は大野と帰って行った。

 二年生になっても大野・杉山コンビは活躍した。この時は100m走、学年別リレー、大玉転がしなどで目立った。
(杉山君、凄い・・・!!)
 この大野と杉山はクラスの要だった。何があって頼りになる。体育でも活躍し、困った事があっても助けてくれた。

 ある時、かよ子はクラスメイトの女子二名と一緒に帰っている時だった。話題は大野と杉山の事である。
「ねえねえ、大野君と杉山君、今日もかっこいいよね」
「うん、今日のサッカー、凄い活躍したもんね」
「ねえねえ、かよちゃん」
「・・・え?」
「かよちゃんもあの二人、いい男子だと思うよね」
「う、うん、そうだね」
「私、ああいう人がお嫁さんだったらいいなあ~」
「大野君と杉山君、どっちが好き」
「え~、選べない。どっちも」
「欲張りねえ」
(私は、杉山君かな・・・)
 かよ子は恥ずかしくて口に出して言う事ができなかった。だが、自分より杉山が他の女子に取られてしまったら自分はどうなってしまうんだろうかと思った。

 さらにまた別の日。この日は元日だった。かよ子は両親と共に初詣に行っていた。
(今年こそはおっちょこちょいしませんように・・・)
 かよ子は神社の神にそう誓った。その時、ある家族とすれ違った。杉山の家族だった。
「おう、山田!」
「す、杉山君・・・!」
 かよ子は思わず照れた。
「明けましておめでとうございます」
 お互いの家族も挨拶した。
「あら、さとしの友達?」
 杉山の姉が聞く。
「ああ、そうだよ」
(杉山君のお姉さんかあ・・・)
 かよ子は杉山の姉が美女に見えた。
「山田、今年も宜しくな。それじゃあな!」
「う、うん、宜しくね!」
 かよ子は嬉しかった。新年早々好きな男子に会えた事が。かよ子は今年は今迄より良い事がきっとあると思うのだった。

 新年になっても大野・杉山コンビは活躍していた。おっちょこちょいの自分も勿論、幾度も彼らに助けられた事は言うまでもない。

 その事を思い出しながらかよ子は読書感想文を片付ける為に図書館へと向かった。同時に自由研究の工作に最適な参考本も探そうと思った。 
 

 
後書き
次回は・・・
「伝わった想い」
 三年生になり、友人のさくらももこに秘密にしていた事を教えたかよ子。だが、そんな時、かよ子はまる子と喧嘩した上にクラス中から変な疑いをかけられる。そして杉山にもある事が知れ渡り・・・。
  
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