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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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第28節「消えた陽だまり」

 
前書き
次回か次々回で新章突入かな?

長くなってしまった気はしますが、それはそれとして。
ウェルが今回も書いててうぜぇですw
クソ野郎なんだけど嫌いになれないタイプのクソ野郎だからか、書いててちょっと楽しいって何なのこいつ()

取り敢えず、推奨BGMは『Bye-Bye Lullaby』です。
ちなみに作者は書いてる間、ゲンムのテーマ流してましたw 

 
「クソッ! 埒が明かねぇッ!」
「退きやがれっつってんだよッ!」

スカイタワーへと向かっていたクリスと純だったが、その周辺には大量のノイズが蔓延っていた。
どうやら、明確に二課の干渉を阻むための布陣が敷かれているらしい。

ソロモンの杖の保有者の狡猾さが、目に見えるような状況だった。

「あたしは行かなきゃならねぇんだッ! あのバカは、無茶しやがるに決まってる──ッ! だから……これ以上、邪魔するんじゃねぇッ!」
「翔、響、絶対に早まったことしてくれんなよ……ッ!」



一方、別ルートから最短での到着を目指していた翼もまた、ノイズに囲まれていた。

「──散れッ!」

しかし、幾ら数を揃えたところで、歴戦の防人である翼の足元にも及ばない。
足止めして時間を稼ぐのが精々である。

だが、その彼女の元へと……奴は現れた。

「流石は日本政府が誇るサキモリ、見事な腕ですねぇ」
「ウェルッ!」

振り返ると、そこには……ソロモンの杖を持ったウェル博士が立っていた。

「貴様、よくもぬけぬけとその顔を──ッ!」
「まあまあ。落ち着きましょうよ。どうしてわざわざ僕が、あなたの前に出てきたと思っているんです?」

ウェルの言葉に、翼は怪訝な表情となる。

「折り入って、あなたにお話があるんですよ」
「貴様のような外道と、話すことなどないッ!」
「いいえ、あなたになくても僕にはあるんです。それに、この話を聞けば、あなたも決してノーとは言えない筈ですよ……」
「なに……?」

ウェル博士が切り出した予想外の言葉に、翼は目を見開いた。

「──ッ!?」

ff

スカイタワーからは煙が登り、上空にはノイズが飛び回っている。

展望デッキを見上げる響の脳裏には、これまで積み重ねてきた未来との想い出が、走馬灯のように走り抜けていく。

一緒に笑い合って、喧嘩して、流れ星を見て……。
見上げた先にて奪われてしまった陽だまりに、響の心は確かに折り砕けてしまった。

「未来……」

力なく膝を着いた瞬間、纏うギアは粒子と消えた。
そして、その目からは悲しみがとめどなく溢れてゆく。

「──何で、こんなことに……う、ううッ……ううぅ……ッ!」
「小日向さん……そんな……ああ……ッ!」

それは、恭一郎も同様であった。

ようやく、あの日の想い人が見せてくれた輝きに報いることが出来た。
そう思った矢先に、目の前から遠ざかってしまった未来。

二人の絶望は、計り知れない。

だが、そんな二人にもノイズは容赦なく狙いを定める。

数体のフライトノイズが螺旋状に変形し、二人の方へと突っ込んだ。

「響ッ! 恭一郎ッ!」

翔が飛ばす光刃。
しかし、全てを打ち落とすには能わず、黒煙を抜けた2体が迫る。

風を切って向かってきたのは、一筋の赤矢。
そして銀色の盾だった。

「大丈夫かッ、お前らッ!」
「純ッ! 雪音ッ!」
「そいつらは任せたッ!」

自らを抱えて走って来た純の腕から飛び降りると、跳躍したクリスは空中で宙返りして着地した。

「あいさつ無用のガトリング ゴミ箱行きへのデスパーティ One,Two,three 目障りだああぁぁぁッ!」

〈MEGA DETH PARTY〉

発射されたミサイルが宙を乱舞し、迫りくるノイズを先制する。

(少しづつ何かが狂って、壊れていきやがる……あたしの居場所を蝕んでいきやがる……ッ!)

空中より標的を貫こうとしてくるフライトノイズを走りながら躱し、アームドギアをガトリング砲へと変形、先ほどのミサイルよりも広範囲にブッ放つ。

「撃鉄に込めた想い あったけぇ絆の為──」

〈BILLION MAIDEN〉

(やってくれるのは、どこのどいつだッ! ──お前かッ! お前らかッ!?)

砲撃の為に移動を止めた隙を突くように迫るノイズ。

しかし、それも跳躍で回避しながら撃ち砕き、着地と同時に振り返って頭上の群れも撃ち抜いていく。

(ノイズッ! あたしがソロモンの杖を起動させてしまったばかりに……。何だ……悪いのはいつもあたしのせいじゃねぇか……)

ガトリングとミサイル、一斉掃射で空を覆い尽くす災厄の悉くを葬りながら、クリスは己がかつて犯した過ちに苛まれる。

(でも……あたしは──ッ!)

だが、今の彼女はかつてと違う。
自分のせいで……以前の彼女であればそう感じた時、誰にも迷惑をかけないよう、自分の居場所を手放そうとしただろう。

しかし、今の彼女にその選択肢はない。
彼女の居場所を脅かすとは即ち、彼女に寄り添う少年の怒りを買うということ。

彼女の居場所を指し示し、導き、迎えに来てくれる彼の存在は、クリスに逃げない勇気を与えていた。

「もう逃げなぁぁぁーーい!!」

〈MEGA DETH FUGA〉

両肩から展開した二機の大型ミサイル。
ほぼチャージなしで他の技とも併用できるそれを、空中を浮遊している二体の空中要塞型ノイズへと向けて発射した。

「はぁ、はぁ、はぁ……はぁ……」

空中要塞型ノイズから誘爆し、スカイタワー上空を覆い尽くしていたフライトノイズは、瞬く間に全滅した。

「クリスちゃん……」

息を切らして膝に手をつくクリスの隣に駆け寄り、純は肩を貸した。

「お疲れ、クリスちゃん」
「ああ……。でも、あたしらは……」

クリスは泣き崩れる響と恭一郎の方を見ながら、目を伏せる。

「間に合わなかったのか……私は……」

そして、遅れて到着した翼もまた、目の前の光景に呆然と立ち尽くしていた。

ff

(絶対に離しちゃいけなかったんだ。未来と繋いだこの手だけは……)

戦闘終了後、無事二課に保護された響は、手を離した瞬間の未来の顔を思い出しながら項垂れていた。

未来と繋がれていた左手を握り、後悔に苛まれる。
そこへ、紙コップを持った友里がやって来た。

「あったかいもの、どうぞ。少しは落ち着くから……」
「ひく……ぅ……」

いつも通り、友里が持ってきてくれた珈琲は、熱すぎない温かさで湯気を立てている。

しかし、その温かさは今、響の心に空いた穴を実感させるばかりで、とても喉を通らなかった。

「響ちゃん?」
「……でも、わたしにとって一番あったかいものは、もう……ううぅ……」

再び泣き始める響。
友里にかける言葉はなく、ただ、今はそっとしておくべきだと判断し、その場を離れるのだった。



「恭一郎」

振り返った先には、紙コップを持った純が立っていた。

「ほら。これでも飲んで、一息ついて」
「ありがとう……」

紙コップを受け取り、一口飲む。

注がれていた珈琲は適温で、味はとても体に染みた。

「……僕は……結局のところ、何もできなかった」
「そんなことないよ」
「でも小日向さんはッ! あの場に居たのに何もできなくて……なのに僕は無事に帰ってきて……」
「その言葉、次言ったら怒るよ?」
「……ッ! ごめん……」

いつも落ち着いている純からの、今まで聞いたことのないほどに低いトーンの声。
自分の不用意な言葉が、彼の精神を逆撫でしたことを悟り、恭一郎は慌てて謝る。

「……本当に、君は自分が何もできなかったと思っているのかい?」
「それは、どういう……?」

首を傾げる恭一郎に、純は彼の方を見て答える。

「翔から君に伝えるようにって言われててね。階段前の瓦礫、君が除かしたんだろう?」
「それは……」

恭一郎は、両掌を見る。
貼られたガーゼの下には、瓦礫を持つ際にできた擦り傷が疼く。まるでそれは、彼の奮闘を証明する勲章のようだ。

「恭一郎。君はあの場に於いて、自分が出来る最善を尽くして足掻いたんだ。僕や翔みたいに戦う力はなくとも、小日向さんと立花さんを助けようとしたんだろう?」
「あの時は必死で……ああしなきゃって……」
「壁を突き破る覚悟と、逆境に立ち向かう意思。君がかざしたものは、確かに翔の道を作ったんだ」
「……ッ!」

その言葉に、恭一郎は顔を上げる。
もしもあの時、自分が諦めていたら、翔はあの場に立っていなかった。

それどころか、自分は真っ逆さまに落っこちていたかもしれない。

「誇れよ、恭一郎。君は確かに、漢を見せたんだ」
「でも、小日向さんは……」
「……確か、恭一郎が落ちた時、小日向さんはあそこから手を伸ばしていたんだよね?」
「ああ……」

純の質問に頷くと、純は顎に手を当てて考え込む。

「だとしたら……小日向さん、まだ無事でいる可能性があるぞ?」
「え……それは本当かい!?」

純の一言に恭一郎は思わず彼に詰め寄った。

「小日向さんの位置的に考えて、爆風で落下してくる可能性は低くない筈なんだ。でも、小日向さんは落ちてこなかった。だとすれば……」
「立花さんにも伝えなきゃ……ッ!」

自分と同じくらい、いや、それ以上に落ち込んでいるであろう響の元へと走ろうとして、恭一郎はふと立ち止まる。

「……そういや、翔は?」
「ああ、なんでも司令達に報告があるって。どっから持ってきたのか分からないけど、何かのファイルを持っていたような……」

ff

「っ!!」

エアキャリア内、作戦会議室。

やり場のない怒りに、マリアは力任せに窓を殴りつけた。

「この手は、血に汚れて──セレナ、私にはもう……うわああああ……ッ!」

米兵に向けてガングニールを振るった瞬間を思い出し、慟哭するマリア。
ツェルトはマリアの肩に手を置く。

「落ち着けマリィ。撤退前に確認したが、死人は一人も出ていなかったッ! 君は誰も殺してなんか──ッ!」
「それでもッ! この強大な力を、私自身の意志の元で誰かにぶつけ、傷つけた事実に変わりはないッ!」
「ッ! それは……」

人を殺めたのでは、という意識ではない。
自分の手で彼らを傷つけ、その手を血に染めた事自体が、彼女の自責の根底だ。

「これまで私の代わりに矢面に立とうと、その鋼の腕で私を守ってくれたあなたには、謝っても謝りきれないわ……。誰も傷つけずに世界を救おうだなんて甘い考えじゃ、何も守れない……。分かっていた筈なのに、どうしてもっと早く──」
「馬鹿を言うなッ! だからって、自分から積極的に他人を傷つけに行く者に、正義なんてあるもんかッ!」
「現実はそう甘くないのッ! これは訓練でもリハーサルでも、コミックや映画でもないのよッ!」
「……ッ、マリィ……」

鬼気迫る表情でまくし立てられ、ツェルトは何も言えなくなってしまう。

「もう、迷わない。この手を血に汚すことを、決して……躊躇わない──ッ!」

自分に言い聞かせるように、そう宣言するマリア。

調は、予備の車椅子に腰を下ろしたナスターシャ教授に問いかける。

「教えて、マム。いったい何が……?」
「……それは」
「それは僕からお話しましょう」
「ッ!」

ナスターシャ教授の言葉を遮って入室してきたのは、やけに気分のよさそうなウェルだった。

「ナスターシャは10年を待たずに訪れる月の落下より、一つでも多くの命を救いたいという私達の崇高な理念を──米国政府に売ろうとしたのですよ」

ウェルの言葉に、調と切歌は信じられないという風で、ナスターシャ教授を見る。

「──マム?」
「本当なのデスか……?」
「……」

ナスターシャ教授は何も答えない。
それをいいことに、ウェルは更にまくしたてる。

「それだけではありません。マリアを器にフィーネの魂が宿ったというのも、とんだデタラメ。ナスターシャとマリアが仕組んだ狂言芝居……」
「……ごめん……2人とも、ごめん……」

俯いたまま、調と切歌に謝るマリア。
そして彼女は、ツェルトの方を見る。

「ツェルトは、気付いていたのよね……。なのに付き合わせちゃって、ごめん……」
「謝ることはない……。マリィの決意を尊重したかっただけだ……」
「マリアがフィーネでないとしたら、じゃあ──ッ!」

その言葉が、切歌に決定的な確信を与えてしまったことを、この場に居る誰もが知らない。
ウェルは畳みかけるように、ナスターシャ教授を非難し続ける。

「僕を計画に加担させるためとはいえ、あなたたちまで巻き込んだこの裏切りはあんまりだと思いませんか? せっかく手に入れたネフィリムの心臓も無駄になるところでしたよ」
「マム、マリア……ドクターの言っていることなんて嘘デスよね?」

切歌はまだ受け入れられないらしく、再度その真偽を聞き返す。

「本当よ。私がフィーネでないことも。人類救済計画を、一時棚上げにしようとしたこともね……」
「そんな……」

しかし、事実は変わらない。

誰より信じ続けてきたナスターシャが、理想を諦め、自分達に内緒で組織を終わらせようとしていた事に、調も切歌もショックを隠せない。

「マムはフロンティアに関する情報を米国政府に供与して協力を仰ごうとしたの」
「だって米国政府とその経営者たちは自分たちだけが助かろうとしてるって……」
「それに、切り捨てられる人たちを少しでも守るため、世界に敵対してきたはずデス……ッ!」
「あのまま講和が結ばれてしまえば、私たちの優位性は失われてしまう。だからあなたは、あの場にノイズを召喚し、会議の場を踏みにじってみせた」

言いたいことはあるものの、ウェルの言葉はどれも偽りのない事実だ。
ナスターシャはただ静かに、ウェルの言葉の裏に隠れる私欲を突こうとする。

「ふッ。嫌だなぁ……悪辣な米国の連中から、あなたを守ってみせたというのにッ! このソロモンの杖でッ!」

杖の先端をナスターシャへと向け、ウェルは狂気を孕んだ笑みを見せる。

「や、やるデスか……ッ!」
「マムを傷つけることは──」

思わず構える装者達。だが……。

「……やめなさい」
「──マリィ?」

ウェルとの間にマリアが割って入り、ウェルを庇うように立ちはだかる。

「どうしてデスか……ッ!?」
「ハハハッ、そうでなくちゃッ!」
「マリィ、そいつを庇うのかッ!?」
「偽りの気持ちでは世界を守れない。セレナの想いを継ぐ事なんてできやしない──。全ては力……。力を以て貫かなければ、正義を成す事などできやしないッ! 世界を変えていけるのはドクターのやり方だけ。ならば私はドクターに賛同するッ!」
「「「──ッ!」」」
「ふ……ふふふふふ……ッ」


描いたとおりに事が動き始め、ウェルは思わず笑みを漏らす。
既にナスターシャの余命は残り僅か。極大災厄に抗うには、もはや一刻の猶予もない。

となれば、精神的に追い込まれたマリアが自分に賛同するのは道理だ。
ウェルはマリアの背後でほくそ笑んでいた。

「そんなの嫌だよ……。だってそれじゃ、力で弱い人達を抑え込むって事だよ……」
「調の言う通りだ。こんなやり方、俺達が最も忌み嫌ってきたものじゃないかッ!」

調の絞り出すような反論に、ツェルトも賛同する。
だが、ウェルはそれすらも読んでいたかのように、二人の反論を潰しにかかる。

「では調さん。あなたはこれまでの任務で、たとえ相手が自分より弱くても目的遂行の為ならば仕方ない……そう考えたことはないというのですか?」
「……ッ! それは……」

調の脳裏に浮かんだのは、ライブ会場での一件。
緒川に見つかってしまった時だ。

それから、ネフィリム起動のためにシンフォギアのペンダントを奪いに行った時もそうだ。
相手は翼だったとはいえ、いざとなればギアを纏い、奇襲をかけようとしていた。

自らの未熟さの中にあった矛盾を突かれ、調は言葉を失う。

「ツェルト、君は甘い。マリアも言っていたでしょう。現実は君の大好きなヒーローコミックの世界ほど、甘くはないのですよ」
「だが、お前のやり方が正しい道理などあるものかッ! 無関係の人達も沢山巻き込んで、ネフィリムに装者の腕を食わせるような真似までしておきながら、どの口で物を言ってやがるッ!」
「あれらはヒトではありませんよ。あなたも見たでしょう?」
「心があり、自分の意志がある以上、あの二人は人間だッ! 誤魔化そうとしてんじゃねえッ!」
「二人とも、そこまでにしてッ!」

マリアの言葉に、ツェルトは思わず口を閉じる。

「お願い、分かってツェルト……。もう時間がないの……もう他の道を進むには、私達遅すぎたのよッ!」
「だが──ッ!」
「いつだって、力なき者は強者に踏み躙られ、奪われ、最後は捨てられるのが常……。力なき理想に、弱いだけの正義に、守れるものなんてこの世にはないのッ!」
「……わかりました……」

そこで口を開いたのはナスターシャだった。

「マムッ!?」
「それが偽りのフィーネではなく、マリア・カデンツァヴナ・イヴの選択なのですね……」
「……」

マリアは答えない。
それは、未だに迷い続けている証拠だ。

ツェルトに放った言葉が、彼女の本心ではないことの証だ。

「そんな正義、俺はまっぴら──」
「くッ、ごほ、ごほ……ッ!」

反論を続けようとするツェルトだったが、そこでナスターシャが咳き込む。
持病の発作だ。前よりも鎮静化している期間が縮んできている気がする。

「マムッ!」
「大丈夫デスか?」
「後のことは僕に任せて。ナスターシャはゆっくり静養して下さい」

そう言って、ウェルは会議室を後にする。
これで組織の実権は、実質ウェルが掌握したと言ってもいい。

「さて、計画の軌道修正に忙しくなりそうだ。“来客”の対応もありますからねぇ……」
「くッ……」

ウェルが出ていった自動扉を睨みながら、ツェルトは舌打ちした。

(まずい流れだな……。クソッ、あの野郎……地味にキツい当てつけしていきやがって……)

これで二課への投降は絶たれてしまった。
F資料がなくなっているのがバレるのも、時間の問題だろう。

(でもな……誰が何と言おうが、俺は俺の信念を曲げたりしねぇ。たとえマリィに否定されたとしても、俺は……マリィの“ヒーロー”であり続けるって決めてんだ……)

自分の部屋に戻った彼は、机の中に仕舞った一冊のコミック本を握り締める。

夢の原点となった隻腕の超人兵士を始め、憧れの英雄たちの背中を思い描き、瞳を閉じる。

(ウィンター・ソルジャー……。キャップ、ファルコン、アイアンマン、スパイディ……。俺の、憧れのヒーロー達よ。どうか、俺に力を貸してくれ……)

意を決して彼は、その胸に悪への報復(アベンジ)を誓う。

全ては、愛する者達を守り、認め合った友と手を取り合って世界を救うために……。












その頃、エアキャリア内の格納庫にて。

以前はネフィリム用だったその檻の中で蹲る少女は、寂し気に呟いた。

「響……」 
 

 
後書き
裏設定ですが、ツェルトが呼んでいたマーベルコミック、実は中身がほぼMCU準拠です。
マーベルってマルチバース設定あるからね。そういう事もあるさ。

ちなみにバッキーに憧れるようになったのは義手になってから。片腕だけでも戦い、キャップと共に戦った親友。片腕失ってセレナも守れず失意の中にあった当時のツェルトが彼に憧れるのは、至極当然の事だったと言えるのかもしれません。

特訓シーンだけだと短くなっちゃいますので、ファミレスのシーンは次回に回します。

さて、次回はいよいよお待ちかねの特訓回!
書くためにようつべで何度も別パターンの英雄故事を再生して回ったのは私ですw
お楽しみに! 
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