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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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戦姫絶唱シンフォギアG
第1楽章~黒の装者達~
  第6節「鋼の腕の伴装者」

 
前書き
今回はツェルトの初バトル!

企画段階ではRN式Model-D(デュエット)という仮称だった彼のRN式にも、正式な名前が付きました。
今回はオリジナルシーンなので、BGMはご自由に。

それでは、どうぞお楽しみください! 

 
「はあッ!たあッ!」
「フッ!ハッ!」

翔が繰り出す剛拳を、流星の如く素早い蹴撃の数々を、ツェルトは時に躱し、時に拳銃を交差させて受け止める。

「チェック!」
「ちぃッ!」

更には受け止めた際に生まれた隙を突いての発砲。ゼロ距離での連射まで狙って来た。

「お前、そのアームドギアはッ!」
「そうだッ! ファルコンボーイもよく知っている聖遺物だろうなッ!」

拳銃が弾切れになるのを見計らい、翔は距離を詰める。

しかしツェルトは、翔が来るタイミングを見計らっていたかのようにニヤリと笑い……空になった弾倉を宙に放って蹴り飛ばした。

勢いよく蹴り飛ばされた弾倉は、それその物が弾丸となったかのように翔の顔面へと向けて進む。

翔はそれを片手で払い落とすも、弾倉に気を取られた一瞬の内にツェルトはリロードを済ませ、翔へと発砲した。

弾は翔の身体に命中し、その身体を後方へと吹き飛ばす。

床を転がった翔は、立ち上がりながらその聖遺物の名を口にした。

「魔弓、()()()()()……」
『イチイバルだとぉ!?』

翔とツェルトの戦闘を、監視カメラを通じてモニタリングしていた弦十郎の驚きが、通信機越しに伝わる。

無論、それは翔も同じだ。

「ガングニールとイチイバル……何故お前達が……」
「ドクター・櫻井……いや、櫻井了子に宿ったフィーネが、密かに米国と通じていた事を知らないわけではないんだろう? F.I.S.は元々、彼女が米国と通謀した事により発足した組織だ。言わば『米国の特機部二』というわけさ」
「そういう事か……フィーネめ、厄介な置き土産を……」

了子の中に潜んでいたフィーネは、ネフシュタンの鎧やイチイバルといった二課が管理している聖遺物を横領する事で、計画を実行に移して来た。

それはつまり、ガングニールやイチイバルの欠片もまた、水面下で横流しされていないとは限らなかったのだ。

「さて、まだ動くか? 」
「当たり前だ。この程度、蚊に刺されたのと変わらんッ!」
「言うじゃないか。なら、もう少しだけ遊んでやっても──」

ツェルトがそこまで言いかけた時、彼の背後から空を切る音が迫った。

右手に握るアームドギアを手放し、飛来するシールドを掴んで振り返る。

「ッ!?」
「うおおおおおおおおッ!」

その瞬間、盾の主は地面を蹴り、銀の流星となって跳ぶ。

受け止めた盾を飛び蹴りで押し込まれ、今度はツェルトが翔を飛び越えて吹っ飛んでいった。

着地と共に、落下してきたシールドをキャッチした純は、親友へと手を差し伸べる。

「心配して来てみたら、ピンチの真っ只中って所か?」
「これから逆転する所だったさ。でも、礼は言っておく。助かった」

起き上がった翔と駆けつけた純、二人の伴装者が並び立つ。

同じく立ち上がったツェルトは、揃った伴装者二人を交互に見て言った。

「そういや、伴装者はもう一人居るんだったな。確か、ドクターからはクイックシルバーだって聞いてたけど……今の盾の使い方、キャプテン・アメリカの間違いだったか?」
「両方さ。この盾も瞬足も、どちらもこのアキレウスの鎧の力だッ!」
「なるほど。ファルコン・ボーイにキャプテン・シルバーってわけだ。面白い! そっちも仲間が増えた事だし、第2ラウンドと行かせてもらうッ!」

再び二丁拳銃を握り直すと、ツェルトは二人に向けて引き金を引く。

だが……直後、聞こえたのは金属同士がぶつかる音……即ち、弾丸が弾かれた音。

そして目の前には、シールドを全面に向けて突進してくる純の姿があった。

「ッ!」
「ぜやああッ!」

正面から突っ込んでくるアキレウスのタックルは、アキレウスの加速力と頑強さが相まった強烈な一撃だ。

ツェルトは慌てて左へと身を投げ出し、ギリギリのところでそれを回避する。

だが回避直後、数発の矢がツェルトを狙って飛来する。

床を転がりなんとか避けると、追撃をハンドガンで撃ち落とした。

翔が突貫してくる純の背後に隠れる位置、丁度ツェルトの視点から死角になる立ち位置から、こちらを狙っていたのだ。

「うおおおおおおおッ!」
「ッ!? 背後かッ!」

更に、矢を撃ち落とし続けていると、背後から純が殴り掛かる。

避けたツェルトは、プロテクターに覆われていないインナー部分へと銃口を突き付け、ゼロ距離から弾丸を打ち込もうとする。

その手から銃が落ちたのは、一瞬の事であった。

「なっ!?」
「純ッ!今だッ!」
「応ッ!」

そして、純の回し蹴りがツェルトの横っ腹を狙い、勢いよく繰り出された。



「転調・コード“()()()()”ッ!」

ガキィンッ!

「ッ!?」
「天羽々斬……だとぉッ!?」
「RN式Model-GEEDが使える聖遺物は一つじゃない! 接近戦もお手の物ってなぁッ!」

激しい音と共に、剣の腹で防がれる純の脚。
ツェルトの手に握られていたのは、青いラインの入った黒き刀身の両刃刀……天羽々斬のアームドギアであった。

「せいッ!」
「くっ!」

逆袈裟に振り上げられる刀が、アキレウスの胸部プロテクターを斬り裂き火花を散らす。

後方にふらついた純の腹へと、ツェルトが追い討ちで繰り出した丸太のような脚が命中し、純は勢いよく吹っ飛ばされる。

「ごッ!?」
「純ッ!!」

純は数メートル後方へと吹き飛ぶと、床を転がりながら、放置されていた案内板へとぶつかった。

気を取られる翔。その頭上から、振り下ろされる一刀。
跳躍したツェルトの着地と共に、黒き抜き身の絶刀が迫る。

(もらった──ッ!)



ツェルトが勝利を確信した、次の瞬間だった。

「──な……ッ!?」

ノールックで受け止められた刃の切っ先。

片手白刃取りを決めた隼の射手は、鋼腕の伴装者を見上げ見据える。

「おが……師匠から気配を察知する術は指南を受けている。この程度の不意打ちが、俺に通じると思うなよ……」
「ぐッ!?」

翔の左手は刀身を握り締めて離さず、どれほど力を入れてもアームドギアはビクともしない。

「天羽々斬は護国の(つるぎ)! この国を脅かす者に……否、姉さんのライブを台無しにしたお前に、振るう資格などあるものかッ!!」
「──ッ!?」

見開かれた蒼い瞳、剥かれた犬歯、硬く握られた拳。
鬼気迫る表情でがツェルトに向けられる。

翔から放たれる、貫くような怒気に射すくめられたのか、ツェルトの表情が一瞬強ばった。

そして次の瞬間、腹部から広がる重たい衝撃に彼は目を剥く。

掴んだ刀を引き、勢いのまま拳を叩き込まれたと認識した時には既に、ふらついた身体は蹴り飛ばされ、宙を舞っていた。

床をしばらく転がって、肺から押し出された空気を吐き出す。

「ぐはッ!?」
「聞きたい事は山ほどあるが、話はベッドで聞かせてもらうッ! 地に沈め、擬き者っ!」
「くっ……ハハッ! 生憎と、男同士でベッドに入る趣味はないんでね……」

少しふらつきながらも立ち上がるツェルト。

まだ体力は残っており、使える聖遺物もまだ残っている。
厄介なアキレウスは、どうやらまだ立ち上がる気配がない。

まだまだ続くかと思われた戦闘。しかし──

『聞こえますか?』

その時、ツェルトの耳に入ったのは予想外の通信だった。

ff

その頃、特殊車両の中では……。

「この伸び率では数値が届きそうもありませんね……」

フォニックゲインの観測機に、各装者9人のアウフヴァッヘン波形と共に表示されている『036』の三桁……。
36%を示すパーセンテージに、マムは焦りを感じていた。

このままでは足りない。彼女達の目的を達する為に、その数値はあまりにも低かった。

「仕方ありませんね。最終手段を用います──聞こえますか?」

回線を、前線にいる二人に繋ぐ。

一人は屋内にて伴装者を足止めし、装者達と分断している青年。

そしてもう一人は、会場内の何処かに隠れ、ノイズを使役している者に。

「ツェルト、マリア達と撤退なさい」

ff

「──やれやれ。マムからのお達しとあらば、仕方ない」

今にも飛びかかりかねない、餓狼が如き伴装者を前にツェルトは溜め息を吐いた。

「残念だったな、ファルコンボーイ。勝負はお預けだ」
「逃がすかッ!」

翔が踏み込むより早く、ツェルトの右手が素早く動いた。

「転調・コード“エンキドゥ”」

回転したリボルバーは、三つ目のコンバーターを発動機に接続する。

刀が消え、代わりに右手へと握られたそれを、ツェルトは天井へと向けて放った。

そして、翔が握り締めた拳が向かって来る直前、彼の体は勢いよく垂直に引き上げられた。

「ッ!? まだ温存していたアームドギアがッ!?」
「あばよボーイズ、次は俺が勝つ」
「逃がすかよッ!」

天井からぶら下がりながら、ツェルトは声の方向に左腕を振るう。

直後、彼めがけて真っ直ぐに飛んで来ていたシールドは、左手から射出された何かによって弾き返された。

「ワイヤーだとッ!?」
「おっと危ねぇ。フリスビーは人に当てる気で投げないようにってな!」

射出されたワイヤーが、腕の動きに合わせて意志を持ったように動き、蜘蛛の巣のような結界を形成していたのだ。

純が弾き返された盾をキャッチしたと同時に、ツェルトはワイヤーの結界を解き、通路の奥へと向けて新たに射出した。

ワイヤーの先端は楔が付いており、天井に打ち込んだワイヤーを使ってツェルトは、まるでターザンのように素早く移動を始めた。

否、次々とワイヤーを打ち込み、勢いのままに移動していくその姿はターザンと言うよりも、まるでアメリカンコミックに登場する蜘蛛のヒーローを彷彿とさせる。

「待てッ! 純、追えるか?」
「問題ねぇッ!」

翔と純はツェルトを逃がすまいと、全力で駆け出す。

廊下の先はライブステージ……そこには、翔達が予想だにしなかった光景が広がっていた。



「ッ!? こいつは……!」
「未確認の……ノイズ!?」

ステージの上に立っていたのは、黄緑色の肉塊を寄せ集めたような外見に、イボだらけの巨大な体躯を持つ、これまでに見たことの無い種類のノイズであった……。 
 

 
後書き
響達のバトルは原作と変わらないのでカットして、男子組のバトルシーンを描く。完璧な流れだ……(自画自賛)

ツェルトのアームドギアの元ネタ、それぞれ分かるかな?



RN式Model-GEED:ツェルトの戦闘用義手に組み込まれた、RN式の発展型武装。ちなみにGEEDとは、Generic Expansion Armed(汎用型拡張武装)の略称である。
手首の部分にあるリング状のパーツはリボルバーのような構造になっており、ギアコンバーターをセットする事が出来る構造になっている。
ツェルトの音声認識で起動し、選択された聖遺物のコンバーターを発動機に接続、起動する設計。

本来は二種類の聖遺物の力を融合させて発動するギアとして設計されていたが、異なる聖遺物同士が反発を起こす為に成立せず、複数の聖遺物を切り替えて武器の種類を変更する仕様へと変更された経緯を持つ。
また、装者とギアには相性が存在する為、セットされた全ての聖遺物をギアとして纏う事が出来る訳では無い。
ツェルトのイチイバル及び天羽々斬は、そのエネルギーを拳銃やコンバットナイフに固着させる事で、ギアではなくアームドギアのみを形成した運用に用途を絞って使用している。
安定と引替えに、防御面はバリアコーティングのみに依存しており、対シンフォギア戦闘に於いてのハンデは大きいものの、ツェルトはアームドギアを用いての防御、及び回避の速さを磨く事で補っている。 
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