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蒼穹の彼方へ

作者:クロアナ
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第一章
  記憶を無くした少女

自然の死は枯れた時に訪れる。
動物の死は環境の崩れでに耐えきれない時に訪れる。
人間の死は命が尽きた時に訪れる。
世界の死は命の源“マナ”が尽きた時に訪れる。

じゃあ、私は…?

死とは一体なんだ、この狂ったシナリオ《せかい》で死という概念はあるのか。シナリオ通りに人は死に、作った奴が最後に笑う。
誰が聞いても狂っていると思うだろう。“思うだけ”なら簡単だ、信じる人なんて居ないだろう。この灰色の世界にさせたのも、世界を崩壊させたのも私だ。そう言っても誰も信じないし、私を英雄としか崇めないのだろう。この世界__女神が死んだ世界で何をしろと言うんだ。

「このまま、崩壊を待つだけなのか…」

いや、女神を殺したのは私だ。そう仕組まれたのだから。
そう。世界が滅ぶのも、女神が死ぬのも仕組まれたもの。こうなるのも全て予定調和の事。

「この世界には や皆も居ない。だったら…」

『本当にそれで良いのかしら?』

後ろ振り向いたら だった。

「今更なんのようよ」

「本当に世界が滅ぶのを認めるの?」

「救える方法すらないのに、どうしろと言うのよ!滅ぶのを待つしかないじゃない」

「…確かに創生の女神が居ないこの世界には滅ぶしか無いわね。でも、世界はそれを望んでないわ」

「どうゆう事?」

「貴方しだいなのよ この世界を変えられるのは。この狂ったシナリオを変えられるのは__」


ザザザー__

ノイズで当たりが見えない。誰の記憶なのか分からない、自分の記憶なのだろうか。意識を保つことができず、そのまま眠ってしまった。

__私はダレなの?



冬が過ぎ、春が巡る。桜が咲き誇り、暖かい空気が風に運ばれていく。
神社の周りは桜の木が満開に咲き、掃除するのに苦労する。面倒だが、やらないと五月蝿い奴に叱られる。

「あーやだやだ、春って面倒よね。掃除するの大変だし、うちの前で花見するはで」

文句を言いながら箒で花弁を集めていた。私__黒鐘 黒夢((くろがね くろむ))は巫女をやっている、今は掃除するのが面倒でサボりたい。
ここ、幸屋神社(こうやじんじゃ)は幸運を運ぶと言われている。参拝客も信仰者もまあまあ居る。が、大体変な奴が来る。

「おーい、黒夢。遊びに来たぜ」

ほら、変な奴が来た。
彼女は霧崎 那木砂((きりさき なぎさ))幼馴染みの魔法使い、何時も暇そうに遊びに来る。

「何よ那木砂、ようがないならお賽銭するか掃除を手伝いなさい」

「えー嫌だ」

「何時も暇そうにしてるのに」

「暇を潰すのだって大変なんだぜ」

「アンタに聞いた私が悪かったわ」

と言って溜息をついた。そもそも、那木砂に掃除を頼む事すら間違っていた。お参りならまだしも。

「はぁ…ルフレとブルームは遠出してるし。最近、レイガは稽古してくれないし」

「そういや、レイガ見てないな。忙しいのか?」

「知らないわよ、どうでもいいし」

「ふーん…」

どうでもいいように言ってるが、内心は少しだけ心配している。弟子だからなのか、幼馴染みなのか。どちらにしよ、心配しているのには代わりない。
その時、階段から誰かが登ってきた。

「凄い桜…ここが神社なのかな」

少女が辺りを見渡しながらそう言うと、那木砂が口を挟んできた。

「神社?ここが神社にみえ__」

私は思わず那木砂の腹をパンチした。那木砂が痛そうに両手で腹を抑えると、少女が少しだけ引いていた。

「だ、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃない…」

だろうね、思いっきり殴ったんだし。悪いとは思ってない。
那木砂が痛そうにしてるのを無視して、笑顔で参拝を進める。

「幸屋神社へお参りしに来たのかしら」

「はい」

少女は財布を取り出し、10マニーを賽銭箱に入れようとした時__

「…チッ、たったの10マニーか」

「おい、黒夢。心の声が聞こえてるぞ」

すると、少女が首を傾げながら「気のせいかな」と呟いた。

「少しでも自分の事が分かりますように」

「これっぽちの額の割には随分でかい願いを…」

「や、やっぱり、少なすぎたのかな…?」

「え、あ、その…つい本音と言うか…もうちょっとあげたら神様もやる気を出すんじゃないかなーって」

『最低だな、お前』

那木砂が笑顔で言われると、流石に自分でも最低だと思った。

「…そうだよね、少しと言っても規模が大きいもんね」

少女は札を一枚取り出し、賽銭箱へと入れた。
いくら何でも入れ過ぎな気がした、嬉しいけど。

「これで神様は願いを聞いてくれるのかな?」

「えーと…」

神様=私がやる
つまり、私がやらないと行けなくなる。ここでやらなかったら後味が悪いし、アイツに何を言われるのか分からない。

「そ、そうね…お参りしてくれたんだし、巫女である私が少し話を聞いてあげようじゃないか」

「え、本当ですか!」

「まぁ、これも仕事だからね。さ、上がって。お茶とお菓子を出すから」

『分かったぜ』

どさくさに紛れて那木砂が返事をしていた。

「アンタじゃない」

「まあまあ、そんな事言うなよ。丁度、退屈だったし」

「はぁ…まぁ、良いわ。その代わり、邪魔しないでね」

「はいはい、巫女様の仰せの通りー」



「はい、お茶と茶団子」

「ありがとうございます」

少女が嬉しそうにしてお茶を飲んでいた、那木砂に出すのは少し気が引けたが、駄々こねられても困るから同じやつをだした。

「美味しいです」

「そう、それは良かった。ところで、なんであの願いをしに神社に来たの?」

「えっと…そう言えば、まだ自己紹介をしてませんでしたね。鈴菜 凜(すずな りん)です」

「私は黒鐘 黒夢。暇そうにしてるのが霧崎 那木砂よ」

「黒夢さんに那木砂さん…ですね」

「別にさん付けにしなくても」

「そうですか?」

「少なくとも那木砂(コイツ)にはさん付けにしなくても良いよ」

『お前なぁ…』

那木砂が呆れて溜息ををついた。
実際、さん付けするほど目上の人には見えないし、那木砂“さん”とか言われると違和感しかない。

「話を戻すけど、何でうちの神社にお参りをしに来たの?」

「実は私、自分事が分からなくて凄く困っていて……」

「まさか、記憶喪失なの」

「らしいです…あてもなく歩いていたら“赤いマフラー”を付けた人が困っていたら幸屋神社に行くと良いよって言われたので」

「ここへ参拝しに来たのね…よく来れたわよね」

「地図とかくれたので普通に来れました」

「ふーん…」

赤いマフラーを付けた人ねぇ…知ってる奴が居るとは言え、勝手に決めつけるのは良くない。帰ってきたら聞いてみるか。
とは言え、記憶喪失を治すのは容易ではない。凜が誰であり、何処に住んでる事すら知らないと、探すにも難しい。

「お手上げと言いたいところだけど」

「あんなに大金を入れられたら後が引けないもんな」

「那木砂、アンタも何か案でも出してよ」

「オレに言われても…医学なら聖都にいる奴らなら詳しいんじゃないか?」

「遠い。流石に留守番無しに行けるる訳には…」

「それから色んな場所を見て回るか」

「その手があるか、確かに依頼で解決しに行く時なら出来るわね。凜はこの後、行くあてとかあるの?」

凜に聞くと首を横に振った。

「行くあてがないなら記憶が戻るまで神社に居ると良いわ」

「良いんですか?」

「その代わり、依頼解決の助手になってもらうから」

「助手って何をするんですか」

「私と一緒に付いてくるだけで良いわ、戦いとか出来る?」

「え、えーと…その、武器すら持った事ないから…」

「よくここまで来れたね…」

ある意味、尊敬する。
すると、凜が困った表情を浮かべながら「ごめんなさい」と言った。

「別に良いわよ、気にしてないし」

「戦う知識はありませんが、精一杯頑張ります」

『頑張れよ、扱き使われないように』

那木砂がニコニコしながら言うと、凜が首を傾げていた。別に凜を扱き使わう気はない、はずだ。
その時。

「黒夢は居るか?」

「バルフレア、こんな時間に来るなんて珍しいわね。暇で遊びに来たなら殴るからね」

「残念ながら人探しなんだよ、師匠見なかったか?」

「師匠って、あのちっこい奴の事?今日は見てないわ」

「そうか」

この白髪でアホ毛がトレードマークなのがバルフレア。銃士でナギの弟子でもある。那木砂同様、幼馴染み。
バルフレアが笑顔でいる時点で嫌な予感がする、女の勘がそういっている。

「…まさか、手伝えと」

「巫女様が困った人を助けない訳がないよな」

バルフレアが凜にそう言うと、慌てて頷いた。白々しい奴だ。
私は深い溜息をつき、仕方なく引き受ける事にした。やらないと五月蝿そうだし。

「てことだから那木砂、アンタも__」

「勿論、行くぜ」

「暇人だけあるわね…凜、アンタも行くわよ。助手なんだから」

『は、はい!』

返事だけは良い。少し不安だが、何とかなるだろう。


迷いの森
名前の通り、迷いやすいし薄暗くて気味が悪い所。この当たりに那木砂の家があるが、何で好んで住んでいるのかが分からない。

「そういや、お前の名前を聞いてないな。オレはバルフレアだ」

「今日から黒夢さんの助手になった鈴菜 凜です」

「黒夢の助手?物好きだな凜は、黒夢の助手になってもろくなことがないぞ」

『アンタねぇ…』

言いたいかとばっかり言って、全く。
すると、凜がバルフレアに質問をした。

「あの、バルフレアさんの師匠さんはどんな感じなんですか?」

「師匠?そうだな__」

『餓鬼』

『お子ちゃまなんだぜ』

私と那木砂が割り込んで言うが、バルフレアは否定せず頷いた。

「そ、そうなんですか…」

「会えば分かるって」

バルフレアが笑顔で答えたが、凜が表現に困りながら答えることができなかった。分からなくもない、師匠と言うと尊敬や憧れの対象になるが、バルフレアの師匠に限ってそれはない。実力はあるが。

「そういや、バルフレア。何でナギが迷いの森なんか入ったのよ」

と、私はバルフレアに質問したが、即答で「知らない」と返された。
どこの師匠も考えてる事がよく分からない。

「はぁ…」

その時、茂みから物音がした。私は足を止め、刀を鞘から取り出した。

「魔物が居る…」

「ま、魔物!?」

凜が驚くと、茂みから魔物が数匹現れた。

「凜、危ないからその辺に隠れていて」

「は、はい!」

凜は木影に隠れた。私が助走をつけて走ろうとした時、那木砂が魔法陣を展開して魔法を放った。

「ライトジャベリング!」

光の刃を四つ作り、魔物がいる方へと放つ。見事に命中にしたが、一匹しか倒せていない。
やるんだったら全部やってほしい。

「一匹す倒せてないじゃない!」

「全部やるとは一言も言ってないんだぜ」

「なんの為の魔法よ」

「どれも魔法が広範囲魔法って訳じゃないんだ」

『喋ってる暇があるなら集中して戦え!』

バルフレアが少し怒鳴り気味に言い、銃の引き金を引いて弾丸を放った。弾丸は魔物の頭部に当たり、魔物を倒した。
私は刀を両手で強く握り、助走をつけて走った。魔物が鋭い爪で引き裂こうとするが、刀で受け流す。魔物に隙ができ、私は刀を斬り下げて魔物を倒した。

「す、凄いです!」

凛が目を輝かせながらこっちへ来ると、那木砂が自慢げな態度をとった。

「まぁ、ざっとこんなもんだぜ」

「ただの雑魚でしょ、なに自慢げにしてるのよ」

私が口を挟んで言うと、那木砂が少しだけ拗ねた。こうでも言わないと那木砂はすぐ調子に乗るから釘止めをしないといけない。

「それでも凄いです、私なんか何も出来ないから」

凜が笑って言うが、助手がこんな感じだと困る。かと言って、凜にいきなり戦わせるのも無茶すぎる。

「…凜」

「は、はい」

「護身用持ってなさい」

もう一本の刀を凜に渡すが、重たそうに両手で持っていた。そんなに重たかったかしら。

「ありがとうございます」

「…まぁいっか」

他の武器が無いから仕方ないとしか言えない。凜には悪いが、刀で我慢してもらう。

一時間経過__

「探しても見つからないんだけど…!」

私はそう言って木に寄り掛かる。奥に行けば魔物が来るは、那木砂が転んで怪我をするは、バルフレアの師匠__ナギは見つからない。先が遠い気がする。
凜が那木砂の事を心配し、声をかけてきた。


「大丈夫ですか那木砂さん?」

「あぁ、大丈夫だぜ」

「でも血が出てますよ、いま治しますから動かないでくださいね」

その時、凜の周りにリング状の魔法陣が描かれ、那木砂の傷が治った。それを見た私や那木砂とバルフレアは驚きを隠せなかった。那木砂が急に凜の手を掴んだ。

「その魔法って…!」

「な、なんですか…」

「あ、なんでもない。回復魔法使えてすごいなーって」

と言って那木砂は凜の手を離した。

「使える魔法これしか無いので役に立つといったら怪我を治す事しか出来ないんです」

「それでも凄いぜ。回復魔法は難しい魔法なんだぜ」

「そうかな…?」

「そうだぜ。な、黒夢」

『そうね…』

ただ、今の所戦う既にがないから前線には出せないのが欠点な所だ。

「休憩はもう良いか?」

バルフレアがそう言うと、三人は頷いて答えた。
引き続き、人探しを再開した。森の中をどんどん奥へ行くにつれ、薄暗くなっていく。視界が悪いと魔物に不意を付かれる可能性が高い。
そう言えば__

「バルフレア、あんたの能力でナギを探せないの」

「出来るけど使いたくない」

「なんでよ」

「疲れるからだよ〝四点・集中〟は魔力の消費が激しいんだ!」

「人探ししてるんだから使ってもいいじゃない」

「嫌だ」

『あ、あのー…』

凜が口を挟んだ、手に何か持っていた。

「これ、引っ張ってみると続いてる見たいで…」

「それって、ワイヤーじゃない。てことは、それを辿れば行けるかもしれない」

「そうなんですか?」

「ワイヤーはアイツの諸唯物だから…あと、それを強く握ってると血が出るわよ」

「…え?」
と言って凜がワイヤーを離した。実際、切れ味がいいから指の一本は持ってかれる。それぐらい危ない物だ。ワイヤーではなく、糸なんだけどね
ちょっと言い過ぎたのか、凜が自分の手を見つめて怪我をしてないか確認していた。

「き、切れてない…良かった」

『そりゃあ、糸だから切れてないぜ』

那木砂が正直に言うと、私は早歩きでその場から逃げた。


糸を辿って行くと、小さな花畑が見えた。こんな森にあるとは以外だった。

「…彼処に変な物体が寝てるんだけど」

「師匠…」

バルフレアは深いため息をつき、花畑で寝ている少女の方へと向かう。少女の周りには見覚えのあり草があった。

「ねむり草…?」

「なにそれ…」

思わず私は口に出すと、那木砂が割り込んで説明してきた。

「ねむり草は人や動物を眠らせたり、麻酔薬に使われる薬草だぜ。白い花が咲いていて綺麗だけど、衝撃を与えると粉が待って寝てしまうんだ」

「つまりナギが寝てる理由って…」

「間違えて踏んだせいで爆睡したんじゃないか」

「ただの阿呆ね__」

その時、少女が起き上がり「阿呆で悪かったわね…!」と言いながら欠伸をしていた。

「それにしてもよく寝た…なんで黒夢達が居るの?」

「アンタの弟子が心配して無理やり人探しをされてるのよ」

「ふーん…あれ?弟子に花探しに行ってくるって__」

『言ってないです』

バルフレアが即答で答えると、少女__ナギが首を傾げていた。
そう、このちっこいのがナギ。バルフレアの師匠であり、街や村に人形やぬいぐるみを売っている糸術師(しじゅつし)だ。
凜が口を開きながら驚きを隠しきれず、那木砂に小さな声で呟いた。

「あれがバルフレアさんの師匠さんですか?」

「そうだぜ」

「こ、子供ですよね…」

「言っただろ〝お子ちゃま〟って」

『お子ちゃまじゃない、美少女よ』

急にナギが二人の会話に割り込んでくると、凜を見てナギが「誰?」と言ってきた。
てか、自分で美少女って言うな。

「今日から黒夢さんの助手になった鈴菜 凜です」

「黒夢の助手…物好きね。まぁ、いいや。アタシはナギ、宜しくね」

『…』

何も突っ込みたくない。私の周りの人は〝言いたい事ははっきり言う〟奴しか居ない、かと言って認めてるつもりはない。
内心で突っ込みをしてる中、バルフレアが急に銃を取り出した

「直ぐに帰らせては貰えないみたいだな」

「…そうみたいね」

茂みの方から樹木っぽい魔物がこっちへと向かってくる。鞘から刀を抜こうとすると、ナギが凜を連れて隠れて行った。

「アンタも戦いなさいよ、ナギ!」

「非戦闘員だから嫌だー」

「嘘つけ!?」

『そんな状況じゃないみたいだな。来るぞ、黒夢!』

那木砂がそういい、小瓶を魔物がいる方へと投げた。地面につくと爆発したが、魔物には効いてないみたいだ。魔物が雄叫びをすると、別の魔物まで現れた。

「こいつ、仲間を呼びやがって…!」

「黒夢、バルフレア!魔法で一撃かますから時間稼ぎしてくれ」

「「了解!!」」

といいながら刀で斬り上げ、衝撃波を放って魔物にあてた。バルフレアが銃を上斜めへと弾丸を放つと、上から光の雨が降ってきた。

「レインバレット!」

弾丸が魔物に命中し、足止め状態で動けていなかった。その隙に私は刀で斜めへ斬り下げた。すると、花弁が中に舞った。

「霊桜(れいざくら)!」

花弁が刃へと変わり、魔物達がいる方へと放った。刃が魔物を突き刺り、次々と倒れていくが、樹木の形をした魔物が手で払って粉砕した。
その時、那木砂が魔法陣を描いて光線を放った。魔物は両手で防ぐが、押されて転落した。この好機を逃す訳にはいかない。

「バルフレア、行くわよ!」

「了解!」

「「ブレイジングソウル!!」」

バルフレアが魔物の足元に魔法陣を描き、私が高くジャンプして降下しながら斬り下げると、魔法陣から炎が舞い上がる。炎は魔物を焼き付くされ、魔物の断末魔が響きわたる。やがて力尽きて倒れていった。
刀を鞘に収めると、凜が駆け寄ってきた。

「皆さん、大丈夫ですか?」

「私は大丈夫だけど__」

後ろを振り向くが、那木砂もバルフレアも平気な顔でいた。

「…皆大丈夫そうね」

「良かったです…皆さんが怪我をしなくて」

「心配しすぎなんだけど…まぁ、ありがとう」

『じゃあ、その元気で神社に向かいましょ』

ナギが勝手に指揮り、凜の手を引っ張って勝手に向かっていった。深い溜息をつきながらナギのあとをついて行った。


「結局、アイツが森に行った理由は不明か」

部屋で呟きながら茶団子を食べた。理由を聞いてもはぐらかすし、何故かハルジオンの花束をくれて意味が分からない。

「ハルジオンねぇ…」

__そう言えば、母さんもらハルジオンが好きだったな…。

「黒夢、茶団子もう一本くれ」

「俺はお茶だけでいいぞ」

『なんでコイツらには遠慮が無いのかしら…』

那木砂とバルフレアの態度を見て、また深い溜息をついた。もう少し、凜を見習って欲しい。

「はぁ…疲れたし、なんか食べにでも__」

その時、伝書鳩が机に止まった。

「手紙?誰からかしら」

鳩についてる手紙を取り、手紙の内容を読んだ。


黒夢さんへ

明後日には帰ってくるので待っててください。あと、ルフレさんが自分で料理は出来てるかと心配__


グシャグシャ。
無言で手紙を丸めて捨てた。理由はないが、なんか腹が立つ。

「最後まで読んでないけど…まぁ、いっか」


このあと、手紙を読まなかった事に後悔した。
 
 

 
後書き
黒夢「書いたのは良いけど、続きあるの?」
作者「多分、書くよ。多分」
黒夢「多分ってなによ」
作者「正直、書き続ける自信がない…」
黒夢「おい…」
凜「まぁまぁ…初めて書いたことですので、気長に行きましょ」
黒夢「そうね」
作者「なるべく頑張るよ」 
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