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宇宙海賊は世界最強

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8話

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 銀華サイド

 焔・・・

 こんな所でいきなり、焔が燃え上がっていやがる。

 何故だ・・・。

 俺は背後から焔が燃え広がってる。

 燃え広がってる焔の中から次々と焼け焦げて放り出される。

 まん丸焼け焦げてるな。

 なかなかの焼き加減じゃないか。

 焔か・・・だったら、南雲が食った『悪魔の実』はメラメラの実か。

 自然(ロギア)系の能力者になったわけだ。

 すら恐ろしい能力を手にしたわけだ。

 焔が収まっていき、その中心にいた南雲。

 フゥ~ン、見た目こそ変わらないが、雰囲気が変わったな。

 とりあえず、

「気分はどうだい? 新しい力を得た気分は?」

 『初代鬼徹』で魔物を斬ってた。

 でも、今は南雲の状況を聞いてみる。

「どうなってるんだ、俺の身体は・・・俺の身体から火が出てきた。何でだ!?」

「それはお前が炎になったからだ」

「炎?」

 南雲の聞き返しに俺は説明する。

「ああ、俺が放り投げた果実は『悪魔の実』といって、特殊な能力を手にすることができる果実・・・お前が食べたのは身体が炎になる能力」

「『悪魔の実』・・・まるで、アニメの世界の力を手にした気分だぜ」

 おや? しゃべり方が違うな。

「口調が変わったのか?」

「当たり前だ!! 生き残るために、余計なものなんか捨てたよ!!」

 捨てた・・・そうか・・・

「そうかな。俺からしたら、豹変したっていうより、自分の正義、優しさを貫くために覚悟を決めたように思えるけど?」

 まっすぐ、ストレートに見た感じを伝える。

「アァ~、そんなものだよ」

「まあ良いか。それよりも飯にしようぜ」

 俺は足元にある魔物共の死骸を食うことにした。

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 三人称サイド

 暗闇の中、緑光石の明かりがぼんやりと辺りを照らす。

 その明りが僅かな影を映し出した。その影は、一頭の獣を前にして蹲り何かを必死に咀嚼そしゃくしている。

「あが、ぐぅう、まじぃなクソッ!」

 悪態を吐きながら二尾狼の肉を喰らっているのはハジメ。

 血抜きに関しては銀華がしてもらった。ハジメにあげた短剣は余分にあったので、血抜きしてからハジメに食わせた。

 硬い筋ばかりの肉を噛み千切り必死に飲み込んでいく。およそいつぶりの食事だ。いきなり肉を放り込まれた胃が驚き、キリキリと痛みをもって抗議する。だが、ハジメはそんなもの知ったことかと次から次へと飲み込んでいった。

 銀華は『超消化力』で胃袋がキリキリすることはなかった。

 二人の姿を見たら、完全に野生児といった様子だ。

 サバイバル生活。野生児に思われても致し方あるまい。

 ハジメだけは衛生的なところに暮らしたから。

 酷い匂いと味に涙目になりながらも、ハジメは空腹感から癒されていく感覚に陶然とする。飯を食えるということがこんなに幸せなことだったとは思いもしなかった。夢中になって喰らい続ける。

 どれくらいそうやって喰らっていたのか、神水を飲料代わりにするという聖教教会の関係者が知ったら卒倒するような贅沢をしながら腹が膨れ始めた頃、ハジメの体に異変が起こり始めた。ちなみに銀華の身体に変化は起きていない。

「あ? ――ッ!? アガァ!!!」

「南雲!? 大丈夫かッ!?」

 突如全身を激しい痛みが襲った。まるで体の内側から何かに侵食されているようなおぞましい感覚。その痛みは、時間が経てば経つほど激しくなる。

「ぐぅあああっ。な、何がっ――ぐぅううっ!」

「おい!? しっかりしろ!!」

 耐え難い痛み。自分を侵食していく何か。ハジメは地面をのたうち回る。幻肢痛など吹き飛ぶような遥かに激しい痛みだ。

 銀華はすぐさま、回収しておいた『神水』をハジメに呑ませる。

 飲み干したら、荒かった息遣いも落ち着きを取り戻すかと思いきや、再び激痛が襲う。

「ひぃぐがぁぁ!! なんで・・・なおらなぁ、あがぁぁ!」

 ハジメの体が痛みに合わせて脈動を始めた。ドクンッ、ドクンッと体全体が脈打つ。至る所からミシッ、メキッという音さえ聞こえてきた。

 しかし次の瞬間には、体内の神水が効果をあらわし体の異常を修復していく。修復が終わると再び激痛。そして修復。

 それを見て、銀華は

「身体を強化させていやがる。人間における筋肉を壊して、再生するやり方・・・クソ、『神水』の効果が仇になった」

 ハジメは絶叫を上げ地面をのたうち回り、頭を何度も壁に打ち付けながら終わりの見えない地獄を味わい続けた。いっそ殺してくれと誰ともなしに願ったが当然叶えられるわけもなくひたすら耐えるしかない。

 すると、ハジメの体に変化が現れ始めた。

 まず髪から色が抜け落ちてゆく。許容量を超えた痛みのせいか、それとも別の原因か、日本人特有の黒髪がどんどん白くなってゆく。

 次いで、筋肉や骨格が徐々に太くなり、体の内側に薄らと赤黒い線が幾本か浮き出始める。

 此には、銀華もビックリする。

「不思議な現象が起きてるな・・・」

「何も・・・かも・・・不思議なことだと・・・片付けるなよ・・・・・・」

 ハジメは息絶え絶えになりながら、銀華に言い返す。

 だけど、銀華は今の南雲を視て、推測する。

「やはり、此は筋力の増強だな。地球における筋トレなどにより断裂した筋肉が修復されるとき僅かに肥大して治る奴か」

「だったら・・・何故、さっき・・・不思議な現象で・・・済ませた・・・」

「その方が気が楽だったから」

「おい!!」

 ハジメが銀華に怒鳴った。

「とりあえず、生きたことに嬉しがろうぜ」

「お前のペースについていくとこっちが疲れるわ」

 ハハハッと笑ってる銀華にハジメはハアと溜息をついてしまう。

 空腹感で魔物の肉のことをすっかりと忘れていたようだ。

 今もハジメの身体は壊れた端からすぐに修復していき、肉体が凄まじい速度で強靭になっていく。

 凄まじい痛みでハジメはぐったりと倒れ込んだ。その頭髪は真っ白に染まっており、服の下には今は見えないが赤黒い線が数本ほど走っている。

 まるで、さっきまでの魔物共と同じだった。

 それを見ていた銀華。

 彼は魔物の肉を食ってもハジメのように身体に異常をきたしていない。

 そのわけは後に語るとして・・・。

 ハジメが痛みで気を失いかけていたが、閉じられていた目がうっすらと開けられる。焦点の定まらない瞳がボーと自分の右手を見る。やがて地面を掻くようにギャリギャリと音を立てながら拳が握られた。

 ハジメは、何度か握ったり開いたりしながら自分が生きていること、きちんと自分の意思で手が動くことを確かめるとゆっくり起き上がった。

「・・・そういや、魔物って喰っちゃダメだったか・・・アホか俺は・・・まぁ、喰わずにはいられなかっただろうけど・・・」

「生きるためだ。そんなの掃いて捨てるほどある。それよりもお前は俺に聞きたいことがあるんじゃねぇのか?」

「ああ、そうだ!! 俺の身体に起きたこと。そして、お前は何故、魔物の肉を食っても平気なわけ、あと、お前が何者なのか全部話しやがれ!!」

「命令口調だな・・・」

 銀華はハジメの説明の頼み方に汗を流す。



 とりあえず、銀華は自分のことを包み隠さず話した。

 その内容にハジメは頭を抱えた。

「・・・なるほどな。海賊に宇宙という広大な海・・・・・・それにお前が船長で奈落に落ちる前の奴らも海賊というわけか・・・どうりで魁が呆れ、戦いだしたのもわかる」

 海賊なんだ敵対するのは当然だなっとハジメは共感する。

 銀華のことも知ったことで、自分の身体に起きたことも話してくれた。

「『悪魔の実』ね・・・ったく、アニメや漫画で視るような力が使えると思ったら・・・そういうわけか」

「現状、仲間たちが俺を迎えに来させるように頼んであるし。地球に帰る方法は不明だが、コッチの転送手段が使えれば、帰還することも可能だ。俺もここを出て、自力で探すとする・・・王国に戻る気にもなれないし。なにより、ダンストンのあれを見るかぎり、何やら、事件を起こしてるだろうな」

 銀華はハアと息を吐いた。

 彼の溜息を視て、ハジメは

「お前もそうだが、あの時の大男も相当にヤベぇ~んだな」

 同情する。

「いや、ダンストンは大幹部だ。ある男の部下だよ」

「ハッ!? 部下!? あんだけの強さでか!?」

「ああ、部下だ。言っとくが、ダンストンのボスは化物さ」

「どんだけ強ぇんだよ?」

「はっきり言えば、俺とやり合える奴だな。しかも、其奴はこの星を縄張りにしようとしてる。もし、逆らえば、本気でこの星は死の星に様変わりだ」

「・・・・・・」

 ハジメは地上の全てを焼け野原になる光景を想像した。

 そこで銀華は自分の本当の名前と全宇宙(世界)においての勢力を話した。

「つまり、お前は皇帝と呼ばれていて、その気になれば、国だろうと何だろうと滅ぼせるというわけだな」

「概ねそうだ。でも、俺はそんなことをする気はない。自由にやり、俺が守りたいものを守る。それで良いだろう」

「良いのかよ・・・」

 ハジメは呆れかえってしまう。

「逆に言うけど、欲しいものを妥協しない海賊がどこにいるんだ?」

「いる訳ねぇな」

「だろ?」

 ハハハッと笑い出す銀華にハジメは

「とりあえず、ギンっだけ・・・お前の名前って・・・」

「ああ、俺はギン。フルネームで呼ばれるのは好きじゃねぇ。俺のことはギンって呼んでくれ」

「分かった、ギン。とりあえず・・・」

 ハジメは空洞の出入口を視る。

「ここにある肉を全部食うか」

「そうだな」

 銀華も賛同するのだった。

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