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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第63話 姉妹の再会!黒歌の過去と向かうは再生の国ライフ!!

 
前書き
 前回与作が出るみたいなタイトルを予告に入れてましたが、そこまで話がいかなかったのでタイトルを変更しました。 

 
side:イッセー


 センチュリースープを手に入れた俺達はゾンゲが教えてくれた隠し洞窟を通って氷山の外を目指していた。


「あっ、皆!光が見えてきたぞ!」


 前方に眩しさを感じた俺はもうすぐ外に出られると思い最後の力を振り絞った。そして俺達が外に出たと同時に隠し洞窟が崩れて瓦礫で防がれてしまった。


「間一髪だったな……」
「危うく生き埋めになるところでしたね……」


 必死で走ってきたので全員が息を切らしており小猫ちゃんが抱いているウォールペンギンの子供だけが無邪気にはしゃいでいる。後は節乃お婆ちゃんと合流するだけだな。


「あれ?そう言えばカーネル氏の船がありませんよ?」
「ありゃ?本当だな」


 確かあの辺に船があったはずなんだけど気のせいだったかな?いや上にある崖が一部抉られたように無くなっている、確かあれはツンドラドラゴンの攻撃で出来たモノだったはずだ。ならやはりあの下に船が無いのはおかしいな。


「何処かに移動したのか?」
「あのおっさんならもう既にここにはいないよ」
「どういう事だ?」


 鉄平からカーネルがライタースーツに盗聴器を仕込んで俺達を使い捨ての駒にしようとしたことを教えてもらった。


「くそっ、いくら美食屋が危険な職業とはいえ依頼者を見殺しにしようとするなんて……オマケに盗聴器まで仕込むとは最低の依頼人だぜ!プライベートもなにもないじゃないか!」
「女の子に盗聴器を付けるなんて酷いことをしますね。私だってイッセー先輩の部屋に仕込もうか迷って結局は思い止まったのに……」
「本当だよな……ん?今小猫ちゃんなにか変な事を呟かなかったか?」
「うわっ!?なんだあのデッカいクラゲは!?」


 一瞬小猫ちゃんが変な事を呟いたように思えたので追求しようとしたが上空から現れた巨大なクラゲを見てゾンゲが驚きの声を上げた。あれは……


「おおーい、迎えに来たじょー」
「お婆ちゃん!」


 クラゲの中から節乃お婆ちゃんが顔を出して手を振っていた。やはりこのクラゲがさっきお婆ちゃんが言っていたリムジンクラゲという生物なんだな。


 クラゲの足の一部がこっちに下ろされる、まるで階段みたいな足だな。


「ふっふっふ、早く上がってきなさい。美味しいごはんを用意しておるじょ」
「マジで!?よし皆、今すぐあそこに向かうぞ!」
「はい!」


 もう限界だった俺は直ぐにリムジンクラゲの足を登って中に入った。そして上に上がっていくと休息を取っていたイリナ達と再会した。


「イリナ!」
「イッセー君!」


 俺に気が付いたイリナ達は一目散にこちらに駆け寄ってきた。


「良かった……イッセー君無事だったんだね!」
「うわぁぁぁぁん!イッセーさぁぁぁぁん!怖かったですぅぅぅぅ!」
「イリナ、アーシア……二人も無事みたいだな。本当に良かったよ」


 ポロポロと涙を流すイリナとアーシア、俺は二人を慰めながらルフェイを探した。


「師匠……」


 ルフェイは直ぐに見つかった、というか自分から俺の前に出て来てくれた。だがその表情はいつもの天真爛漫な笑顔とは違う曇ったものだった。


「ルフェイ、祐斗達に豪水を渡したのはお前だな?」
「……はい」
「そうか……」


 顔を真っ青にして肯定するルフェイ、俺はルフェイに近づくと程々に力を込めてデコピンした。


「あうっ!?」
「これは俺に何も言わなかったバツだ、まあ今回は俺の落ち度もあるからこれ以上は怒らないよ」
「し、師匠……でも、私……」
「お前の事だ、もし祐斗達が死んだら自分も自害するつもりだったんじゃないか?」
「……」


 やはりか。この子も俺に似てきたな、まあそんなところは似ないでほしいんだが……


「ルフェイ、次からは必ず俺に相談してくれ。これでも一応お前の師匠なんだから」
「師匠……ごめんなさい」


 ルフェイは俺に抱き着くとえんえんと泣き始めた。一人で背負い込んでしまうのも俺に似ているよな、全く……


「イッセー……」
「ゼノヴィア、どうした?」
「済まない……私はスープを守れなかった。お前に託されたというのに……」


 ゼノヴィアは悔しそうに拳を握って涙を流していた。グルメ界に来てから初めての依頼、それが失敗に終わってしまった事がとても悔しいのだろう。


「ゼノヴィア、気にするな。俺でも失敗なんてよくするんだ、生き残っただけでも大したものさ。次のチャンスを待って今度こそ美味い食材をゲットしようぜ!」
「……うむ!次こそは必ず成功させてみせるよ。見ていてくれ、イッセー」
「ああ、その意気だぜ。ゼノヴィア!」


 ゼノヴィアは涙をぬぐうと強い眼差しでそう決心した。彼女にとっては苦い体験になったかもしれないがそれに折れなかったゼノヴィアは絶対に強くなるだろう。


「イッセー、生きていたんだな。こうやってまた再会できてホッとしたぜ」
「流石イッセーさんですね、愛丸さんが言っていた通りの凄い人だ」
「マッチ!滝丸!お前ら目を覚ましたんだな!」
「ああっ、アーシアのお蔭で何とかな」


 以前コカビエルとの戦いで進化したアーシアの神器、今までは肉体的なダメージしか癒せなかったが今は精神的なダメージも癒せるらしい。それによって意識を失っていたマッチと滝丸が目を覚ましたんだな。


「私もこの通り無事よ。イッセー、小猫、貴方たちも無事で良かったわ」
「リアスさん!」
「部長!目を覚ましたんですね!」


 気を失っていたリアスさんもアーシアの力で目を覚ましたようだ。


「リアスさん、その……」
「祐斗と朱乃の事は節乃さんから聞いているわ」
「すみません、俺のせいで……」
「貴方のせいじゃないわ、あの子達を守れなかった王である私の責任よ。本当に自分の力の無さに苛立ちを隠せないわ……」


 リアスさんは悔しそうに手を握って震えている。王として眷属を守れなかったことがかなり答えているみたいだな……


「祐斗と朱乃さんはどんな状況ですか?」
「アーシアに回復の力を使って貰ったんだけど祐斗と朱乃はダメージが大きすぎて目を覚まさなかったわ……」
「そうですか……」


 やはり二人を救うにはグルメ細胞を使うしか方法はないのか。


「リアスさん、祐斗と朱乃さんは必ず目を覚まします。だからあまり背負い込まないでください」
「ありがとう、イッセー。大丈夫、私は諦めないから……この子達を叱るためにも絶対に助けて見せるわ」


 リアスさんはそう言って笑みを浮かべた。この人も精神的に強くなったな、なら俺も気合を入れていかないとな。


「イッセー、アンタも無事だった……って指が無いじゃない!?大丈夫なの?」
「こんなもので済んで寧ろ運がいいくらいだ。お前も大丈夫か、ティナ?」
「私は平気よ。でも祐斗君や朱乃ちゃんは……」
「俺が必ず助けるさ。大事な仲間だからな」


 ティナが俺や祐斗達を気遣ってくれたがその表情には不安が浮かんでいた。特に祐斗は割とティナと仲がいいから心配なのだろう。そんな彼女に俺は必ず助けると約束する。


「そういえばお婆ちゃんの助手の人はいないのか?その人にもお礼を言っておきたいんだけど姿が見えないな」
「ああクロさんの事?彼女は他に生存者がいないか確認してくるって外に向かったわよ」
「女の人なのか?」
「うん。黒髪の凄い美人だったわよ」


 お婆ちゃんが唯一人雇ったという謎の人物、俺も会ったことはないがどうやら女性らしい。今は外の様子を見に行っているみたいだからお礼は後で言うことにしよう。


「ただいまにゃ~」


 すると下から女性の声が聞こえてきた、恐らくこの声がお婆ちゃんの言っていた助手の人だろう。噂をすれば影、まさにグッドタイミングって奴だな。


「お婆ちゃんの店に一人だけいるスタッフか。一体どんな人なんだろうな、小猫ちゃん……小猫ちゃん?」


 俺は隣にいた小猫ちゃんにスタッフの人について話しを振ったが反応がなかった。


「嘘、そんなはずは……」
「小猫ちゃん、一体どうしたんだ?」
「はぁぁ……疲れたにゃ~」
「クロ、御帰り。どうじゃった?」
「ただいま、節乃さん。仙術で見てきたけど残念ながら生存者は他にいなかったにゃ……」
「そうかい、それは残念じゃったな……」


 するとそこに割烹着を着た黒髪の女性が俺達のいる部屋に上がってきた。彼女がお婆ちゃんの助手で唯一人のスタッフか。


(かなりの美人だな……って猫耳だと?)


 女性の頭には小猫ちゃんのような猫耳が存在していた。よく見ると尻尾もあるみたいだし小猫ちゃんと同じ猫又か?もしかして妖食界の人なのか……いやまてよ?確か小猫ちゃんのお姉さんも猫又で黒髪だと言っていたな……まさか!?


「ね、姉さま……?」


 俺は小猫ちゃんに声をかけようとしたが止めた。何故なら一歩前に踏み出した小猫ちゃんの涙が俺の想像に対しての答えになっていたからだ。


「……えっ」


 そしてお婆ちゃんと話していた女性も小猫ちゃんを見て信じられないものを見たような表情になっていた。


「し、白音……白音なの?」
「姉さま……姉さまなんですね……姉さま!」


 小猫ちゃんは勢いよく女性に向かっていき抱き着いた。


「姉さま!姉さまですよね!私です!白音です!」
「嘘……どうして貴方がここにいるの?」
「ずっと会いたかったです!姉さま!姉さま!」


 女性は困惑していた。恐らく自分に抱き着いているのが自身の妹だという現実をいきなり突き付けられて混乱しているのだろう。


「……君が小猫ちゃんのお姉さんか?」
「えっと、君は?……あれ、どこかで見たような……」
「その子は塔城小猫、リアス・グレモリーの眷属の一人で俺の仲間さ」
「グレモリー……じゃあこの子は本当に……」
「夢じゃない、確かにそこにいるんだ」
「あっ……ああ……あああっ……」
「抱きしめてやってくれ。その子はずっとそれを望んでいたんだから……」
「白音……白音ェ!!」


 現実をようやく受け入れた女性は涙を流しながら自分に抱き着いていた小猫ちゃんを力いっぱい抱きしめた。


「姉さま!姉さまぁ!」
「こんなにも大きくなったんだね……あんなにも小さかった白音がこんなにも……」
「ずっと……ずっとこうやって姉さまに抱きしめてほしかったんです!姉さまが無事で本当に良かった……!」
「白音……ごめんね……ずっとほったらかしにしていて……本当にごめんね!」
「もう離さないでください!絶対に離さないで……!」
「離さないよ!もう絶対に離したりしない!だって……白音は私のたった一人の家族なんだから……」
「姉さま……!」


 力いっぱいに抱擁を交わす二人。何故小猫ちゃんのお姉さんがここにいるのかは分からない、だがずっと探していたお姉さんに会えた小猫ちゃんの表情は泣いているがとても晴れやかでどこか憑き物が落ちたような表情だった。


―――――――――

――――――

―――


「ご迷惑をおかけしました……」
「時間をかけてごめんなさいにゃ……」


 暫くは二人きりの時間を堪能していた二人だったが落ち着いたのか息の揃った謝罪をしてくれた。


(でも手は離していないんだよな……まあたった二人しかいない家族だし離れていた分一緒にいたいんだろう)


 二人の手は強く結ばれており絶対に離さないぞという気迫さえ感じた。ずっと離れ離れだったんだ、偶然出会えたとはいえああなってしまうのも無理はない。


「マッチ、滝丸。済まないが……」
「込み入った話があるんだろう?分かってるさ」
「僕達は別室に行っていますね」
「済まないな」


 今から異世界について話すのでマッチ達に席を外してもらった。グルメ界には妖怪もいるので悪魔の事は話せたが流石に異世界についての話をマッチ達に聞かせるわけにはいかないからな。二人も察してくれたのでありがたい。


「えー、あたしはいちゃ駄目なの?何だかスクープの話っぽいのに……」
「ほら、行きますよ」
「やだやだー!」


 ティナは滝丸に連れられていった。ゾンゲとその子分は別室で寝ているので既にここにはいない、マッチ達が退室したのを確認してから本題に入った。


「それで……黒歌さん?でいいのかな。君はどうしてグルメ界にいるんだ?」
「あなたは白音のお仲間さんだよね。じゃあ私達の事は白音から聞いているの?」
「ああ、親を失った後に悪魔に襲われて小猫ちゃんを助ける為に君は上級悪魔を傷つけて追われるようになったんだろう」
「うん、そうなのにゃ。私は白音と一緒に逃亡生活を送っていたんだけど日に日に追跡の手が強くなっていって私一人ではどうしようもなくなってきたんだにゃ。苦肉の策として悪魔の中でも情に厚いというグレモリー家に助けを求めたんだにゃ」


 うん、そこまでは小猫ちゃんから聞いた通りだな。


「そういえばリアスさんは黒歌さんの事は知らなかったんですか?」


 小猫ちゃんの主であるリアスさんなら黒歌さんを知っていたんじゃないのか?特に反応が無かったので俺は確認してみた。


「私が小猫と出会ったのはお兄様に紹介されてだから黒歌さんの事は話しでしか聞いてないわね。なにか見た事のある猫耳ねとは思っていたけど……まさかクロさんが小猫のお姉さんである黒歌だとは思わなかったわ」
「私が交渉したのは魔王サーゼクス・ルシファーだったからリアス・グレモリーとは会っていないにゃ」
「黒歌さん、そんな長ったらしいフルネームじゃなくてリアスで良いわよ」
「えっ、そう?なら私も黒歌で良いにゃ」


 二人の説明を聞いて俺は納得した。リアスさんは小猫ちゃんによく似た猫耳が気になってはいたみたいだけど会ったことが無かったので結局は気が付けなかったか。

 
「白音をグレモリー家に預けてからより一層追手の数が増えたにゃ。それでも何とか頑張って逃げていたんだけど遂に追い詰められてしまったんだにゃ。でもそんな時にこの子が現れたのにゃ……にゃ!?」


 その時だった、黒歌の胸の谷間から何かが勢いよく飛び出して俺の顔に引っ付いてきたんだ。息が出来ねぇ……


「に、虹色のカブトムシ……?」


 小猫ちゃんの驚いた声が聞こえた。どうやら俺の顔に引っ付いているのは虹色のカブトムシらしい……ん?虹色だって?


「駄目だよエース!こっちに戻ってきなさい!」


 黒歌がそう言うとカブトムシは直ぐに俺から離れた。でも黒歌の所には向かわずに俺の肩に止まった。


「な、なんだ?人懐っこい奴だな……」
「驚いたにゃ。エースは凄く人見知りで節乃さんにすら姿を見せたことがないのに…」
「エースっていうのか?可愛いじゃないか」


 俺は肩に止まっているカブトムシ……エースを指で撫でる。しかし見れば見る程こいつは……


「シュウとマイとよく似た光を出しているな……」


 そう、異次元七色蝶のシュウとマイによく似た光を出しているんだ。


「師匠、もしかしてその子も……」
「ああ、異次元七色蝶……いや異次元七色昆虫というべきか、それと同じかもしれないな」


 虹色に発行する生物は結構いるが黒歌をグルメ界に連れてきたのがコイツならシュウとマイと同じ力を持っているのかもしれないな。


 しかし蝶だけでなくカブトムシもいたのか、これは他にも種類がいるかもしれないな。帰ったら親父に報告するか。


「黒歌はエースに連れられてグルメ界に来たのか?」
「そうにゃ、追手に捕まって殺される寸前にエースがきて私の頭に乗ったんだにゃ。そうしたらまばゆい光に包まれて気が付いたらグルメタウンの路地裏に倒れていたんだにゃ」
「ふむ。しかしその時エースはいたんだろう?もう一度元の世界に戻してもらえばよかったんじゃないか?」


 ゼノヴィアはエースにもう一度元の世界に連れて行ってもらえばよかったんじゃないかと言うが黒歌は首を横に振った。


「それは私も考えたにゃ。でもエースは私を元の世界に連れて行ってはくれなかったにゃ」
「エースは一匹しかいないのか?」
「えっ?う、うん。そうだよ」


 ということはシュウとマイとは違う生態なのかもしれないな。それ故にワープするのにも条件があるのかもしれない、どちらにせよ今の俺達では何も分からないので後々親父に報告しておかないといけないな。


「帰れないと知った私は絶望しながら路地裏をうろついていたにゃ。でも怪我や疲労、空腹で限界だった私は節乃さんのお店の前で倒れちゃったんだにゃ」
「そこをあたしゃが通りかかってクロを保護したんじゃよ」
「そうだったのか……」


 そして黒歌はお婆ちゃんに拾われて今に至るって訳か。


「クロはとても優秀な子でね、あたしゃの調理の工程を見ただけで食材の正しい調理の仕方を覚えてしまうくらい呑み込みが早かったんじゃ。その才能に惚れ込んだあたしゃはクロをスタッフとして雇ったという訳じゃよ」
「お婆ちゃんがベタ褒めするって事は相当な才能を持っているんだな……じゃあランキングも高いんじゃないのか?」
「クロは目立つのを避けておったからランキングには入っておらんよ」


 そうか、ランキングには入っていないのか。まあ仮に入っていたら俺も知っていたはずだしな。


「でも黒歌さんはどうして節乃さんを頼らなかったの?そうすればイッセー君にまで話が言って直ぐに小猫ちゃんに会えたかもしれないじゃない」
「そうだな。節乃さんが只者ではないというのは少し実力を持っていれば直ぐに分かる。でも節乃さんはエースの事も知らなかったようだが何も話さなかったのか?」
「そ、それは……」


 イリナとゼノヴィアの問いに黒歌が言葉を詰まらせた。


(確かにそれは俺も思ったんだ。お婆ちゃんは実力もそうだが人脈も凄まじい、もしお婆ちゃんが黒歌の事情を知っていれば親父まで話がいっていたはずだ)


 一緒に暮らしていれば節乃お婆ちゃんが只者でないと分かるだろう。


「黒歌はお婆ちゃんが有名人だって知っているのか?」
「う、うん……知ってるよ。町を歩けば至る所に節乃さんの人形があるしちょっと調べただけでも凄い情報が出てきたにゃん」


 知っていたなら猶更頼ってもよかったんじゃないのか?それとも頼れなかった理由でもあるのか?


「ねえ黒歌、一ついいかしら?」
「……何かにゃ?」
「小猫を保護してもらう際お兄様は貴方の保護は申し出なかったの?顔は割れていたとはいえ魔王であるお兄様ならある程度は何とか出来たんじゃないのかしら?」
「でも犯罪者にされた黒歌を庇ったら魔王とはいえ立場が危なくなるのではないんですか?」
「普通はそうね、でもお兄様は悪魔の中でも特にお人好しな方なの。例え自分に不利益になるとしてもお兄様なら助けようとすると思うの」


 リアスさんはサーゼクス・ルシファーなら絶対に助けようとしたと断言した。余程お兄さんの事を信頼しているんだな、その目には迷いを感じない。


「……」
「姉さま……?どうしたんですか?」


 黒歌はとても辛そうな表情をしていた、それはまるで刑事ドラマなどで話したくないと沈黙する犯人のように口を閉ざしてしまった。


「……何か事情があるのかしら?」
「違うにゃ……ただこのことを話したらきっと白音は私を嫌いになるにゃ、だから言えないんだにゃ」


 小猫ちゃんが黒歌を嫌いになる?一体どういう事なんだ?


「姉さま、姉さまは部長達に出会うまでたった一人で私も守ってくれた大切な人なんです。そんな姉さまを私が嫌いになるはずがありません。だから教えてください、姉さまが一体どんな思いで今まで生きてきたのかを……」
「白音……うん、分かったよ。私も覚悟を決めるよ」


 小猫ちゃんの説得で黒歌は話の続きを言い出した。


「リアスの言う通りその時魔王は私の保護も申し出てくれたんだにゃ、でも私はそれを断った」
「どうしてですか?」
「……信用しきれなかったんだにゃ。当時は白音以外はすべてが敵のように思えて誰かを信じるなんて気持ちが無くなっていたんだ……魔王を頼ったのも白音を守るためだった、本当は頼りたくなかったんだ。でもそんな考えだったからこう思ったんだろうね……『もしかしたら気が変わって私達を裏切るかもしれない』って……」


 アーシアの言葉に黒歌はそう返した。


(すべてを信じられなくなっていた、か……)


 普通の人が聞けば何を言っているんだと思うだろうが実際に彼女はそんな世界を生きてきた。信頼できる存在は亡くなったご両親と小猫ちゃんしかいなかったんだろう。


「なら同族である妖怪に助けを求めればよかったんじゃないのか?」
「無理にゃ。妖怪はよそ者には冷たいし私のしたことで関係の無い猫又まで襲われたらしいにゃ。だから恨みも相当買っていたし正体を知られたら同族にすら殺されていたと思うにゃ」


 ゼノヴィアの言葉に黒歌はそう返した。同族すら敵……味方がいない状況でたった一人で戦ってきたのか……


(俺なら耐えられないだろうな……)


 俺には親父やココ兄達がいたが彼女は小猫ちゃんを守るためにたった一人で孤独に戦ってきたんだろうな。きっと言葉では表せれないくらいの絶望を味わってきたに違いない。


「私は最終的にあろうことか犯罪者の集まりである『禍の団』に身を置こうとしたにゃ。そこのボスに取り入って隙を見て白音をグレモリー家から連れ出して安息の日々を送る……そんな計画を立てていたんだ」
「姉さま……」
「ごめんね、白音。今ならハッキリと言えるわ、あの時の私はどうかしていた……もしあの申し出を素直に受けていたら白音と一緒にいられたのに私は自分でソレを捨ててしまったんだにゃ……」


 ポロポロと泣きながら小猫ちゃんに謝罪する黒歌を見て、俺は自分がどれだけ恵まれているのか改めて思い知った。信頼出来る人物がいない、なんて恐ろしいことなんだろう。


「でも結局その計画は実行する前にグルメ界に来ちゃったから失敗したにゃん……グルメ界に来た私は節乃さんに拾われるまで何回も死のうと思った、でも怖くてできなかった」
「クロは今ではあたしゃに懐いてくれているが最初の頃は警戒してご飯も食べようとしなかったんじゃ」
「あの頃は本当に節乃さんに迷惑をかけたにゃん……」


 彼女は俺と殆ど同じような境遇じゃないか、とても他人事には思えないぜ。


(大切な者を失って一人で見知らぬ世界に飛ばされる……何も信じられない、信じたくないと思う日々……俺はその苦しみを知っている……)


 両親を失い異世界に一人できてしまった俺も少しは彼女の気持ちが理解できる。


「でも節乃さんはそんな私を見捨てなかった。何度も私に話しかけてくれてそれでいて適切な距離を取ってくれた、あの時の私にとって何よりもありがたい行動だったにゃ。それから暫くして漸く節乃さんを信頼できるようになった私は節乃さんと楽しい生活を送っていたの。節乃さんは私にとって恩人なの、私にもう一度白音以外を信じようって思わせてくれた大切な人なんだ……」


 黒歌は節乃お婆ちゃんを見て心から嬉しそうに笑った。その笑みはとても眩しくてそれが彼女の本心なんだと見て分かるくらいだ。


「でも結局私は何も変わっていなかった。節乃さんに頼ればよかったのに変に頼ったら節乃さんに嫌われてしまうって思いこんでいたんだにゃ。誰かに頼るなんて駄目、迷惑をかけちゃう、だから自分でどうにかしないとって言い聞かせるように……」
「黒歌さん……」
「でもその結果がコレにゃ。結局私は自分が可愛いだけだった、そのせいで白音を悲しませてしまったにゃ……」


 黒歌の話を聞いて俺達は何とも言えなくなってしまった。確かに黒歌が意地を張らなければもっとスムーズに物事が解決していたかもしれない、だが彼女の送ってきた人生はそんな当たり前のことをできなくなってしまうほど辛いものだった。


「……クロ、あたしゃもクロに謝らなければいけないことがあるんじゃ」
「節乃さん?」


 重い空気の中、節乃お婆ちゃんが謝らなければいけないことがあると黒歌に話し出した。


「あたしゃはクロがこの世界の存在ではないと薄々感づいておったんじゃ。最初は妖食界の住民かと思ったがブランチはそんな妖怪は知らんと言っておってな、以前イチちゃんの話で異世界があると聞いた時もしやと思ったんじゃ」
「イッセー、ブランチとは誰だ?」
「それに妖食界ってなんなの?話を聞く限り妖怪の国っぽい感じだけど」
「それで正解だ。妖食界はグルメ界にある妖怪達の集落でブランチはそこの出身の妖怪だ。世界的にも有名な料理人でもあるんだ」
「グルメ界にも妖怪さん達がいたんですね、ビックリしちゃいました」


 節乃お婆ちゃんの話に出てきたブランチや妖食界についてゼノヴィアとイリナが質問してきたので俺はそれらについて説明する。それを聞いていたアーシアはこっちの世界にも妖怪がいる事に驚いていた。


「じゃがあたしゃはクロが何も言ってこない内は見守ることにした……いやしたかったんじゃろうな」
「どういう事だ?」
「あたしゃもクロと一緒に生活をしてきていつしかクロを本当の娘のように思っていたんじゃ。じゃからクロがどこかにいってしまうのがとてもツラくてのう、クロが何かを抱えていて相談しない事を利用してあたしゃは何もしなかったんじゃ。美食人間国宝などと言われても結局は自分の欲を優先する俗物でしかなかったんじゃよ。黒歌、小猫、本当に済まなかったねぇ……」
「せ、節乃さんは何も悪くないにゃ!私が一歩を踏み出せなかったから……何もしなかったのが原因だにゃ!だから……!」
「姉さま」



 激情していく黒歌を止めたのは小猫ちゃんだった。


「白音……」
「姉さま、姉さまは一人で背負い込みすぎなんですよ。自分だけでどうにかしようとしても人間や妖怪なんてちっぽけな存在です、失敗もするし間違いも犯します。だからそんなに自分を責めないでください。私は姉さまに会えただけで本当に嬉しいんですから」
「で、でも……」
「私はずっと姉さまに守られてきました。私が弱かったから姉さま一人に背負い込ませてしまったんです。でも……」


 小猫ちゃんは黒歌の両手を取るとニコッと笑みを浮かべた。


「今は少しだけですが強くなれました、今度は私が姉さまを守る番です。だからもう自分を責めるのは止めてください、私は姉さまには笑っていてほしいんです」
「白音……ぐすっ、本当に大きくなったんだね。体だけじゃなくて心まで……」
「皆のお蔭です」
「そっか。大切な仲間が出来たんだね……」


 黒歌は俺達の方に視線を向けると深々とお辞儀をした。


「リアス、それに皆さん、白音を守ってくれて本当にありがとう。心から感謝します」
「お礼なんていらないさ、仲間を助けるのに理由なんて必要ない。そうだよな、皆?」
「はい!勿論です」
「私にとって眷属は家族よ。小猫の姉である貴方もね、黒歌」


 俺がそう言うとリアスさんやアーシア達は全員が頷いた。今は意識の無い祐斗に朱乃も俺達と同じ気持ちのはずさ。


「さあ暗い話はここまでにして小猫ちゃんと黒歌さんが再会できたことを皆で喜ぼうぜ!」
『おーっ!』


 そしてティナやマッチ達も呼んで皆で食事を取ることにした。 


「お待ちどうさま!腕によりをかけて作ったにゃん、いっぱい召し上がれ!」
「おおーっ!美味そうだぜ!」
「へっへっへ、食いまくってやるぜ!」


 ズラリと並べられた料理を見て俺の腹から大きな音が鳴ってしまった、カロリーを限界まで使ったからもう腹ペコだ。というかゾンゲの奴いつの間にか起きていたな、起こす手間が省けたけどメシの匂いで目を覚ますなんてまるで俺みたいだ。


「この世のすべての食材に感謝を込めて、いただきます!」
『いただきます!』


 合掌をした後に俺は大きな肉の塊にかじりついた。


「うめぇ!」


 コイツはカニ豚の肉だな、ジューシーな肉汁がぶわっと出てきて堪らねえぜ!


「あむっ、ストライプサーモンの身が入ったおにぎり、プリプリとした身に塩気が効いていて疲れた体に染み込んできます」
「ユーン!」
「貴方もどうぞ、ふふっ美味しいですか?」
「ユンユーン!」


 ストライプサーモンのおにぎりを食べていた小猫ちゃんの足元にウォールペンギンの子供がすり寄った。小猫ちゃんはおにぎりを子供に渡すとあっという間に平らげて歓喜の鳴き声を上げる。それを見ていた小猫ちゃんも嬉しそうに笑った。


「ねぎま鳥の串焼き美味しいですぅ……ってゼノヴィアさん!イリナさん!落ち着いて食べないと喉に詰めてしまいますよ!」
「美味い!美味いぞ!困難な旅を終えた後の食事は最高だな!」
「本当ね、ゼノヴィア!いくらでも食べれちゃいそうだわ!」
「ゼノヴィアさんとイリナさんはグルメ細胞を持っていないのに凄い食欲ですね……ちょっと解剖して調べてみたいかも」


 アーシアが注意するがゼノヴィアとイリナはモリモリと食べていた。後ルフェイ、目を光らせながらゼノヴィアとイリナを見ちゃいかんぞ。珍しい素材を見つけた時の顔してるから。


「ふふっ、こうやって美味い物が食えるというのがこんなにもありがたいと思うなんて……昔はいつも思っていたのにいつの間にか忘れてしまっていたぜ」
「本当に美味しいです。食べるという事は本当にありがたいことなんだなって改めて思いました」


 マッチと滝丸もは食せるということに改めて感謝していた。


「どう?美味しいかにゃん?」
「ああ、凄く美味いよ。流石お婆ちゃんの助手なだけはあるな」
「えへへ、喜んでもらえて嬉しいにゃん。そういえば君の名前をまだ聞いていなかったね、教えてくれるかにゃ」
「そういえば色々あって自己紹介がまだだったな。俺はイッセーだ、宜しくな」
「私は黒歌にゃん、宜しくねイッセー……?イッセー……!?」


 俺の名前を聞いた黒歌は一回俺の顔を見て名前を呟き何か考え込むように動きを止めてしまった。どうしたんだと怪訝に思っていると凄い勢いで俺の方に寄ってくる。


(顔が近いぞ、胸も当たってるし……)
「もしかして君が美食屋イッセー?」
「そ、そうだけどそれがどう……」
「キャ―――――!ナマの美食屋イッセーにゃ――――――!」


 黒歌は嬉しそうに叫ぶとガバっと俺を抱き寄せた。む、胸に顔が埋まって息が出来ない……!


「ね、姉さま!何をしているんですか!」


 怒った小猫ちゃんは仙術で体を成長させると黒歌から俺を引きはがしてくれた。でも今度は小猫ちゃんが成長した胸に俺の顔を押し付けてくる。だから息が出来ないんだってば……!


「大丈夫ですか、イッセー先輩?もう大丈夫ですよ」
(いや現在進行形でヤバイです……)


 ギュっと俺の頭を抱きしめて撫でている小猫ちゃん、でも君の成長した胸で窒息死しそうですので離してください……もがもが……


「にゃはは……ごめんね。憧れの存在が目の前にいたからつい嬉しくなって……」
「姉さまはイッセー先輩のファンなんですか?」
「うん。直接会ったのは今日が初めてなんだけど前に偶然狩りをしていたイッセーを見かけたんだにゃ。あの時の血まみれになって戦うイッセーの逞しい肉体を見ていたら恥ずかしながら発情しちゃって……それからファンになっちゃったんだにゃ」
「その気持ちは私も分かります。私も偶にイッセー先輩の事を想って一人で……」
「小猫、そこまでにしておきなさい。それ以上は不味いわ」


 黒歌が俺のファンだとは知らなかったな。後変な事を言おうとした小猫ちゃんをリアスさんが止めてくれた、ついでに俺の事も助けてほしかったけど。


「ぐむむ……」
「あんっ……そんなに顔を動かしたらくすぐったいですよ、先輩♡」


 小猫ちゃんは嬉しそうに俺の頭を抱きしめるがマジで苦しいんだよな……でも男の性なのか今の状況は非常に嬉しい、死ぬならここで死にたいぜ。


『バカな事を言ってるんじゃない……はぁ、最近のお前は色欲にだらしなくなってきたな。以前の食欲全開のお前を知っている俺からすれば信じられない光景だ』
(俺も男だからしょうがないんだって)
『まあお前も健全な男だったという訳か。というかお前なら軽く脱出できるだろう?』
(力づくで逃げようとしたら小猫ちゃんに怪我させそうだし……)
『力を得すぎるというのも考え物だな』


 脳内でドライグと話しているとイリナが怒った表情でこちらにやってきた。


「小猫ちゃん!イッセー君が苦しそうでしょう!早くイッセー君を離してよ!」
「あっ……」


 そして小猫ちゃんから俺を引きはがしてくれた。助かったぜ、イリナにはお礼を言わないとな。


「イッセー君、あんな子よりも私のおっぱいの方が大きいよ♡」
(お前もかよ!)


 今度はイリナの胸に押しつぶされる。いやマジで死ぬぞ、コレ。トミーロッド戦ですら流れなかった走馬灯が見えてきたぞ。


「イリナさん!イッセー先輩を返してください!」
「イヤだよ!気が付いたらイッセー君とイチャイチャしちゃって!貴方は久しぶりに会えたお姉さんと話してなさいよ!」
「姉さまもイッセー先輩のファンなんですから先輩が一緒の方が良いにきまってますよ。姉さまもそう思いますよね?」
「私も白音と一緒にイッセーとお喋りしたいにゃー」


 小猫ちゃんとイリナが俺を取り合って喧嘩し始めた。


「猶更駄目よ!これ以上ライバルが増えるなんてウンザリだわ!そもそも小猫ちゃんは良いの?この人イッセー君のファンなんて言っておきながら発情しちゃってるじゃない!こんなの異性として好意を持っていると解釈出来る事よ、貴方なら直ぐに気が付くでしょう?」
「まあ気が付きましたが私は姉さまと一緒なら寧ろウェルカムです。ライバルも増えてきましたしここいらで味方でも増やそうかと思いまして……せ、先輩が望むなら姉妹丼だってしちゃいます……ポッ♡」
「白音と一緒にイッセーと……?にゃん、それはちょっと早いにゃん。まずはデートからしてお互いを知り合いたいにゃん……」
「見た目はスタイル抜群のお姉さんキャラしておきながらそんな顔を真っ赤にして乙女チックな反応を見せるなんて反則よ!貴方は危険!危険だわ!」


 俺を絶対に離さないぞと言わんばかりに俺を抱き寄せる力を強めてきた。


「イリナ、いい加減にしろ」


 そうこうしているとゼノヴィアが俺を助けてくれた。


「ゼノヴィア……」
「イッセーが苦しんでいるじゃないか、喧嘩するのもいいが程々にしておくんだ」
「……」
「どうしたんだ?」
「何でゼノヴィアがイッセー君におっぱい押し付けているのよ」
「んなっ!?」


 何故か俺はゼノヴィアにまで顔を胸を押し付けられている状態になっていた。
 

「ゼノヴィア!まさか貴方まで……!」
「こ、これは違うぞイリナ!これは日本でいう『お約束』というモノだ!私だけしないのは空気が読めない奴と思われるかもしれないからそのノリでやっただけだ!」
「そんな芸人みたいなノリはしなくていいの!大体ノリでやった割にはえらく嬉しそうじゃないかしら?」
「ふえっ!?そ、そんな事は……」
「あるじゃないの!顔真っ赤じゃないの!長年コンビを組んできたけどそんな乙女な顔初めて見たわよ!」


 結局俺はリアスさんに助けてもらった。何でか説教をされたけど……


「イッセー、お前さんの傷も指以外は完治したようじゃな」
「お婆ちゃんと黒歌の料理のお蔭さ。まあ左腕の指は消し飛んだから再生は出来ないんだけどな」


 如何にグルメ細胞とはいえ失った部分は治せない。俺が腕をジッと見ていると節乃お婆ちゃんが声をかけてきた。


「イッセー、今から『ライフ』に向かうじょ」
「ライフ?あの再生の国の?」
「うむ、そこにいる鉄平の師匠なら祐斗達を助けられるじゃろう。お前の指も取り戻せるかもしれん」
「鉄平の師匠?」
「ああ、本来は師匠がアイスヘルに来るはずだったんだ」


 鉄平の師匠か、再生屋として高い実力を持つ彼の師なら心強いな。


「よぅし、では早速出発するじょ!あたしゃがこのままリムジンクラゲで送ってやるわ!!」


 節乃お婆ちゃんがそう言うとリムジンクラゲは凄まじい速度で移動を始めた。凄い速度だな、これならあっという間にライフについてしまいそうだぜ。


「先輩、アイスヘルがあっという間に離れてしまいましたね」
「そうだな、色々あったけど今回の旅も俺達に色んな経験をさせてくれた。ありがとう、アイスヘル」


 アイスヘルにお礼を言って俺達は新たな目指すべき場所に向かう心構えをした。


(祐斗と朱乃は必ず助ける、俺の指も取り返して見せる。今行くぜ、再生の国ライフ!!)

  
 

 
後書き
 黒歌にゃ。まさかグルメ界で白音と再会できるなんて思ってもいなかったにゃ、でもまさか白音があの美食屋イッセーと付き合っていたなんて凄い偶然だよ。


 まあ憧れていた有名人と妹が家族になれば私も家族になれるし……そこから関係を発展させてもいいよね。


 さてと、私の独白はここまでにして早速次回予告いっちゃうにゃん。次回第64話『来たぜ、癒しの国ライフ!再生屋与作登場!』で会おうね。にゃんにゃん♪ 
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