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異能バトルは日常系のなかで 真伝《the origin》

作者:獣の爪牙
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第一部
裏返る日常
  1-3




「はい、もしもし」
「……〜〜?」
「もしもし? 安藤くん?」

始めは安藤くんの悪ふざけかと考えました。
しかしこちらの応答には答えないもののなにやら安藤くんと誰かの会話らしい声は聞こえてきます。

異能がどうとか。ころしたのか?とか。

やはり悪ふざけかと考えましたがしかし切るのは躊躇われました。

会話があまりにも鬼気迫る様子でした。
その間にも会話は続いています。
ひとりで参加してるのかとか、何人チームだとか。
(なにかあったんでしょうか?)

そして次の瞬間それは確信に変わりました。
骨が折れたような音と共に安藤くんの悲鳴が聞こえます。

「安藤くん⁉︎」

何回か鈍い打撃音が続き男の声と共に通話が切れました。

「くっ!」

何度か掛け直しますが繋がりません。
いざという時のためにと安藤くんは自分の位置が分かるようGPSを送る設定をしていたのを思い出し急いで確認すると、街から少し離れた工場が示されました。

(こんな遅くに工場?)

「異能に、殺し合い」
安藤くんは厨二ですが徒らに私達の秘密がバレるような言動をするほど愚かではありません。
「最悪の事態を考えるべきですね」
この距離ならタクシーで行った方が早いですね。
千冬さんは安全や杞憂も考慮し連絡しません。あとの二人には連絡しないと。
「灯代さん、緊急事態です。先程送った場所まで至急来てください」

安藤くんが危ないです。


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三人が駆けつけた時、廃棄された工場で安藤くんは壁に座り込んでいました。痣は至る所にあるようです。

(鳩子さん、灯代さん。どういう状況か分かりませんので、少し様子を見ましょう)

鳩子さんは今にも飛び出していきそうでしたが、二人とも首を縦に振ってくれました。
「さすがにもう立てねえか。まあそんな異能にしては頑張ったんじゃねえか?」

金髪で短髪の不良があまり感情の見えない顔で安藤くんに話しかけています。

(やはり相手は異能について知っている)
しかし安藤くんは角度が悪いのと声が小さいのとで聞き取れませんでした。
「ずっと庇ってた右手の炎を当てられた時はヒヤッとしたがよ、ただヌルいだけで役には立たなかったな」
まあ、鬼ごっこはそこそこ楽しめたよ、と。
そう言って男は安藤くんの頭を横から蹴り飛ばしました。
「ジューくん⁉︎」
鳩子さんを先頭にかけ足で安藤の元へ向かいます。
「やっぱり連絡取ってたか。しかし女三人か。今日は大量だな」
不良はすぐにこちらを攻撃してくる様子は無さそうです。

こちら側に飛ばされた安藤くんの近くに行くと事態は想像以上に酷くありました。


服はボロボロで、右足と左腕には痛々しい痣があり、特に左腕は前腕と指が無残な方向に曲がっています。


日常ではまずありえない姿に三人は息を呑みました。
「これは……酷い……」
「そんな、安藤……」
「鳩子……、みんな……、そうか……、ごめん、しくじった……」
安藤くんは意識も虚ろでした。

鳩子さんは信じられないという様子で固まっています。

「どうして……こんなことに?」
「それはそいつが雑魚だからじゃねーか?」

その言葉を聞いた途端、鳩子さんの目が変わりました。

「女に守られるよーな。なあ?」
「違う! じゅーくんは弱くない!」

彼女は言いました。

「私、あなたのこと嫌いです!」

その目に涙を浮かべながら。
次の瞬間、滝のような猛烈な水流が男に殺到しました。



 
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