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魔法少⼥リリカルなのは UnlimitedStrikers

作者:kyonsi
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第56話 元に戻って赤面を


――side響―― 

「梳けば梳くほど引っかかりがなくてびっくり」

「母親譲りの自慢の髪です。つっても男で言うのも変な話ですけどね」

「フフ、そんな事ないよ。もう少し俯いてね?」

 こうしておとなしく髪を梳かれているのを楽しいと感じる俺はやっぱ変なのかなーと改めて考えてしまう。昔はロン毛って言われてたけれど、この世界に来てからはそんな事言う人減ったしなー。

「この前も思いましたが、フェイトさんお上手ですね。気持ち良いと思えます」

「それは響の髪質が良いからだよ。私もなのはやキャロの髪を梳いたり、昔だとアルフの毛並みを整えたり色々してたからかな」

「なるほど、納得です」

 思わず笑みが溢れる。そう言えばキャロのお母さんで、アルフさんの主ですもんねー。考えるまでも無かったなと。

「今の姿でこれなら、元の姿だともう少し髪質は硬い?」

「どうでしょ? 元の姿だと自分では手櫛程度ですし、今の姿はまだあんまり触ってないんで、わかんないですね」

「響に子供が出来たらこんな感じかな?」

 鼻歌交じりにそう話すフェイトさんの言葉を聞いて、一瞬視線が下がる。

 ……父親になれるかどうか分からない。それについてはまだ考えてる。

 正直な所……気を、好意を向けてくれてる人が居るのは分かる。だけど。

 俺なんかでは……。

 そこまで考えて、ふいに音が聞こえた。体の奥底からピシッピシッと乾いたような音が響いた。

「……響、今の音って?」

「……離れてもらってもいいですかフェイトさん? そして、花霞よ、結べ」

『了』

 瞬時に服が和服型のバリアジャケットに切り替わる。そのサイズは今の姿に合わせたものではなく、何時もの状態だ。
 椅子に座ったままとは言え、丈は余っており、ダブダブのまま。

 そして。一瞬の部屋の中を光が満たしたかと思えば……。

「……お、おお?」
 
 光が眩しくて目を閉じてたけど、光が収まったのを確認してゆっくりと目を開ける。

 すると、先程まで余ってた丈は手足にピッタリと合ってる。視線も先ほどと比べると格段に上がっているし、そのまま振り向いてフェイトさんの方を見ると。

「戻ると安心するね」

「えぇ、長かったようで短かったですね」

 凄く残念そうな顔をしているはやてさんい思わず突っ込む。その声もさっきと違って、女の子……いや子供のように高い物じゃなくて、男性特有の低めの声。

 という事は、だ。

 両手を握ったり、開いたりを繰り返す。その後はペタペタと体を触って、うん。

 ガッと両手を上に伸ばして。歓喜の声をあげようとしたその瞬間。

「あら? 変な反応があると思ったら、戻ったのね。良かったわー」

 その声の方へ顔を向けると。

 バチッとスーツを着ているジェントルマン、もとい、キャディ店長がそこに居た。

「それにしても……」

「? な、何でしょう?」

 何処か不思議そうに、でも関心した様子だけど。何だ?

「……なるほど。シグナムちゃんが間違える訳だ」

 シグナムちゃんと言った瞬間、フェイトさんが吹き出した。
 色々思うことはあるけど、それは置いとく。
 なんでシグナムさんの名前が出たんだろうと。

「そっくりなのよ。響ちゃんに。今私が探してる子と」

「へー……銀と黒ですし、男女であっても?」

「えぇ。これは私も間違えるって確信を得るほどに」

 不思議な事もあるもんだと。
 この人がこんな風に言うってことは……本当にそっくりなんだろうな。
 会ってみたいと思う反面、なんだろう……なんかこう変な感じだな-と。

「さて、とりあえず二人共。あんまり構えなかったらそのお詫びも兼ねて、せっかくだしお昼食べない?」

「はい、お言葉に甘えさせてもらいます。良いよね響?」

「えぇ。頂きます」

 ピッと敬礼してから、立って、二三歩足を進めて……ベシャリと体制崩して倒れた。

 突然のことで俺も驚いたし、フェイトさんも、キャディ店長も目を丸くしてた。
 だってさっきと違って、ただ歩いてるだけでコケたことで恥ずかしくなってきたし。

「大丈夫? 何か盛大にコケたけど?」

「受け身は取れたので平気ですけど。壁伝いにゆっくり行きます」

 ゆっくりと立ち上がりながら、今度はさっきと違って、凄くゆっくりと歩いて行く。まださっきまでの歩幅や感覚が残ってるせいで上手く歩けない。そして、それが凄く情けないようで恥ずかしい。

 それに……今更ながら、今までのこと……いや、数日一緒に寝たということを変に意識してしまって、フェイトさんの顔を見れない。
 フェイトさんの隣まで何とか移動した後。

「ちょっとゆっくり行きます」

「え、あ、うん。一緒にいる……よ?」

「……あ、そういう。フェイトちゃん行くわよー。響ちゃんもゆっくりでいいから」

「あ、はい。それじゃあ響? 先行くね」

「……はいどうぞ」

 一瞬空気何とも言えない感じで固まる。俺は恥ずかしくて顔を見れなくて視線が下を向いてしまうし、何処と無く言葉もたどたどしくなるし。

「響? どうしたの? 顔、赤いよ?」

 心配そうな声とともにこちらにフェイトさんの手が来るのが見えて。思わず一歩後ずさってしまう。

「だ、大丈夫なので。すいません」

「……うん、じゃあ先行くね」

 そそくさと逃げるように下がり、その際何度か躓きそうになるのを堪える。

 と言うか、なんというかだ。

 俺小さくなってたからとは言え、大変なことをしてたんだと今更ながら気づいた。ウロウロとその場を移動しながら、姿が変わってからの出来事を思い出す。

 一緒にお風呂に入って……軽く着せ替え人形にさせられたと思ったら、膝枕で寝たり色々して……。

 うわ、俺かなり取り返しのつかないことしてたわ。

 やべやべ、思い出すと顔が赤くなってるのが良く分かる。いやいやいやいや、いくらなんでも俺よ。小さくなったとはいえ、思考が幼くなったとはいえだ。

 いくらなんでもこれはないって……いや、ホントマジで。

 ガキじゃねーんだから、無理にでもなんでも断る手段はいくらでもあったのに、何で俺は逃げて自分の首絞めたんだアホくさい。うわうわうわ。これは不味い。しばらくフェイトさんの顔直視出来ないぜこれ。


――sideフェイト―― 

 恥ずかしそうに目をそらす響を見てから、やけに胸が高鳴る。

 今までもそういう顔は何度か見たはずなのに、強く印象に残った。
 
「ま、響ちゃんもしっかり男の子って事ね。今まで幼くて恥ずかしくなかったけど、戻って一気に来たんでしょ。
 フェイトちゃんも空き部屋で悶えてていいのよ?」
 
「へ? あ、や、あの!」

「御飯の準備はまだあるし。平気よ? その真っ赤な顔どうにかしないと、お姉さんの立場じゃ無くなるわよ?」

「……や……お言葉、に甘えて」

「はい、いってらっしゃい」

 言われたお部屋に入って、扉に背を預けて座り込む。言われて気づいた。
 顔が熱く、赤くなっているんだって。
 
 色々と見せたし、色々としたけれど……こんな特殊な状況だったからなのかな?
 思い返せば、なんで私昔のバリアジャケットを着たり、膝枕したりしたんだろう……わーーー!
  

 ――――

「それにしても、不思議な効果のロストロギアもあるものね」

「えぇ、あれで2例目になります。1つ目は……シスターさんに持ち去られたんですが」

 なんとか落ち着いた私と響、そして食事を用意してくれたキャディ店長と、ダミーの情報を貰うことに。
 ただしダミーと言っても、キャディ店長が持ってきたデータを受領、本当に新型のガジェットドローンが存在していたというデータを貰った。
 
 その一環で、他にも情報を共有している最中。
 
「マリ・プマーフね。だけど見た目は、キュオン・ドナーシャッテンっていう伝説級の人ね。
 なんでまたそんな人が……一応関連のある子に調べて貰ってたんだけど……ほぼ一致してしまったのよね」
 
 ……げっそりとした様子の響。なんというか、凄く認めたくなさそうなそんな様子。
 この反応は、もしかしてあれ以外に何処かで会ったのかな?
 
「後はそうね。フェイトちゃん達今度の陳述会はよぉく気をつけなさい。
 実を言うと、名前は出せないけど……本局内で暗殺未遂があったの」  

 空気が変わった。

「相手もまだ見つかっていないし、表沙汰になっていないから、裏で捜査が行われてる。
 しかも厄介なことに……襲った人はともかくとして、それを防いだ人がわからないの。
 特徴は白い……オーガのお面を被ってたらしいけどね」
 
「……エッ?」

 あれ? 響の声が裏返ったけど?
 キャディ店長も、知ってるの? と言わんばかりに視線を向けているけど。響の顔さーっと白くなって、
 
「え、あ、や、そういうの苦手なもんで。流して下さい」

 そう言うと、恥ずかしそうに顔が赤づいていく。苦手っていうのも初めて聞いたし、そうなんだって。
 
「まぁそういう事で、最低でも2人不明な人が居て、1人向こうについた。
 本当はこのまま何も無ければ良いんだけど……レジィの事だから必要以上に敵を作ってる関係で、何かしら動きはあるはず。
 そんな状態で、頼るのは貴方達だけよ。ごめんなさいね」
 
「いえそんな。でも、私達はやれることをやるだけです」

「フェイトさんの言うとおりです。とりあえず出来ることをして、積み重ねたものを発揮するだけです」

 反射的に応える私達に一瞬驚いて、すぐに笑みで答えてくれる。
 
「全部終わって落ち着いたら、六課の皆連れていらっしゃい。事前に連絡を入れてくれたら、ご馳走するわ」

 ……本当に昔と変わらない。キャディ店長は……キャデラックさんは本当に優しい人だって。     


 そんなこんなで……六課に戻れば。
 
「なぁなぁ、なんか進展あったん? 二人っきりで密室で」

「何もなかったよ。私も響も大変だったんだから」

「そういうても一緒にいる時間多かったんやしなんかあったやろー? ちょっとでええから……」

「何もありませんってば、もう!」

 はやてからの質問が凄かったなって……。 
 

 
 

 
後書き
 突貫工事で書いてしまい申し訳ありません。長いだけの文かもしれませんが、楽しんで頂けたのなら幸いです。ここまでお付き合いいただき、感謝いたします。 
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