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魔法少⼥リリカルなのは UnlimitedStrikers

作者:kyonsi
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幕間 三幕 買い物と、忠告と言う名のお願い。



「はい? なんでまた私なんかに?」

 意味が分からないというのはこういう事だと思う。
 私と同じ様に他所から六課へ応援に来たという点だけの女性。

 いや、強いて言えば。
 
「秘密を共有した仲として、一緒にお出かけしないかなって、ね、アーチェ?」 

 面倒くさくて話してしまった事をちょっとだけ後悔した。
 
 
――sideアーチェ――
 
 別に面倒ってわけじゃない。今日だって一応やることあったし。古市とか、中古ショップで孤児院(実家)の子達のお洋服とか、参考書とか選んで買うことも出来るわけだし。
 
 ギンガ・ナカジマを何故信用した上に、私の秘密を話したのは、正直私自身よくわからない。
 
 シスターシャッハや、カリム様とは違うタイプの人間だけど、それでも信用してしまった、あの一時で口が軽くなったのは、今は遠くに離れて働いてる姉さん達に似た雰囲気を感じてしまったから。
 
 うーん……たった2年で、良くなったぬー。
 
「いた、アーチェ!」

「……はいどうも」 

 でも、ギンガを見てるとちょっとだけ落ち着けるからいいなぁって。


――sideギンガ――

 ――だから私はあの人達が嫌いで、恨んでる。殺したいほどに……!
 
 初めて聞いた時、本来ならそんなわけないとか、否定の言葉を投げるタイミングだったと思う。付き合いが短いとは言え、響がそんな事する人ではないとわかってたつもりだったから。
 
 だけど。
 
 その言葉を吐いた時、貴女はハッキリとそれを表情に出した。
 とてつもなく嫌そうに、そんな言葉を吐きたくないという表情を。
 
 本当の所は分からない。私は、響もアーチェもよく知らないから。
 
 だけど……嘘をつく時の人の判別くらいは出来るもの。長いこと事故でっていう嘘を見抜けたんだもの、それくらい訳ない。
 
 だから、言ってやった。
 
 ――いつか、本当の事話してちょうだいね、って。
 
 そうしたら、あの子、目を丸くして言ってたな。私は人を恨んでるんだよって。まるで嘘がバレた事を隠すように目を泳がして。
 それが嘘だと気づくには十分だ。響がって言ってたのに、人を恨んでるという第三者に変わっていたこと。
 それだけでも十分わかる。
 
 何よりお父さんが言ってた。機動六課は何かを隠して建てられたものだと。それがはやてさんの師にあたるお父さんにも言えない程の物だと。
 その上、響達が異動ではなく出向(・・)だという事実もあるのだと。
 
 初めはその意味は分からなかった。だけど、機動六課の錚々たるメンバーに、個人用のインテリジェンスデバイスを配布するだけの異常事態。
 管理局に数年務めてる私も、ほしいと願ったけれど管理局員としてその基準を満たす物はとても高価だと言うのに、機動六課はそれはやった。
 その上、トライアングルエースの集結に、私やスバルの素性(・・)を知った上で受け入れたという事実もある。
 
 お父さん曰く、これははやてさんの夢も兼ね備えた大きな保険だと、そう読んでいるって言ってたっけ。
 
 その上、あまり管理局に力を……というか、現場に呼べない教会騎士を呼べるだけの事もあるしね。
 
 そういうのが重なってて、そんな時にわかりやすい嘘を吐くアーチェと出会ったから……なんというか、色々気にかかってしまった。
 
 今日誘ったのは、何か他にも聞けないかなということと、後は単純に。
 
「アーチェは何がしたい? 何処でもいいよ?」

「えぇ……いや、えぇ?」

 寂しがってる子の相手をしたかったんだ。 
 
 
――――

「それにしても意外。シスターで、騎士だからてっきり……」

「うぬー。よく言われるけど、実はそうじゃないよー。だって、身寄りの無い子が教会に保護されて夢見るのは大体二択だもの。女の子ならシスター、男の子なら騎士って。
 まぁ、私は教会系統じゃない孤児院だから別の道も大いにあったんだけどねー」
 
 まーた、ぬーぬー言ってる。きっとリラックスしてる証拠なんだろうな。
 ……まさか、店頭に並んでる古着を纏めて送るなんて思いつかなかったけど。
 
「……それにしても、本当にシスターってわけでも、騎士って風に見えないなぁ」

「よく言われる。まぁ……私は田舎者で、剣の才能無かったからねぇ。大変っちゃ大変だったぬ」  
 ……剣の才能がない? でも騎士って……あ!
 
「だからあんなに大きな鉄球なの?」

「ご明答。剣も槍も合わなくてねー」

 ……そうだとしたら本当に凄い。騎士って言われる人たちは何かしら称号を得る。シグナムさんなら剣の騎士、ヴィータさんなら鉄槌の騎士という名前を。
 そうすると……。
 
「アーチェも何か騎士の二つ名ってあるの?」

「……ヤ」

 ……わーすっごいか細く、嘘吐いたー。 
 
「いーじゃない教えてよ?」

「や、あの。恥ずかしいし」

 恥ずかしいって……普通なら誇りに思ったりするものだと思うんだけど?
 
[お嬢、どうせ調べりゃ分かるんです。吐けば楽になりますよ]

「う、うるさいなミーティア。やだよあんなの。恥ずかしい」

「笑わないし、変だと思わないよ。そんなに変な奴なの?」

 そこまで言って、何か考え込む様に空を見上げたと思ったら、一気に俯いて。
 
「……ょう」

「へ?」

 恥ずかしそうに真赤に染まった顔を上げて。
 
「破城。破城の騎士って呼ばれてるよ。あんまりにもはっずかしいから言わないで、呼ばないで」

 ……破城? 城崩しって意味? なんとまぁ。
 
「いや、普通に凄いと思うけど……そう言うなら言わないよ」

「うぅ……ごめんね。ギンガ……それに、先に称号を……騎士になるって奴は居たんだよ」  

「……うん、だと思う」

 アーチェの言う奴っていうのはおそらく。いや、これは蛇足だ。止めとこう。
 そうだ、今日は――
 
 え?
  
「そうだ。ねぇ、ギンガ、そんなお話よりもさ。何処かでお昼に――」

「……響?」

「え?」

 ……一瞬遠くを歩く見覚えのある歩き方(・・・)をする人が見えた。
 勘違い、だと思う。だけど、あの重心の動かし方は……。
 
「や、アイツは。ギンガ考えて。そんなわけない、だって響は謹慎続いたから休みなんて暫く無いはず」

「うん。私もそう思う。だけど……」 

 ……唯の偶然? それにしては……。
 
「ね、アーチェ。まだ時間有るよね」 

「な……あ、そうか。うん、有るよ。平気」

 あれ? なんか私の知らない所で納得したけど、なんだろう……? しかも普通に名前呼んでるし。
 さて、それじゃあ……。
 
「追おっか?」

「はいよ。サボってるって言いつけてやる」

 ……やっぱり違うかな?

 ―――― 

 ……後ろ姿を見つけて追いかけてきたけど、一つ言えるのが。

「どー見ても女性だよあれ? なんというか男装……いや、ぼーいんしゅ? だっけかな。それっぽい見た目だし」

「んー……でもなぁ、重心移動がそれなんだよね。いやまぁ、ちゃんと見たってわけじゃないけれど。あと、ボーイッシュだよ」

 ……基本動作は確かに響と同じ様に感じるけれど、端々の動きは大きく異なるような……ダメだー。完全に人違いだこれ。そもそも女の人だし、執事っぽい格好してるし。
 
 というか、銀髪だって時点でなんで気づかないのかなー私ってば。
 
 しかもショッピング街だったのに、海沿いの道まで追いかけちゃったし……。やっぱり駄目か……。
 
「ごめんね。アーチェ、無駄足だった――」

「や、それはさて置き。違う意味でお仕事かもよ。ミーティア、見た目だけでも変えて。シスター服でいい」

[Jawohl.]

 隣で、シスター服を纏う。そう言えば……それが防護服なのかな? シスター服でいいって言ってたから別に有るのかな?
 
 いや、それよりも。
 
 問題はあの人だ。だってビルとビルの隙間に入った瞬間に。

「おう姉ちゃん。ちょっと付き合えよ」

「通行の邪魔だ。退け」

 なんか凄い勢いで男の人の集団に絡まれてるし、売り言葉に買い言葉見たく言い返してるし!

 ――――

「……やー、もーこの裏路地使うの止めます」

「「そうして下さい」」

 追い払ったと言うか、少しお話をした男の人達曰く、近くの喫茶店の看板娘さんと写真が取りたくて声を掛けたらしい。
 曰く、接客時とは違う、キリッとした状態の写真が取りたくてあえてお店外の今話しかけた所で私達が乱入。一応収まって、この店員さんが言うには写真は受け付けてないけれど、今度また来た時ちょっとはサービス出来るということを伝えて退散してくれた。
 
 そして今。
 
「それにしてもこの裏路地というか道は、管理局の人とよく出会うなぁって」

「……よく?」

「もしかして、前もここでなにかあったの?」

 首をかしげるアーチェを置いといて、私から質問をすれば。困ったようくしゃりと笑って。
 
「あぁ。シグナムさんにもここで会ったよ。()に似てるって」 

「……う゛」「……ぬ゛」

 思わず二人して固まる。だって、私達も同じ理由でここに……この人を追ったわけだし。
 ……そう言えば。
 
「あの、お名前は……?」

 ふと、考え込むように視線を右から左に泳がせてから、ニヤリと笑って。

「それは、管理局員として取り調べの意味で?」

 ……うーん、ちょっと意地悪な質問だ。ここでそうですよって答えればアウト、おそらく離れるだろう。だから答えるべきは。
 
「ううん。同性として、ここで知り合った人として」

 そう言って握手しようと手を伸ばすと。
 
「……」

 キョトンとした様子で、私とその手を交互に見ている。
 少ししてから何かに気づいたように。   
 
「……歳は……あぁ、聞くならこちらからか、此方(こなた)は17です。もう少ししたら18になりますけど」 

 ……あれ?
 
「ありゃ、同い年だ。コナタが貴女の名前?」

「いえ、一人称です。雅語(がご)の一つです」

「へー」

 アーチェと握手しているのを見ながら、既視感を感じる。
 いや、そんな訳は……。
 
「私がアーチェ。こっちのお姉さんっぽい人がギンガって言うの。よろしくね」

「こちらこそ。名前はちょっと伏せますが、店内での渾名はサテラと言います」

「あ、あぁうん。よろしくねサテラ」

 慌ててその手を取って握手をすれば……うん、やっぱり違うよねって言うのがよくわかった。
 いや、何より性別も見た目も、何より顔も全然違うのに、何を勘違いしたんだ私は……恥ずかしい。
 
「さて、一応とはいえ、助けてくれたんですし……お礼したいんですが?」

「……そういう意図で助けたわけではありません。シスターとは困ってる人に手を差し伸べるものなんです」

 ……わぁ、アーチェがそれっぽいこと言ってる。
 いや、本当のシスターさんなんだけど、なんだろうコレまでのイメージが強くて……なんだかもう。
 
「あら……ならば」

 ゴソゴソと懐を漁ったと思えば。
 
「今度コレをお使い下さい。特別クーポンです」  
 
 そう言って手渡されたのは、お店までの地図が書かれたクーポン券。ちらっと地図を見れば、本当にこの辺りっぽい。
 
「ありがとうサテラさん。それじゃあ行こうかアーチェ?」

「ん。またねサテラさん。今度お邪魔しますよー」

「えぇ、来店お待ちしてますねー」

 そそくさと離れて、あちらから見えなくなったかなと思う場所で。
 
「……勘違いしてなかったら行きたかったでしょギンガ?」 
  
「まぁねぇ……それに眠そうだったし」

「へ?」

 不思議そうな顔をするアーチェ。簡単なことだけどなぁ。私達と話してる時少しだけ目がとろっとしてたし。何より追いかけてたとき、何度か左手を口元へ持っていって、ちょっと俯いてた。
 あの時多分欠伸を隠してたんだろう。流石に大口開けてなんて出来ないもんね。っていう説明をしてあげたら。

「わぁ、知り合いの捜査官だった子っぽいこと言い出した」

「これでも捜査官資格をもってますから……あら?」

 さっき手渡されたクーポンをよく見れば二枚張り付いてる。アーチェもそれに気づいたのか一枚めくって。
 
「まさかの二枚……はいギンガ」 

「え?」

「今日付き合ってくれたお礼。今度スバルとティアナさん連れていけばいいと思うよ。私は別に一枚でいいから上げるよ」

 ……突然の事に驚くけど、確かにこういう所に2人を連れてくる機会があれば……いや、無期限って書いてるから問題ないかな?
 
「それじゃあありがたく。本当にいいの?」

「いいよ。行く相手も居ないし。それよかほら、美味しいお店に連れてってよ」

「……うん、行こっか」

 そう言って私の手を取って歩く姿は……スバルっぽいなぁって。
 
 

――side紗雪――

 朝一番に入ったっていうのに、昼だよもぅ……最悪だ全く。

 でも……久しぶりに手詰まりっていうのを味わった。
 
 本局で暗殺騒ぎがあってから動けなくて、暫く倉庫を転々としてた。幸いシャワールームとかで体流したりするのに、身分証とか要らないのは本当に有り難い。
 それ以上に、思ってた以上に秘密裏の警戒が長かったのがしんどい。そのせいで、本局から地上に戻るまで大分掛かった。
 
 思った以上に黒い繋がりが見えた事と、不可思議な情報を得た。次は地上本部……だと思っていたのに。
 
 ――やっぱりここに来た。やっほ魔法社会唯一の忍。会いたかったよ。
 
 私が拠点にしていた場所にそいつは現れた。
 私とは違う黒い狐の面に、やたら見覚え(・・・)のある白銀の騎士甲冑と、もう現存しない筈の機械軍刀を持った女性。
 
 咄嗟に逃げようとしたけれど。
 
 ――やめとけ。何処に跳ぶかなんて分かってるし、何処に撤退するかも分かる。話がしたいだけなんだ。
 
 そう言って見せてきたのは、やたらボロボロになった……私の転送札。だが、対応する札は私は持ってないし、作った憶えの無いものだった。
 だが、問題はそこじゃない。私が跳べるという事がバレていること、そしてその口ぶりから私が何処に札をセットしたのかバレていると言うことだ。
 
 さらには……その白いアンノウンが持つ刀は不味い代物だ。

 対艦戦闘用重機関軍刀。
 
 刃をカートリッジの様に、使い捨て同然に扱うが、一度点火し、斬り掛かれば個人の防御を――否、艦船の装甲を断ち切る刀。
 眼の前の人物が素人なら……ある程度の武芸者だったならば躱して退く事も出来ただろう。
 
 だが――あの時点では不可能だった。
 扉を塞ぐように立ち、隙のない自然体の構え。一か八かで跳んだ所で捕まるのは目に見えて分かる。
 いっそ勝負に出ようと思っても、点火された刀に触れればアウト。何よりこちらは弱体化しまくりのコンディションは最悪な私。
 
 ならば――と、そこまで考えた時に。
 
 ――勘違いしないでほしい、別に戦いに来たわけじゃない。忠告と言うかお願いに来ただけなんだ。
 
 そして、驚くことを聞かされたのと、それを証明するかのような情報。
 私が探していた、本命の情報の一端を渡された。一ヶ月掛けて探し出そうとしてった情報を、それも私が欲したモノを何故この人が?
 
 ――信じてとは言わない。だけど、これだけは絶対に頼む。それは――
 
 その内容を聞いてひっくり返るかと思った……勘弁してよ。もう……。
 
 まぁいい……応じるか応じないかは別問題としても、渡された情報だけでは心許無い。だから探すのは一手。
 王手を指せる最後の……私達を縛る枷の鍵を解く情報を!
 
 ま、それよりもアンノウンにバレた以上、地上本部潜入場所変えなきゃね。

 ……それにしても、あのアンノウン。どうやってここまで来たんだろう? おかげさまで時間掛けて用意したものが全部パーだよ。
 朝方に入って用意したって言うのに、アンノウンの乱入のせいで気がつきゃもう昼過ぎだし……最悪。
 
 ……近いうちって何時だよ全く。レリック持った女の子が現れるなんてそんなご都合展開有るもんか。
  
 

 
後書き
本筋に関係有ると言えばありますが、ある休日のための伏線が多数入っています、ですが、読み飛ばしても全然問題ないです。
長いだけの文かもしれませんが、楽しんで頂けたのなら幸いです。ここまでお付き合いいただき、感謝いたします。  
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