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魔法少⼥リリカルなのは UnlimitedStrikers

作者:kyonsi
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幕間 服と出会いと

 
前書き
本筋に関係有ると言えばありますが、オリキャラオンリーの劇場です。
読み飛ばしても全然問題ないです。 

 


――side震離――

「服買いに行こー」

「あ?」

 目の前で麻雀を打つ響、優夜、煌の三人、略してひゆこに言う。
 というか仕事上がりで麻雀なんか打ってたんだ。麻雀なんて確率ゲームなのに何が楽しいのやら。
 まぁいいや。

「……今何時だと思う?」

「午後8時11分48秒!」

「ほんと突然だな、で? 震離は服なんか買いに行くんだよ? あ、それポン」

「……えー」

 煌が笑いながら聞いてくるけど、一応そこは乙女の……いいやめんどくさいし。

「……単純に遊び用の服とか入った荷物がまだ届いてないんだよ、私も奏も響も、そうだよね?」

「震離ー、今なんか考えたけど絶対面倒だと思ったろ? それチーだ」

「うわ、優夜にバレた」

 ものの数秒でバレたよ、やっぱり付き合いが妙に長いからなーやっぱり隠しきれないかー。それよか響さー。

「なんでそんな微妙そうな顔してんの?」

「……いやさ、ここってさ一応は男子寮だろう?」

「うん、そうだねー」

「……大丈夫だったか? いろいろと。うわ、手牌悪いわ中々来ないわで最悪だな」

 今引いた牌を見て残念そうな顔をしてる。
 全く。確率なんだから、場に出てる牌と持ってる牌から予想なんて立てられるのに。あー、そういえば。

「ここに来る途中に上半身マッp」

「あー了解、もう言うな」

 即効で響がストップしてきたけど、私は!

「……それ以上言ったらお前の子供の頃の写真見せるぞ」

「フッ……誰に見せると?」

 あまり、私を侮っちゃいけないよ響? そう簡単に……

「……はやてさんにだ、多分あの人そう言うの大好きだと思うぞ?」

「了解」

 くっ、あの人きっと楽しみ様なタイプだろうからなー、お話するまでどんな人かわからなかったから怖かったしね。

「ていうか行くの? 行かないの?」

 気がつけば渋い顔してた響が、ニヤリと笑ってる。何か良い手が来たのかしら?

「あー、まぁ待てこれがオーラスだから、もう終わる……ほら早く出せよ煌? 早く出せよ、今きた牌を!」

「落ち着け俺、場に一つと山にドラ表示に出てるんだ……通れ!」

「ほい、清老頭だ! 優夜だっけ免許取ってるのは?」

「あぁ、一応取ってあるから送ってくよ、外出届書きに行くかー」

 なんかプルプルしながらそっと山からとった牌をそのまま場に置いたと同時に、響が自分の牌を全部倒した。
 へぇ、なんか鳥っぽいやつを煌が出して、響が一って書いてる牌と丸っぽい奴が書かれた奴と棒が九こ掘られた……いいや、説明するのが面倒になった。それよりも。

「あー、私達の一部の荷物がまだ届いてないけど、流はどうなんだろう?」

「あぁ、一応連絡入れておくか……三人とも先行っててくれ、連絡入れてからいくよ」

「……おぅ」

 そう言って響の部屋から出て行くけど、煌も一瞬だけ沈んでたけどもう回復してる。
 さすがだね! どうでもいいけども。

「じゃあ、俺は車借りる手続きしてくるよ? ちなみに誰がくるんだ?」

「え、幼なじみ全員」

 うん、服がないこと伝えたら時雨も紗雪も付いてくーって言ってからね。
 そして、何で優夜はずっこけたの?

「……まぁいいやワゴン系の借りてくるから……煌、俺の分の外出届書いといて」

「おーぅ分かった」

「それじゃあ私は響の分の外出届書こうかな」

「そうしたら? ってかこんな時間に開いてんの?」

 あーやっぱりそういう突っ込みが来たか、まぁ。そこんとこちゃんと調べてるんだけど。
 ちゃんと下準備はしてるに決まってんじゃん!

「そっかならいいさ」

「……まだ言ってないよ?」

「あっはっは、別に付き合いは長いんだ大体分かるよ、さっさと行くか」

「え、ちょっとー」

 何で言ってないのにバレたの!? ってそのあと聞いても笑ってばっかりで煌は教えてくれなかった。
 ちぇっ、ちょっとかっこ良く行ってみたかったのになー。

 で。

 そんなこんなで。

「結局全員で行くのかよ」

 なんか珍しく7人の外出届が受理されたんだって。煌に渡したらなんかすっごく驚いてた。
 珍しすぎて、笑ってたしね。
 それよりも、正直に言おう、ん? 違うな正直に思おう。いや言おう。

「どうして流もいるの?」

「うん? 俺が連れてきたに決まってるだろう?」

「……響、胸張って言うことじゃないと思うよ?」

 うんそれは分かるよ、そして、紗雪の言うこともそうだけど、私が言いたいのは若干流ってば不機嫌だよね?
 何でなの? って聞こうとしたら。

「ん、風鈴君はどうしたんだ?」

 お、煌が行った。

「いえ、自分は服があるのでいいと言ったんですが……」

「訓練着でいいって言ってたから連れてきた。流や? ちゃんとした格好した方がいいぞ?」

 あーなるほど。それはうん。仕方ない。カワイ……普通にお洒落するのもいいと思うよ?
 それに今日くらいだしね、服とか必要なもの買えるのは、休みの日はゆっくりしたいし、遊びに行く時とか好きな格好とかしたいし。
 あ……時間があったら六課の近くのお店を調べておこう、美味しいスィーツ店とかあったらいいな……

「で? 開いてる店があるから出るんだろう? どこなんだ?」

「あ、それは私が案内するよ、震離をそっちに行かせてる間に調べたし」

「おぉ、さすがは時雨だ、助手席で案内してくれないか……って、誰か助手席に乗らないと吐くってやついる?」

 って優夜の質問に全員静かになる。まぁ居ないよね。ワゴン車だから結構広いし。問題ないかな全員で行くのは。

「じゃあ行くから全員乗ってくれー」

 優夜の合図で皆車に乗り込む、ちなみに優夜が運転して、時雨が助手席、真ん中に私と奏、紗雪がのって、後ろに煌、響、流の順で乗ってる。さて、ここで助手席の時雨が一言。

「なんだろう行ったこと無いけど修学旅行みたいな感じがして若干テンションが上がってて何より夜に外出ってなかなかいいよね」

「こらこら、興奮しすぎない、そしてよくワンブレスで言い切ったね」

 え、めっちゃわかるんですけど。普通こんな事になったら何となくテンション上がらない!? 私の中で今上がりまくってんだけど!

「でも、分からなくはないよ?」

「ありがとう紗雪!」

 やった、さすが紗雪、話がわかる。そして後ろの面子は寝てるしね! 速くない!?
 
 ――――

で!

「うん、落ち着け私、うん、落ち着け、今の状況を整理しよう。
えーと、15分前に、デパートに到着して、皆で入った、ここまではいい。
で次は、各階に何があるか確認して、近くにエレベーターがあったからそれに乗って。
そこから、女性もの売ってる階に降りたら、既に誰もいなくて、私だけが降りてて。
で、待ってて折り返して戻ってきたかと思ったら、誰も居なくて、今のこの状況っと!」

で、心のなかで一言。というより声を大にして一言言いたい。
何この状況!? あっれ? 何でみんなはぐれたの!? まぁ、落ち着いて私。
今いる階が女性もの売ってる階だから……あ、あの服可愛いな……はっ! 違う。

「とりあえず、皆探そう!」

 ふと引き返して、迷子センターの案内が目に入ったけど、気にしない、絶対に気にしないんだからね!
 だけど、一人はやだなー、面白く無いのにな~ってか、よく考えたら私舞い上がってたかな?
 だから、一人……? 待って落ち着いて私! 多分、多分なんかあるんだよ、きっとね!
……付き合うのが面倒とか言われたりは……しないよね! とりあえず……ん、あれは?


――side響――

さてと、いきなりで何だが……

「あっはっは、参ったなぁ……」

「……笑い事じゃないですよ」

「……うぇぇえええん」

 とりあえず今の状況を言おう。
 実言うと、15分ほど前か、車から降りて皆でデパートに入ったんだけど、震離が案内を見てからエレベーターに直接行って、それを紗雪が追っかけていって、なんかそんなこんなで。
 皆はぐれて、流と行動してたんだけども。

「ママがグレたー」

「……ううん、違うよ?」

 と、なんか迷子の子が寄ってきて流の事を母さんって呼んでるんだよな~。ちなみに女の子ね。
 なんかこの子の母さんが管理局員で、今日一緒に来たんだけど、母さんとはぐれたらしい。
 というか、こんな時間に連れてくるなよー、夜だぜ? 俺らも人のことは言えないけども!

「……ねぇ、名前はなんていうの?」

「……グスッ」

 目の前で流が困ってるのを見て、苦笑いを浮かべる。まぁ、まだ流とはそんなに付き合ってないけども、いろんな表情するんだな。さて、本気で困りだしたからいい加減助け舟出すか。
 さっきから本気で困った顔してチラチラこっち見てるし。

「ねぇ、名前はなんていうの?」

「……グスッ、フレア……フレア・A・シュタイン」

「フレア……フレアちゃんか、えっと、俺の名前は響なんだけど、ごめんね? お母さんの名前はなんていうの?」

 フレアちゃんの目線に合わせて話をする。なんていうか赤い髪のツインテールで、凄く可愛らしい格好をしている。ちなみに言おう、俺はロリコンじゃないからな?
 ちゃんと、片想いの人とかいるからね! でもA? なんの略だ?

「……フレイって言うの、今日私の誕生日だったけど、急にお仕事が……」

「そうか」

 なるほど、それでこんな時間に来たのか……まぁ、これで俺の考えが間違えていたら恥ずかしいよな。
 さて、と、いい加減行動するか。

「フレアちゃん、一緒にお母さんを探そうか?」

「……これがお母さん」

「……そっくりだけど、その子一応男の子だからね?」

「……男の娘?」

「ん? うん、男の子」

 あれ、なんか意思の疎通が出来てない気がするのは気のせいか?
 まぁ、いいや。こりゃ服なんて買ってる暇は無いかもな。適当にサイズ合わせて買うかな。

「じゃあ、行こうか?」

「……うん」

「ほら、流も?」

「……はい」

 んー、流にそっくりだったらマジで笑いそうで怖いなー、頑張ろう俺。
 ……そういや、他の奴らは何してんだろうか?
 やっぱりもう服買ってんだろうなー。あー、優夜にでも頼めばよかったなぁ、まぁ後の祭りか。


――side奏――

「あはは、皆とはぐれたな?」

「……ぅ、まさか人ごみでエレベーターから降ろされるとは思わなかったよ」

「……まぁ、こんな時間なのに明らかに人多すぎるからね、でもどうする?」

 うん、それが一番の悩みどころ。まさかエレベーターに6人乗って、私と優夜と時雨の三人が人ごみに流されて別の階に降りるとは思わなかったよ。
 響と流はぎりぎり間に合わなかったけど、そのうち登ってくると思ってたら一向に来ないし。

「……まぁ、他の面子は自力で来るだろうし、とりあえず服でも買いに行くか?」

「……んーでもなぁ」

「……それもいいかもね、優夜は響のサイズは分かってるの?」

「だいたいはな、一応あいつがどんな好きなのかも分かるし、まぁ、文句言って来たら居ないお前が悪いって言えばいいしな、それじゃ行ってくるよ」

 手をひらひら振りながら、男物が売ってるフロアへ通ずる階段を下ってく、やっぱり、エレベーターはさっきので嫌になったんだね。まぁ、私も嫌だけども。

「……それじゃ、私達も行こうか?」

「そうだね、女性物は4つ上の階だね、エレベーターは嫌だし、エスカレーターでいこうか?」

 トコトコと時雨と二人で女性モノのフロアへ向かう途中、マネキンの服を見ながら、

「うん、それで奏は何買うの?」

「んー、まだ決めてない」

「真っ白いワンピースとかは?」

「……えっ! 私が!?」

「うん、奏が」

 え、ちょっと待って私が白いワンピースを着てる所を想像する。
 ……うん、無いな。

「時雨、私じゃ似合わないよ」

「そんなこと無いと思うよ? 奏って元が可愛いから、普通に似合うと思う」

 普通に可愛いなんてあまり言われたこと無いから、顔が熱くなってくるのが分かる。時雨だって言われたら軽くパニクッちゃってるくせになー、いけないこのままだと負ける!

「それ、私よりも震離や時雨、紗雪の方だよ……私じゃ……」

「んー……まぁ嫌がるなら無理強いはしないよ」

「……うん、ごめんね?」

「気にしない気にしない、まぁ、私が見たかっただけって言うのもあるけどね」

「プッ、何それ?」

 エスカレーターに乗りながら時雨と話をする。あぁ、こうやってると昔を思い出すなー。
 結局勝ててないけども、まぁ、いっか、皆でこうやってどこかで買い物して、何か食べたりしてね。ん?

「あれ、時雨、このお店って……」

「……うん、あ、このお店は」


――side響――

「……ママ抱っこ」

「……はいはい」

 後ろでそんな会話が聞こえてきて、思わずってか吹き出している。だけど、流に悟られないように笑うけど、声が出そうで辛い。
 だって、ねぇ?
 普通に順応していうる流がもう……ん? 今俺なんて思った? うん、少し落ち着け、落ち着けよ俺! 俺は普通だ、普通の男だ、男が可愛いなんて思わねぇよ!
 そう思いながら、多分嫌がってるだろう流の顔を確認しようと、後ろを振り向き、流の顔を見る。

「……グスッ」

「よしよし」

 ……普段ってか、まだ会って24時間経ってないけど……けど、けど!

「うわぁあああああああああ!!!」

「っ!緋凰……さん?」

「違うんだぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」

 本気で走る。なんか普段から想像出来ない位笑顔で、フレアちゃんをあやしてるのを見て可愛いって思ってないぞ、思ってないんだ! 俺は! 普通だ! 俺は普通なんだ!!!!

「お客様ぁあ!?」

「ごめんなさいぃいいぃいいいぃい!!!!」

 この時俺の中の何かがぶっ壊れた瞬間でもあった。言っとくけど、俺は普通だからな! 絶対普通だからな!



――side流――

「お客様ぁあ!?」

「ごめんなさいぃいいぃいいいぃい!!!!」

 なんか謝りながら走っていく緋凰空曹の後ろ姿を見送る。
 正直に言えば、走って追いかけたいけど、フレアを抱っこしてる状態だと、正直無理で。
 だから見送るしか無いけど……どうしようかな?

(マスター? とりあえず、迷子センターに連れて行ったら良いのでは?)

(うん、それは後で、先に確認取っておきたいから)

(……はぁ)

 アークから念話が届いたけど、それよりも先に。とりあえず、周りに六課関係の人が居ないのを確認してから。

「ねぇ、フレアはどこでお母さんと離れたの?」

「……ぅ、エレベーターに乗ってたら、人に連れられて……」

「……そう」

 正直危ない気がしたけど、多分気のせいだよね。正直その危ない部分が何か分からないけど……うん、もう一つ聞いておこうかな。

「フレアは今日誕生日だったんだよね? ここには何しに来たの?」

「……お母さんが誕生日プレゼントに新しいお洋服を買ってあげるって言ってたら……それで……」

「そう」

 なるほど、服を買いに来たのか。だったら、まだ子供服売り場にいる可能性が高いな……それでも見つからなかったら……。

「……置いてかないで」

「ぅ、大丈夫、見つかるまで一緒にいるからね」

(墓穴ほった! マスターが墓穴ほった!)

(アーク!)

 念話でアークが騒いで、ギルは注意するけど、どっちにしろ傷つくからやめてね? 本当に。
さて、子供服売り場は……ここから3つ上か、あ、ここって男性物が売ってるフロアなんだ……緋凰さんと階段登ってきて良かった、一階だといろいろ駄目だったしね。

「……お母さんエレベーターが来たよ」

「……フレア? 私の名前は流、風鈴流なんだよ」

「……にゃがれ?」

 ……まぁいいです。呼びやすい方がいいでしょうし。

「うん、呼びやすい方でいいよ?」

「……にゃがれお母さん」

 そこは譲らないのかー、なんて考えながらエレベーターに乗り込んで3つ上の階のボタンを押す。
 うん、あんまり人乗ってないんだねー。

「にゃがれお母さん~♪」

「……はいはい」

 男だけど、お母さんって呼ばれるなんて正直思わなかったよ。だけど、悪くは無いかな……。
 頼られることは少ないもんね。

――side優夜――

 あー階段で降りるのめんどくさいな。思ってた以上に、普通にエスカレーターで下れば良かった。さて、男物が売ってるフロアに到着して、辺りを見渡す。
 うん、なかなかいいなー、お? エレベーターの扉が締まっていく。うん、人が多いからもう乗らねぇ。絶対乗らねぇ。
 まぁ、そんなことよりもだ。

「響と流はどこ行ったー?」

 良く解らん口調を呟くけど、言ってて寒くなった。
 けど、あいつらほんとどこ行ったんだ? まぁ、エレベーターに乗ってて人の波に負けた俺が言えることじゃないけども……さて、どこから探すかね。なんて思ってたら。エスカレーターから登ってくるのが二人。

「おぅ、優夜―」

「あれ、迷子だ?」

「……違うからな紗雪?」

普通に挨拶する煌と、会ってそうそうにいきなり失礼なことを言う紗雪にジト目で視線を送る。
まぁ、私を見よって目で語ってるからもうやめるけど。だって、それでも見てたらなんか精神的に負けた気がするからね!

「で、響と流と震離は?」

「あ、知らんけど、時雨と奏は?」

「女性物売ってる場所に行ったから、紗雪も行って来たら?」

「そう、じゃあ行ってくるよ。エスカレーターで」

 やけに強調して言うのをみて察する。紗雪も被害者か。それならば仕方ないな。もう乗って良く解らん場所に折りたくないしね……。
 エスカレーターに乗って登っていく紗雪を見送って、さて。

「どうする?」

「ん、ノープランだ」

「……とりあえず、俺は響の分の服さがすけど、煌は?」

「あぁ、じゃあ俺は三人の捜索かな、優夜はまだここにいるんだろう?」

「んー、まぁ、ここに居なかったらフードコートにいるかもしれんから」

「あいあい、じゃあまたな?」

 そう言って煌もエスカレーターに乗って、また下ってく。
 まぁ、上には時雨達がいるし、このフロアには俺がいるし……まぁ、大丈夫だろ。さて、適当に決めるかな。



――side震離――


「……本当に付き合わせてしまって、本当にごめんなさい」

「いえいえ、お気になさらず~、困ったときはお互い様ですよ」

 お隣りを歩く赤っぽい髪のロングの女の人と話をする。
 ん、私? さっきまで迷子じゃなかったかって? そんなことは無い。
 さっきは、響辺りが迷子センターに居ないかなーって思ったから迷子センターが目に入ったんだよ!

「……震離さん? どうかしましたか?」

「ん、大丈夫です、連れのことを考えてただけですよ」

「……本当に探してくださって本当にありがとうございます」

「いえいえ」

 まぁ、私の事は置いておいて、今私のとなりを歩く女の人は、ついさっき出会った人だ。
 髪が赤っぽくて、ロングなこと以外、正直な所、流にしか見えない。
 実際迷子センターに居て、凄く驚いた。
だって、私の第一声が「え!? 流!?」で、この人……いや、フレイさんが「え、えぇ!?」って反応させてしまって驚かせてしまった。
 だって、そっくりなんだもん……本当に、ただ流との違いは、眼の色、髪の色、髪の長さくらいだもん。それ以外はほぼ一緒、流とも同じくらいの身長だしね。

「それよりもフレイさん?」

「はい、どうしましたか?」

「……すっごく失礼な事を聞きますけど、年は……?」

「ん、ふふっ、何歳に見えますか?」

 優しく微笑みながら、逆に聞いてくる。
 うん、わかんない! だって、この人5歳になる娘がいるんだよ!? とりあえず、皆を探しながら、ついでに娘さんを探してる。

 さて、フレイさんの問題にもいい加減答えなければ……あれ?あのベンチに座って、黒い尻尾をはやした人は……あ。

「あ、すいません、ちょっと待って下さい」

「ん、わかりました」

「……おーい、ひーびーきー!」

ベンチに座ってた人が私の声に反応した。顔が見えて、うん。響で間違ってなかった。
だけど、なんか疲れきってる気がするのは気のせいかな? なんかよろよろした足でこっちに来たけど……

「……ぉぅ、どうした?」

「……どうしたの?」

「……いや、ちょっと、俺の中で何かが崩れて……ん?」

と話してたら、私の隣にいる人に視線がいって……あれ、なんか顔が赤くなって、一気に青くなった。どうしたんだろう?

「……何だ流はついに子連れから、そっちの道に行ったの? むしろ行かせたの?」

「……なんか、わかんないけど、とりあえず失礼な事言ってるよね?」

「あ?」

――事情説明中&自己紹介――

 ただ、途中でお前が迷子じゃねぇかって言われたけど、私じゃないもん!

「……えと、その子って、今日……ってか昨日誕生日で、赤い髪のツインテールで赤のチェックのワンピース着てる子じゃないですよね?」

「え!?」

「そして、フレアって名前じゃないですよね?」

「はい、その子です!」

「ぅぉぅ」

 ってなんか響が膝ついてなんか崩れた。分かりやすく言えばorz状態だ。
 この反応から察するに。

「さっきまで、俺その子と一緒にいた」

「あら? あの子は今どこに?」

「あ、待って下さいフレイさん、今はとりあえず流が側にいて、一つ下の階にいると思います。動いてなければの話ですが」

「で、何で響はココにいたの?」

 って私が聞いたらなんか遠い目で、どっか見だしたよ。え、何この反応は?
 ん? そういえばさっき、「……何だ流はついに子連れから、そっちの道に行ったの? むしろ行かせたの?」って私に言ってきたな……そっから察するに。

「何だ、響、流見て発zy」

「あ゛?」

 殺気に近い視線を感じて目をそらす。

「なんでもない、とりあえず行きましょうか、フレイさん?」

「はい」

 なんか後ろで黒いオーラを私に向けて発する響は置いといて……とにかくフレイさんと共に、一つ下の階に向かう。ただ一つ言っておくけど、響が怖いからじゃないからね!?
 あ、そういやさっきの話の続きが残ってなー。よし。

「フレイさんフレイさん?」

「はい?」

「……さっきの話ってまだ続いてますか?」

「さっきの……あぁ、年の話ですか?」

「はい! 何となく回答がわかりました!」

「……お前、そんなこと聞いちゃ失礼だろう?」

 うるさいな響、さっきのやりとり知らないくせに!

「響さんは、私の事何歳に見えますか?」

「……え? あ、あー……少し待ってください」

「……響だって、即答出来ないじゃん」

 うっせ、って目で訴えかけるけど、私は知らない。さて、フレイさんの年齢、私の予想は!

「フレイさんの年は、25ですね!」

「……それはどうしてですか?」

「えっと、フレアちゃんの年が5歳って言うのと、フレイさんの容姿が若すぎるからですね!」

 多分ってか絶対そうだ、これにはちょっと自信がある。
 隣を歩く響も納得したみたいに首を縦に振ってるし。これはいったんじゃない!?
 当てても何ももらえないけどね。それに特殊型を知ってる分、当てやすいと思う。特に響なんて……お母さんめっちゃ若かったしね。

「……もっと上ですよ♪」

「「……えっ?」」

 二人して時が止まって、直ぐに。

「え!? 嘘ぉ!? じゃあ……じゃあ29歳とか!?」

「いいえ、もっともっと上です♪」

 うそぉ……。
 なんて考えてたら、驚いてる響が小さく手を上げて。

「……失礼ですが、32とか3とかですか?」

「……もう少し♪」

 ここまで言われて私と響が顔を見合わせて、顔が引きつる。
 幾ら何でも若い若いって……えぇ~、パッと見流と同じくらいなのに!?

「あ、この階ですよね、響さん?」

「え、あ、あぁ、はい、さっきまでここにいるはずです」

 で、降りてきた階は、男性物とか取り扱ってる所で、本当にさっきまでここにいたんだろうか……こんな時間だから、ボサボサヘッドは……あれ、優夜じゃない?

「あれ、優夜だ、ってかあいつ服買ってるし……おーい優夜ー」

 響が遠くから、声を掛けると大きな袋を二つ持った優夜がこっちに来た。
 色付きの袋だから分からないけど、響だけにしては多くない?

「おぅ、迷子二人」

「違うよ!」「かもな」

 私は一人で否定して、響は軽く認めてるし……あれ、もしかして私だけ孤立してたのかな……? いや、そんなこと無い、とりあえず優夜にも事情を……って、響が説明して、もう終わってるし。

「……いや、しばらくここにいるけど、流は見てない」

「え? じゃあ赤いチェックのワンピ来た女の子は?」

「いや、もっと見てない。子供が居たら印象に残ってるだろうけど……無いからな。
 すいませんフレアさんお役にたてなくて」

……あれ? そうすると、本当にどこ行ったのか分からなくなったんじゃ……なんか響の顔見ると若干青ざめてるし、フレアさんも青くなってるし……あれ、本当にヤバい。

「おーい、響と優夜ー」

「「「ん?」」」

 なんか重苦しい雰囲気になった頃にエスカレーターから煌が登ってきた。
 とりあえず。

「煌―、下の階で赤いチェックのワンピ着た女の子か、流の何方か見なかった?」

「いんや、見てない、下の階見てきたけど、居なかった……あ、風鈴君……じゃない。そちらの方は?」

「あぁ、この人は……」

 って優夜と響が煌に説明している間、私はフレアさんの隣に移動する。
 私自身、ちょっと役になってないからね、それで……

「……ごめんなさい、フレイさん」

「いいえ、こちらこそ協力してもらってるんです、こちらこそ本当にごめんなさい……元々私がいけないです、私が……」

「いえ、でも、いいお母さんじゃないですか!」

「……何時もあの子の側にいてあげられないから……誕生日の時くらい一緒居ようと……」

 あぁ、なんかフレイさんのネガティブスイッチをいれちゃった……いけない、どうしたら良い? 落ち着け、響はーって、話ししてる……優夜―って、同じく会話中……煌……はもっと会話中だ。男どもはどこに居るかの会議中だし。
 どうしたら……あ。

「フレイさん、誕生日プレゼントって何買う予定だったんですか?」

「え、あ、今日はあの子に新しいお洋服を……」

「それはあちらも知ってるんですね?」

「え、えぇ、ちゃんと伝えて一緒に買おうねって……」

 よし、分かった。流がこのフロアに居ないって事は、多分一緒に子供服売り場のある階に行ったと推測して。

「響、ちょっと行ってくるよ」

「分かった、どうするエレベーターで行くか?」

 フロアマップを見ながらいう響に、

「はぁ!?」「また逸れるだろうが!」「ばかじゃないの!?」

「何で俺がそこまで言われなきゃいけないんだよ!?」

 ブチ切れながらそれぞれ返す。いやだってそうでしょ。また逸れたら面倒だし。

とりあえず、階を確認して……三つ上か!

「ごめんなさい、フレアさん!」

「えぇ、きゃ!」

 フレアさんを抱えて……早い話が、お姫様だっこして、とにかく急いで子供服売り場に向かって走りこむ。だけど、お姫様だっこって憧れるよね!でも、だっこしてから気づく、フレアさんの顔を見れば見るほど、流にそっくりだよなーって。

 ちなみに男どもはというと。

「お客様ぁああああ!? あ、先程の!」

 店員さんに注意されると思ったら、響と目がバッチリあってそちらに行く。

「やっべ」

「何したお前!?」

「巻き込むなや、今登ってきたばっかりなのに!?」

 ありがとう響。私のために犠牲になってくれて。さて、急いで親子の対面をさせようかな。
 ……今日は服買えないなー、でも、ま、いっか。急いで階段を駆け登ってる最中に。

「はっ、はっ、はっ、はぁ」

「……大丈夫ですか、震離さん?」

「勿論ですよ、ただ、思ってた以上に長くて、エスカレーター使えばよかったって後悔してます」

 ちょっと中腰の体制で息を整える。まさか男を犠牲にして、階段登ったら思ってた以上にきつくて、もう二度と走って……人を抱えて登るかって。
 まぁ、それはさて置いて。

「ふー、はー、ふぅ、さて、フレアちゃんを探しましょう!」

「はい」

 私がそう言うと、フレイさんはニッコリと笑ってくれる。多分さっきの話で内心すぐにでも探し回りたいはずなのに、私が息を整えるのを待ってくれた。
 というか本当にすごいなとおもう、流が付いてるとはいえ、フレイさんからしたら初対面の人に預けてるようなもんだから、生きた心地がしないはずなのに。それでも落ち着いてる。だから、本当に。

「……すごいなぁ」

「……凄くないですよ」

「え、あ、その……」

「気にしないで下さい、私は何時もあの子を待たせてるんです。
 今日だって本当は一緒に居れるはずだったのに、私が仕事を優先させてあの子に寂しい思いをさせて……本当、ダメな母親ですね」

 そう言って笑うフレイさんの笑顔は凄く痛々しい物だった。たしかに一般的な母親の像から考えると正直ダメな方だと思う。だけど、だけど私の中では―――

 ―――化物!何で、何であんたなんか■■■■■■■よかったのに!!!

 ふと、昔の事を思い出した。あの人のことを。あの時の事を。

「……りさん? 震離さん?」

「え、あ、はい?」

「どうしましたか?急に?」

「あ、いえ、少し考え事を……というかフレイさんはダメな母親じゃないですよ?
 こんなにも心配してるんです。それだけで十分優しくて、暖かい人だって伝わってきます」

「……そう、ありがとう」

 さっきと違って、今度は本当に温かい笑顔を浮かべる。うん、この人はこの笑顔が本当に良く似合うなぁ。きっと流も笑ったら似合うんだろうな。
 だけど、私も本当馬鹿だな、今更昔のことを思い出すなんて。あの人はもう関係の無い人。今更どうこう思う人じゃない。うん、もうやめよう今は流達を探すことに専念しよう。

「……いませんね」

「えぇ、移動したのかな?」

 だけど、流の事だ流もフレアちゃんから話を聞いてたら多分ここに来てるはず、だけど……姿が見えない。少し歩いて見ると。

「……あ、叶望さん」

「え?」「あ、流」

 柱の陰のベンチに座っている流と、流の膝枕で眠る女の子……多分この子がフレアちゃんだね、きっと。そう思いながら、フレイさんの顔を見ると、本当に安心したみたいで、自然と顔が微笑んでる。
 うんうん、よかったよかった。
 だけど、なんか流が妙にこなれてるっていうか、母親っぽい感じなんだけど……あれ、なんか流の目が点になった。あ、フレイさんも目が点になった。あ、紹介してないや。

「あ、えっと、流この人がその子の……フレアちゃんのお母さんの」

「へ、あ、えと、フレイ・A・シュタインと言います」

「あ、ご丁寧に、自分は風鈴流と言います……申し訳ないです。フレアちゃんを……その」

「あぁ、いえ、事情は分かってます。本当にありがとうございます」

 優しく微笑みながら頭をさげるフレイさんと、釣られて頭を下げる流。だけど、眠るフレアちゃんに気を使って、起こさないようにゆっくり動く。本当にこなれててなんか凄いな。
 だけど、フレイさんは、もう慣れたようだけど、流はまだ驚いてる。

「あ、そうだ……そのシュタインさん?」

「フレイでいいですよ?」

 ニコニコしながら一言。

「え、あ」

「フレイでいいですよ?」

 もう一度。

「ぅぁ」

「フレイでいいですよ?

「……フレイさん」

「はい?」

 ……フレイさん凄い!
 私まだ名前呼んでもらったこと無いのに……一瞬で呼ばせた……今度私もやってみようかな、でも失敗しそうだけど。ちょっと無理矢理距離を詰めよう! うん、そうしよう。そして、失敗を返上するんだ。

「その、フレアが言っていたんですけど、プレゼントなんていらないから、少しでも一緒にいてほしいって。さっきまで言ってました」

「……はい」

 おずおずと告げる流に対して、それを真摯に受け取るフレイさん。

「だけど、フレイさんの事が大好きで仕方がないみたいですよ」

「……ありがとうね、流さん?」

「いえ」

 ……さん付けで呼べば私も最初の時、あんなに地雷を踏まなくて済んだのかもなー。

「えっと、今なら熟睡してるみたいなので……起こさないように」

「あ、はい、背負いたいので、私の背中に」

「はい、起こさないように……」

 おぉ、流がゆっくりフレアちゃんを抱いて、フレイさんの背中に乗せた……本当に上手いなー。
 なんて考えてるうちに、いろいろ準備が終わったっぽい。

「流さん、ありがとうございます」

「いえ、この後はどうされるんですか?」

「……そうですね、明日までお休みなので、今日はもう帰ります」

「はい、そうしてあげてください」

 ……普段は絶対に見せそうにないくらい可愛らしい笑顔を浮かべて、フレイさんも優しそうな笑顔を浮かべてる。

「あ、そうだ流さん、震離さん、響さん達にも伝えてください。何か困ったことがありましたら、私に言ってください」

「え、あ、でも」

「大丈夫ですよ、管理局につなげて私の名前を言ってくれたら繋がりますから。
 今日は本当にありがとうございます」

「あぁ、いえ、こちらこそ、本当にすいません」

 そう言って流もフレイさんも頭を下げる。うん、本当似てるようで全く似てないなと思う。ううん、今はまだそう思うだけで、本当は凄く似たもの同士なんだろうな。

「それでは、失礼します、震離さん、流さん、おやすみなさい。響さんや、女の子達にもお伝え下さいね」

「はい、おやすみなさい」

「おやすみなさい」

そう言って、エスカレーターに乗ってゆっくりと下っていった。
だけど、本当にいいお母さんだよなー。あ、そうだ。

「流?」

「なんでしょうか?」

 ぅぁ、私の心が折れそうになった、だって、さっきの優しそうな表情とは打って変わって、いつも通りの無表情に戻ってて、正直心が折れかけた。
  だけど、私負けない! いろいろもう手遅れの気がするけど負けないし!

「とりあえず、奏達が女性物売り場にいるから合流しない?」

「そうですね」

 ごめん、負けないって言ってたけど正直折れそう。ここまでギャップってか、態度の変わり様がすごすぎます……。


――side響――


 登ってくるエスカレーターの見えるベンチに俺と奏が座ってる。さて、一言。

「死ねる」

「……そりゃあ、店員さんから逃げ回りながら、階段登ってきたら誰だってキツイよ」

「……言わないで」

「いや、自分でやったことだし仕方ないよ」

 うん、俺もそう思う。というか自分でまいた種だからな。仕方ないけど。仕方ないけどあの店員さんすごすぎだろう!?壁走ってたし。俺の気のせいじゃなければね!?

「ま、真相は知らないから、なんとも言えないけどね」

「で、奏は服買ったのか?」

「ん、うん。ほら」

そう言って奏の手には大きな袋が二つあった。いろいろ買っても二つは多すぎじゃないか? まぁ、俺が言っても仕方ないけど……そういや、優夜も二つ持ってたな。

「あぁ、これ、震離の分、あの子結局ここにこなかったし、多分優夜の奴も響と流の服だと思うよ」

「……うわぁ、マジでありがてぇ」

「よかったね? ま、中身に対して文句言っちゃいけないよ?」

「……あぁ」

本当にそうだよなぁ、買ってもらってるのに文句言うとかアウトだろう。後でお金払っとこう、ついでに流の分も払っておこう、え? 他意は無いよ? 普通に迷惑掛けたからそのお詫びだ、深い意味はない。絶対に。

「そういや、まだ来ないな」

「そうだねぇ」

「ま、来たらすぐに降りなきゃいけないけどな……そういや」

 携帯端末を取り出して、時計を見ようとすると。

「もうこんな時間か。午後10時だよ」

「ありがとう」

 いつの間にか端末を片手に奏が教えてくれた。言わなくても伝わってるから正直凄くありがたいな。
 それよりも流が来たとき対応をどうにかしないとなー。って。

「噂をしたらなんとやら」

「そうだねぇ」

 ベンチから立ち上がって、二人に声をかける。フレアちゃんがいないところを見ると、ちゃんと親子を再会させて返してあげたんだな。まぁ、その話はまた今度でいいか。

「おまたー」

「すいません、逸れてしまって」

 うん、流は悪気がある……ってか、悪いのは俺の方なんだけどな。というか、さっきと違ってお前、ほんと無表情だな。
 まぁ、ソッチの方がやりやすいからいいんだけど、それにしても震離よ?

「少しは悪びれろ」

「……逸れてないし」

「それは多数決で決める。さて行くぞ」

 震離に言いながらさっさと下りのエスカレーターに乗って、一つ下に降りる。
 まぁ、流は静かに付いてきて、震離は「また下るのー」とかなんとか文句をたれながら付いてくる。とりあえず、黙って付いてこい。

「ま、付いてきたらいいものがあるよ?」

 奏がそう言ったら、震離が納得する。ていうか、何で奏が言うとお前はちゃんと言うこと聞くんだよ!?
 まぁ、いいか、とりあえずさっさと目標の店を探して……あった。

「ほれ行くぞ?」

「あ、このお店って、え、こんな時間にもやってたんだ!? ってかここに入ってたんだ! 凄い!」

 うん、そういう情報に疎い震離がそんだけ言うってことは本当にここ有名なんだな。
 ミッド語で、カフェ「スカイメイル」。なんかここで作られるケーキやアイス、お菓子等が最近の女の子の中でブームになってるらしい。まぁ、どうでもいいんだけどって。

「どうした流?」

「あ、いえ、なんでもないです」

 なんか目がキラキラしてる……その視線の先を追っかけると……なるほど。
 まぁ、一緒に頼むか。甘すぎなければある程度いけるし……。
とりあえず店内に入って……ってか閉店が近いせいってこともあってほっとんど人いねぇな、ある意味穴場じゃないか。

「よ、お待たせ」

「おせぇよ、響」「二人とも、お疲れさん」「流ー、お疲れ?」「二人とも、一緒に食べよう?」

 まぁ、たまにはこんなこともいいかな。

 さて、流がほしがってるパフェでも頼んで皆で食べるか!


――side親子――

「んむ……あ、おかあひゃん?」

「はーい?」

「ありぇ? にゃがれは?」

「フレアが寝てるから、先にかえっちゃった」

「……また会えるかな?」

「……うん、会えるよ、流さんは勿論、皆管理局員みたいだし」

「おかあひゃんよりもえりゃいの? でも、おかあひゃん、上から数えたほうが早いよね?」

「さぁ? どうかな、そうだ明日も一緒に入れるから、また買い物に行こっか?」

「んー、フレアお絵かきしたい、にゃがれの絵を書いて、今度あげる」

「そう、それはいい考えね、だけど今日はもうおやすみなさいしよっか?」

「……うん、おやすみ……なしゃい」

「はい、おやすみなさい」

 うん、フレアを寝かしつけてから、リビングに戻ってソファに座る。
 そして、今日の……いいえ、少し前の出来事を思い出す。フレアがいなくなって本当に焦ったけど、それよりも……

「まさか、ね、あんなところで出会えるなんて思ってもいなかったよ。
 13番目の守護の翼、これは私も動かなきゃいけないかな、あの子達には助けられたお礼もしなきゃいけないし」

 少し笑みが溢れる。だってね、あの子達がまだ管理局にいるのは驚いたけれど。それは後々調べるとして、とりあえず私が居ない間の報告で変わった事……は。

「……そう、ついに動いたか……これはちょっと急いで動かないとね」

 フレアが起きるその時まで、部屋の中をパネルを叩く音だけが静かに響いていた。

 
 

 
後書き
長いだけの文かもしれませんが、楽しんで頂けたのなら幸いです。ここまでお付き合いいただき、感謝いたします。  
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