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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第147話:Dynasty

アクセルとルインも無事にハンターベースに帰還し、アクセルはゼロの強化チップをゲイトに渡すと全員が司令室でミーティングを受けている。

「それにしても随分と手間取ったようだなアクセル」

「仕方ないでしょー?ルインがカプセルの不思議なお爺さんを幽霊だと勘違いして逃げちゃったんだからさ。スクラップなんかにガタガタ震えながら身を潜めてたんだから捜すの大変だったんだよ?」

「うう、それを言わないでよアクセル…後でお養父さんに謝らなきゃ…取り敢えずダイナスティの一般人及び、レプリロイドの避難はまだ完了していない…。出撃しようにも、彼らを巻き込んでしまう可能性が高い…危険すぎるね……」

「だが、このままではイレギュラーのメルトダウンを誘発する。今出る他はない」

一般市民を巻き込んでしまう可能性があることにシグナスは頭を悩ませるが、しかしこのままイレギュラーの放置をしているとダイナスティが大変なことになるために、ハンターチームの出撃させようとする。

「あなたはどう思う?アイリス?イレギュラーの分析能力に長けているあなたの意見を聞かせてもらえるかしら?」

「そうですね…危険は承知していますけど……私も出撃するべきだと思います。機動力に長け、ホーミング弾を持つシリウスで攻めて、ターゲットを叩くのが最善でしょう」

「そうだな、それでは誰がダイナスティに向かう?」

アイリスは直ぐさまダグラスに空戦特化型ライドチェイサー・シリウスの手配をするようにパネルを叩く。

「ターゲットはギガボルト・ドクラーゲン。飛行能力を持っているから、この中で有利に戦えるのはルインとアクセルね」

「ルインとアクセルのチームか…ルインならセイバーやバスターが使えるし、アクセル同様に空戦も出来る。2人なら奴とまともにやり合えるかもしれないな」

「それにルインさんはエックスさんと同じくらいシリウスの操縦が上手ですし。セイバーやバスターだってエックスさんやゼロさんにも負けないですもんね」

ルインは遠近共にこなせるオールラウンダーだ。

この中で尤も、ギガボルト・ドクラーゲンとの戦いに向いている人物はいないだろう。

「アクセル、特殊武器の会得を忘れないでね?どうやらドクラーゲンは鉱属性の攻撃が苦手らしいの。トリロビッチのDNAデータの解析を忘れないで」

「分かったよ」

アイリスに促されたアクセルは即座にDNAデータの解析をして、トリロビッチ、カマキール、コケコッカーの特殊武器を会得する。

「では、ルイン…アクセル…ダイナスティへの出撃を頼めるな?」

「はい。」

「OK、任せといて」

「それでは、エックスさんとゼロさんのチームは次の出撃場所での転送・移動の場所が分かるまで待機していて下さい」

「了解した」

「次の出撃場所が決まったら教えてくれ」

エックスとゼロはパレットの指示に頷き、アイリスが格納庫にいるダグラスに通信を繋ぐ。

「ダグラスさん。ダイナスティにはルインとアクセルが出撃します。ルインとアクセル専用のシリウスの用意をお願いします」

『おう、任せとけ』

「パレット。引き続きはハンターチームのナビゲートを頼むぞ」

「任せて下さい。ルインさん、アクセル…気を付けて下さいね」

「「了解」」

エックス達はシリウスの置かれている格納庫に向かうルインとアクセルを悲しみを耐える瞳で見送った。

高性能な新世代型レプリロイドが相手でも遅れを取ることはないだろうが、傷つかないはずがないから。

格納庫に向かうと今ではハンターベース最古参のベテランメカニックのダグラスがルインとアクセル専用にチューンアップされたシリウスを用意してくれていた。

「よう、アクセル、ルイン。頼んだぜ?相手が高性能な新世代型レプリロイドだろうと関係ねえ。いつも通り思いっきりぶちかましてやりな!!」

「勿論、任せといて」

「すぐに終わらせて帰ってくるよ」

2人はシリウスに乗り込んでダイナスティに向かって全速力で向かうのだった。

ダイナスティは大企業が数多く進出する巨大都市であり、ネオンが派手な光を放ち、雑多に並ぶ高層ビルを照らし、地表の最も美しい星空と言っても過言ではない。

街をひしめくビル群は遠目から見ると巨大な塊を思わせ、シリウスに乗っているルインとアクセルに、自分達はこれからその塊に突撃するのではないだろうかと思わせた。

『ルインさん、アクセル。移動中のターゲットを捜し出して下さい…ドクラーゲンに何度かシリウスのショットを当てれば暴走を止められるはずです。都市エリアの道路には、まだ避難の終わっていない民間のエアカーも残ってるみたいです。彼らを巻き込まないように気を付けてあげて下さい。頑張って!!』

通信を受けたルインは目を瞑り、アクセルは目付きを鋭くして意識を集中する。

全身の感覚を研ぎ澄ませ、イレギュラーの位置を捉えようとする。

「…そこだっ!!」

「当たれ!!」

カッと開いた瞳に、豆粒の如く小さな光が映る。

火花を散らしながら暴走するそれが、ギガボルト・ドクラーゲンであった。

ドクラーゲンは体に溜め込んだエネルギーを使って、力の限り暴走する。

アクセルが即座にショットを放ってドクラーゲンに直撃させるが、ドクラーゲンは構わず街を駆け巡る。

「…行かせないよ!!」

シリウスのアクセルを最大まで噴かして、一気に接近すると同時にショットを放つ。

ショットが機関銃の如く炸裂し、ドクラーゲンが直撃を受けて狂ったような笑い声を上げた。

「まともな反応すら出来ない程にイレギュラー化が進行しているんだ…本当に新世代型はイレギュラー化しないなんて言葉はアテにならないね」

「一応僕も新世代型だけどね。」

「アクセルは彼らとは違うでしょ?アクセルはアクセル。彼らは彼ら」

「………ありがと」

アクセルとルインはドクラーゲンに向かってショットを連続で放っていく。

ドクラーゲンの体を爆煙が包み込み、ルインとアクセルが爆煙に意識を移した瞬間にドクラーゲンの爆弾が席巻した。

「っ!!」

「うわっ!!」

あまりにも突然のことに思わずシリウスを急停止させたが、爆煙がルインとアクセルを無粋に包み込んだ。

何とか直撃は避けられたが、2人は炎の熱と黒煙をまともに浴びてしまう。

「よくも…」

『ルインさん、アクセル。怒っちゃ駄目ですよ!!落ち着いて下さい!!』

「それくらい分かってるよ…喰らえ!!」

ちっとも落ち着いてないが、2人の怒りのショットは敵を射抜き、みるみるうちに敵の機動力を削いでいく。

ダメージの蓄積によってドクラーゲンの体から火が噴き始めた。

「後少しで敵に追いつくね…行くよアクセル…準備はいい…?」

「何時でもOKさ」

ターゲットを逃さぬように、慎重に追い掛けていた。

減速した敵は猛スピードで走り回っていたとは思えぬ程にふんわりと、捉えどころのない顔をしていた。

追いついたビルの屋上で上空を漂う敵を睨み据える。

「ギガボルト・ドクラーゲン…。メガロポリスのエネルギー暴走を今すぐ止めて」

「ドクラーゲンさん、一体どうしちゃったのさ?このままだとメルトダウンしてあんたもおしまいだよ…?」

「…………」

ルインとアクセルの問いにドクラーゲンはただ呆けるだけでルインはドクラーゲンの虚ろな表情を見て、悟ったような溜め息を吐いた。

「もう、何を言っても無駄なようだね」

「あーあ、口も利けないほどイレギュラー化しちゃってるんだ…」

「………俺のしていることは無駄じゃないよ…イレギュラーって、何…?」

海月型のビットが舞い降りる。

ルインはセイバーで、アクセルはドクラーゲンの弱点らしきトリロビッチのDNAデータで会得したバウンドブラスターで無力化する。

「イレギュラー?あんたみたいな奴のことだよ。」

「そして無駄じゃないなら無意味だね。罪のない多くの人間やレプリロイドを犠牲にすることに何の意味があるというの?」

アクセルの援護を受けながらルインはドクラーゲンとの距離を詰めてZXセイバーを振るう。

翡翠の輝きを放つセイバーは天を刺し、ドクラーゲンの足を僅かに斬った。

モチーフとなった海月のように骨格のない足がゆらゆらと揺れる。

「あの方が新しい世界を創るためにエネルギーが必要だったんだよ」

触手が獲物であるルインを捕らえるように伸びるが、電撃を帯びた両腕は容易くセイバーで弾かれてしまう。

ドクラーゲンが初めて驚きに目を見開いた。

「残念だったね。君の攻撃は私には効かない」

セイバーを手に静かに言う。

まるで明鏡止水の諺を体言したような姿であった。

「……………」

ギガボルト・ドクラーゲンは朱の舞姫と謳われる戦士を、初めて意志のある瞳で見つめていた。

漂うばかりの水海月が、船の碇に貫かれたような衝撃を受けた。

彼が正常であり、意志を言語化出来たのなら恐らくこう言っていただろう。

“こんな強い女性がいるなんて…”。

「僕を忘れないでよドクラーゲンさん!!バウンドブラスター!!」

「っ!!」

再び反射エネルギー弾を放ってドクラーゲンに直撃させると、今まで反応が薄かったが、流石に弱点属性の攻撃は堪えたようだ。

「流石に弱点は効くようだね」

「トリロビッチの技だよね…痛かった…でも、それでも俺は止められないよ………サンダーダンサー」

身体が緋色の光を発し、ドクラーゲンはその直後に強烈な電撃を放出した。

ドクラーゲンのスペシャルアタックのサンダーダンサーは正に天の雷の光そのものであり、メガロポリスの膨大なエネルギーがそのままルインとアクセル目掛けて落ちていく。

「やばい…」

息を呑んだ瞬間、雷が枝分かれして地面に注がれる。

ルインは咄嗟にダッシュすることで、電撃をかわし、次の一撃もギリギリでかわす。

「放電が激しすぎる…なら…本体を叩けば!!」

ルインはチャージセイバーを、アクセルはバウンドブラスターを繰り出すが、衝撃波とエネルギー弾は放電のバリアに阻まれてしまい、ドクラーゲンの体に傷をつけることは出来なかった。

攻撃する間に、放電が頂点を迎えて再びスペシャルアタックが炸裂する。

電撃がルインの真上から降り注ぐ。

「ルイン!!」

「っ!!」

咄嗟に構えたセイバーに白い火花が真昼の陽光の如く鮮やかに散った。

電撃で空が真っ白になり、強烈な光にルインの姿が消えると上空からは跡形もなく消し飛んだように見えた。

ドクラーゲンは光の爆発を遠い目で見る。

「これで終わり…」

「残念だねドクラーゲン、まだ終わりじゃないんだよ」

言い終わらぬうちにドクラーゲンのボディを紫の閃光が貫いた。

「……え…?」

胴を紫色の輝きを放つセイバーが貫いていた。

刃の先が彼の背中に生え、腹にはセイバーが深々と刺さっていた。

アルティメットセイバー

“究極”の名を関する光の剣がドクラーゲンを串刺しにしたのだ。

地上には血を思わせる紅いアーマーを身に纏うルインが体から煙を上げながらも立っていた。

咄嗟にアースクラッシュの衝撃波でサンダーダンサーの雷撃を逸らしてダメージを軽減させたのだ。

「……嘘…」

胴から火花を上げ、目の醒める光を上げて大破し、後に残ったのは爆発の黒煙とドクラーゲンの残骸のみであった。

対象を失ったセイバーが一直線に落ち、ルインが立っている地面に突き刺さる。

「やったねルイン!!」

「うん、そうだね」

しかし、ドクラーゲンのサンダーダンサーの威力は軽減しても凄まじく、ふらつくルインはアクセルに肩を貸してもらうとドクラーゲンが消えた空を真っ直ぐに見つめた。

吹き荒れる風が彼女の美しく長い金髪を靡かせる。

「新しい世界は君達が創るものじゃない。この世界を必死に生きるみんなが創っていくんだよ…それに…時代っていうのは、前のを壊して創るんじゃなくて…次の世代に受け継がせていくものなんだよ…」

「…………」

アクセルも空を見上げる。

2人の翡翠の輝きを宿す瞳は人類の移住の地である夜空に浮かぶ月に注がれていた。 
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