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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第131話:Training Time

全てのレッドアラートのメンバーを倒したエックス達はデボニオンの残骸の調査をしているゲイトの報告を司令室で待機しながら待っていた。

「さて、これでレッドアラートの主力の面子は大体倒したわけだ。残りはレッドのみ…のはずなんだよな」

「…………」

「アクセル、落ち着いて。今は報告を待とう」

「大丈夫。心配しないで」

それだけ言うとアクセルはバレットを取り出した。

パレット達によって強化が施されたバレットはハンターベースに来る前とは比較にならないくらいパワーアップしている。

「(バレットだけじゃない。ルナやパレット…みんなから貰った力で絶対にレッドを止めて…センセイをぶちのめしてやる)」

「ところでゼロ、君も新しい武器を開発したんだって?」

「ああ、長物の武器、Dグレイブだ。セイバーよりはリーチが長いから少し離れた相手に使えそうだ。」

「私もハルバード使うから相手しようか?」

「そうだな」

しばらく会話をしているとゲイトが調査結果を片手に司令室に入ってきた。

「やあ、みんなお待たせ」

「ゲイト、どうだった?」

調査結果を尋ねるシグナスに対してゲイトは調査結果の報告書をシグナスに差し出しながら口を開いた。

「ルナの予想通りだったよ。デボニオンの体内に大量のDNAデータが直接組み込まれていた形跡があった。」

「やっぱり」

「みんなも知っているだろうけどDNAデータはレプリロイドの精製情報の塊であり、人格プログラムもインプットされているからこれを直接組み込むと言うことは体内に別人格を組み込むのと同じであり、過度に使用すると使用者の人格が崩壊してしまう。デボニオンは正にそれだった。しかしこんな技術を持つレプリロイドはレッドアラートには存在しないはずなんだがね。この技術を知る者は極一部に限られる」

「そうだな、あまりにも危険な技術故にこの技術を知る者は監視がつけられているくらいだからな。」

「うーん、DNAデータによる強化か。何か昔にそういう事件がなかったっけ?」

「ああ、確かにあったわね。シグマがベルカナと言うレプリロイドと結託してDNAデータで………あ…」

かつてのイレイズ事件を思い出したアイリスはハッとなり、それを聞いたエックス達の表情も険しくなる。

「そう言えばシグマは体内のシグマウィルスの自己進化能力の応用でDNAデータを解析することによる自己強化が出来たな。」

「ラーニングシステムのウィルス版だね…確かにシグマなら…って、あいつ死んだんじゃないの?」

「あいつの生命力は俺達の想像を遥かに上回っていたということだ…以前…地上の残滓をかき集めて復活したんだ。まあ、奴にはもう地上を混乱に陥れる力はないだろう。レッドアラートを姑息な手段で利用していることを考えるとな」

何せ残滓での復活だ。

恐らくシグマは力を取り戻そうとDNAデータによる強化のため、コピー能力を持つアクセルがいるためにイレギュラーハンターの次にDNAデータを多く保有するレッドアラートに接触したのだろう。

何せ世間ではシグマは既にシグマウィルス諸とも死に絶えたと思われているのだ。

非合法の組織であるレッドアラートはシグマが利用するのに絶好の組織だったという訳だ。

「もしレッドアラートの連中をパワーアップさせたのがシグマなら正直復活は予想外すぎたな」

「ああ、あの時戦ったシグマはもう殆どゾンビのような姿だったからな…あいつ自身の復活も偶然が重なって出来たようなものだし、もう復活はしないんじゃないかと思っていた俺達のミスだな…」

「シグマ…」

もしエックス達の仮説が正しいのなら史上最強最悪のイレギュラーにレッドアラートが狂わされてしまった。

そしてその一端となってしまった自分に苛立ちが汲み上げてきた。

「アクセル、その怒りは元凶との戦いまで取っておけ」

「うん、分かってるよ。僕がここで怒り狂ったって何にもならないからね。」

今は怒りを爆発させる時ではない。

爆発させるのはレッドアラートを利用した元凶を叩き潰す時だ。

「元凶がシグマであろうとそうでなかろうと、レッドアラートのアジトが見つからなければどうにもならない。お前達は来るべき時に備えてトレーニングを重ねるか、体を休めておけ」

シグナスがこれからのことを考えてエックス達に休むか、戦闘訓練を勧める。

【了解】

「あ、エックス。時間が空いたら私の訓練に付き合ってもらえるかしら?」

「ゼロも私の訓練を見てもらえる?」

「良いぞ」

「?エイリアとアイリスはオペレーターでしょ?訓練する必要あるの?」

「あ、アクセルは知らないんだっけ?イレギュラーハンターでは自衛のためにオペレーターもそれぞれ武器を持っていたり、搭載してるの。良かったらアクセルも見ていったら?」

「うーん、そうだね。興味あるし見てみるよ」

オペレーターの訓練と言うのに少し興味を覚えたアクセルも行くことに決めた。

「それじゃあ、30分後で良いかな?」

「ええ、お願い」

総監の指示に休息やエイリア達のトレーニングのためにエックス達は司令室を後にしたのであった。

エックスが指定した時間となり、エイリア達はトレーニングルームで仮想エネミーとの模擬戦闘を開始した。

「エイリア、今回のトレーニングはほぼ実戦と同じだ。仮想エネミーの攻撃を受けたらダメージを受けるから気をつけて」

「分かったわ」

エックスが何時でもエイリアをサポート出来るように腕を既にバスターに変形させている。

「本当にエイリアが訓練するんだ。でも何でオペレーターなのに戦闘訓練するの?いくら自衛でもちょっと過剰じゃない?」

オペレーターには女性型が多い。

設計段階で骨格が頑強な男性型は基本的に前線に駆り出されるから、結果として女性型がハンターの支援に回ることが多い。

勿論、男性型より柔軟性の高い女性型にしか出来ない動きがあるからルインやルナのように、女性型でも前線に出る者もいるからそうと言う訳ではないが。

「確かきっかけになったのはコロニー事件の時だったよねゲイト。確かダイナモがハンターベースに攻めてきた時。」

コロニー事件の時から行われていたことだからルインでも説明することが出来た。

「そうだよ、あの時はエックス達がパーツ収集のためにいなかったとは言えあまりにも簡単にダイナモの潜入を許してしまい、エニグマの守りや整備に回していたハンターもやられてしまったことで戦力が少ないと言う現在でも続いている当時のイレギュラーハンターの問題点が露呈してしまったからね。エニグマを守ろうとしたアイリスもルナが助けに入らなければ殺されていただろう。それを少しでも改善しようと提案されたのが…」

「オペレーター等の非戦闘員の武装化だよな。これによって…まあ、無いとは思うけど…万が一ハンター達が動けない場合に臨時にハンター代理として出向くことも出来るようにしたんだよな?」

ゲイトの言葉に続くようにルナも説明すると、彼女の説明にゲイトは頷き、説明の続きをする。

「そう、これにはアイリスやエイリアがかなり積極的だったんだ。やはりエックスやゼロの戦いを見てきた分、彼女達にも思うところがあったんだろう」

エックスがサポートに徹してエイリアはバスターを構えてチャージショットで仮想エネミーを撃ち抜く。

「あれは…」

「気付いたかい?エイリアのバスターはエックスのバスターを参考にし、高い攻撃力と拡張性を持ち、そして彼女のアーマーはエックスの戦闘データを基にして改造したのさ…ただしエイリアはエックスのように強化アーマーを装備することが出来ないために性能の底上げが出来ないからどうしてもエックスの劣化となってしまう。そこら辺はエイリアの情報処理能力で補っていくしかないだろうね」

エイリアのバスターに気付いたアクセルにゲイトが簡単に説明する。

「エイリア、ルインズマンは防御力が高い」

「分かってるわ。この手の相手にはこれよ!!ボルトルネード!!」

バスターから放たれたエネルギー弾は電磁竜巻を作り出し、ルインズマンのアーマーを削って破壊していく。

そして空を飛ぶフライヤーにはスナイプミサイルで確実に破壊していく。

「うわ、エイリア凄いじゃん!!」

「エイリアの分析能力の高さが分かるな。どんな相手にどんな攻撃が有効なのかを良く理解してる」

しかしエイプロイドにはエクスプロージョンを放つが反動でよろめく。

「っ!!」

「スプラッシュレーザー!!」

よろめいたエイリアを狙おうとするエネミーをエックスがチャージスプラッシュレーザーで殲滅する。

「ありがとうエックス。助かったわ」

「エクスプロージョンはまだまだ調整が必要だな」

じゃじゃ馬な性能の特殊武器に苦笑するエックス。

その後も順調に訓練を進めていき、最後のエネミーを破壊して訓練は終了した。

「お疲れエイリア」

「ありがとう、でもまだあなたのようには動けないわ」

「そんなことはないさ。オペレーターであることを考えれば充分過ぎるくらいだよ」

エイリアの言葉にエックスがそう言うとエイリアも笑みを返した。

「お疲れさん、やるなエイリア。あんたもうハンターでも充分通用するんじゃねえの?特殊武器の選択も見事だしさ」

「ええ、でもアイリスの方はもっと凄いわよ」

「たあっ!!」

エイリアに言われてアイリスの様子を見る。

アイリスはゼロの戦闘データを基に改造されているため、当然戦い方はゼロに準じた物となる。

カーネルの形見であるサーベルを振るってエネミーを撃破していた。

「ほう、やはり兄妹だな。太刀筋がカーネルに似ている。」

「ありがとうゼロ。でも私はゼロのように器用には戦えないわ」

「少しずつ慣らしていけばいい。続けるぞアイリス」

「はい!!」

サーベルを変形させ、Dグレイブに持ち変えるとアイリスは薙刀を構えた。

「水烈閃!!」

薙刀の光刃が水を纏い、そのまま鋭い突きを繰り出された。

そしてルインズマンの胸に風穴を開け、薙刀をサーベルに戻すと一閃した。

「「雷神昇!!」」

上空の敵をゼロと共に繰り出し、互いに互いを守るように武器を状況に応じて使い分けてエネミーを撃破している。

「わあ、2人共凄いです!!まるでダンスしているかのよう!!」

「何て言うか見てて飽きないよね……て言うかさ」

パレットの言葉にアクセルも同意見なのか頷きながら他のオペレーター達の訓練を見遣る。

「馬鹿男共ーっ!!若い女の子レプリロイドに鼻の下伸ばしてんじゃなーい!!」

「さっさと書類を提出しなさーいっ!!」

「出撃の度にライドチェイサーやライドアーマーを壊すんじゃないわよーっ!!」

「もう少し損害減らしなさいよーっ!!」

「こんの馬鹿変態共ーっ!!誰が賞味期限切れの売れ残りですってーーーーっ!!!?死ねえええええっっっ!!!!」

女性オペレーター達が一部のハンター達への不満を撒き散らしながらエネミーに八つ当たりするように撃破していた。

「何かあの人達…エイリア達よりも凄いパワーなんだけど…?」

女性オペレーター達の訓練の凄まじさに引きながら指差すアクセル。

「日頃の鬱憤が爆発してるみてえだな」

何せ彼女達は一般のハンター達の支援を主とし、エイリア達のような専属オペレーターではないため、どうしても優秀な戦績を収めるエックス達とは違い、問題を起こすのかストレスが溜まるようだ。

「アクセル、ルナ、パレット。あなた達はあれを見ては駄目よ」

引き攣った表情で子供達を下がらせるエイリア。

「ねえ、彼女殆どチャージ無しでチャージショットを連発して撃ってるのに息切れさえしてないんだけど?」

「本当に信じられんな。もしかしたら怒りが未知のエネルギーを生み出しているのかもしれん……強いな」

「いや、ゼロ。他にツッコむべきところがあるだろう」

訓練を終えた天然なゼロの発言にエックスは思わずツッコミを入れた。

因みに関係者と思われる男性ハンター達が震えている姿があったのは完全な余談である。 
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