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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第118話:Final Battle

エックスとゼロは禍々しい力を放出しながら此方を睨み据えるルインを真正面から睨み返した。

「ほう、さっきの攻撃で再び仮の人格が表面化したか。エックスもまだまだ戦う気のようだし、結構結構。私も楽しめるからな」

「エックス、さっきの一撃で俺は確信した。」

「?」

「あいつもまた戦ってるんだとな」

「あいつ…ルインが!?」

ゼロの言葉に目を見開くエックス。

それを聞いたことで更に闘志が燃え滾った。

「そうか…なら、尚更負けるわけにはいかなくなった……っ!!」

「そういうことだな」

バスターブレードを展開したエックスとゼロは再びブラックゼロを発動してセイバーを構えた。

「………行くぞ!!裂光覇!!」

「ギガブレード!!」

「真・滅閃光!!」

3人の攻撃が同時に激突し、それを合図に3人は同時に飛び出した。

『……無理じゃ、真の力を失ったゼロでは勝てん』

何とか逃げる方法はないかと考えを巡らせるワイリーだが、ライト博士はそれを冷たく見据えた。

『ワイリーよ、お主は生きていた頃より弱くなったのではないか?』

『な、何じゃと!?』

『昔のお主なら自身が手掛けた最高傑作に絶対の自信を持ち、結果はどうあれ最後まで戦おうとしたはずじゃろう。それが少々の不利くらいで逃げ出すなどと、わしが唯一負けたくないと思い続けて、必死に技術を磨いて対抗して来たかつての友にして終生のライバルにしては情けない姿じゃのう』

ライト博士に言われたワイリーは目を見開いていたがしばらくして不敵に微笑んだ。

『…………ふん、そう言う貴様は死んでから随分と図太くなったのう。まさか平和主義者の臆病者の貴様にそう言われる日が来るとは思わなかったわい』

『お互い様じゃな、お互いあの時とは随分変わってしまった……今だからこそ言うが…わしは、お主が善悪を問わなければ素晴らしい発明をする度にお主に嫉妬しておった。わしでは到底思い付きもしない発明を次々と閃けるお主が妬ましかった。そしてそんなお主に負けたくなくて必死に技術磨いて、理解力の深さでお主に負けないように努力してきたのじゃ…ふふ、こう言うのは不謹慎かもしれんが、ライバルであるお主と必死に張り合っていた時が人生で一番充実しておったよ』

『…………』

『…まあ、今はエックス達じゃな。わしはエックス達がルインのイレギュラーに打ち勝ち、彼女を救い出すと信じておる』

『………貴様、あの小娘に随分と思い入れがあるようじゃな。エックスのあの表情から察するにエックスにとっても思い入れのある存在のようじゃが…まさか、恋仲なのか?』

ワイリーの言葉にライト博士は眉間に皺を寄せると、少しの間を置いて頷いた。

『いずれわしの義娘となる娘じゃった。普段はとても素直で優しい良い娘じゃよ』

『ほう、そんな相手と戦う羽目になるとはエックスのあの幸の薄さは親譲りか。そう言えばロックマンも結果的にとは言えロールを守れんかったしな。妹や恋人の差はあれど、貴様の息子共は女を不幸にするジンクスでもあるのかのう?』

『その原因を間接的に作ったお主が良く言えるのう?ワイリーよ?』

『ふん』

横目で睨むライト博士にワイリーは鼻で笑うとルインに吹き飛ばされるゼロとエックスを見守る。

ライト博士もまたエックスとゼロの戦いを見守る。

限界などとっくに越えているだろうにそれでも戦い抜こうとする2人の姿を見て、隣にいるワイリーの存在を見て、あの時…ダブルギアシステムの件からずっと噛み合わなかった歯車が噛み合ったような気がした。

「プラズマチャージショット!!」

「電刃零!!」

「滅閃光!!」

プラズマチャージショットと電刃零の同時攻撃を滅閃光の弾幕と衝撃波でやり過ごすが…。

「ノヴァストライク!!」

「ぐあっ!!」

滅閃光発動後の硬直を突いてノヴァストライクをルインに直撃させ、まともに受けたルインは勢い良く吹き飛ばされた。

「喰らえ!!」

バスターを構えてチャージショットを乱射し、ルインに全弾直撃させる。

「ダブルアースクラッシュ!!」

チャージショットの乱射に耐えきったルインはダブルアースクラッシュで反撃する。

「真・滅閃光!!」

対するゼロも真・滅閃光でダブルアースクラッシュを相殺するが、ルインはセイバーを構えてゼロとの距離を詰めていた。

「本命はこっちだ!!乱舞で散れっ!!」

「させない!!」

振り下ろされたセイバーをエックスがブレードで受け止める。

全撃決まれば確かに強烈だが、初撃さえ防いでしまえば乱舞は決まらない。

「チッ!!」

乱舞の弱点を見抜かれたことにルインは表情を歪めた。

「電刃!!三日月斬!!断地炎!!」

その隙を突いてゼロは必殺技を連続でルインに叩き込む。

「良いぞ、良いぞ。その調子だ!!ようやく魅せてくれるようになったなあっ!!」

嬉々とした表情でゼロにチャージセイバーと追撃の真空刃を喰らわせる。

「ウィルレーザー!!」

チャージウィルレーザーを発射し、ルインに直撃させるが、特殊武器は通用しないのかダメージがない。

「(やはりシグマウィルスを支配しているルインにはシグマウィルスの影響を受けたレプリロイドの特殊武器は通用しないのか…)」

「ダブルチャージウェーブ!!」

「クレッセントショット!!」

チャージクレッセントショットの衝撃波のバリアで何とか凌ぐエックス。

「真月…」

「アースクラッシュ!!」

光輪をバスターから発射しようとするが、それよりも早くルインがゼロのバスターにアースクラッシュを叩き込むとバスターに亀裂が走った。

「ぐあっ!?…くそ、せっかく復活したバスターがまた使い物にならなくなりやがった…」

しかし幸運と言うべきか、ルインのアースクラッシュも咄嗟に放ったために威力が不充分だったのでバスターの回路が使い物にならなくなった程度で済んだ。

「プラズマチャージショット!!」

再び部分的なレイジングエクスチャージでバスター性能を強化するとプラズマチャージショットを連射する。

ルインは流石にそれを受けるようなことはせずに回避に徹する。

「幻夢零・改!!」

威力は大幅に下がったが使い勝手を大幅に向上させた衝撃波を連続で放つ。

高速と低速の2パターンあるようだ。

「くっ、これは…中々…」

高速の衝撃波に気を取られていたら低速の衝撃波が当たりそうになるため、流石のルインも気が抜けない。

「フロストタワー!!」

「なっ!?ぐあっ!!」

突如降り注ぐ巨大な氷柱にルインは対処出来ずに直撃を受ける。

「この戦いで手に入れた特殊武器はあまり効かないけどそれ以前の特殊武器なら通用するか…)」

チャージフロストタワーが通用したことで以前の戦いで得た特殊武器は通用することが判明した。

「はあああああっ!!」

ルインが裂光覇で氷柱を吹き飛ばし、連続でアークブレードを繰り出してきたことで、迫る無数の衝撃波にエックスとゼロは回避に専念せざるを得なくなる。

『まさかこれ程までとはのう…予想外じゃった』

『ぬうう…わしの最高傑作とライトの最高傑作が組んでおると言うのに食らいつくのがやっととは…あの小娘を造った奴は一種の化け物か何かの類ではなかろうな…』

『…………』

ワイリーの呟きに何も言えないライト博士であった。

『まあ、ゼロとエックスもラーニングシステムを持つ小娘にこのまま戦い続けても不利になる一方であることは分かりきっとるじゃろう。最後の一撃をどう決めるかがこの戦いの鍵となるじゃろう』

『うむ…』

ワイリーの言葉に頷きながらライト博士はエックス達の戦いを見守る。

「ダブルサイクロン!!」

両手から放たれる竜巻だが、ルインはそれをセイバーで斬り裂いて無力化した。

「はあ…はあ…ふ、ふふふ…予想以上だったよ貴様らは。正直ここまで楽しめるとは思わなかった。だが…そろそろ終わりにしようか」

息を切らしながらも笑みを浮かべるルインにエックスとゼロは表情を歪めた。

こちらは既に限界が近付いていると言うのにあちらにはまだ余裕がある。

「………ゼロ、バスターはやはり使えないか?」

「残念ながらな…この腕ではバスターどころか真・滅閃光さえ1回しか使えないだろう」

「なら、ゼロ…前に使ったあれを……」

「……ああ、真・滅閃光で同じことが出来るか分からんが…やってみるか…」

「その後に…俺にさっきの幻夢零を放ってくれ……」

「何か策があるんだな?」

一撃必殺の幻夢零を自身に向けて放てなど正気を疑う言葉だが、エックスの目は正気そのものである。

「勿論だ!!行くぞゼロ!!」

「ああ!!」

バスターと拳を構えるエックスとゼロにルインは笑みを浮かべた。

「ふん、最後まで抗う…か…良いだろう、貴様達の不屈の信念も…魂も…この一撃で砕いてやる!!私の…全力の裂光覇でなっ!!!」

全てのエネルギーを込めて放った裂光覇は今までの物とは比較にならない程の威力と規模でエックス達に迫る。

「砕けるものか!!プラズマチャージショット!!!」

「貴様のようなイレギュラーにはな!!真・滅閃光!!!」

タイミングを合わせて放たれたプラズマチャージショットと真・滅閃光。

「馬鹿め、死に体の貴様らが放った攻撃で私の技が………っ!!?」

思わずルインは自分の目を疑った。

真・滅閃光のいくつものエネルギー弾が次々とプラズマチャージショットに吸収され、巨大化していることに。

「クロスチャージショットの応用か!?」

プラズマチャージショットは裂光覇の光の柱をぶち破り、そのままルインに直撃した。

「ぐああああああ!!!!」

ルインの悲鳴にエックスは表情を歪めながら、ゼロに目配せすると一気に駆け出した。

「エックス、受け取れ!!幻夢零!!!」

エックスに向けて放たれる一撃必殺の衝撃波。

まともに受ければ死は免れない一撃をエックスはその背に受けた。

『エックス!?』

目を見開くライト博士だが、ワイリーはエックスの異変に気付き、声を荒げた。

『いや!ライト、エックスの体を良く見てみいっ!!』

『……あれは、レイジングエクスチャージ!?』

ダメージによって崩壊していくエックスの体がレイジングエクスチャージで再生されていく。

『成る程、エックスめ…中々考えたのう。レイジングエクスチャージは体にかかる負担こそ凄まじいが、その効力もまた凄まじい。幻夢零のエネルギーを受けながらもレイジングエクスチャージで体の崩壊を防いでおるようじゃな』

『しかし、何故そのようなことを…?それにエックスの精神が保つのか…?』

『恐らくはエックスは最後の一撃を繰り出すためにゼロに幻夢零を放つように指示したのじゃろう。それにそんな心配は無用じゃ、ライトよ。あのエックスの顔を見てみいっ!!あの忌まわしいロックマンと同じく決死の覚悟を決めた顔じゃ!!やはり兄弟じゃな……我が宿敵のあいつに良く似ておるわ…』

『エックス…ロック…!!』

エックスの目を見た時、エックスの姿とロックの姿がダブって見えた。

「ぐうう……!!」

エックスは全身に襲い掛かる激痛に耐えながらルインに向かっていく。

ギガアタックは相手の攻撃をエネルギーに変えて繰り出す必殺技だ。

アルティメットアーマーのギガアタックもただ相手の攻撃を喰らう必要がないだけでその性質は変わらない。

ルインは幻夢零を簡単に防いでしまったので幻夢零よりも速いノヴァストライクを繰り出そうとするが、普通に放っては耐えられてしまうのでオメガの戦いの時に使った手をルインに使おうとしている。

しかし、一撃必殺の幻夢零を受けていることで身体の崩壊とレイジングエクスチャージによる再生が交互に繰り返される。

あまりの苦痛に普通なら精神が壊れるだろうにエックスはただただルインを見つめていた。

「(このくらいの痛みが…何だと言うんだ…彼女が……彼女が俺達を守るために受けた痛みは…)今、俺の受けている痛みなんかよりも…もっと痛かったんだっ!!」

『……おおっ!!』

『あやつ…耐えおった!!』

幻夢零に耐えきり、レイジングエクスチャージでアルティメットアーマーのボディパーツの性能を極限まで引き出す。

そして幻夢零のエネルギーを数百倍にして解放する。

「ハイパーノヴァストライクッ!!!」

幻夢零のエネルギーを数百倍にして解放した一撃は通常のノヴァストライクとは隔絶した破壊力と規模を見せ、プラズマチャージショットのプラズマによって動きが封じられているルインに直撃したのであった。

ハイパーノヴァストライクをまともに受けたルインは全身を床に強く叩き付けられ、全身から火花を散らしていた。

「はあ…はあ…はあ…これで…良いのか…?ルイン……」

アルティメットアーマーは何とか原形を残していたが、その機能を完全に停止してしまった。

アルティメットアーマーを解除してノーマル状態に戻るとルインに歩み寄る。

「ふん、相変わらず…無茶をしやがる」

ゼロも完全に使い物にならなくなったバスターの回路を捨て、ブラックゼロを解除しながら歩み寄る。

途中でエックスとゼロは気付いていたのだルインの作戦に。

地球とコロニーのシグマウィルスを自身に吸収させ、シグマを完全に無力化し、シグマ以上のイレギュラーとなった自分をエックスとゼロに倒してもらうことを。

「あ…はは…やっぱり…バレちゃったか…」

苦しげな息遣いをしながら正気に戻ったルインが苦笑しながら何とか言葉を紡ぐ。

最初からルインはエックスとゼロに倒してもらうつもりだったのだ。

この事件での最初のシグマとの戦いによって地球上にばら撒かれた莫大なシグマウィルスとコロニー内部にあるシグマウィルスを全て駆除する唯一の手段としてルインはOXアーマーに…誰もが予想していなかった存在…封印されたイレギュラー時代のゼロと同一の存在と1つとなる選択をしたのだ。

元々シグマウィルスはロボット破壊プログラムから派生した代物であり、そのロボット破壊プログラムを持つOXアーマーの潜在能力を全て開放してしまえばそれをそっくりそのまま支配下に置くことは実に容易い。

しかし、イレギュラー時代のゼロと同一の存在になることはルインのイレギュラー化を意味しており、しかも自身とゼロの戦闘センスを併せ持ち、本来のゼロ以上の怪物と成り果ててしまったのは想定外だったが。

だがルインは自分がイレギュラーと化した後、エックスとゼロが倒してくれることを確信していた。

相当な葛藤に苦しませてしまうことには罪悪感は覚えたけれど、エックス達はそんなルインの期待に見事に応えたと言えるだろう。
 
「君は本当に無茶をする。俺達もだけどエイリア達がどれ程悲しんだのか分かるのか?」

「あ、はは…ごめん、ね…」

ルインから直接真意を語られた訳ではないが、しかし戦っているうちにエックスとゼロは理解していた。

一見凶悪なイレギュラーと化していたように思えていたルインの中に彼らの良く知るルインが確実に息づいていた事を。

そうでなければエックスとゼロはここに辿り着く前に確実に殺されていただろう。

オメガやシグマとの戦いの後に必ず回復をすることを初め、ルインがその気になればエックスとゼロを殺せる機会などいくらでもあった。

「正直、ゼロを助け…られたのは…本当にラッキーだったと、思…う、よ」

「…………」

ルインの言葉にゼロはクリスタル部分が割れたヘッドパーツに触れた。

ルインのロボット破壊プログラムによってイレギュラーの人格とロボット破壊プログラムが破壊されたことにより、ゼロの人格が主人格となったことで感覚的にだが、今までとは違う解放感を感じていた。

ゼロは助けに来たつもりなのに逆に色々と助けられてしまったことに溜め息を吐く。

「戦いは…終わったんだ…シグマも完全に消滅した…もう…こんな悲劇は起こらない……」

浅い呼吸を繰り返すルインの体を抱き締めると、今まで抑えていた涙を流すエックス。

こんなに泣くのは久しぶりだった。

それを見たルインは苦しげに微笑みながら涙を拭ってやった。

「全く…正直、奇妙な戦いの連続だったな。こんなのはもう勘弁して欲しいもんだ」

オメガやイレギュラー化したルインと、自分と同じ反応や気配を持つ相手と戦ううちに溜まっていた本音をぶちまけるゼロ。

「さあ、後はここから脱出するだけだ…ゼロ、ルイン…みんなの所に帰ろ…」

突如、エックスの言葉を遮るようにこの空間が歪み始めた。

「な、何だ…!?」

「い…けない…空間の創造主である私のエネルギー反応が低下したせいでこの空間が維持出来なくなっちゃったんだ…」

「何だって…?」

「くそ、最後の最後でこれか…盛り上げて…くれるぜ…」

エックスとゼロはルインを支えて立ち上がろうとしたが、体に全く力が入らず、倒れ伏してしまう。

「エックス…ゼロ…!!」

「く、くそ…こんな時に…!!」

「エネルギーの殆どを使い切っちまったからな…このままではこの空間の崩壊に巻き込まれちまう…」

それを聞いたルインは少し迷うように俯いたが、意を決してエックスとゼロに手を翳した。

するとエックスとゼロが光に包まれていく。

「なっ!?これは転送の光…」

「ルイン、お前…何をするつもりだ!!?」

「私の残った力を振り絞って、エックス達を外に転送する!!これくらいなら今の私でも!!」

ゼロ「お前はどうするんだ!!」

「ごめん、私自身を転送する力は残ってない。だからせめて2人だけでも!!」

「何を言ってるんだ!!君を置いていけるわけないだろう!!」

ここに残ると言うことはこの空間の崩壊に巻き込まれると言うことだ。

いくらこの空間の創造主である彼女でも無事でいられると言う保証はない。

「馬鹿なことを言ってないで早く転送を止めろ!!俺達全員で帰るんだ!!」

「……無理だよ。エックスもゼロも私との戦いでエネルギーが底をついてるんだから」

冷静に全員で帰るのは不可能だと断じるルインにエックスもゼロも歯噛みする。

「でも!!」

「………私も…帰るよ…どれだけ時間がかかっても…必ずみんなの所にね…!!」

「ま、待て…!!」

「そんなの…」

「信じて!!」

「っ!!」

ルインの強い言葉に言葉を抑えられたエックス。

即座にエックス達を外に転送した。

「ルイン!!ルイーーーンッ!!」

エックスの声が崩壊していく空間に響き渡り、残り少ない力を使ったことでルインの意識は薄れていく。

「必ず…帰、る…からね…絶…対…だから、今、だけは…眠ら…せ…て……」

それだけ言うとルインの意識は闇に沈んだ。

ライト博士はルインの元へ向かおうとするが、ワイリーに止められた。

『放してくれワイリー!!このままではルインが!!』

『馬鹿か貴様は!!ここはサイバースペースに近い空間なんじゃ。つまりこの空間の崩壊に巻き込まれれば待っておるのは本当の“死”じゃ!!』

『くっ……わしは息子の愛する者を助けることも出来んのか…!!』

悔しげに意識がないルインを見つめるライト博士。

その時であるルインの体を光が包み込み、この空間から消えたのは。

『な、何じゃあれは…?』

『……わしとしたことが大事なことを忘れておったわい。女神殿…かたじけない』

『女神じゃと?』

『さあ、ワイリー。早くこの空間から脱出せねば。お主なら例えこの空間の崩壊に巻き込まれようがゴキブリ並みの生命力でしぶとく生き延びそうではあるがのう』

『ライト、貴様…本当に図太くなったのう……後で覚えておけ…後、女神とはどういうことじゃ!?』

『後で話す。では脱出じゃ』

『ちっ…』

先にライト博士が脱出し、ワイリーも舌打ちしながら脱出したのであった。 
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