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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。

作者:エギナ
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第一部
  第25話 新年魔法大会 【ショットダウン 其の一】

さて、次の競技だ。
一舎の看守枠では、例年、要を出している。まぁ、私が行っても要が行っても、結果的には変わらないからな。
それに、スピードボードに出た看守は、この競技に参加できないからな。どうしても要に行かせるしかない。

だが、問題は囚人枠である。
三人のうちの誰か。実力を考えると九〇四番が適任だったのだが、今後の事を考えて殺してしまったので、他を考えなくてはいけない。ヘラヘラしているのに、魔法の実力だけは確かだからな。そう育てたのだから、当然だが。

……四番かなぁ。

「それじゃあ、第三種目『ショットダウン』始めちゃうぜぇえええ‼︎ イェエエイッ‼︎‼︎ 出場する舎は一舎、二舎、三舎、四舎、五舎、六舎だぁああ‼︎ 最早安定だぜ‼︎」

まぁ、確かに毎年一から六までの舎がこの競技に残るから、安定っちゃあ安定なのだが……まぁいいか。酷いと思うなら言われない様に努力しやがれって話だ。看守長が注意しに来ないあたり、禁止ワードでも無さそうだし。
強い奴を求めるこの刑務所では、弱い奴は必要ない。力こそ全て。

弱い奴に、ヘンテコな囚人供を纏める事なんて、出来る訳無いからな。

「ルールは簡単‼︎ フィールドの空に現れるターゲット『Go! Go! コトハちゃん』を撃ち落として、地上で破壊するんだぜぃ‼︎ 次に進めるのは、この競技の終了時の得点順、上位四舎だぜ! 点数は、破壊した舎、多く撃ち落とした舎、多く攻撃を与えた舎に多く振り分けられるぜ‼︎ っとここで、御本人、黒華琴葉主任看守様からメッセージだぜぃ‼︎」
「元は私だからぁああ‼︎ 簡単に壊せると思わないでねえええぇぇええ‼︎‼︎ 破壊出来るもんならやってみやがれぇぇぇえええ‼︎‼︎」
「きゃぁぁぁああああ‼︎ 琴葉センパァァイイ‼︎ 叫んでる時も美しいっす‼︎‼︎」
「あっそ‼︎ ありがとっ‼︎」
「聞いたか琴葉センパイファンどもぉおおお‼︎ 後でセンパイの水着写真と『ありがとっ‼︎』の録音を配っちゃる‼︎」
「「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ‼︎‼︎‼︎」」」」」
「やめろ恥ずかしい‼︎」
「センパイの赤面写真もゲットだぜッ‼︎ ってな訳で、説明再開‼︎ 出場するのは各舎看守一人囚人一人の計二人だぜ‼︎ ただぁし! 第二種目に出た看守は出場出来ないぜ! では選手紹介! と行きたいところだがぁ‼︎ ちょいと橙条センパイから連絡があったぜ! 『「Go! Go! コトハちゃん」が急に俺に攻撃を仕掛けて来たンだが⁉︎ こっちに黒華を寄越しやがれ‼︎ いっぺん殴ってや……うおっ⁉︎⁉︎』だって‼︎ そう、何を隠そう、『Go! Go! コトハちゃん』は自律型戦闘AI‼︎ ターゲットを捕捉したら絶対に逃さないぜ‼︎ 現在橙条センパイと戦闘中‼︎ って事で『Go! Go! コトハちゃん』制作部隊からのメッセージや、『Go! Go! コトハちゃん』の紹介をするぜ‼︎」

ハッ。橙条、ザマァ(笑) AIにも嫌われてやんの(笑)

「『Go! Go! コトハちゃん』を制作したのは、なななんと、橙条主任、青藍主任、神白主任の三人! 超絶豪華なメンツだぜ‼︎‼︎ 」

御苦労だったな。もっと働きやがれ。

「『Go! Go! コトハちゃん』の詳細のコーナー‼︎ 『Go! Go! コトハちゃん』説明書を読んでいくぜ‼︎ 『身長、スリーサイズは本人と同じ。スリーサイズについては制作部隊の理想にする案もあったが、そこで醜い争いをしても仕方がない為その案は無くなった。嫌がらせの為に胸を絶壁にする案もあり、制作当初は絶壁だったが、その後の報復を恐れ、完成間近でデザインを変更した。体重については本人が身体測定の時のデータを死守し、計測も頑なに拒否した為、橙条が抱き上げた感覚で妥協。だが、かなり正確に作れていると思う。取り敢えず、軽いとだけ残しておく。髪の色、瞳の色等は黒一色から白と緑に変更。因みに、制作部隊の好みである。服は、露出度が高いと殺される、逆に露出が全く無いとつまらないという事を考えつつ制作。デザインは神白、制作は青藍である。深紅の羽織りもの、黒のシャツ、白のリボン付きの紅のスカート、茶のブーツと、正月に合う様にもした。攻撃パターン、回避パターンは完全ランダム。本人をRPGで言うレベル1くらいまで弱体化させているため、撃ち落とす事は可能。だが、本人並みの頭脳と厄介さを持ち合わせている為、破壊はかなり難しい。まぁ本人同様、面倒くさいと思っていれば良いだろう。粘っていればその内破壊は出来る。だが、破壊出来たとしても、調子に乗ってはいけない。現実の何万倍も弱体化されているのだ。現実で奴に勝つ事など、不可能に等しい。』だそうだぁああ‼︎‼︎ 意味わからん説明書!」

何を書いとんじゃボケ。何が言いたいんだよ。マジっざけんな死なすぞ。

……ってか、そろそろ橙条の奴は死んだかな。少し見に行ってみようかな、とも思ったが、直ぐに思い直す。
私のコピーに近い筈である『Go! Go! コトハちゃん』なら、どれだけ弱体化されたとしても、橙条くらい何の問題も無く殺せる。

…………橙条、カッスやなー(笑)
 
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