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憑依先が朱菜ちゃんだった件

作者:沙羅双樹
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第16話

 
前書き
おはこんばんにちは、沙羅双樹です。

年末年始にリアルが忙しかったものの、暇を見つけては執筆していたこともあって2日連続投稿ができました。

第17話の投稿には少し時間が掛かると思いますが、できれば今月中にもう1話くらいは投稿したいと思っています。 

 



【視点:朱菜】



リムル様が豚頭魔王(オークディザスター)を倒した翌日早朝。シス湖湿地帯の南西にある森の広場で戦後処理の会議が行われることになりました。

参加者は鬼一族からは私、お父様、お兄様、白老、紫呉、蒼月の6名。大鬼族(オーガ)からはリグルさんとゴブタさんの2名。紫苑と蒼影を含む他の鬼一族や大鬼族(オーガ)の人達は一足早く里に帰還して貰うことになりました。

蜥蜴人族(リザードマン)からは首領さんと親衛隊長さん、親衛隊副長さんの3名。駄蜥蜴(ガビル)部隊と行動を共にしていた子鬼族(ゴブリン)からも3名が参加。

豚頭族(オーク)からは豚頭将軍(オークジェネラル)、もしくは豚頭親衛隊(オークエリート)らしき代表者が10名。当然、森の管理者である樹妖精(ドライアド)のトレイニー様も参加しています。

というか、豚頭族(オーク)達の様相が凄いことになってます。これから一族郎党皆殺しにされるんじゃないか、と戦々恐々としている感じです。

実際の所、そうされても文句を言えない立場なんですが、リムル様の人の良さから考えると無用な心配になるでしょう。

もし、リムル様が豚頭族(オーク)の現状を知った上でその罪を問う方なら、問答無用で襲い掛かった前科のあるお父様達は今頃全員捕食されているでしょうから。

………あら?お父様達が何故か身震いをしました。どうしてでしょう?この場は日差しがいいので特に肌寒くも無いのですが……。あっ、そろそろ戦後処理の会議が始まりますね。


「あー……。各種族の代表者も揃って名有り(ネームド)は自己紹介を終えたことだし、これから戦後処理の会議を始めたいと思う。と言っても、俺自身こういった会議の経験が無いから俺の考えだけを話そうと思う。
で、俺が話し終えた後に、話の内容で意見等があれば言ってくれ。……まず最初に言って置きたいことなんだが、俺は豚頭族(オーク)の罪を問うつもりはない」
「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」
豚頭族(オーク)に同族を喰われてる紅麗達や蜥蜴人族(リザードマン)達からすれば納得できないことだろうけど、豚頭族(オーク)が侵略行為に至った原因と現在の状況を聞いてくれ」


そして、リムル様の口から語られる豚頭族(オーク)の行動の原因と現状。その内容を端的に述べると豚頭族(オーク)王国オービッグで大飢饉が起こり、同胞を生かす為に奔走していた豚頭魔王(オークディザスター)が魔人ゲルミュッドに利用されたというものでした。


「「「「「「「「「「……………」」」」」」」」」」
「無論、種族の存続が危うくなる大飢饉に襲われたからといって、他種族を文字通り喰らっていいという訳じゃない。だが、豚頭族(オーク)に戦争賠償ができる蓄えが無いのも事実」
「……リムル様、賠償ができない云々は建前なのでは?」
「………朱菜の洞察力には脱帽だな。朱菜の言う通り、豚頭族(オーク)が賠償できない云々の話は建前だ」
「では、本音を仰って下さい」
「いや、本音を話しても受け入れられるとは―――」
「弱肉強食。それこそが全ての魔物に共通する唯一不変の規則(ルール)。この度の戦で敵将である豚頭帝(オークロード)を討ち取り、戦いを終結させたのはリムル様です。
そのリムル様の決定に異論を挟むなど、恥知らずにも程があります。もし、この場で異論を挟む者がいるなら……」


私はそこまでで言って口を閉ざすと、『神仙覇気』でこの場に居る者を威圧します。リムル様の決定に異を唱えるなど星王竜が許しても私が許しません。

……あっ、『神仙覇気』の出力を間違ったでしょうか?私の立っている地面が『神仙覇気』の影響で罅割れ、周囲を舞っていた木の葉が弾け始めます。

木の葉が弾けるこの光景は、昔の剣劇アニメで見たことありますね。確か、超一流の剣客が放つ裂帛の気合い―――剣気だったでしょうか?

まさか、『神仙覇気』でそれを再現できるとは思いもしませんでした。ちなみに剣気もどきな『神仙覇気』に中てられた子鬼族(ゴブリン)は気絶。蜥蜴人族(リザードマン)豚頭族(オーク)、森の管理者であるトレイニー様は冷や汗を流しています。


「朱菜。俺はこの会議に参加している全員を対等な立場だと思って話をしているんだ。技能(スキル)を使って威圧する様な行為は止めてくれ」
「畏まりました、リムル様。差し出がましい真似をして申し訳ありません」
「ああ。……さてと、一体どこまで話したっけ?」
「……あー、豚頭族(オーク)が戦争賠償をできぬ云々の話がリムル様にとって建前という話までされていたな」
「ああ、そうだった。ありがとう、首領。で、本音を話さないといけなかったんだよな。俺は豚頭魔王(オークディザスター)と捕食対決をした時、精神世界って言えばいいのか?取り敢えず、そんな感じの所で奴の記憶を見て、会話もしたんだ」
「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」
「ゲルドは豚頭族(オーク)の王として20万の同胞を飢えから救う為、他種族を喰らうという選択肢しか取れない立場だった。また他種族を喰らった罪を自分一人で背負う覚悟をし、退くに退けない状態になっていた。
死の間際まで同胞の未来を案じていた者を喰らい尽くした俺には、その同胞―――豚頭族(オーク)の罪と喰らったゲルド自身の罪を引き受ける義務がある。
豚頭族(オーク)を許してやれとは言わない。だが、豚頭族(オーク)に対して殺意や怨恨といった負の感情を向けるのは止めてくれ。豚頭族(オーク)の罪を喰らった以上、その感情をぶつけられる立場にあるのは俺だからな」
「……………」
「………先程、大筒木殿も言っておられたが、全ての魔物に共通する唯一不変の規則(ルール)は弱肉強食。
この戦の勝者であるリムル様の決定に敗者である豚頭族(オーク)は勿論、救援して頂いた立場である我等蜥蜴人族(リザードマン)子鬼族(ゴブリン)も異論など挟めませぬ。
ただ、1つだけどうしても確認して置かなければならないことがあるのですが、聞いてもよろしいか?」


リムル様の発言に無罪放免となった豚頭族(オーク)の代表達は呆然となり、蜥蜴人族(リザードマン)の首領さんは無理やり自分を納得させながら、どうしても気になっている点を尋ねました。


「ああ、構わない。何だ?」
豚頭族(オーク)を無罪放免とするのは構いませぬ。ですが生き残った者達をどうするおつもりですかな?このままオービッグへと帰すのですか?それともこの森に受け入れるつもりですか?
戦で数が減ったとはいえ、現時点でも14万前後の豚頭族(オーク)がいる筈。それだけの数の豚頭族(オーク)を全て受け入れられる場所など無い筈」
「……確かに、我ら――元大鬼族(オーガ)はリムル様と共に在り続ける故、旧大鬼族(オーガ)の里を渡すことはできるが元々そこに住んでいた人数は300人。14万もの大所帯が住める様な場所ではない。
更に開拓したとしても2000の豚頭族(オーク)が住める程度だろう」
「リムル様の里で急遽受け入れるとしても食料の問題で今は1~2万が限界でしょうし」


お父様とお兄様の言う通り、14万の衣食住を用意できないのが現状なんですよね。住だけなら忍術による土地開拓と私とリムル様の木遁・連柱家の術で用意できなくもないですし、衣も豚頭族(オーク)に製作協力させれば如何にか出来るでしょう。

ですが、食だけはどうしようもありません。豚頭帝(オークロード)豚頭魔王(オークディザスター)程ではないとしても、豚頭族(オーク)はそれなりの食欲があります。

鬼隠れの里では農業を開始していますが、今育てているものが収穫できるのは夏になる頃。食糧の備蓄も住人全員が忍術を使える様になったことで魔獣狩りが容易くなり、保存食も含めて結構な量がある筈ですが、それでも14万の飢えを満たす程ではありません。


「………ただの理想論かも知れないが、14万の豚頭族(オーク)全員を生かせるかもしれない案を今から提案したい。
このジュラの大森林に住む各種族―――取り敢えず、今は鬼一族と樹妖精(ドライアド)大鬼族(オーガ)蜥蜴人族(リザードマン)豚頭族(オーク)子鬼族(ゴブリン)で同盟を結ぶというのはどうだ?」
「同盟ですか?」
「同盟というより互助関係の構築だな。豚頭族(オーク)には同盟を結んだ種族の土地へと散って貰い、労働力を提供。労働力を提供された種族は豚頭族(オーク)に食糧を提供するというのはどうだ?」
「ふむ。労働力の対価に食糧を渡すのはいいですが、住居などはどうするつもりですかな?」
「俺と朱菜がその気になれば14万の住居くらいはすぐに作れる。朱菜の手伝いが無くとも数日有れば俺1人でも用意できるだろう」
「リムル様の命であれば、14万でも20万でも家を作ります」
「……まぁ、そんな訳で住居の心配は無用だ。この場に居ない種族にも使者を送り、協力を得られれば一種族辺りの食糧負担も軽くなるだろう。
豚頭族(オーク)にとっては食糧を確保する為に自分達より下位の魔物に首を垂れることになるだろうが、生き残った者達を飢え死にさせない為にもその点は我慢して貰うことになるだろう」


リムル様が申し訳なさそうに豚頭族(オーク)達へとそう告げると――――


「滅相もありません!我らは一族郎党が死罪となって当然のことをしたのです。それを許されただけでなく、飢えを凌ぐ道すら示されたのですから感謝の念しかございません」
「そうか。最終的にこのジュラの大森林に存在する全種族が手を取り合って、人間みたいに国―――他種族共生国家を作って、農業や畜産、水産を出来る様になれば、飢饉による争いも起きなくなると俺は思ってるんだが、どうだろうか?」
「他種族共生国家。確かにそれを実現できれば、ジュラの大森林で魔物同士の争いが起こることは無くなりましょう」
「それだけでなく、各種族が協力関係にあれば今回のゲルミュッドの様に魔王の配下、もしくは魔王からの干渉を極力防ぐことができる様にもなるな」
「であれば、同意せぬ訳にはいきますまい。是非とも協力させて頂きたい」


リムル様の案に納得したお父様達や蜥蜴人族(リザードマン)の首領さん達、豚頭族(オーク)の代表達。そして、気絶状態から目が覚めた子鬼族(ゴブリン)達は一斉に立ち上がり、私とリムル様の前に跪きました。

私もお父様達の方へと回ってリムル様に跪こうと思い、歩を進めようとしましたが―――


「朱菜――いや、朱菜様はリムル様以上の力を持つ者。我らの様に跪く立場ではありません。そのままリムル様の横に居られる様、お願い申し上げます」


お父様に凄く他人行儀な立場を取られてしまいました。肉親にこういった態度で接されるのは結構ショックですね。けれど、リムル様の伴侶=魔物を総べる者の妻ということになるので、将来を見据えるとこういった状況にも慣れないといけないのでしょうか?


「結論は出た様ですね。では、森の管理者としてリムル様をジュラの大森林の新たな盟主。朱菜様を盟主代理と認め、この時を以てジュラの森同盟の成立を宣言します」


トレイニー様がそう告げるや否や、腰掛けていた木の幹から立ち上がり、私とリムル様の前で跪きました。トレイニー様まで跪いたことで、リムル様はすこし焦っていますね。


「………えっと、俺自身盟主とかやった経験が無いから色々と頼りないかもしれないけど、よろしく」
「私も若輩者で皆様にご迷惑をお掛けするかもしれませんが、宜しくお願い申し上げます」
「「「「「「「「「「ははッ!!」」」」」」」」」」


私とリムル様の言葉に跪いているお父様達は声を揃えて返答し、リムル様は皆のその反応に汗が止まらない状況になっていました。

あっ、ちなみに言い忘れていましたがリムル様の姿は会議が始まってからずっと人間形態です。


 
 

 
後書き
え~、一応今回の話で森の騒乱編は終了です。
(半分以降の話の流れは原作とほぼ同じなので省略しようと思ってます)

豚頭族(オーク)も生存者が原作より少し減っていますが、それ以外は特に変更なく原作通り名付が行われています。

名付の変更点があるとするなら、朱菜によって姓が与えられ、名前も数字ではなくちゃんとした者が与えられたと言った所です。

どういった名前を付けたかは次話で明かしたいと思います。

そんな訳で次話もお楽しみに!! 
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