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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第63話:ピクニック

 
前書き
たまにはほのぼのも言いと思います。
大輔の精神的な意味で 

 
大輔は今日もデジタルワールドでダークタワーを破壊し、現実世界に戻ると背伸びをした。

「お疲れ様、大輔君」

「おう、ヒカリちゃんもお疲れ…明日からゴールデンウイークだな」

「「ゴールデンウイーク?」」

「連休日だよ。明日は1日休もうぜ。毎回毎回これじゃあ身が保たねえ」

ウパモンとポロモンの疑問に大輔がそう言うと大輔はパソコン室を後にしようとするが。

「待って大輔君」

「…ん?」

「息抜きなら私に良い考えがあるよ」

「良い考え?何それ?」

興味が沸いたのかヒカリに尋ねる大輔。

「明日、心身のリフレッシュのためにデジタルワールドにピクニックに行きましょう!!」

全員デジタルワールドでのピクニックに異論は無かったので、翌日ピクニックに行くことに。

集合場所に関しては大輔が悠紀夫にメールを送った。

「さて、集合場所は及川悠紀夫さんのアパートだ。メールを送ってOKが出たぜ」

「やった♪」

「お礼に何か持って行かないといけないな」

「あ、それじゃあ僕がおじさんへのお土産にお萩持って行きます!!」

久しぶりに父親の親友に会えるからか、伊織の表情は嬉しそうだ。

「そうか、じゃあ頼むぜ。それじゃあみんな、また明日な」

大輔は明日のピクニックに備えて急いで帰宅する。

「母さん…あれ?」

この時間には何時もリビングにいるはずの母親がいない…何故だ?

「大輔、置き手紙」

「あ、本当だ」

テーブルに置かれてる置き手紙を読む。

“もうジュンの部屋の片付けするの疲れたからお母さんは羽を伸ばしてきます。お父さんも今日は仕事で帰らないから戸締まりお願い”

…置き手紙にはそう書いてあった。

「…………姉貴」

「大輔、腹減った…」

栄養補給を求めているお腹を擦りながらブイモンが嘆いた。

「…晩飯は炒飯で良いか?」

「うん」

卵を取り出し、ボウルに割り入れた大輔は卵を割り解し、そしてブイモンが熱したフライパンにごま油を投入する。

程良くなったところで大輔が溶いた卵を投入、半熟になったところにご飯にネギ、ベーコンを叩き込む。

そして最終究極兵器万能調味料・醤油を投下。

食欲を誘う香りにブイモンは思わず涎を垂らした。

「大輔~完成したぞ…」

「ああ、俺とブイモン…そして姉貴の分を皿に盛って、頂きます」

作り立ての炒飯の味は本当に最高に美味しかった。

空腹は食べ物の味を引き立てるスパイスだと言われているがこうして疲れて空腹の状態で食べるとそれを実感する。

「明日の弁当は炒飯の余りと後、適当におかずを作っとくか。時間が足りなかったらコンビニとかで代わりの惣菜を買うとして」

「お~う、楽しみだ」

明日のピクニックを楽しみにする大輔達はどこにでもいる普通の子供のようだ。

一方八神家では…。

「~♪~♪」

機嫌良く鼻歌を歌いながら、明日のピクニックの準備をするヒカリ。

「ご機嫌ねヒカリ」

裕子の言葉にヒカリはハッとなって鼻歌を歌っている自分に気がついた。

妙に気恥ずかしい。

「で?何を大輔君に作ってあげたいの?」

ニヤニヤと笑いながら娘に問いかける裕子。

「え、えと…あの、お弁当にお母さんが何時も入れてくれるあの小さなハンバーグ…後は卵焼き…かな…?」

「ふむふむ…成る程成る程。分かったわ、可愛い娘の恋の成就のために、お母さん張り切っちゃうわよー!!」

「ちょ、お母さん!!」

あまりの恥ずかしさに赤面しながら怒るヒカリ。

「けっ、何だよ何だよ」

裕子とヒカリの会話を太一は面白くなさそうに聞いていた。

何せヒカリは太一にとって大事な妹で、それを他人に取られるのは面白くない。

不機嫌な表情で冷蔵庫から牛乳を取り出して飲み始める。

「何よ太一?あんた大輔君に嫉妬?あんたには芽心ちゃんがいるじゃない」

「ぶうぅううう!?」

裕子の爆弾発言に太一は牛乳を噴き出した。

「な、何であいつが出て来るんだよ?」

「あら?この前2人で買い物してるの見ちゃったんだけど。デートしてたんじゃないの?」

「デ、デートじゃねえよ!ただあいつの買い物に付き合っただけだ!!」

動揺しながら言う太一にヒカリは呆れた表情を向けた。

「(それを世間一般ではデートって言うんだよお兄ちゃん…それにしても…私もそろそろ本格的に冗談抜きで芽心さんをお義姉ちゃんって呼ぶべきかな?)」

「あらまあ、まあ…時間の問題だろうし、お母さんは息子の春をのんびりまったりと待たせてもらうわ」

「だから何がだよ!?」

「静かにしてよお兄ちゃん。それから芽心さん…ううん、お義姉ちゃんを泣かせたら許さないからね?」

「まあ、お義姉ちゃん!?ヒカリがそう呼ぶなんて、もうそんな仲になってるの!?太一ったら親の私に何の相談もなく…水臭いわねー」

「だからまだ芽心とは付き合ってねえよ!!」

「「(“まだ”…ねえ…)」」

太一の叫びが八神家に響き渡るのであった。

一方、賢も祖母の家に帰宅し、明日は友人とピクニックに行くことを説明した。

「あらそう、ならお弁当作らないといけないわねえ」

微笑ましそうに笑う祖母に賢も微笑んだ。

「ありがとうお祖母ちゃん。」

「そうそう…あの子からまた電話が来たわ」

「また家に戻って来いって電話?」

「ええ、でも賢ちゃんが望んでないもの…今の賢ちゃんと昔の賢ちゃんを知っているから…今の環境から離すのは駄目だと思っているから…。」

昔の賢の、自分の自宅だと言うのに居心地の悪さを常に感じていた賢を知っているから、素の表情をさらけ出せる環境から離したいとは思わない。

「あの子には随分と前から言っていたんだけどね。どちらもあなたの子供なんだから平等に見てあげなさいって…」

娘夫婦は出来の良い兄を可愛がり、弟の方を疎かにしていた。

娘達は周りの人々の声に傲ったのだ。

悲しいけれど、それが人間だ。

褒められれば嬉しいし、もっと褒めて欲しいと思うのは当然の感情。

自分が育てた子供達に向けられたなら余計に思う。

「今更言っても変わらないと思うよ。期待しても無駄だと思う」

孫の言葉にもう娘夫婦は孫に見切りをつけられてしまったのかと心の中で嘆いた。

「まあ、これはもうあの子達の問題ねえ…」

せめて行方不明の長男が無事に見つかり、仲直り出来ればいいのだが。

翌日の朝、大輔は昨日の余りの炒飯と適当にいくつかのおかずを作り、弁当箱に詰めると動き出した。

「大輔ー何か作ってから行ってよー」

ソファーに寝転がりながら弟に集るマダオ(まるで駄目な女の略)のジュン。

「自分でどうにかしろよ」

「無理ー。私が掃除洗濯、料理と言った家事全般駄目なのあんたも知ってるでしょー」

「どうにかしようって気はないのか?」

「面倒臭い」

「…冷凍食品かコンビニ弁当でも食ってろ!!」

もう相手にするのも面倒になり、及川宅に向かう大輔だったが、途中で見つけた後ろ姿に声をかけた。

「あれ?ミミさん?」

「へ?あら?大輔君…?」

以前と違ってピンク色の派手な髪色になっているが、紛れもなく苦楽を共にした仲間のミミだ。

「やっぱりミミさんだ。お久しぶりです」

「久しぶりだな、何時日本に帰ってきたんだ?」

大輔とブイモンが久しぶりの再会を喜ぶ。

ミミもまた久しぶりに仲間に会えたことが嬉しいのか満面の笑みを浮かべた。

「久しぶり、従兄弟の結婚式があるの。両親が忙しくて来れないから、私が代理で来たのよ。」

「アメリカから遥々?お疲れ様です。」

「大輔君は何してるの?」

「ゴールデンウイークだから羽を伸ばそうと、デジタルワールドにピクニックに行こうと」

「えー?いいなー」

「ミミさんも一緒に行きませんか?ピクニックは人数が多いほど楽しいし」

「んー、結婚式は明日だから……私が行ってもいいのなら…」

ピクニックに誘われたミミは結婚式の日程を思い出し、今日は大丈夫だと告げる。

「勿論、それじゃあ及川さんのアパートに」

「OK、ヒカリちゃんもいるの?」

「はい、ヒカリちゃんもいますよ」

「ふふふ、そっかそっか。ねえ、大輔君。私と腕組まない?」

「へ?何で?」

ミミの唐突な提案に大輔は思わず疑問符を浮かべた。

「あー、何よ何よ?私じゃあ腕組むのに不釣り合い?」

「いや、そう言うわけじゃないけど…何で?」

「ふふ~ん。秘密♪」

大輔はミミと腕を組んでアパートに向かうことに。

一方及川宅。

「遅い遅い遅い遅い遅いぃいいいい!!何してんのよあいつ!!」

「落ち着いて下さい京さん。大輔さんは暇を持て余す京さんと違って家事をしなきゃいけないから忙しいんですよ」

「そうですよ京さん」

「大輔君だって早く来たくても忙しくて来れないこともあるんだし」

「むー、何よ何よ。みんなして大輔の味方しちゃってさ」

次の瞬間にインターホンが鳴り、及川が応対した。

「ハロー!!及川さん!!久しぶりー!!」

「君は太刀川君か?久しぶりだね」

太刀川と聞いてヒカリ達は玄関に飛び出し、腕を組んでいる大輔とミミの姿を発見した。

「…………」

「ミミさんと偶然会って一緒にピクニックに行かないかって誘ったんだよ。それで少し遅くなった」

「何よ、だったら最初から連絡入れなさいよ。ねえ、ヒカリちゃんんんんんんん!?」

京は隣のヒカリを見遣ると、目のハイライトが消え、無表情で大輔とミミを見つめているヒカリの姿があった。

「ネエ、大輔君。何デ…ミミサント腕組ンデルノ?」

「ん?ああ、ミミさんが腕を組んで歩かないかって言われてさ」

「フーン、ミミサント腕組ンデ楽シイ?」

「うーん、ミミさん美人だからな。男としては嬉しい」

「………(ギリ)」

【……っ!!】

修羅場…と、全員が身構えた時であった。

「でも俺はヒカリちゃんと一緒にいる方が良いかも」

「………」

ヒカリのオーラが消え、仄かに顔が赤くなっている。

「だってヒカリちゃん」

「ミミさん、からかってるでしょ?」

「うん」

「もう!!」

膨れるヒカリにクスクスと笑うミミ。

見た目がいい2人が話す姿はとても華がある。

「新しい選ばれし子供なのよね?私のこと覚えてる2人共?」

「えーっと?」

「僕は覚えてます。パルモンのパートナーでよく道場にパルモンのお迎えに来たミミさんですよね?」

「当たり~♪京ちゃん、本当に覚えてない?私、結構コンビニ、アイマートに来てたんだけどな~」

「…………ああ!?」

大輔の勧めでミミは確かに良くコンビニのアイマートに来ていた。

しかしミミがアメリカに行ってから結構経っているのでド忘れしていたのだ。

「思い出した?」

「は、はい…」

「もう、忘れるなんて酷ーい!!」

「返す言葉もございません……」

膨れるミミに頭をヘコヘコと下げる京。

そう言えば愛情のデジメンタルを手に入れた時、空から言われたような気がする。

“あなたはミミちゃんにそっくり、大丈夫、何時かデジモン達に出会えて良かったと思える日が必ず来るから”。

正直、自分と彼女は似ているのだろうか?

ミミの容姿は正に可愛いの一言に尽きる。

正直、彼女が嘘でアイドルと名乗っても信じてしまえるくらいに美人だ。

「まあいいわ、許してあげる!!」

ミミは笑顔を浮かべて自分を忘れていたことを許す。

こうやって引き摺らないのがミミの良い所だ。

「それじゃあ、行くか。デジタルワールドに」

【賛成!!】

「それじゃあ、おじさん。行って参ります」

「ああ、気をつけて行くんだぞ」

悠紀夫の言葉に伊織が頷くと、大輔達はデジタルワールドに向かった。

「ダークタワーは無しだな」

「本当に?良かったあ」

ヒカリは大輔の言葉に胸を撫で下ろす。

せっかくのピクニックなのに、一乗寺治に襲われてしまっては元も子もない。

デジタルワールドの空も青く澄み切っていた。

「本当に久しぶりのデジタルワールドだわ」

アメリカにはD-3を持つ選ばれし子供がいないため、ミミは仲間達の中で滅多にデジタルワールドには行けない。

「大輔君達のうち誰かアメリカに来てくれない?」

【それは無理です】

「ちぇ~」

大輔達は歩きながら今のデジタルワールドの状況をミミに話していた。

「一乗寺治さんね…中学生なのにこんな痛いコスプレする人がいるのね~この人がデジモンカイザー?」

「はい、身内の恥です」

「賢の兄貴で不法侵入者です」

「頭の病気にかかっている可哀想な人です。」

ミミはヒカリから一乗寺治(カイザーver)の写真を見せてもらい、賢、大輔、タケルから酷い説明を受けている。

「私達もこれまではダークタワーを倒すためにここに来てたんですけど、今日はゴールデンウイークだし!たまにはデジタルワールドで楽しむのもいいんじゃないかと思って」

「大輔、腹減ったよ」

「お前、朝飯沢山食ったよな?」

「ふん、食欲魔人。遠慮を知らないのかしら?」

「黙れハツカネズミ。雑草でも食ってろ」

「「……ふん!!ぐふっ!?」」

互いの頬に拳がめり込んだ。

「わ、私もお腹空いちゃったかなあ……」

多分、お弁当を食べない限りこの喧嘩は終わらないと判断したヒカリは大輔に進言した。

「そうだなー、飯にしようか。飯食ったら俺は寝るぞ。絶対に寝るぞ。文句は聞かない」

「ピクニックに来たのにお弁当食べて昼寝ってどうなの…痛あ!!」

タケルの尻に大輔の蹴りが炸裂したのだった。

「ほい、ブイモン」

「これ…炒飯?」

「ああ、昨日の晩飯の余り。俺とブイモンが一緒に作ったんだ」

「食べられるのそれ?」

「殴るぞハツカネズミ。現実世界じゃ、俺も家事手伝いしてたんだ。お前みたいに食っちゃ寝生活してるんじゃないんだよ。この弛んだ腹は何だ?」

「殴るわよあんた!!」

お腹の緩~い部分を掴まれたテイルモンは顔を真っ赤にして殴りかかるが、テイルモンの弁当を盾にすることで攻撃を封殺した。

「卑怯よ、弁当を盾にするなんて!!」

「何とでも言え!!」

もうブイモンとテイルモンの喧嘩は放置するとして、ヒカリは大輔に小さめのタッパーを差し出す。

「ん?ヒカリちゃん、これは?」

「えと、私…何時も沢山お世話になってるから、お礼に少しだけど大輔君の分もおかず作ってきたの」

「え?本当に?」

「うん、ハンバーグと卵焼きだけど…」

「いや、ありがとう。正直おかずは適当だったから嬉しいよ。じゃあ、早速…うん、美味い!!」

早速食べる大輔はヒカリお手製のハンバーグを美味しそうに咀嚼しながら笑みを浮かべる。

「ほ、本当に?」

「勿論、また作って欲しい位だよ」

「う、うん。いいよ」

「いやーミミさん。春ですねー」

「そうよねー春真っ盛り」

京とミミがニヤニヤと笑いながら見つめる。

大輔は自分の分の弁当を平らげると、横になって目を閉じると寝息を立て始めた。

「え?大輔君、もう寝ちゃったの?」

「大輔疲れてるんだな」

「毎日毎日休む暇無いものね」

「ブイモン、テイルモン。他人事のように言ってるけど。大輔君が疲れてる原因の1つはあなた達の喧嘩なんだけど?」

「「ごめんなさい」」

ヒカリの冷たい視線にブイモンとテイルモンは土下座した。

「くっ、仕方ない。ヒカリに俺のパートナーの独占権を今日だけやろう」

「そうね、私もパートナーのために一肌脱ぐわ」

「へ?ちょ、ちょっと!?」

ブイモンとテイルモンは何を考えたのか、寝ている大輔の頭をヒカリの膝に置くと、ヒカリが大輔を膝枕している体勢となる。

「「これでよし」」

「よ、良くな…は、恥ずかし…」

「「静かに、大輔が起きる」」

「あ…うう…」

【はああー、お茶が美味い】

顔を真っ赤にして俯くヒカリと、美味しそうに苦いお茶を啜る賢達。

後にホークモンがアルマジモンが放り投げた干瓢巻きを追い掛け、京とミミが行方不明になるのだが、無事に戻ってきたのは言うまでもない。

苦難を乗り越えた2人の間には姉妹のような絆が出来上がっていた。 
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