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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百五十三話

 
前書き
この内容を業物語読んだ時から書きたかった…! 

 
9月中旬、体育祭が終わってちょっと後。

俺たちの中学では体育祭の後、中間考査を挟んで文化祭がある。

一年生は通例で劇をやる。

模擬店を出せるのは二年生かららしい。

「はーい。演劇の内容どうする?」

「シェイクスピア!」

「真夏の夜の夢!」

「真夏の夜の淫夢!」

「「「「「「死ねホモ!」」」」」」

委員長が言うと皆次々に意見を発表する。

「一夏。お前は何か意見は無いのか?」

「うん。その前にLHRが始まった直後に俺を膝の上にのせた事を問いただしたい」

最早生活指導担当の筈の担任までスルーしている始末である。

「気分だ」

あっそ…

その間にも委員長が黒板に意見を書いていく。

「なぁんか『普通』だなぁ…」

と俺が呟いた瞬間、クラスが静まりかえった。

「あれ…? マズイこと言った…?」

「織斑」

「なんだよ委員長」

「じゃぁお前が決めろ。飛びきりユニークな出し物をな」

「えぇー…」

めんど…

「よーし。じゃぁお前ら後は自習な」

なんか勝手に俺が決める事になった。

なので勝手に決める事にした。

side out






2週間後、10月初め。

二学期中間考査を終え再び文化祭の出し物の話題となった。

「出し物決まったから要項配るぞー」

一夏が昨夜刷った要項を朝のSHRの前に配る。

「やるのは『劇』だ。だが、ただの劇じゃない。
まだ終わっていない御伽噺のプロローグだ」

なにせこの噺の最後の一文は、未だに訪れていないのだ。

「タイトルは『うつくし姫』」

どうしようもない、教訓もなければ救いもない御伽噺。

「休み時間にでも台本に目を通していてくれ」



同日午後、LHRにて。

一夏は教壇にいた。

「お前ら台本読んだか?」

全員が首を縦に降った。

「なら、この『うつくし姫』に反対する者はいるか?」

だれも手を上げない。

「よし、じゃぁ配役を決めるぞ」

一夏が黒板に配役を書こうとした時だった。

「織斑、一つ聞きたい」

「どうした委員長?」

「この話なんだが………実話か?」

「お前は一度でもうつくし姫という童話を聞いたことあるか?」

「ない…(けど、この話が真実だとしたら語る人はいないはず…)」

「じゃぁそう言うことだ」

もしや織斑がこの最後の一文の『ちっぽけな命』なのでは…? と。

委員長は、否、事情を知らないクラスメイト達は、一夏の人間離れした美しさと、このうつくし姫という童話が繋がりそうで繋がらないというもどかしさを感じていた。

「あ、言っとくけどお前らが考えてる事超的外れだからな?
俺がうつくし姫だとしたら俺600歳だし」

一夏が椅子の上に立って配役を書いていく。

うつくし姫
魔女
皇帝
音楽家
詩人
彫刻家


『ちっぽけな命』
ナレーション

「とりあえずはこの十役だな。役を交代制にするかは要相談で」

文化祭は2日に渡って行われる。

初日の学生のみの参加、二日目の一般公開。

それぞれ一回ずつの計二回。

その二回を同じキャストでするかはクラスの自由だ。

「じゃ、『うつくし姫』やりたい奴いるか?
ふむ…ゼロか」

「じゃぁ魔女」

箒が手を上げ、一夏が黒板に『ほうき』と書いた。

「つぎは…」

最終的にうつくし姫以外の役が埋まった。

魔女 箒
皇帝 御手洗
音楽家 吉田
詩人 鈴
彫刻家 山原
父 大杉
母 内山
ちっぽけな命 弾

「おーい。うつくし姫やる奴は居ないのか?
主人公だぞ?メインだぞ?」

「一夏。うつくし姫はお前がやれ」

「What ?」

「そうね、一夏が相応しいわ」

「俺は織斑になら全てを差し出せる!」

「「「「「死ね!ホモ!」」」」」

御手洗の処刑が確定した所で一夏が顔をひきつらせて尋ねた。

「え?マジで俺がうつくし姫?頭大丈夫?おれ男だよ?」

「一夏。言い出しっぺの法則っていうのがあるんだぜ」

弾がそう言うと、クラスメイトは全員が頷いた。

「えぇ…嘘ぉ…。あーあ…『うつくし姫』とか言い出すんじゃなかった…」

一夏ががっくしと肩を下げた。

「いいではないか一夏」

「はぁ…」

その後、十名でセリフ合わせをする事になった。




「なぁ一夏、俺最後にちょっと出るだけだよな?
つかセリフないし…」

「そだねー」

弾の愚痴を流した一夏がナレーターに目配せしてセリフ合わせが始まった。

「これからする御伽噺は、六百年ほど前に本当にあったお話です。
でも、作り話だと思って聞いてください。
だって、あまりにも昔のお話ですし、救いも教訓も無いのですから、嘘のお話だとおもってください」

長いナレーションの後、音楽家、詩人、彫刻家のセリフが朗読される。

そして、一夏の番になった。

「誰も、私を見てくれない」

その声は、普段の一夏が絶対に出さない声だった。

普段よりも高く、美しい声。

普段よりも一際女らしい声だった。

続くは箒だ。

「うつくし姫。お前の美貌を誰にも見えない透明色にしよう」

高い声を出した一夏とは反対に、箒は低い声を出した。

周囲のクラスメイト達は、二人の声だけの演技に魅せられていた。

ナレーターも、二人に見とれ、セリフを忘れる程だった。

「こ、っこうして『うつくし姫』は魔女の忠告通り、たった一人での逃避行をを始めました。
そして美しい彼女が自身に捧げられたちっぽけな命を初めて救う事ができたのは、これから六百年後の事でした」

クラスがシン…と静まりかえる。

「どうした? やっぱダメか?」

一夏が不安そうにクラスを見渡す。

その不安そうな顔に、何人かが顔を赤くする。

「い、いや、織斑達の演技がすごすぎて…なぁ?」

うんうんと皆が頷く。

「そっか…よかったぁ…」

にへーっと一夏が笑みを浮かべる。

「よ、よーし。じゃぁあとの係の振り分けは俺が受け継ぐぞ」

「うん。よろしくね、いーんちょ」

一夏の笑顔を向けられた委員長は…

「お、おう……。やるぞお前らぁぁぁぁ!
目指すは優勝じゃぁぁぁぁ!」

ぶっ壊れた。

「なんか委員長凄いやる気だな…」

「無自覚かお前」

箒が一夏の頬をみょんみょんと伸ばす。

「うにーうにーうにー」

「まぁ、私達も私達でもう一度セリフ合わせをしておこう」

こうして、語られぬお伽噺はとある地方都市の片隅で、語られる事となった。
 
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