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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第32話:兄弟

 
前書き
今日はいい夫婦の日なんで大ヒカ書きますね 

 
メタルエテモンを質と数の暴力で下し、ムゲンドラモンの街のエリアに向かう子供達。

ずっと歩いて体力のない面子は疲れを見せ始めていた。

「はあ…はあ…」

ヘトヘトになってきたタケルとミミ、光子郎。

しかし次第にデジタルワールドに慣れ、現実世界での戦いで鍛え上げられた大輔達現実世界組はまだまだ余力があった。

「何だタケル。もうバテたのか?体力ねえな」

「ヒカリちゃんは大丈夫?」

「大丈夫、グルルモンに追いかけられていた時に比べれば全然平気」

「うう…」

同性の大輔と賢ならともかく、女の子のヒカリにさえ体力で負けていると言う事実にタケルは落ち込む。

「タケルが疲れてるな。それにミミちゃん達も…少し休もう」

「ええ?もう少し進もうぜ?」

「少しだけだ。疲れていたら敵に襲われたら逃げることも出来ないだろ。今は少しでも休める時は休むべきだろ。ムゲンドラモンのいるエリアに着いたら休もうにも休めないぞ」

「俺もヤマトさんに賛成。太一さん、休める時には休みましょうよ。無理したら痛い目に遭いますよ」

「流石、無理してグルルモンに追いかけ回された経験者は違うね。重みが違う」

「喧嘩売ってんのか?賢…」

「むう…」

「ぐうう…」

大輔はこめかみに青筋を浮かべ、ヒカリは膨れっ面になりブイモンは悔しそう。

隣で見ていたテイルモンは噴き出す。

「あら?あら~?そう言えばあんたグルルモンに追いかけ回されたんだったわね?情けないわ~」

「うっせえネズミ」

「何よこの青蛙」

「黙れドブネズミ」

「何ですって?」

「何だよ?」

火花散らす両者。

あまりにも低レベルな舌戦にワームモンは呆れかえる。

「「…くたばれ!!」」

舌戦から殴り合いに発展。

「こら~!!止めなさ~い!!」

空が2体の首根っこを掴んで引き離す。

「「ガルルルル…!!」」

ジタバタもがきながら睨みあい、喧嘩を止めない2体。

「何でこいつらこんなに仲悪いんだよ…」

「全く迷惑だな…」

「それ太一さんとヤマトさんだけは絶対言えないと思うんだけど…」

「ですね」

「「がふっ!?」」

太一とヤマトが呆れたようにブイモンとテイルモンの喧嘩を見守る中、ミミと光子郎が冒険の始めの頃の太一とヤマトの険悪さを思い出しながら言う。

2人の言葉は見事に2人の急所にクリティカルヒットした。

「ほら、ブイモン。止めろよ」

「テイルモンも喧嘩は止めて」

大輔とヒカリに言われて2体は渋々と喧嘩を止めた。

横目で火花散らしてるけれど。

「まあ、とにかく少し休憩だ。特に大輔と賢は俺達と一緒に頑張ってもらうんだからな」

「「はーい」」

「加入していきなりスタメン扱いなのは嬉しいよな」

「まあね」

「スタメン?何それ?食べられるの?」

能天気なアグモンの問いにワームモンは苦笑しながら口を開いた。

「スタメンはスターティングメンバーの略でスポーツの団体競技で、試合開始時に出場する定員内選手のことを言うんだよ。だから食べられない」

「よく知ってるわね?」

「これでも約4年間現実世界で暮らしてきたからね。ある程度の常識はあるよ」

空の問いにワームモンは説明する。

ワームモンは賢と同じく勤勉なので現実世界について色々勉強中なのだ。

「そうか…なあ、大輔、賢、ヒカリちゃん。ちょっといいか?」

「「「?」」」

「何だよヤマト?」

「少しな、3人に頼みたいことがあるんだ」

「頼み?ここで言えば良いじゃんか」

「言えないんだよ。馬鹿」

ヤマトは3人を連れて少し離れた場所に向かう。

「…………」

タケルは少し気になり、ヤマト達をこっそり追いかけていく。

「ここなら大丈夫か…なあ、3人に頼みたいことがあるんだ」

「「頼み?」」

「珍しいですね?ヤマトさんが僕達に頼みなんて?」

大輔達は目を見開きながら話の続きを促した。

「…………」

タケルは物陰に隠れて耳を澄ます。

内心ヤマト達に悪いと思いながら。

「いやな…お前達、タケルと同じ小学2年生だろ?悪いけど、もし俺がタケルの傍にいてやれない時、守ってやってくれないか?」

「「「え?」」」

「……え?」

目を見開く大輔達とタケル。

「えっと、タケルに何かあったんですか?」

「いや、その…俺とタケルの事情は知ってるよな?」

「はい、ある程度のことは」

賢が頷くとヤマトが話を続けた。

「あいつだけは何があっても守りたいと思うんだけどな…でもこれから戦う残りの相手はそんな生易しい相手じゃない。ガブモンが究極体に進化出来る以上、俺は前に出ないといけない。まあ、それはお前達も一緒だけどな。だから…俺が戦いでタケルの傍にいられない時だけでいい…タケルを守ってやってくれないか?正直、エンジェモンだけでタケルを守りきれるか…」

「エンジェモンは成熟期。如何に強力な聖なる力を持とうと世代の差は埋められませんからね。完全体ならまだしも特に究極体とは」

「ああ…だから、タケルと同い年のお前達なら戦いの時は俺よりは傍にいられる。お前達は機転も利くからタケルを助けてくれるかなって…」

「なる程…しかし少しばかり過保護なんじゃ…」

「あいつは俺達が小さい頃から離れ離れになったんだ。普段一緒にいてやれない分、せめて今くらいは…」

「分かりましたよ。ヤマトさんの気持ちは分かるし、俺達で良いならタケルの面倒を見ますよ」

「そうか、悪いな」

「………」

タケルは無言でこの場を立ち去った。

ヤマトも出来ることなら自分の力で弟を守ってやりたいがこの状況ではそうはいかない。

多少の安心を得てヤマトは大輔達を連れて元の場所に戻り、食事を摂る。

「うん、味は昔と変わらないな」

「昔と比べて見慣れない木の実とか増えてたけどね」

古代のデジタルワールド出身の2体が木の実を頬張りながら会話する。

「お前ら昔昔昔言うけど現実世界に来たの4年前だろ?じゃあそんなに変わるもんじゃないだろ?」

「太一さん、現実世界とデジタルワールドは時間の流れが違うのをお忘れですか?現実世界の1日がデジタルワールドの1年なんだから現実世界の4年となるとデジタルワールドでは約5760年経ってるんですよ?だからブイモン達が知るデジタルワールドと全然違うのは当たり前です。選ばれし子供の伝承はその時からあったのかい?」

「んー、確か人間の子供がデジモンと一緒に旅をしてとんでもない悪者をやっつけたって噂くらいなら。」

「なる程、ブイモン達がいた時代で噂程度ならこの時代では伝説レベルなのは当たり前か」

「ご、5760…ま、マジか…ブイモン達がいた時代ってそんなに大昔なのか…」

「時間の流れが違うのは知ってましたが、そこまで大昔なんて…」

太一は顔を引き攣らせ、光子郎は興味深そうに呟いた。

「でも…私、早くお家に…元の世界に帰りたい…」

【………】

「だって…大輔君達から選ばれた理由とか聞かされたけど、どうして私達が戦わないといけないの?もっとお洒落して、もっと美味しい物食べて、もっと海外旅行とかもして……それから……」

大輔達の口からゲンナイから聞いたという自分達が選ばれた理由。

それを知っても一部納得していない者もいる。

恐らくそれが一番顕著なのはミミか。

「戦いたくないなら戦わなくてもいいぞ」

「え?」

まさかの発言にミミは目を見開いた。

「理由がないと戦えないなら戦わなくて良いさ。俺達の戦い、これからの冒険を見て考えればいい」

「でもよ、全員で戦わないと奴らには…」

太一の言葉にブイモンは手で制した。

「中途半端な気持ちで戦うといざという時に駄目になる。ここは休む時だろ」

「でも…」

自分で言いつつも多少の迷いを見せるミミ。

「いいよ、別にパルモンは大して戦力にならないし」

「うんうん…って、ええ!?な、何で!?何でそんな酷いこと言うの!?」

「だってお前の進化形態、全て弱いじゃん」

弱いじゃん…弱いじゃん…弱いじゃん…。

それにショックを受けるパルモン。

「え、ええ!?私一応超進化出来るのに…」

「お前、超進化して単独で完全体撃破出来たか?俺の記憶には全くないんだけど…なあ?みんなは?」

【ない…です】

ブイモンが他の面子に振り返るが少しの沈黙の後に返ってきたのはブイモンへの肯定。

「というわけでパルモン。別にお前がいようといなかろうと戦力はてんで変わらないんだから気にするな。第一前線は俺達だし、サポートが1人減ったくらい大したことじゃ…」

「ブイモン、止めてあげなさい」

笑いながら言うブイモンにテイルモンが待ったをかけた。

パルモンはブイモンの急所を的確に抉る口撃で全身の色が色褪せ、自慢の頭の花も萎れていた。

流石は古代の戦闘種族。

相手の急所を的確に狙うなど朝飯前か。

「(ひっでえ…)」

「(何て容赦のない…)」

太一と光子郎もブイモンの口撃に顔を顔を引き攣らせるしかなかった。

「まあ、とにかく。ミミ、しっかりと悩んで考えろ。何のために戦うのかをさ」

ブイモンの言葉にミミは頷くと隣で枯れているパルモンを見遣る。

「パルモン枯れちゃったけどどうしよう?」

「土の中に埋めれば?(適当)」

取り敢えずパルモンは土の中に埋められて、土の養分によって復活するのは数時間要したのであった。












おまけ:いい夫婦の日

時系列は結構未来。

デジタルワールドの冒険から十数年後、かつての選ばれし子供達もそれぞれの相手を見つけて幸せを享受していた。

大輔とヒカリもそうで、この2人は選ばれし子供の中でも早く結婚し、双子の兄妹を授かっていた。

大輔はいつも仕事で忙しいが、今回は久しぶりにゆっくりしようと、大輔の両親に子供達を預けてデジタルワールドにいたのだが。

「とうとうこの日がやってきたわねブイモン。今まで数々の妨害はあったけど、今日こそあんたとの決着を着けてあげるわ!!」

「ふん、お前にこの俺が倒せるのか?テイルモン?」

最早、デジタルワールドの名物となりつつあるブイモンとテイルモンの喧嘩。

理由はおやつとして持ってきたレアチーズケーキが1個余ったために、それを我先にとブイモンとテイルモンが取り合った結果である。

「確かに今までなんやかんやあったけど、私は打倒あんたのために血反吐を吐く思いで特訓を重ねに重ねて来たわ。そしてこの戦いで見せる私の力こそが!!私の執念の結晶!!私の執念の力を…今こそ思い知りなさい!!はああああ!!」

「お、中々の戦闘力だな」

「ふううう…さあ、来なさい…」

フルパワー状態のテイルモンがブイモンを獲物を狩る獣のような目で見据えた。

「お前の誇りと執念を全て懸け、この俺に挑んで来な!!」

「究極パワーアップした私の力、その目に焼き付けるがいい!!」

「「だあああああ!!」」

2匹は激突し、凄まじい攻防を繰り広げるのであった。

初めて会ってから十数年の時を経ても尚、この2匹は全く進歩がない。

「止めなくて良いの?」

地面に敷いたシートに座っていたヒカリが冷や汗をかきながらブイモンとテイルモンの喧嘩を見つめる。

大人になり、髪を伸ばしたヒカリは美しい女性となっており、隣の大輔もまた、逞しい青年に成長していたが、大輔はブイモンとテイルモンの喧嘩を無視して水筒のお茶を啜る。

「良いよもう、俺はもう諦めたよ」

「諦めないことが力の根源の奇跡の紋章の持ち主なのにそれでいいの?」

「ヒカリちゃん、世の中にはな…無理してでも諦めなきゃやってられないこともあるのさ。特にあれな」

「…………」

ヒカリは何も言い返せなかった。

初めて会ってから十数年も経つのに全く進歩が見られない2匹にはヒカリもお手上げ状態だったのだ。

「テイルモン!このターン、俺は奇跡のデジメンタルを発動する!!デジメンタルアップ!!ブイモンアーマー進化、マグナモン!!」

「くっ!テイルモン超進化、エンジェウーモン!!」

色々なルールを無視してブイモンがマグナモンにアーマー進化したことでテイルモンも対抗してルール無視の超進化をする。

「受けなさい!ホーリーアロー!!」

必殺技を放つが、やはり究極体のアーマー体であるマグナモンには分が悪い訳で。

「甘いぞ、プラズマシュート!!」

エンジェウーモンの雷の矢はマグナモンの鎧に弾かれ、反撃とばかりに放たれたミサイルとプラズマ弾の波状攻撃にエンジェウーモンは吹き飛ばされてしまう。

「くううっ!!(やはり強いわ、好戦的なようでいて常に相手の一歩先を読む洞察力、どんな不利な条件下でも時には笑みさえ浮かべる強靭な精神力…そんなあんただからこそ個性的な私達を引っ張ることが出来たのよね…でも私は負けない…今日こそあんたを完膚なきまでに叩き潰してみせるわ!!)」

「これでとどめだエンジェウーモン!!シャイニングゴールドソーラーストーム!!」

「舐めるなあっ!!エンジェウーモン進化、ホーリードラモン!!アポカリプス!!」

「何だと!?」

マグナモンの光を回避しながらホーリードラモンに進化し、マグナモンに向けて降り注ぐ雷撃。

まともに受けたマグナモンは膝を着いてしまう。

「マグナモン、分かっているわね?これがあんたの栄光の終わりだと言うことを!!これで終わりよ!!ホーリーフレイム!!」

螺旋状の聖なる火炎を放ち、マグナモンにとどめを刺そうとするが、マグナモンは焦るどころか不敵な笑みを浮かべていた。

「それはどうかな?」

火炎を受けたマグナモンは煙のように消えてしまった。

「なっ!?」

「それはマジックゲームの分身だ。本物はお前の真上だ!!シャイニングゴールドソーラーストーム!!」

「あああああああ!!!?」

「あ、終わったな」

観戦していた大輔がボソリと呟くと、ホーリードラモンから退化したテイルモンを見つめながら呟いた。

「戦いの内容は凄いけど、きっかけが情けないんだよね…」

ヒカリもお茶を啜りながら苦笑する。

「くうう…私の…レアチーズ…ケー…キ…ぐふうっ」

そう言って未練ありありの言葉を呟きながら倒れた。

「頂きまーす」

そして勝者の証であるレアチーズケーキを頬張るブイモンであった。

「ふふふ、昔と変わらないねえ…ブイモンとテイルモン」

2匹揃うと騒がしいが、現実世界にいる時は率先して子供達の面倒を見てくれたから、育児に不馴れな時は本当に助かった。

子供達もそんなブイモン達に心を開いてくれている。

「本当になあ…せめてもう少し仲良くと思わないでもないんだけどさ」

「ふふ、そうだね。でもだからこそあの2人らしいんじゃない?」

そう言うとヒカリは大輔に体重を預けて抱きついてきた。

彼女から香るほんのりとした女性特有の甘い匂いは大輔の鼻腔を擽り、柔らかな体温が伝わる。

「……ん、ヒカリちゃん。どうしたんだ?珍しい」

「ふふ、久しぶりに大輔君にちょっぴり甘えたくなっちゃって。最近、私の中の大輔分が不足しているんだよ」

「何だよそれ?」

ヒカリの唐突の発言に大輔は思わず笑みを零しながら彼女の体を抱き返す。

そうした彼の動作にも気にすることなく、ヒカリはすりすりと大輔の胸元へと甘えてみせた。

程よく引き締まった胸に抱かれるのがヒカリのお気に入りなのだ。

「あ、そうだ」

「?」

「何時もありがとう、これからもよろしくな」

すっと表情を引き締めて、ヒカリに向かって言うと、ヒカリも微笑んで頷いた。

「うん…」

「さてと、テイルモンを回収して帰るか」

「そうだね」

黒焦げのテイルモンを回収して現実世界に帰る大輔達であった。 
 

 
後書き
今日はこれでおしまいです

ブイモン達は馬鹿やってますが、これでもデジタルワールドの最強格なんです。割りとマジで 
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