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銀河転生伝説

作者:使徒
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第3話 ヴァンフリート星域会戦

<アドルフ>

第五次イゼルローン要塞攻防戦から2年近く経った。

俺の階級は少将から変化していない。
まあ、あれ以来戦場に出てないんだから当然だわな。

それと、アルレスハイムとかも原作通り大敗した。
もちろん俺は参加してないが。

で、ここは戦艦ヴァルトブルクの艦橋。
今日は俺にとって記念すべき日だ。

「ナイトハルト・ミュラー中佐であります」

ヴァンフリート星域の会戦に先駆けて、我らが鉄壁ミュラーくんを参謀に起用することに成功。
以後、彼には俺の部隊の筆頭参謀として働いてもらう。

ようやくこの日が来た。
幸先は順調だ、このままどんどん優秀な人材をこちらに取り込んでいくぜ!

青田刈り万歳!
ファイトだ俺!

フォーゲルとエルラッハ?
あいつらなら今頃、退役軍人たちに扱かれてるだろうよ。
無論、それを依頼したのは俺。
第五次イゼルローン要塞攻防戦であいつらが使えないのは良く分かったからな。
まあ、再教育でマシになれば後で使ってやらんこともない。
味方は多いに越したことはないしな。

・・・・・

そんなこんなで、ヴァンフリート星域の会戦に参加することになった。
配属される艦隊はグリンメルスハウゼン艦隊。
つまり、寄せ集め、烏合の衆、無能集団。

そんな中で、俺ことハプスブルク少将はグリンメルスハウゼン艦隊約13000隻の中3000隻を指揮する立場にある。
つまり分艦隊司令官ってことだな。

あれ? グリンメルスハウゼン艦隊の艦艇数、原作より多くね?
原作だと、10000隻ぐらいだったような……。

あ、俺の艦隊が加わっているからか。
そういえば、第五次イゼルローンのときもそうだったな。
まあ、このぐらいなら原作からの乖離は許容範囲内だよね。
むしろ増えてラッキーって感じだ。

……さて、そろそろ将官会議だな。
寝ないよう気をつけなければ。


* * *


――宇宙暦794年/帝国暦485年 3月21日 02時40分――

「ファイエル」

最初の砲火が交わされ、ヴァンフリート星域の会戦が始まった。

将官会議はどうしたのかって?
俺が脇役の一人として加わってる以外に原作との違いはなかったよ。
いつも堂々としている『マザコン司令長官閣下』ことミュッケンベルガー元帥の苦虫を噛み潰したような顔を見れたのは、ラインハルトじゃないが一見の価値はあったぐらいか。

双方の戦力は、帝国軍3個艦隊35700隻、同盟軍2個艦隊29000隻。
帝国軍の方が1個艦隊多いが、それがグリンメルスハウゼン艦隊であるため実質的には互角だ。

現在、俺やラインハルトの分艦隊を含むグリンメルスハウゼン艦隊はまだ戦闘に参加していない。
ラインハルトは苛立っていることだろう。

「全体の8割が遊兵と化しています。このままでよろしいのでしょうか?」

「……ミュラー中佐、君ならどうする?」

「はっ、小官であれば艦隊を6光秒前進させ、2時方向に繞回しつつ砲火を集中させれば敵右翼に打撃を与えうるかと愚考いたします」

おお~、キルヒアイスと同じこと答えてるよ。
さすがミュラーくんだ。

「うん、その意見は正しい。だが、グリンメルスハウゼン艦隊の中身を考えてみろ」

この艦隊は普通の艦隊とは違う。

「中身……でありますか?」

「そうだ、この艦隊は練度が低い。マシなのは俺とミューゼル准将のところだけだろうな。下手に攻撃を仕掛けても逆撃をくらうのがオチさ」

安全運転が一番ってね。

・・・・・

05時30分。
ようやくグリンメルスハウゼン艦隊が動き出した。

しかし、艦隊全体の行動速度がバラバラで指揮と運用に混乱が生じており、とてもじゃないが戦闘なんてできる状態じゃない。
ほら、ミュラー君も茫然としてるじゃないか。

「これは……艦隊行動に統一性を欠いている。これでは戦いなど………」

「言った通りだろ、この艦隊は戦えないと」

「閣下の慧眼、恐れ入りました」

まあ、原作知識があるからこそなんだけどね。

「ま、こんな状態じゃ出来ることは長距離から撃ってることぐらいさ。武勲を立てられないで残念だとは思うが……」

長距離砲戦だと危険少なくていいよね。
俺は死んで二階級特進なんて絶対に嫌だからな、死亡フラグは何としても回避せねば!


* * *


戦いは3日目に入った(=3月24日)。
帝国軍と反乱軍の各部隊がそれぞれに分断し合って、訳の分からん混戦状態になっている。

100歩譲って接近戦はいいとしても、混戦だけはご免だわ。
アニメや小説で『混戦ダメ、絶対』って言ってたのが身に染みて理解できたよ。

敵だけじゃなく、味方にも気をつけないといけないんだぜ。
やってられっか! ……ってわけですよ。

帝国軍も同盟軍も繞回進撃を試みているが………無理だろうな。
そして、やはりというべきかグリンメルスハウゼン艦隊の動きは遅い。


<ラインハルト>

「友軍は何をしておるか! 我が部隊の動きに付いてこれないのか? あの無能共め……いや、一部隊だけ付いてきているな。キルヒアイス、あれは?」

「あれは……アドルフ・フォン・ハプスブルク少将の部隊ですラインハルト様」

「ハプスブルクだと!?」

ハプスブルクというと、あの門閥貴族の筆頭格のハプスブルク公爵家か。
確か当代のアドルフは俺より1年上だったはず。
ただの貴族のボンクラではないということか?
もしくは優秀な参謀でも付いているのかもしれんな。

「このままでは、我々とハプスブルク少将の部隊だけが突出する形になって孤立を招きます」

「やむを得ん、進撃速度を落とせ。これでは駿馬が亀と同行するようなものだ。いくら我々が戦理に適った艦隊運動をしても、他が呼応しないのでは何にもならん……見ろあれを」

「敵軍、ですね」

「目の前を獲物が素通りするのを手を拱ねいて見ていなければならないとは……キルヒアイス、この会戦に一方的な勝敗は無いな。どちらかが兵力を集中させれば一気に敵を撃砕することが叶うのに、双方とも無意味な繞回進撃で兵力を分散させてしまっている。こんな連絡の悪い宙域で採る作戦ではないのだ」

俺が指揮官ならこんな無様なことにはせんものを。

「敵も味方も、ようやくそれに気づく頃でしょうか」

「そうだな、同盟軍などと称する反乱軍の奴等も泥沼に突っ込んだ足をどう引き抜こうかと、さぞ思案に余っているとこだろうよ。勝算も立てずに兵事を弄んだ報いだ」

帝国軍も反乱軍もどっちもどっちだ。
こんな戦いは労力と時間の浪費でしかない。


* * *


<アドルフ>

あ~終わった終わった。
今からパァっと一杯……。

いや、実はまだ終わってないけどね。
これからヴァンフリート4=2に行くところだ。

ま~、でももう俺やることないしね。
後はリューネブルクとラインハルトに任せとくよ。
せいぜい頑張ってもらいましょうか。俺は寝てるがな。
嗚呼、楽ちんなり。

しかし、ヴァンフリート4=2か。
ここでの出来事が後にリューネブルクの戦死に繋がるわけだが……。
リューネブルクの実力は惜しいな。

同盟軍にはシェーンコップがいる。
こいつと渡り合えるのはおそらく帝国でもリューネブルクだけだろう。

単純に白兵戦の強さなら石器時代の勇者であるオフレッサーがおそらく宇宙最強だろうが、あいつバカなんだよね。
落とし穴に引っ掛かって捉えられるとか……無いわ~w。
腕っ節だけじゃなく頭も回るシェーンコップに見事引っかけられる姿しか想像できん。
っていうかどうやって装甲擲弾兵総監まで上り詰めたんだコイツ? やっぱ腕一筋でか?

キルヒアイス、ミッターマイヤー、ロイエンタールもシェーンコップと渡り合える実力者だが、こいつらはラインハルト陣営に加わる確率が高い上、そもそも宇宙艦隊の司令官だ。

なので、差し当たってはリューネブルクをどうやってこちら側に引きこむかが課題だな。
まあ、まだ時間はある。

ゆっくり考えて行けばいいか。
 
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