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いたくないっ!

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おまけ  これがほんとうのえんでぃんぐ?

 空は青。
 やわらかな陽光の差し込む教室。
 寝ぐせのようにぼさぼさな、赤毛の女子生徒が一人。

 窓際の席に座って文庫本を読んでいる。

 楽しげに微笑を浮かべながら、ぺらりページをめくる。
 唐突に、ぷ、と吹き出した。

 そっとページを戻すと、また、ぷふっと吹いた。

 あははと笑いながらちょっと足をバタつかせていると、突然、後ろのドアが開いた。

「おっ、まだ帰ってないのか」

 ポニーテールの女子生徒が教室に入ってきて、赤毛女子の横に立った。
 ちょっと目の吊り上がった、キツイ感じに見える女子である。

「読書なんて珍しいな。なあにを読んでんだあ?」

 その質問に、赤毛女子は人差し指で本にしおりをしながらポニーテールの女子を見上げる。

「知ってますかあ、ファイトモデルっていうジャンルの若い人向けの小説なんですけど」
「それいうならライトノベルだろ」
「そ、そうともいうかも知れませんが」
「いや、そうとしかいわないから。んで、どんなタイトル読んでんだよ」

 ポニーテールの女子生徒は、赤毛女子の手にしている文庫本のカバーを覗き込んだ。

 太った丸文字で、「いたくないっ!」とタイトルが書かれている。

 文字同様に丸々と太った、オカッパ頭で黒縁眼鏡のブッサイクな詰襟制服姿の男子が二人と、ガリガリに痩せた男子が一人、どこにでもいそうな地味顔で小柄な眼鏡女子が一人、背景に女性戦士のようなシルエットが数人、というカバー絵だ。

「クラスの子に借りたんです。オタクとかそういうの、私よく分からないんですけど、でもこれ、読むとなんか笑っちゃうんですよねえ」
「へえ。……つうか、文字読めるのか? こないだ国語赤点だったろ? ひらがなカタカナのとこだけ読んで内容分かるの?」
「そ、そーっ、そうやってえっ、いま私をバカにすることに、なんの意味があるんですかあああ!」
「ムキになるなよ。ごめんごめん。冗談だってば。なに涙目になってんだよ。泣くなよ高校一年にもなってさあ」
「泣いてません。目が疲れただけです。……ちゃんと、読めてますよ。漢字もひらがなもカタカナも数字も。あと数ページで、終わりなんですから」
「おー、そっかそっか。悪かったな、読書タイムを邪魔しちゃって。そんじゃ、あたし先に帰るわっ」

 ポニーテールの女子が後ろのドアから出ていって、一人に戻った赤毛の女子生徒は読書を再開。

 ぺらり、ページをめくり、
 時折、ぷっと吹き出しながらも、読み進め、
 そして、読み終えた。

 ふふ、と微笑みながら、

 ぱたん

 本を閉じると、



 すべては、真っ暗になりました。



 おしまい。 
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