お湯はいい
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第一章
お湯はいい
山那ココは水が苦手だ、だから学校の水泳の授業はかなり嫌がる。
「私水が苦手だから」
「それでよね」
「今日も見学ね」
「どうしても駄目だから」
「ええ、それでね」
幼い頃溺れたトラウマから言うのだった。
「いいから」
「じゃあ先生に言って」
「それでなのね」
「今日も見学するのね」
「そうするのね」
「どうしても駄目だから」
それ故にというのだ。
「見学よ」
「他のことはよくてもね」
「ココちゃん本当にお水苦手よね」
「どうしても無理なのね」
「そうなのよ、体育は好きだけれど」
それでもとだ、猫の様な可愛らしい顔で言うのだった。内緒であるが実は猫の血を引いているせいでその顔になっている。
「それでもね」
「お水が苦手で」
「水泳もよね」
「駄目なのよね」
「どうしても」
「ええ、絶対にね」
まさにとだ、ココは答えてだ。
実際に水泳はせず水も避けるばかりだった、しかし。
朝は毎日顔を洗っていた、それで父にも言うのだった。
「女の子だからね」
「奇麗にしないとな」
「ええ、だから毎日ね」
欠かさずにというのだ。
「洗ってるわ」
「そうしないとな」
「駄目だしね、これはね」
水が苦手でもというのだ。
「やるわ、というかね」
「しないとだな」
「いられないわ」
こう父に言うのだった。
「本当に」
「それはいいことだ、あと夜にはな」
「お風呂もね」
こちらもというのだ。
「入らないとね」
「そっちはいいんだな」
「お湯だから」
それでというのだ。
「だからよ」
「いいんだな」
「それにお風呂で溺れたことはね」
ココはだ。
「ないしね」
「うちの風呂で溺れるか?」
「ないわね、うちのお風呂小さいからね」
「そうだろ、だからだな」
「お風呂ではね」
本当にというのだ。
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