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真説魔法少女リリカルなのはエトランゼ改

作者:ケン009
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1部 稀有な人生の始まり
2章 妖狐
  花見

 居候のみとしてはイベントがあれば参加しないといけない。
本当は逃げたいぐらいだったが逃げるのは不可となった。
学校でアリサたちが今日の花見楽しみとか言って俺に言ってきたので生返事したのがダメだった。

「今日の花見楽しみね」

「「うん」」

「そうだな、楽しんで来い」

「あんたも行くんでしょ」

「らしいな」

「なによ、私たちとじゃ行きたくないわけ」

「んなこと言ってないだろうが」

「なんでそんな生返事なのよ、しかも他人事?」

「花見を静かに花を見て酒を飲む
一人で楽しむものだ」
 
 アリサは一人で怒っていたのだが、俺は昔の事
生前の事を思っていたので、スルー気味だったのが火に油を注いでしまった。
俺は悪かったと謝り、今日の花見は強制参加になってしまった。
すずかからはみんなで一緒に行きたいからとか思い出を共有したいなど言われてしまった。

 実際には花見は嫌いではない
生前は良くやっていた。
アパートの窓から半のりしてするめを食べながら
桜と月を肴にして良く飲んでた。
そういえば家族以外の人と
一緒に花見をするのはいつぐらいだろう?

 ノエルがバスを運転してみんなを乗せるらしい
スタートは月村家から始まり、バニングス家を回り高町家に着いた

 初めて高町家に来たのだが、
なのはの家も一般家庭に比べるとはるかに大きい
どこの一般家庭に道場が建ってるのか不思議でしかない。
なのはの姉
高町美由希
眼鏡っ子の高校生ぐらいだと思うのだが、俺があいさつした瞬間
どこにでもいるおとなしい女性だと思ったのだが、握手をした瞬間
気配が変わった。
この町はビックリ博覧会かよ
こいつも強い
俺が一瞬警戒した瞬間
おっとりとした笑顔で返された。
もう一人参加する予定の人間がいるらしい。
3人娘はバスでおしゃべり
それ以外はバスの外で話していた時に
茶色のカーディアンを羽織った女性と狐が一緒に来た。
昨日の巫女のコスプレをした女だ!
それを見たなのはがすぐにバスから降りてきた。

「くーちゃん」

「くぅん」

 なのはとこのクーちゃんと呼ばれた狐は仲良しみたいで抱っこして喜んでいた。
その時コスプレ女は何もない所で転びそうになったところ

おっとり茶髪の女の子が歩いてきて
何もないところで転びだした。

「わぁあ」

 こんなところでけがされちゃ中止になりかねないから俺は正面で受け止めた。
身長差から正面から胸をわし掴みしてしまった。

「俺は慌てて、体勢を立て直させた」

「す・・・すみません」

「こっちもわるい」

「ボーとしてしまって」

「助けるのが遅れたな」

「い・・・いえ助かりましたから」

 俺がちらっとバスの方を見てるとこちらを見て何か話てやがる。

「昨日とは大違いだな?」

「あ~昨日の女の子?」

「頭までおかしいのか?
俺は男だ!」

「あわわ・・・ごめんなさい
自己紹介がまだでした風ヶ丘高校3年
神咲 那美です
南條君でよかったかな?」

「綾でいい、悪かったな」

「え・・・えっと出来れば忘れてください
そして本当にありがとうございます」

 彼女は真っ赤な顔で頭を下げた。
9歳だって知ってるだろうにガキ相手に照れなくても良いと思うのだが

 人間ってリアルに何もないところで転ぶんだな本当に・・・
巫女・ドジ属性って何かのアニメのヒロインかと突っ込みを入れたくなる
なのはの姉美由希と仲がいいらしくすごく話し込んでいた
それから少し遅れて恭也の友人が来た。
こいつも結構な実力者だ
気配がぴんとしてるんだが・・・
名前は赤星 勇吾
どうもすずか達の周りは善人しかいないみたいだ。
なぜなら俺を一発で男だと見破りやがった。
全員が整った容姿の化け物集団だ
そして少し休憩をして今日の花見の場所に向かった

 バスに揺られて30分ぐらい、そこから歩いて20分で目的地に着いた。
付いた瞬間の感想は、
世界は、幻想に満ちていた。
ピンク色の花びらが輝きをまとい、幻想的な夜桜。
ピンクの流れる滝のごとく、
枝いっぱいに薄紅色の花を咲かせている。
見渡す度に表情が変わり、
日本人の心とも言うべき桜
幻想的で美しい季節の到来。
ライトアップされた桜は、
満月の光に当てられて
誰もが魂を洗濯するぐらいの感動を与えてくれた

「ふハァ・・・」

 誰もが、息を呑んだ。
神咲の案内で、私有地内へと案内された俺たち。
何回も来ている皆も声もが出せず、
歩きながら華やかに咲き誇る桜に目を奪われている。
普段は人もいっぱいの花見もここは私有地
今日だけは俺たちだけの贅沢な空間となっていた。
どうやら此処の私有地は神咲が暮らしている大家の土地らしい
花見ってここまで感動するものだったんだなぁと改めて思ったよ。
今までの花見って何だったのか思うぐらいだ!
アリサとすずかが言った意味が良くわかる。

「どう? 綾君私たちが来ている花見の場所は。」

「忍・・・さん、桜ってこんなにきれいだとは思わなかった。
またみんなもそれをドレスコートしているみたいになってビックリした」

 普段なら言わないのだが、どうもこの花を見てふっと言葉にしてしまった。

「確かにな 桜の花びらが落ちてきて一段とかわいいのが余計にかわいい
特に桃子はもう世界一かわいいな」

「もう士郎さんったら」

 ハイ万年バカップルは捨てておいて、本当に心から思った。
艶やかな花びらが目の前を舞うにつれて、気持ちが安らいでいく。
俺は息を吐いて、少し立ち止まった。

 俺には場違いな場所だ・・・

 そんな時両方から手をつながれた。
すずかとアリサだ!

「別にいいでしょ」

「一緒にね・・・」

「仕方ないな、なのははいいのか?」

「うん、久遠抱っこしてるしね」

「なのはちゃんも久しぶりに久遠ちゃんと会えてるから」

 話を聞くと数日前まで春休みだったから神咲は鹿児島に帰省してたらしい
当たり前だが飼い狐の久遠も一緒に、なのはは春休み中会えなかったらしい
久しぶりに会って狐と友好を確かめ合ってるみたいだ

 両方にいる二人の手が強く握られたので無意識に握り返した
どうやら桜の魔法なのか、センチになってやがる
心地良い夢から目が覚めたのは、目的地についてからであった。
現出するピンクの絨毯を背景に、シートを敷いて全員の座る場所を確保。
私有地なので、最高に眺めの良い場所でくつろげる事が出来た。
用意される美味しそうな弁当類に、飲み物。
弁当って言うよりご馳走に見える
これは春の楽園なんだろうかと思えるほどだ
今週の初めまでごたついていたなんて、はるか昔のように感じていた。

 乾杯の音頭は桃子さんが取り、高町家&月村主催のお花見が始まった。
残念ながら俺はお酒ではなくオレンジジュースだったりする
しかも美味しく感じる
多分味覚も子供化しているから
大人たちは当たり前だが酒を飲んでやがる

 満天の夜空と、綺麗な桜。
美味しい料理に楽しい会話と、心地良い雰囲気の中で皆明るい笑顔を見せている。
 本当に、ここの世界はやさしすぎる。
楽園かと思えるほど
俺は少し離れた場所で、桜の木を背に腰掛ける。
雰囲気に酔ってしまったのかも・・・桜の花びらが舞う。
静かで、心が透き通っていく。
何も考えず、何かを気にせずに時間を過ごせる。
たまに来る風が気持ちいい
実は今までのがすべて夢じゃないのかと思うぐらいだ
耳元に届く喧騒。
凄くいいBGMだ
でも俺はあの中に入りづらい
どのように会話をしていいかわからないからだ
まるで舞台を見ているような感じ。

 そのなかでどうしても違和感を感じた。
ずっと見ていておかしいところを、
いびつな人間関係を知ってしまった。
いびつと言ったらおかしいかもしれないが、
高町夫妻は仲のいい夫婦
恭也さんと美由希さんは仲のいい兄弟
恭也さんと忍さんは仲のいい恋人同士
アリサとすずかは仲のいい友人
美由希さんと那美さんはこちらも仲がいい友人
ノエルとファリンは仲のいい姉妹メイド
これを見ると別におかしくはないのだが
なのはだけ浮いてるように見えるのは気のせいだろうか

 少し考えてみよう
高町家は基本的に皆で仲が良い。
この短時間でもそれがわかる
きっと笑顔が絶える時間なんて
この家ではほとんど存在しないのだろう。
明るく優しさに満ちた、理想的な家族
古きよき昭和のような優しい家族
きっとこういうのは近くにいた人間ではなく
外部に気づく場合が多い
今回もそれなのだろうと思う

 なのはの立ち位置だ。
士郎さんと桃子さん
夫婦で行っている喫茶店
さきほどのバカップル並みの夫婦
お互いが心で繋がっている夫婦
とてもすばらしいと思う。
こんな夫婦もいるんだなぁと感心だ
恭也と美由希
お互いが剣士だからか
聞くところによると恭也が指導していて
監修が士郎さんがやってるらしい
アリサとすずか
この二人もやはり資産家の令嬢だけ会って、
何かと一緒にいることも多い。
今日も同じバスだったり、
同じ習い事も多いと聞く
忍と神咲も恭也を中心にすごく仲がいいみたいだ
神咲となのは姉もそうだな
赤星ってのはよくわからんが
だがなのはの立ち位置が不安定に見えてくる。
別に、なのはが嫌われているのではない。
なのはは愛されている、それは間違いない。
家族にも友人にも本人も、それは分かっている。
ただ傍目から見ていて・・・浮いているように見える。
今も家族の会話に入ったり、友人の会話に入ったりしているが
なんかいびつな風景に見える

 なのはは小学生なのにしっかりしているが、それでも子供だと思う。
なのははもしかして寂しいのではないのだろうか?
これは勝手にそう見えただけでそうとは限らないが、なんだが不安定な関係に見えてきた
あれだけ中がよさそうな家族なのに・・・
あっ!アリサに見つかってしまった。

「なんであんたは一人で飲んで食べているの」

「アリサ、いっただろう花見とは静かに花を愛でて楽しむものだと」

 少し目くじらを立てているアリサにそういったら

「それは昼間聞いたわよ!
じゃなく一緒に来なさいって事」

「アリサちゃんみんなと一緒にお話とかしたいんだって」

 アリサに絡まれ、すずかとなのはにつき合わされ、
何だかんだやっている内に、最初以外ひとりになれる時間はなかった。
その後でカラオケ大会とか開催までして、
桃子さんより強制参加。
カラオケが好きらしく、
始終テンションが高まりっぱなし。

 マイクを向けられて歌は知らないといったら、
なのはとデュエットさせられた。
こちらに来てからあまり歌は聴いていないので
歌える自身がなかった。

 歌唱力までハイスペックか
このメンバーは
歌唱力は凄かった。
全員うまかった。
なぜか採点付きのカラオケ機材まで用意されていた。
――気づけば、カラオケ対決。
実際にみんな80点後半ってドンだけなんだろうと思う
90点以上もばしばし出て
みんな歌手目指したらって言いたくなるばかりだった。
歌で飯が食えると感じた。

 凄く疲れた
色々な意味で騒がしかった花見は、終わった。
大人たちは後片付けをしていた。
子供たちはぐっすりご睡眠
言うわけでノエルから鍵をもらい車をあけ
抱っこをして乗せていくことにした。

 最初にアリサ、次にすずか
今はなのはをお姫様抱っこで車まで連れて行っている
少しだけ身体強化の呪文を使い
送っていった。
まぁみんな寝顔は天使だね
今回はすごくはしゃいだから
後片付けも時間がかかったみたいだった。

 俺が車から戻ってくるころには
ちょうど後片付けが終わったみたいだ

「みんなを運んでくれてありがとう」

 士郎さんがそういってくれたので
返事だけはした。
「運ぶのは野郎の仕事だから」
みんな重くなかったと聞かれたら
実際みんな軽かったので羽のように軽かったですといっておいた。

「凄く力持ちなんですね」

 神咲がそういってくれたので

「ちょっとだけ荒事にも手を出してるからだ!」

 そういってから高町家について泊った。

 深夜。
寝静まった高町の家で一人、俺は起きていた。
多分気づいている人物もいると思うが
俺は1階の縁側で座っている
灯りは完全に落とされ、家の中は真っ暗である。
今日の花見では桜を愛でて楽しむより、
結局は馬鹿騒ぎで時間が過ぎてしまった。
あれはあれで楽しかった
心が洗われたみたいに楽しかった

 暖かい布団に横になれば
すぐに寝れると思ったんだが、眠れない
なんか寝たらあしたは生前の生活になるんじゃないかと少しだけ恐怖を感じてしまう。
瞼を閉じても眠気は訪れず、
意識ははっきりしていた。
先ほどの花見でもらった
缶ジュースを隠し持っていて
縁側で俺は夜を堪能した。
これが桜の魔力って奴かもしれないな

「・・・ふぅ」

 高町の家は郊外で、車通りも少ない。
一人でいるのはやはり落ち着く。
以前もよく一人が多かった

「俺は弱くなったのだろうか?」
 
 そう思いながらも少し遅い時間に眠りについた。 
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