竜に捧げる歌
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第三章
「そうさせて頂きます」
「それではな」
こうしてエターニャは時々ドラゴンのところに来て歌った、ドラゴンが話をした後で。そうしたことが何度か続くうちに。
エターニャは友達の妖精や獣を連れて来た、彼等はドラゴンと聞いて恐れたが彼女が穏やかだと言うので一緒に来てドラゴンの話を聞いた、するとドラゴンが実際に穏やかで誰かを決して襲ったり傷付けたりしないことがわかり。
エターニャと共にドラゴンの話を聞きその後でエターニャの歌を聴いた。そうした妖精や獣、森に人里離れて暮らしている隠者まで来てだった。
ドラゴンの話にエターニャの歌を聴く様になった、何時しかドラゴンは森の主としてだけでなく心から慕われる様になった、その状況になってだ。
彼は森の中とはいえ遠くの場所にいるエターニャにテレパシーでだ、こんなことを言った。お互いにテレパシーを使えるからこそのやり取りだ。
「今の状況はだ」
「貴方が森の皆に慕われていることは」
「悪くはない、むしろだ」
こう言うのだった。
「いい、そうなったのはそなたがわしの前に来てからだ。だがらだ」
「だからですか」
「そなたに感謝している」
こう言うのだった。
「心からな、だからこれからも友でいてくれるか」
「私が貴方のですか」
「そうだ、そうしていいか」
「私でよかったら」
エターニャはドラゴンに微笑んだ声で答えた。
「お願いします。私はどの方ともです」
「友達になりたいか」
「そう考えていますので」
「わしの前にも来てか」
「そしてそう言って頂けるなら」
それならというのだ。
「これ以上嬉しいことはありません」
「ではな」
「これからも宜しくお願いします」
エターニャはドラゴンにテレパシーで答えた、そして翌日また多くの友と共に彼の前に聞いてその話を聞いた。そのうえで歌を歌った。その歌にドラゴンだけでなく森の住人達も耳を澄ませた。心にまで届く清らかな歌を。
竜に捧げる歌 完
2018・9・19
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