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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【魔法先生ネギま!】編
  243 目覚めたらデス・メガネ


SIDE ???

(……さて、これはどういうことか…)

俺のそんな問い掛けに答えてくれるのは、目の前をごぼりごぼり、と立ち上っていく気泡の塊だけで。

〝お辞儀さん〟を(たお)して百七十年強。アニーとハーマイオニーを看送り、幻想郷で気ままに暮らしていたらいつの間にやら【ドラゴンボール】で悟空やベジータが入っていた〝生命維持装置っぽいナニか〟に入っていた件について。

(……?)

(やが)て違和感を覚える。こんな状況に陥ってから少なくとも5分ほどは経過しているだろうに、あると思っていた〝これまで生きてきた記憶〟の継承がなかったのだ。

〝継承〟が無いと云うことは、〝これまでの記憶を持っていない〟と云う事を意味していて──そうなると、考えられる可能性も限られてくる。

(……まぁ、この感じだと〝人造生命体への憑依〟とかだろうな)

培養液(?)の中で〝両手〟をグーパーさせつつ、馴れないその感覚を噛みしめながら取り敢えずはそう結論付ける。……人外への憑依だったとしても〝〝動物もどき(アニメーガス)〟の逆〟をやれば良いだけなのだが、やはり最初から人形(ヒトガタ)の方が面倒が少ない。


――……ォン…


(……?)


――ビィィィッ! ビィィィッ! ビィィィッ!


(……っ!?)

――「嗅ぎつかれたかっ!」

――「総員、撤退!」

……そんな事をテキトーに脳内で纏めていると〝どごぉん〟だとか〝ばごぉん〟だとか、爆発音のが聞こえ、その5秒もしないうちに警報音が鳴り響き培養液(?)越しにすら俺の耳をつんざく。ガラス越しに覗けるポッドの外の状況──白衣を来た数人の人物が慌ただしく右往左往している状況と、俺の〝現状〟を併せて(かんが)みるに、ガサ入れか何かだと察しがつく。

――「所長、〝検体〟は、どうします?」

――「データさえあれば良い、全て廃棄だ!」

(おっと、それは困るぞ──っと、ぬん…っ!)

〝廃棄〟。

憑依を自覚して数十秒でそんな言葉を聞かされた俺は、たまらず半径1kmを〝覇王色の覇気〟で威圧する。

(……ん…?)

〝覇王色〟で威圧して、白衣達が泡を吹きながら崩れ落ちていくのは視認出来たのだが、〝見聞色〟にて未だ動きを見せている気配を察知する。……しかし、よくよく探知してみれば残った一人は〝気〟からして、中々の強さだと判った。(やが)てその気配は俺の近くまでやって来て…


――どごごぉぉぉぉおん!


今日一番の爆発音を轟かせ、直径1.5mはありそうなほどの穴を空ける。〝気配の主〟はその大穴を潜り、ドアの残骸を掻き分けながら部屋へと入ってきた。

(あー)

そして俺はついに〝気配の主〟とポッドのガラス越しに対面し──〝この世界〟がどんな世界かを悟り、内心で変な声が出た。

〝気配の主〟の性別は男で、年齢は30~35と云ったところだろうか。口元には無精髭を(たた)え、服装はスーツで眼鏡を掛けている。

ここまでの情報では一見うだつの上がらなさそうなサラリーマンなのだが、この男性がそうでは無いと俺は〝識って〟いた。

(〝高畑(たかはた)・T・タカミチ〟…)

“咸卦法”を使えるなら〝鼓舞〟のバフが得られ、肉体はもとより精神的にも強化される。なるほど、〝覇王色〟が通じにくいはずだ。そしてそれは、この世界が【魔法先生ネギま!】な世界線である公算が高い事を意味している。

この後、ちゃんと救出してもらえた。

………。

……。

…。

「……ふむ、それでタカミチは〝日本の麻帆良(まほら)〟ってとこからあの研究所にカチコミを掛けに来たと…」

「……カチコミ──言葉を選ばずに言ってしまえば確かにそうとも云えるね。……はは…」

高畑・T・タカミチ──タカミチ(〝そう呼んでくれ〟と言われた)から聞いた話を纏めてみれば、タカミチは苦々しい顔から一転、何故か苦笑しながら俺の要約が間違っていないことを認める。

タカミチは研究所の職員を手馴れた手付きで捕縛してから最寄りの町の宿まで俺を連れ、俺はそこでタカミチから大まかな説明を受けた。

当初はタカミチも内容が内容なので口に渋っていたが、〝当事者〟である事を盾に、タカミチの良心をつついてみれば色々と話を()く事が出来た。

どうやら俺は〝ネギ・スプリングフィールド計画〟なるプロジェクトで〝〝今は亡き〟ネギ・スプリングフィールドの代替品〟として、ネギ・スプリングフィールドのDNAから〝作成〟されたらしく、タカミチは〝とある情報筋〟からのタレコミでこの研究所にカチコミを掛けたとの事。

……そう、〝今は亡き〟だ。

色々腑に落ちないところがあるが、タカミチからその事について面白い話が聞けた。

まず、俺の〝オリジナル〟であるネギ・スプリングフィールドはイギリスがウェールズの田舎の村に住んでいた。

しかし凶事と云うものは存外とありふれているらしく、ネギ少年が住んでいた村は悪魔の大群に襲われる。村人は高位の悪魔によって(ことごと)くが恐らくは〝永久石化〟でだが──石化させられていた。それが3年前。

そこまでは〝知識〟の通りなのだが、そこから俺の有している〝知識〟から大きく逸脱する。

ネギ少年が斬殺体で発見されたらしい。

……そして更に興味深い事に、ネギ少年には〝シュン・スプリングフィールドとな名前の、〝聡明な〟双子の兄〟が居ると云う。

(……これでそのシュンとやらが銀髪オッドアイとかだったら、役満だよな。……さて…)

「そう云えば()いてもいいかな?」

「……? 俺に答えられることなら構わないが…」

余り詮索してもタカミチに怪しまれるだけなので、シュン・スプリングフィールドについてはそこまでとし──〝これから〟について思案しようとした矢先、不意にタカミチがそう口を開く。

タカミチにはいろんな事を(たず)ねさせてもらったので、等価交換と云う訳ではないが俺は頷いた。

「一体、君は何者だ?」

タカミチの質問はある意味単純明快であれど、ある意味曖昧模糊(あいまいもこ)であった。

しかし、タカミチが云わんとしている事は大体判る。

「〝ネギ・スプリングのクローン体〟──だけど、タカミチが知りたいのは〝そういう事〟じゃないだろう?」

「ああ、僕は科学者や哲学者とかじゃないから詳しくは門外漢だが、これでもいろんな人を見てきたんだ。これだけは云える。……君は〝こういった事に〟慣れているね?」

「……ほう…」

「君は喚くでも思考を停止させるでもなく──かといって僕の言葉に唯々諾々(いいだくだく)になるでもなく、的確に〝自分の身の上〟を知ろうとしている。最初からだ。……それをあんな状況下からそう時をおかず出来るなんて──言い方は悪いけど普通じゃない」

タカミチの指摘に〝思わず〟──と云った(てい)で感嘆の息っぽいモノを洩らしてみれば、タカミチはそう思い至った思考の経緯を述べる。別に、タカミチに探られて痛い腹が有るわけではないので、韜晦(とうかい)しよう、とかはこれといって思わなかったので、その辺りから俺の〝違和感〟に気付いたらしい。

「〝普通〟の定義はさておくとして──まぁ、確かに俺はこう云った突飛な出来事への耐性はある」

「じゃあ、やっぱり…」

「どう〝やっぱり〟なのかは判らないが、俺はこの身体にいつの間にか憑依していた存在だ」

「憑依…。それなら〝やっぱり〟だ。……口の動き方とかがまんま日本語だったからね」

「へぇ…」

今度は素で感嘆の息を洩らしてしまう。タカミチからしたら候補の一つであろうが、さすがと云うべきか。

タカミチは会話のイニシアチブを取ったつもりなのか──実際取られているのだが、「さて…」と前置きすると俺に()いてきた。

「君は〝これから〟どうする?」

「俺の〝これから〟ね…」

それは俺も頭を悩ませている事であった。

……とは云え、実際のところ選択肢は三択に等しい。

研究所からの道程からしてここが〝魔法世界(ムンドゥス・マギクス)〟だと予想出来るが、地理に全く明るくない。タカミチの為人(ひととなり)からして、そんな状況下で俺をそのまま放り出すなんてまず無いだろう

そこに俺の身の上を(かんが)みると、〝アリアドネー〟か〝麻帆良〟〝ラカンの元〟の三択しかなくなる。その三択の内、より安全性が高いのは〝麻帆良〟だ。

「ちなみに、タカミチのオススメの選択肢は?」

「……【麻帆良学園都市】ってところに来てくれる事かな? そこなら僕も色々と融通を利かせる事が出来るからね」

「【麻帆良学園都市】…」

タカミチからはやはり〝麻帆良〟と云う選択肢が提示される。

しかし〝麻帆良〟が嫌なわけではない。今の俺の肉体年齢は5歳くらいなので、とっとと肉体年齢を上げるために〝某・ロリババア〟と交渉して〝別荘〟──“ダイオラマ魔法球”を借りるのもありかもしれない。

……もしくは、数多(あまた)在る二次創作よろしく、その〝某・ロリババア〟に弟子入りするのもありだろう。

「タカミチは〝融通を利かせる事が出来る〟って言ったけど、タカミチってそんな強権を奮える立場の人物なのか?」

「……いや、僕は学園長──麻帆良の最高権力者との繋がりがあるだけだよ」

「その〝学園長〟は、俺みたいな〝訳有り〟を受け入れられるのか?」

「それは大丈夫さ。学園には君以上に〝個性的なヒト〟達がたくさん居るからね」

(でしょうねぇ…)

〝600歳越えの吸血鬼〟〝褐色巫女半魔族スナイパー〟〝未来から来た超天才異世界人〟〝魔法使い絶対殺すウーマンな某・亡国のお姫様〟〝科学と魔法のハイブリッドガイノイド〟などと比べると、〝英雄の息子のクローンに憑依した現人神(あらひとがみ)〟でしかない俺なんてどうってことはない。

俺は腹を据えた。

「ふむ…。ならタカミチに付いて行くよ。……タカミチもそうして欲しいみたいだしな」

「助かるよ、えーと…。……そういえば君の元の名前は? 名乗りたい名前でも良いよ」

「名前か…」

確かに名前が無いのは色々と不便である。〝升田〟を名乗っても良いが、曲がりになりにも俺は〝スプリングフィールド〟なのだ。

(なら…)

「そうだな、今日から俺は真──春原(すのはら) (まこと)とでも名乗るよ」

「〝春原 真〟──良い名前だと思うよ」

「……まぁ、いくらか面倒掛けると思うが。よろしくな、タカミチ」

「こちらこそ、真君」

改めてタカミチと握手する。……それは俺による主にシュン・スプリングフィールドへの嫌がらせのための〝〝魔法世界(ムンドゥス・マギクス)〟救済譚〟のプロローグであった。

SIDE END 
 

 
後書き
予想していた方も多いでしょうが、ネギま編です。 
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