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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生

作者:ノーマン
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2話:転生?

 
前書き
改行修正 2018/9/8 

 
宇宙歴752年 帝国歴443年 1月5日 オーディン軍病院
ザイトリッツ・フォン・ルントシュテット

ひとまずローゼ先生を逃がすことに成功したがそれは祖母マリアとの一対一のはじまりを意味する。どうしたものかと思案する間もなく、マリアが話しかけてきた。

「ザイトリッツ?顔色は昨日よりだいぶよさそうね。まだ、どこか痛いところはある?」

「いいえ、おばあ様。またなにか考えるとまとまらない状況ではございますが、痛むところはございません。」

マリアは俺の左ほほに手を当てながら続ける。

「良かったわ。ルントシュテット家の男子たるもの弱音は吐くべからずとはいえ、貴方は事故にあったのです。痛む部分があれば、むしろ早めに伝えるのですよ?」

「はい。おばあ様。」

うーん。マリアは俺の事を祖父の生まれ変わりと猫かわいがりしてはいるが、祖父レオンハルトであればこうする!みたいなことを日々言っていた気がする。

「怪我をした際に変な意地を張って万が一のことがあってはそれこそ無謀というものです。一日も早く回復できるよう変な意地を張るつもりはございません。おじい様であれば、一日も早く万全にすることを優先されたはずですし。」

するとマリアは

「よくぞ申しましたザイトリッツ。それでこそルントシュテット家の男子でしょう。レオンハルト様もきっとお喜びの事でしょう。」

と、涙ぐみながら満足そうな表情をしている。
正解を言えたようだが、記憶があいまいな部分が多い事も事実だ。なにやら喜んでいるうちにマリアに確認してしまおう。

「おばあ様、昨日お伝えしたと思うのですが、事故の後遺症なのか、記憶にあいまいな所がございます。いくつが確認したいのですがよろしいでしょうか?」

「もちろんです。確認したいことはどんなことなのです?」

マリアが若干心配そうな表情を浮かべながらこちらを見つめてきた。

変に心配をかけることに少し罪悪感を感じながら昨夜、自分がザイトリッツと呼ばれることに対して感じた納得感の方を考えたときに浮かんだことを伝える。

ルントシュテット家の当主、ニコラウスの3男であること。長男、ローベルトが士官学校におり、次男、コルネリアスが幼年学校にいる事。

父、ニコラウスと母、カタリーナは軍務と貴族としての付き合いの為、オーディンの屋敷におり、領地になかなか戻れずにいる事。

母が不在の為、乳母のカミラ。乳兄弟のパトリックと伴に過ごしてきたこと

そして最後に、祖母マリアが領地経営を代行しているためシャンタウにいる事。母が多忙なため、自分は祖母の下で養育されていることと、祖父が反乱軍の名将との会戦で戦死したことを一つ一つ確認しながら話した。

「ザイトリッツ。他になにか覚えていることはあるのかしら?」

マリアの問いに首を横に振ると

「レオンハルト様も家族や近しい人には配慮を欠かさない方でした。やはり貴方はレオンハルト様の生まれ変わりね。」

などと、また涙ぐみながらも満足げな表情を浮かべている。まだ5歳とは言え、今までの俺はだいぶ甘やかされていたのではないか?と心配になる。

「おばあ様、私もルントシュテット家の男子。いろいろとお教えいただいたことは記憶にございますが間違いがあっては恥です。確認も含め、今一度ご教授いただけないでしょうか?」

するとマリアは一段と感激した様子で色々と話してくれた。とはいえ所詮5歳児、だいぶ簡単ではあったが置かれている状況が理解できた。

祖母マリアの話によると、現在入院しているのはオーディンという星の軍病院らしい。

祖父・父ともに軍人であるため、事故にあった際にその伝手で入院できたそうだ。オーディンは銀河帝国と呼ばれる星間国家の首都星で、年末年始を家族揃って過ごすために領地から出てきた所、事故にあったらしい。

銀河帝国を建国したのはルドルフ大帝で、建国して既に450年近く経つ。

帝政をひいており、現在の皇帝はオトフリート5世。仕える相手としては褒章は若干少なめな所を除けばまずますの名君らしい。

その中でルントシュテット家は伯爵号を有し、銀河帝国の領域の中では中心部と辺境の中間に位置するシャンタウ星域を領地として治めている。

もともと初代は銀河帝国の建国期にルドルフ大帝を軍功の面で支えたらしく、それ以降、ルントシュテット家は代々軍人として帝政を支えてきたようだ。

そんなルントシュテット家ではあったが、反乱軍との戦争は既に一世紀近くなり、歴代の当主や直系男子もかなり戦死しており、領地の経営も何とかできているレベルのようだ。

その中でも、祖父レオンハルトは若年から才覚を示し、将来は宇宙艦隊司令長官も期待される人材だったが、6年前の第二次ティアマト会戦にて戦死。

祖父は父、ニクラウスに幼少から軍人としての教育を施したが反発まではいかないものの、父は部下が死ぬ環境に嫌気がさし軍官僚へキャリアを変えたが、祖父が戦死した第二次ティアマトで、将官だけでも60名近く戦死した影響で本来なら退役し、伯爵として領地経営をするはずが、いまだ現役であること。

をマリアは矢継ぎ早に話し続けた。

思い起こすと、本当に幼少の砌には、祖母の薫陶を理解できずともうんうんと聞いていたが、最近は乳兄弟のパトリックと屋敷の外で遊びたがることが多かったらしく、祖母としては俺と話す時間が少なくなり、不満を感じていたようだ。

祖母の不満解消という観点では意味があるが、そろそろお昼。マリアの独演会をどうしたものかと考えだしたタイミングで

「コンコン」

ノックがされるや否やドアが開き、母親のカタリーナが病室に入ってきた。

「お義母さま、おそくなり申し訳ございません。ザイトリッツの容体は如何です?」

「カタリーナ、まだ事故の影響なのか、記憶があいまいな部分があるようなの。確認も含めて、お話していたのよ。久しぶりにザイトリッツとゆっくり話す時間が取れたわ。」

「そうでしたか、最近はお屋敷を抜け出して遊ぶことが多いとお嘆きでしたものね。こんなことがありましたもの。少しは良いこともありませんと。」

「その話はまた改めてにいたしましょう。まずはザイトリッツの体調です。しっかり休んで万全に戻さなければ。」

目の前で俺を含まない会話のキャッチボールが続く。ザイトリッツとしての記憶に引きずられているのかどうもこの二人には苦手意識がある。

話し疲れもあるしこれ幸いにそんなやりとりを眺めていると

「お義母様、あの話が明日の午後にございますので、ニクラウス様へザイトリッツの病状もお伝えせねばなりません。お義母様には領地経営を担って頂いてもおります。ご同席頂きたいのですが。」

「そうですか。今はザイトリッツについていたいし、貴方たちだけでも大丈夫な気もするけど、手違いがあってもよくないわね。わかりました。」

淑女達のキャッチボールが終わりそうだ。休みたいのも事実だが、手元に何もないし、状況も確認したい。どうしたものかと考えていると。

「こんな時にごめんなさいね。ザイトリッツ。お義母様のお力添えをお願いしなければならないことがあるの。寂しいかもしれないけど、堪えてくださいね。」

カタリーナが申し訳なさそうな表情で話しかけてきた。事情があるなら仕方のないことだ。

「母上、まだ安静にしなければいけませんが、命に関わることはなさそうです。御心配には及びません。とはいえ手元に費えがないのも不安ですし、何かの際に事付けを頼める方がいてくれると安心なのですが、お願いできますか?」

カタリーナは少しビックリした表情をしながら

「確かにそうね。気が動転していたのか、気づかずにごめんなさいね。費えの件は、ローゼに言えば済むようにしておきます。人の方は従士のフランツについてもらうことにしましょう。」

病室の外にカタリーナが声をかけると、16歳位の青年が入ってきた。

「ザイトリッツ様、従士のフランツでございます。部屋の外に控えておりますので、何なりとお申し付けください。」

優しい大型犬に懐かれる印象を感じながら、

「フランツ。よろしく頼む。おばあ様、母上、こちらはご心配には及びません。お戻りください。」

そう俺が言うと、マリアとカタリーナは少し名残惜しい表情をしながら病室から出て行った。まだ体調が万全ではないのもあるのだろうが、少しホッとした。

身体からも疲れを感じるが、安静にしている間に状況確認を進めたいのも事実だ。そのあたりの指示をフランツにしておこう。

「フランツ。母上から聞いているかもしれないが、事故のせいで記憶があいまいな部分があるのだ。ルントシュテット家の男子として間違いがあっても困る。私が休んでいる間に我らが帝国や領地に関して確認できる書籍なりデータなりを用意してほしいのだが、問題はあるか?無ければ少し疲れたので休みたいと思うが。」

「問題ございません。お休みされているうちに用意しておきます。他には何がございますか?」

今のところない旨を伝えるとフランツは手配して参りますと病室を出て行った。

急に病室に一人きりになると、広くなった気がする。とはいえすべきことはない。安静にしていよう。目を閉じると疲れを感じていたのもありすぐに眠りに入った。 
 

 
後書き
原作の第2次ティアマト会戦は宇宙歴745年12月
ザイトリッツの誕生は宇宙歴746年3月を想定してます。

 
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