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ねここい

作者:あちゃ
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第14話

 
前書き
夏祭り後編。

♫浴衣の君は~ ススキのかんざし

高校生だから熱燗とか飲んじゃダメだけど、
甘酸っぱい思い出は残して欲しい。

そうしないと あちゃ みたいな大人になっちゃうよ! 

 
「大神!」「大神さん♡」「大神君♡」「大神君!」
元男美女の後ろ姿を何時までも眺めていたら、突如俺を呼ぶ声が複数聞こえてきた。
振り向くとそこには色とりどりの浴衣を着た巨大な猫が4匹。

「わぁ……皆、浴衣姿だ。可愛いね」
出来れば人間の姿で見たかった……とは言えず、巨大猫に浴衣というシュールな絵面を我慢して褒めておくことに……

「あ、ありがとう……そ、そう言う大神君だって、その甚平ステキじゃないの♡」
「ホントホント。夏の男って感じだぜ♡」
「殿方の衣服に無頓着な私でも、その素晴らしさは解りますわ♡」
「うん。大神君は渋いよね♡」

四者四様の社交辞令をもらったところで、先程見た光景を皆にも教えてあげる。
つまり、蔵原と真田さんの事だ。
ジェスチャーを交え、奴等が向かった先を指差して教える。

皆の視線が神社の方へ向いた所で、見られない様にルーペで好感度を計測する。
佐藤さん『♥27764』・白鳥さん『♥27775』・渡辺さん『♥27751』・小林先生『♥27763』
先日の無人島バカンスで、飛躍的に上昇した好感度。
未だにMAX値が判らないが、これってかなり高い値なんじゃないの?

「ホント……蔵原の奴はどうしようもない男だな。この前の旅行で、真田との仲を深めたと思ってたのに……」
「幼馴染みで、真田さんの性転換の一番の理解者らしいし、元から中は深いんじゃないの? 問題なのは彼の性格でしょ」

「あんなに思ってるのに、幸ちゃん可哀想……」
「渡辺さんの意見も解りますけど、性格面は熟知してるようですし、そのくらいで落ち込む程メンタルは弱くないのではないですか?」

本当にこの4人はコイバナが好きだなぁ……
女の子ってそう言うモノなのか?
でもウチの姉は、そう言うところが微塵も無いからなぁ……

「さぁ……問題児蔵原君は放って置いて、私達は私達なりにお祭りを楽しみましょう」
「賛成賛成! 先生の意見に大賛成!」
「相変わらず佐藤さんは、遊ぶことだけは積極的ですわね」
「普通の高校生は、皆同じですよぉ、エレナちゃん」

祭りを堪能することに決定した一行は、呆然とする俺の手を引き、祭りの中へと(いざな)っていく。
皆さん興奮してるのか、何となく顔が赤らんでる気がする。
先生は兎も角、まさかお酒なんか飲んでないよね?





甚平パワーか、はたまた馬鹿()()マジックか……
今日の俺には財力がある。
甚平姿の俺を見た両親が、各々5000円づつ提供してくれたからだ。

恩着せがましくするつもりはないのだが、金持ちが居ようが大人が居ようが、男として奢り倒すのは当然の義務だろう。
焼きそば・綿アメ・金魚すくい……美女(推定)4人に奢りますよ!

はい……もうオケラ。
何でお祭りの縁日の出店って、こんなに高いの?
大して美味しくもない焼きそばが1人前500円。
美女(推定)4人と俺の計5人分購入したら、軍資金の25%が消滅さ。

女性とのお付き合いって、もしかして金がかかるの?
師匠(蔵原)は如何してるの?
彼ん家、もしかしてお金持ち?

「大神君は金魚すくい、やらないの?」
節約の為、初めの焼きそば以外は自分用に金を出してない俺を見かねて、渡辺さんが話し掛けてきた。今にも金魚を丸呑みしそうな絵面で……

「お、俺は……いいよ。下手だし、捕っても家じゃ飼えないし」
巨大猫の傍に、大量の金魚という絵面はシュールさを増幅させる。
でも俺の言い訳はシュールじゃない。

「た、確かに……ウチ、猫居るし」
俺の一言で飼い猫の存在を思い出す渡辺さん。
「ウ、ウチ……猫居ないけど金魚は飼えないなぁ」
捕った金魚の保管に困る佐藤さん。

「確かに『縁日』って感じだからやってみたけど、この年になると要らないわね、金魚」
場の雰囲気に踊らされてたことに気が付く小林先生。
「我が家には熱帯魚とかも居ますし、観賞用の魚は不要でしたわ……」
一度行った事あるけど、絶対に金魚が似合わない豪邸の白鳥さん。

や、やばい……
何かシラケさせてしまった。
ど、どうしよう……
出店のオッチャンも俺の言葉に不機嫌顔。

「うへぇ……右の尻を蚊に刺された。痒い」
俺のKYさに困っていると、出店の奥の草むらから蔵原が出てきた……堀川先輩と共に。
何してたんですか? ……あぁ、ナニしてたんですね!

「あれ、夕子せんせーに愛香音ちゃん。それにエレナちゃんと愛美ちゃんじゃん! 奇遇だね」
あれ……俺の存在は目に入ってないのかな?
「どこから現れるのよ蔵原君……」
でも話しは進めるのですね。

「何処って……人目の無い場所?」
「いや……私等に聞かれても……」
我等(多分、俺は居ないものとされている)の代表として小林先生が話を進めているが、相変わらず蔵原はマイペースだ。

「あ……そ、そうだ蔵原。先刻(さっき)真田さんが探してたぞ、お前のこと」
「あれ! 大神も居たの? 気配消すなよ……気付かなかった」
消してないし……

「幸が探してた……かぁ。まぁ放って置けよ」
「ちょっと、ひっど~い蔵原君! 幸ちゃんが可哀想でしょ」
何故だか真田さんの事を一番気に掛けてる渡辺さん。

「いいんだよ……どうせ今見つかっても『あ~アオカンしてたでしょ! 次は私とだからね♡』とか言ってくるだけだから」
「してあげれば良いじゃないアオカン! ……って言うか、アオカンって何?」
アオカンを知らない渡辺さんは大声で『アオカン』と連呼する。

「あ、あのな……ア、アオカンってのはな……(ごにょごにょ)って事」
「……………!!!!」
周囲から注目を集めてたので、佐藤さんが渡辺さんに小声で教えてあげた。因みに白鳥さんと小林先生は他人のフリをしている。

「さ、最低! 蔵原君、最低!!」
知らぬとは言え大声で連呼していた事に恥ずかしくなった渡辺さんは、顔を真っ赤にして神社の境内の方へ逃げてしまった。

「あ……待って渡辺さん!」
金魚屋のオッチャンに睨まれてたのもあるので、便乗する形で俺も境内の方へと逃げる。
多分、他3人も続いてくる気配。






境内の裏手で合流した俺等は、恥ずかしさを打ち消す為に蔵原バッシングをする渡辺さんを宥めることに苦労する。
金を使わないで済むが、もう少し祭りを堪能したかった。

渡辺さんも落ち着きを取り戻し、寒い懐状態で終わる祭りを惜しんでいると、夜空に爆音と共に大輪が咲き乱れる。
そう、祭りのクライマックス……打ち上げ花火だ。

「わぁキレイ……」
誰が言ったのかは判らない。
だが俺も同意見なため、「本当だ……」と返答する。

好感度を上げることが出来たのかは判らないけど、久しぶりに祭りというものを堪能した。
例え姿が猫に見えてても、女の子と……しかも4人と楽しめるなんてラッキーだと思う。
しかも蔵原の意見では4人とも美人らしいし。

さ~て……あとほぼ2ヶ月。
4人の内、誰か1人に告白しなければならない。
一体誰に告白すれば良いのやら……

失敗出来ないと言うのに!



 
 

 
後書き
一体誰と結ばれるのか?
作者として困っております。
皆さんは誰が好みですか?

ウルポンですか?
リュリュちゃんですか?
ラングかな?
う~ん、迷っちゃう! 
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