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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百二十七話

風呂からあがった三人はリビングでくつろぐ事にした。

三人、というか二人と一匹。

半分寝ているような状況で風呂からあがったネコは姉妹の膝の上で溶けていた。

その格好はだぼだぼの……姉のレディースワイシャツ一枚であった。

無論着せたのは姉だ。

身長差のせいでワンピースのようになっていた。

「お姉ちゃん。なんか、お兄ちゃんの格好見てると変」

妹は膝の上で啼くネコを見て言った。

「どう変なんだ?」

姉はネコの耳を弄るのを止めずに聞き返した。

「なんだろう…。いけない格好っていうのはわかるの。
でもだからこそ見たいっていうか、だからこそ可愛いっていうか…よくわからない」

「ああ、それは『背徳感』という感情だな」

「はいとくかん?」

「徳に背く感情と書く。自身の道徳に背くような物を見たりしたりすることで快感を得ることだ」

「私悪い子?」

「いや、お前が背徳感を覚えるくらいの常識を身につけた証拠だ。
何も悪い事など無いぞ。人間なら誰しもが一度は抱く感情なんだからな。
だからそんな顔をするな。
可愛い顔が台無しだぞ円香」

姉は片手で妹の頭を撫でる。

「ん……。私の顔お姉ちゃんとほぼ同じだよ?
お姉ちゃんってナルシスト?」

「私は目付きが悪いからな。お前のような優しい目はできんよ」

「?」

ネコと共に居る時の姉しか知らない妹は疑問を浮かべた。

なぜなら、ネコと居る時、姉は必ず優しい目をしているからだ。

ロンドンでも、トレイターの艦内でも、家の中でも。

ネコに優しい目を向ける姉が、妹の知る姉の全てだった。

「ふみゃぁぁぁぁぁ…」

ネコのあごをこしょこしょと撫でる姉。

つけっぱなしのテレビからは芸人のギャグと観客の笑い声が響くが、ソレが二人の耳に響く事はなかった。










「うみゃぅ…」

「うゅ…」

「そろそろ寝るか…」

姉が時計を見ると、針はどちらも2/3πを示していた。

妹は普段なら一時間以上前には寝ている。

ネコは数時間なで回され、すでに夢の中だ。

「おい。一夏、円香。寝るぞ。起きろ」

「みゅー…」

「ん…? お姉ちゃん…?」

にゃうにゃう…と一向に起きないネコ。

「一夏。おーい」

「ふにゃぁぁぁぁぁぁぁ…………」

二人の膝の上でぐーっと体を伸ばしたネコが起き上がる、というか四つん這いでソファーから降りる。

「にゃぅ?」

ぺたん、と座ったネコが首を傾げる。

「寝るから歯を磨け」

「にゃー……みゃうぅぅ……」

ネコは寝惚けた頭でISを操作し始めた。

「にゃふぅ……」

ホロウィンドウを開き、スペルリストを呼び出す。

呼び出すのは、洗浄。

ネコの口のなかで魔法が発動した。

「みゃー…」

「不精者」

「みゃー?………………くぅ…くぅ…」

「すわったまま寝るな」

「おにーちゃんおきて?」

「くぅ…くぅ…」

「仕方ない。歯を磨いてから拾っていこう」

リビングにネコをおいて、姉と妹が洗面所に向かった。

「あ、お姉ちゃん」

「どうした円香?」

妹が歯ブラシに歯みがき粉をつけながら言った。

「私あした束お姉ちゃんのお家にお泊まりなの」

「…………は?」

姉は訳が解らなかった。

「だから明日はお姉ちゃんがお兄ちゃんを独り占めできるよ」

「束か?」

「?」

「提案したのは束なのか?」

「んーん。箒お姉ちゃんだったよ」

「あのバカ…。
私の事を知っていてよくもまぁ…」

しゃこしゃこという歯ブラシを動かす音だけが洗面所に響く。

しゃこしゃこ…しゃこしゃこ…

きっちり三分歯を磨いた二人がうがいをして水を吐き出す。

「あ、そういえば箒お姉ちゃんが『はーれむ計画』の一環って言ってたよ」

「何がだ?」

「私のお泊まり」

「そうか。ちゃんと夜眠れるか?」

「大丈夫。束お姉ちゃんといつも寝てるもん」

「そうか…。お前にとって、姉とは束なんだな…。
まぁ、当たり前ではあるが…」

「?」

姉は、自分が妹の姉ではないのだと悟った。

「まぁ、いい。お前達の厚意は受け取ろう」

姉は覚悟を決めた。

何の覚悟かといえば…

「さ、円香。一夏を上に連れていくぞ」

姉はリビングで座ったまま寝息を発てるネコを横抱きにして、二階のネコの部屋へ。

姉がネコの部屋の前に立つと扉が独りでに開く。

「やはり慣れんな…」

『そう? 千冬とは結構ながい付き合いだと思うけど?』

千冬に語りかけたのはISコアトヨタマだ。

「どうしたのお姉ちゃん?」

「いや、なんでもない」

ネコの部屋は広い。

そしてその部屋の半分を巨大なベッドが占めている。

キングサイズより大きい。

あえて言うならカイザーサイズだろうか。

姉がネコをベッドにのせる。

姉妹はネコをはさむようにベッドに入った。

姉が右、妹が左。

「円香。真ん中じゃなくていいのか?」

「それだとお姉ちゃんがお兄ちゃんに抱きつけないよ?」

「束はどうしてた?」

「いつもお兄ちゃんが真ん中だよ」

ウサギが要るときはいつもネコを抱く妹を更に上から抱いていた、と妹が説明した。

「みゃふぅぅ…」

「まぁ、それで行くか」

妹がネコを抱き、ネコを挟んだまま姉が妹を抱く。

「あれ?お姉ちゃんって手長い?」

「私は束より身長があるし胸も小さいからな」

なお姉の身長は178センチでウサギの身長は170である。

加えて言えば姉の胸は比較対象がウサギだから小さく見えるのであって平均値は超過している。

「おやすみなさい。お姉ちゃん、お兄ちゃん」

「ああ、おやすみ、円香」

「おやしゅみぃ……ふぁぁぁ…ふみゅ…」


















翌朝06:30、三人の中で真っ先に目を覚ましたのは姉だった。

「……………」

姉がそっと、ネコの頬をつついた。

「みゅ…………」

いやそうに顔を反らす。

反らした先で、妹と鼻先がふれあう。

ネコが鼻先を擦り付ける。

まるで猫が飼い主に甘えるように。

妹はいっそう強くネコをだきしめる。

「ふふっ…」

姉はその微笑ましい光景を眺め続けていた。



一時間後。

ネコが目を覚ました。

「みゃぅ…」

「起きたか一夏」

「うみゅぅ…おはよ…ねーさん」

姉がネコの額にキスを落とすとネコは頭をくしくしと姉に擦り付けた。

「そう言う行動を取るということはまだ完全に起きてはないようだな」

「みゃう…?」

「もう七時半だ。朝食にしよう」

「わかったー…」

ネコはもぞもぞとベッドから抜け出して、ふよふよと浮遊しながら部屋を出ていった。

「もう狸寝入りはやめていいぞ」

「うん」

パチッと妹が目を開ける。

「というか何故そんなに狸寝入りが上手いんだ」

妹は07:00には既に起きていた。

姉が狸寝入りだと気付いたのは07:15前後だった。

「毎日やってたもん」

姉は妹がおかしな特技を身に付けている事に苦笑した。

「とにかく起きよう」



二人が階下に降りると、ネコがふらふらとしながら朝食を作っていた。

「ふみゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

大口を開けてあくびをしながら目玉焼きを作るネコ。

「あんなお兄ちゃん初めて見た。寝起きはいつもしっかりしてるのに」

「可愛いからいいじゃないか」

「そうだね」

二人はダイニングからネコを眺めていた。

「ねーさーん…。ごはんでき…ふにゃぁぁ…」

サラダ、トースト、目玉焼きなど朝食のプレートがテーブルに並べられる。

「お兄ちゃん」

「どーした、まどか?」

「私今日束お姉ちゃんのお家にとまるんだけど何か準備って必要?」

「…………………………みゃ?」

ここでようやくネコは目を覚ました。

「どーいう事? このタイミングで?」

「うん。今日はお姉ちゃんがお兄ちゃんを独り占めする日だから!」

「いや、訳がわからん。
ねーさん、どういうこと?」

「私もよくは知らないが厚意は受けとる積もりだ」

「円香、今日束さんの所に行ったら姉さんとはあんまりはなせないけどいいの?」

「なんで? お姉ちゃんは明日からドイツなんだからお姉ちゃんが優先でしょ?」

「?」

姉と妹の言うことに釈然としないといった雰囲気のネコ。

「ま、まぁ、うん。じゃぁ、とりあえず行くと仮定して、FA:Gを連れていけ」

「えふえーじー?」

「後で会わせるから、とりあえず食べよう」

「うん」

頷く妹と笑う姉。

「いただきます」

「「いただきます」」

ネコに続いて姉妹が唱和し、朝食となった。 
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