| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ

作者:エギナ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

00.黑猫と白猫
第一章
  Phase.04

 数分の内に、書類は全て机の上に戻された。今は、琴葉が忙しく手を動かして、仕分けを行っている。

「というか、そんなに書類溜めて、如何したんですか? 会議はサボっても、絶対書類は書いてくれるじゃないですか。不機嫌じゃない限り」
 レンは溜息を吐きながら言う。涙達も同意見な様で、頷いている。

「これ、これから二週間分の、部下達の仕事とか、報告書、掃除屋の手配、作戦案などなどなどの書類。提出するヤツで終わってるのと、終わってないのに分けて、提出しないヤツで終わってるのと、終わってないのに分けておいたんだけどねぇ。見事グレースに因って崩された」
 すると、宙の腕の中にすっぽりと収まっていたグレースが、「にぁお」と満足そうに鳴く。それを聞いて、琴葉は額に青筋を浮かべ、拳を握る。グレースに襲い掛かる事は無かったが、今にも襲い掛かってきそうな雰囲気はあった。

「幹部っていうのも大変なんだね、コト」アリサが声を掛ける。

 この世界には、大きく分けて二つの組織がある。
 一つが「白猫」。人間のみで構成された、「正義」の組織。白い外套を共通して羽織っている。首領を頭として、首領補佐一名、幹部三名、幹部補佐各二名ずつ、上級構成員、中級構成員、下級構成員、最下級構成員の順で権力を持っている。白猫は人体実験等も行う。なので、研究員と被検体がその下につくが、関わりが在るのは幹部補佐以上の者だけなので、知らない者も多いらしい。
 そして、もう一つが「黑猫」。様々な者が居る為、正確では無いが、簡単に纏めると、人間の裏切者や人外で構成された、「悪」の組織。黒い外套を共通して羽織っている。首領を頭として、幹部三名、幹部補佐各二名ずつ、上級構成員、中級構成員、下級構成員、最下級構成員の順で権力を持っている―――と言うのが、白猫が所持している情報。言い換えると、「誤った情報」。
 「黑猫」と言う組織の構造はとても複雑で、「猫」、「獅子」、「狼」の三つの組織があり、その三つを統べるのが首領。三つの組織を統べるのが頭領。「誤った情報」で言う幹部。そして、その下に「誤った情報」で言う幹部補佐、正しくは幹部、上級構成員、中級構成員、下級構成員、最下級構成員となっている。これは、古くから黑猫に所属する者のみが知っている情報―――と言っても、知っているのは首領と頭領の三名だけだが―――だった。

 此の部屋に居る人物等が所属しているのは、黑猫の「猫」。なので、琴葉は幹部では無く頭領。「誤った情報」の方で全員の立場を並べると、琴葉は幹部、涙と宙は幹部補佐、アリサ、ユリア、紫苑、輝、レンは上級構成員となる。「正確な情報」だと、琴葉は頭領、涙と宙は幹部となる。
 何故、この様な複雑な構成になったのかは、正確な情報を知る四人しか知らない。

「……如何した? 琴葉、顔が怖い……って、いつもの事か」
 涙がそう言うか、琴葉の耳には届いていなかった。書類を仕分ける手を止め、光の無い瞳で部下達を見ている。

 この世界には、少なからず「人外」と呼ばれる者が存在する。鬼や吸血鬼等だ。
 この場に居る者では、アリサとユリアが「鬼」と呼ばれる種族の者だった。彼女等は、人間の様に姿を惑わせて生活している為、初対面の人では彼女等が鬼だとは気付かない。行動だって人間と同じ様な事をして、完全に人間の中にも溶け込める様にしていた。

「いや、問題無い」
 ピクリと肩を震わせ、涙に言う琴葉。だが、それは涙が自分の方を見ていたので、適当に返してみただけなので、涙の問い掛けの答えとしては似合わない物だった。
 琴葉は仕分けを再開する。何を考えていたのか、それとも唯何も考えずにぼうっとしていただけなのかは誰にも分からない。

 
 

 
後書き
一章完結かもしれないです。
私の中では、一章は
【「猫」のいつものメンバー紹介‼】
って感じを予定していたので。

私の今の予定では、二章は
【白猫と衝突‼ 黒華幹部にお兄ちゃん!?】
的な感じを書こうと思っています。
何か、デスゲームとか人狼を読んで頂いた方なら予想がつくと思いますが、
再会した瞬間に衝突しそうですよね(汗)
暴走しないでくださいねー、琴葉さーん。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧