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ねここい

作者:あちゃ
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第9話

 
前書き
なんやかんやで夏休み前まで時間は進みます。
夏……そう、恋を育むには最適な季節。
私にそんな経験無いけどね! 

 
梅雨というジメジメとした嫌な季節を乗り越え、輝かしい夏休みが目前に迫った期末テスト明け……
ゴールデンウィークに行った勉強会などのお陰で、赤点こそ免れた物の、自分のアホさ加減に滅入る瞬間と言えるだろう。

だが落ち込んでばかりも居られない。
そう……嫌いな人は居ないであろう夏休みが来るのだ!
クラスを見渡すと、あちらこちらで夏休みの予定を話し合う連中も……

俺も4人の候補者を誘って何処かに行ければ良いのだが……金も積極性も無い俺に、女の子を誘う事が出来るのだろうか?
蔵原を利用して、バーター的に出掛けられる様に仕向けるか? 出来るのか俺に?

「あ、あの……大神さん。な、夏休みは、どちらかに出掛けられるのでしょうか?」
無い知恵を振り絞って蔵原巻き込み計画を立案しようとしてたら、白鳥さんが珍しく控えめに話し掛け、俺の夏休みの予定を尋ねてきた。
え……もしかして何かのお誘い!?

「お金も行動力も無いから、何処にも行けないよぉ」
「で、でしたら……我が家の別荘へ一緒に行きませんか?」
まぢで!?

今朝好感度を測った時『♥5033』ってなってたけど、この数値ってもしかして高いのか?
その影響でもしかしたら惚れられてたりしちゃってるのか?
まぢでか!? 俺みたいな顔も頭も運動神経もショボイ男を!

「ぜ、是非行きた「おぉ良いな……別荘なんて持ってるんだ! 流石金持ち……私も一緒に行きたいよ! 何処にあるの? 海? 山?」
俺が行きたい旨を伝えようとしたら、話を聞いてた佐藤さんが割り込む様に参加してきた。

「い、良いですわよ……勿論。と、友達ですから……ちっ」
ん?
今、舌打ちした様に聞こえたけど、二人とも何時もの様に会話を続けてるから気のせいだろう。

「うわぁ~良いなぁ~……私も一緒に行きたい!」
「わ、渡辺さん……よ、宜しくてよ。我が家の別荘は無人島にございまして、大人数でも問題ありませんから」
へぇ~……無人島を買い切っての別荘なんだ! 金持ちなのは知ってたけど、本当に凄い金持ちなんだなぁ……

「良いなぁ無人島でのバカンスぅ~……ねーリュー君、私達も連れてって貰おうよぉ~」
「ゆ、幸……お、お前……何時の間に現れた?」
確かに何時の間に!?

突如現れた真田さんは、その巨乳を蔵原の後頭部に乗せ抱き付く感じで俺等の予定に乗っかろうとしてる。
「では我が家の別荘へおいでになりますか? 100人以上が訪れても余裕がある別荘ですので、問題無いですわよ」
「良いの? 邪魔じゃぁない?」
何だ? あんまり遠慮しない性格の蔵原が、何故だか遠慮がちに尋ねてるぞ?

「今更何を……1人増えるも4人増えるも同じです。遠慮なさらないでくださいまし」
4人?
俺・佐藤さん・渡辺さん・蔵原・真田さん……5人では?

「こらー、そこの思春期少年&少女諸君。子供らだけど無人島なんてダメですよー!」
年頃の男女の心配をしてるのは小林先生。
言われてみれば当然か……まぁ白鳥さんのご家族が付き添ってきてくれるのだろうけど。

「んじゃさぁ……夕子センセーも一緒に如何? 思春期の沸き起こるリビドーを監視するって立前でさぁ?」
“リビドー”と言うのが何なのか解らないけど、蔵原が小林先生まで誘い始めた。
蔵原が言うには小林先生は美人でナイスバディーな様だし、女付きな奴は狙ってるのだろうか?

「そ、そうですわよ先生。見張り役として一緒に行きましょう!」
見張り? つまり『学生が羽目を外さない様に監視する』って事かな?
うん、確かに必要だし、何より候補者4人が全員揃うのは有難い。

「あら、何か悪いわね。私までご相伴させてもらって」
「美人は大歓迎でしょう! なぁ大神」
「え!? ……あ、あぁ……そ、そりゃぁ……」

流石に大人な小林先生は、それとなく遠慮を見せて同行を受け入れる。
そんな大人へのフォローなのか、蔵原が俺を使って歓迎を示した。
俺としては突然名前を呼ばれて驚いたけど……

「じゃぁ……夏休みの宿題を絶対に忘れない様に。教科書も持って来れば、なお良し!」
「えぇ! 折角の夏休みだってのに勉強させられるの?」
まったくその通りだ! 俺は佐藤さんの一言に激しく首を縦に振る。

「お前と愛香音ちゃんは期末も赤点ギリギリだったろう……良い機会なんだから、みっちり勉強しとけよ。まぁその間俺等は遊び呆けるけどね!」
「イェ~イ。無人島でバカンスー!」

無慈悲な事実を突き付けつつ、真田さんとラブラブ宣言をする蔵原……
抱き付いてる真田さんは、今にもキスしそうな勢いで顔を近づけ同意してる。
彼女が男だと聞いてなお、羨ましいとしか感じないこの状況。

とは言え俺のお相手は巨大猫にしか見えない4人だ。
この呪いにかかった当初は、大したイベントも無い半年間で、俺に何が出来るのか不安だったけど、それでも何とかなっているのが驚きだ。

未だに基準が解らない物の、好感度も上がってきてるし、このまま何とか乗り切れれば良いなぁ……
10月末までに誰かに告白しなければ、俺の呪いは消えること無く永遠に持続する。
一体誰に告白すれば良いのだろうか?

因みに現在の好感度は……
佐藤さん『♥5043』・白鳥さん『♥5033』・渡辺さん『♥5031』・小林先生『♥4998』となっている。

数値が無くても仲良くなった感じはしている。
でも告白して成功する値が判らない。
テレビゲームみたいに“『♥5000』を超えたら告白可能”とか設定があれば良いのだけど、あるのか無いのかすら判らないから困っている。

因みに、この数値が大きくなると、上昇率も大きくなっている。
つまり『♥200』や『♥300』の頃は上昇値も20~30だったけど、『♥1000』を超えた辺りからは上昇値が100~500になってた。

『♥10000』を超えれば、1000~5000くらいの振り幅で上昇しそうだ。
好感を持たれれば、その分だけ上昇率も増える仕組みらしい。
嫌いな奴に褒められるより、好きな奴からの褒め言葉の方が嬉しいって事だろう。

そう言えば、以前に化け()()から貰った『好感度上昇ブースターシール』の使い所が判らなかったから、それとなく蔵原(勝手に恋愛の師匠にしてる)に聞いてみた。『惚れ薬があって、それが一人分しか無い場合、使用する基準はなに?』って感じで……

そしたら『俺はそんな卑怯な物に頼らない! 女性に好かれる努力をして、その結果としてモテたいのであって、ただ快楽を味わいたいわけでは無い! 相手の意思があっての恋愛だ』と言われた。

もう全てにおいて俺より格好いい……
何なのこの男?
惚れ薬的アイテムの使い所を模索してた俺には痛い言葉だったよ。

そんな遣り取りを聞いてた真田さんが、蔵原が居ない時にコッソリ教えてくれた。
アイツは女性にモテる為に色々努力してるらしい。
馬鹿はモテないだろうと授業は聞き逃さない様にし、運動音痴はモテないと体力作りも努力し、ピアノが弾ければモテると思えば習い、いやモテるのはギタリストでしょって聞けばギターを学ぶ。

動機はエロだけど、そのストイックさたるや頭が下がる思いだ。
未だ付き合いは短いけども、蔵原の“努力をしない者は嫌いだ”って感じは伝わってくる。
ちょっと前の俺なんかは、まさに蔵原の嫌いな人間だったろうけど、アイツは敵対心をぶつけなければ誰とでも仲良くしてくれる男だ。

そのお陰で俺の恋愛スキルは向上している。
蔵原程の域には達しないだろうが、現段階の状況を考えると、コイツの生き様は参考になり助かっているよ。

さて、夏休みの予定も少しは確定したことだし、蔵原の言動を真似して未来の嫁さんを確保する為、頑張りましょうかね。姉に言ったら『私も連れてけ』って言いそうだし秘密にしておこう。
夏休みの後半には、毎年恒例行事の夏祭りも開催されるし、このチャンスを生かさなきゃね。

惚れ薬的な物はさておき、もう少し使えるアイテムを化け()()からもらえないだろうか?
でもなぁ……
アイツ……馬鹿だからなぁ……

使えない物ばかり渡してきやがる。
うん、これからアイツを馬鹿()()と呼ぼう!



 
 

 
後書き
実写版『銀魂2』が封切り!
もう見るっきゃないね!
前作は直腸の手術直後に行って大変だった。
笑いすぎて手術跡が切れたからね。
今回は大丈夫。
肺の手術は半年前……
流石に笑っても切れないよね? 
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