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ねここい

作者:あちゃ
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第6話

 
前書き
秘密道具登場! 

 
新高校生活が始まり、最初の週末が来た。
と言ってもやることがある訳でも無いし、俺は自室でノンビリ猫のことを調べる。
まだまだ解らないことだらけだ。

解らないと言えば、俺の生涯の伴侶候補が猫にしか見えないから、彼女等の表情を理解することが出来ない!
蔵原を参考に色々話し掛けては居るのだが、正直好感度が上がってるのか判らない。
折角巨大猫にも慣れてきたというのに……

そんな事を考えていると、また窓から勝手に化け()()が入って来やがった。
さも自分の家の如く、当然の様に入って来て、そして自然な動作で本棚からマンガを取り出し、俺のベッドに寝転がり読み耽る。ブン殴ってやりたい気分だ。

「お前……何しにきた?」
「見て解らんか? マンガを読みに来たニャ」
やっぱりブン殴るか?

「おい、さきいかでも持って来い。気が利かないニャぁ」
「お前なぁ……俺はお前の所為で、凄く苦戦してるんだぞ! 多少は巨大猫と仲良くなったが、猫の顔じゃ表情が判らず好感度を把握しづらい! 何とかしろ馬鹿」

「それが人に物を頼む態度かニャ? 何とかして欲しくば、さきいかを持って来るニャ。話しはそれからじゃろう」
「くっ……だが何とか出来るのか!?」

「それはさきいか次第ニャ。良いさきいかなら、考えてしんぜようぞ」
コ、コイツ……
しかし……本当に何とか出来るのなら、さきいかくらいくれてやっても良いな。

基本、誰かに反抗する精神が欠落しているヘタレな俺は、何とかしてもらえると言う事を自分に言い聞かせ、台所に保管してある父の酒のつまみ『さきいか』を取りに一階へ降り、見つけ出して部屋へと戻る。なお、化け()()は既にマンガに没頭している。

「ほら、持ってきたぞ。俺の悩みを解決しろ!」
「素直にさきいかを持ってきたニャ。良かろう……ちょっとは助け船を出してしんぜようニャ」
お前の所為で苦労してるんだろ! 何で上から目線なんだよ?

「ジャジャジャ~ン!! “好感度計ルーペ”ニャ」
何処かの猫型ロボット風な言い方で、ホットパンツの中から小学生が使用してそうな安っぽい虫眼鏡を取り出す化け()()
取り出した場所が気になり、渡されても親指と人差し指で摘まんでしまう。

「何、これ?」
「これだから馬鹿は困るニャ。先刻(さっき)説明不要なアイテム名を言ったじゃろう。好感度計ルーペって言ったじゃろう」

「つ、つまり何か? これで人を見れば、その人が俺に対してどのくらい好感度があるか判るって事か?」
「ちょっと違うニャ。アチシの呪いで猫に見えちゃう奴等だけニャ」
いや、今の俺にはそれだけで十分だ。……だが、

「本当かぁ? マンガ読みたいから適当なこと言ってるんじゃないのかぁ?」
「疑うのなら今すぐ出掛けて、試してみるニャ。クラスメイト以外にも、世の中には物好きが居てお前に好意を持ってくれる変人が居るかもしれないニャ……まぁそんなに数は居ないじゃろうけどニャ(笑)」

「逐一ムカつく言い方しやがるな! だが確かにそうだな……他の候補が居るか居ないか分からないけど、クラスメイトには会うかもしれないしな」
「納得したのならサッサと出て行くニャ。アチシは読書で忙しいニャ!」

絶対何時(いつ)か殴る!
そう心に誓い、部屋を後にした。








俺の家は最寄りの駅から徒歩15分。
大都会って訳じゃないが、それなりに発展してる駅前には週末と言う事と相俟って人が沢山集まっている。
こんくらい人が居れば新たな伴侶候補も見つかるかもしれないと思ったのだが……

前方に巨大な三毛猫がこちらに向かって歩いてくる。
俺の知ってる巨大三毛猫とは違う巨大三毛猫かもしれないし、こちらから話しかけることはせずに化け()()から貰ったルーペを使い巨大三毛猫を観察してみた。

するとルーペのレンズ部分に『♥246』と数字が出てきた。
♥マークが好感度を意味して、数字はその値を意味してるのだろう。
うん。確かに好感度を測る事が出来る様だ……だがね、数値の上限とか価値が判らない。この“246”は高い数値なのか?

「こんにちは大神君」
俺がルーペに表示された数値に困っていると、目の前まで近付いた巨大三毛猫が話し掛けてきた!
あぁ、やっぱり小林先生だったのか!

「あ、こんにちはです先生……」
「如何したの虫眼鏡で私の事を観察してたけど……そんな事しないで近付けば見えるでしょ?」
そ、そうか……日常生活で虫眼鏡(ルーペ)を使って他人を眺めること何て皆無だから、頗る怪しく見える!

「あ、いや……その……む、虫眼鏡越しに見た風景も乙なんですよ!」
俺は何を言ってるんだ?
自分自身で言ってる意味が解らないのだから、言われた方はもっと解らないだろう。

「ふふふっ……大神君は変わってるわね。席に着けと言った傍から立ち上がるし(笑)」
はうっ……初対面の時の事を根に持たれてる。
どう言い訳をすれば良いのか?

そ、そうだ……
「あ、あの時は……余りにも美人が担任だったから驚いちゃったんですよ」
蔵原が言ってくれてた……『担任が美人だからって反応しすぎだぞ』って。それを利用させてもらおう。

「あらまぁ……口が上手いのね♡ そんな生徒は蔵原君だけで沢山よ(笑)」
で、でしょうね……
ですが今は、周りからの情報を頼りに会話するしかないのですよ。なんせ俺には美人か如何か分からないから……

とは言え、俺に『美人』と言われ嬉しかったのか、巨大三毛猫の顔から笑みが絶えなくなってる。
もしかしたら好感度が上がったのかもしれない。
ちょっとこっそりルーペで覗いてみよう。

『♥268』
好感度268か……
先刻(さっき)が♥246だったから、この短い間に22上昇したことになる。

……ダメだ、全然参考にならねー!
振り幅が大きいのか小さいのかも判らないし、上限が判らないから判断基準も判らない。
好感度300がMAXだったら振り幅は大きいけど、500がMAXならそれ程でもない。

もしかしたら1000がMAXかもしれないし、下手すると10000がMAXかもしれない。
そうなると22の上昇も大したことない数値になる。
ウチのドラ○もんは殊の外役に立たない。あの青狸とチェンジしてもらいたい!

「さぁて……それじゃぁ私は行くわね。もっと生徒と交流を深めたいけど、食品が傷んじゃうから帰らないと」
「あ、買い物の邪魔をしちゃってゴメンなさい」

「ふふふっ良いのよ別に。それよりも余り羽目を外して問題を起こさないでね。先刻(さっき)蔵原君も見かけたけど、女の子をナンパしてたから、君も似た様なことをしてトラブルに巻き込まれない様にね」
「き、気を付けます……」

蔵原もこの付近に居たのか……ってか、何やってんだよアイツは!?
巨大三毛猫こと小林先生を見送り蔵原が居るかもしれない人混みの方に目を向ける。
目を向けた所で奴を見付けられるとは思ってなかったが、まさか簡単に発見出来るとは予想だにしなかった!

声をかけようと近付いたのだが……
本当に女の子をナンパしてたらしく、仲良さげに手を繋いで裏路地へと入って行く。
女の子の方……何処かで見たことある様な気がする。

蔵原の彼女候補……幸さんではない。
誰だったっけなぁ……
誰だったか思い出せない俺は、思い出す為に蔵原と女の子の後をコッソリ追う。

別に見られても問題無いのだろうけど、何故だか俺は物陰に姿を隠しながら二人を尾行している。
ある程度尾行してると、二人は独特の雰囲気を醸し出してる建物に入ろうとしていた……うん、ラ○ホテルだね。
俺個人は利用したことないけど、『休憩』と『宿泊』の二種類の料金を大きく表示してるなんてラブ○テル以外ないだろう。

……って言うかアイツ本当に何やってるの!?
「大神君……何やってるの?」
物陰に隠れクラスメートの尾行をしてたら、突然後ろから話し掛けられた!

俺は驚き後ろを振り返る。
そこに居たのは……



 
 

 
後書き
化け猫ことベル=ノーラの脳内VCは



水田わさび



ではありません。

皆さんは誰を起用してますか?(脳内の話しね。鬼籍に入ってる人も可。報告の必要性は無し) 
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