| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

猫娘と期末試験編
  NO.064 死柄木弔ともう一人が忍び寄る

 
前書き
更新します。 

 
『信念無き殺意に何の意義がある……?』

いつか死柄木がステインに言われたセリフである。
死柄木はその言葉が頭に靄のようにかかっており、さらにイライラを重ねていた。

「(くそが……)」

先日にも一応は仲間ととれる奴らがアジトにやってきた。
トガヒミコに荼毘という二人。
だが、それにしても二人とも、ヴィラン連合にではなく、ヒーロー殺しにあてられて仲間に入りに来ただけだ。
保須市では話題は脳無ではなく、ヒーロー殺しにほとんどを持っていかれた。
それが余計に腹立たしい……。
今は気分を変えに、たまたま立ち寄ったショッピングモールを歩いている死柄木が、周りを見れば誰もかれも不安の字も出さないで平然とこの日常を楽しんでいる。
それが死柄木には腹立たしく感じてしまっていた。

「くそっ……」
「―――弔くぅん」
「なんでこうも……」
「―――弔くぅんってばぁ……?」
「目障りなんだ……」
「―――弔くぅん! 聞いてますー?」
「…………」

一人になりたかったというのに、どういうわけかコイツ……トガヒミコが己の近くにいることに死柄木のイライラはさらに加速していた。

「……さっきからうるせぇぞ。灰にされてぇのか……?」
「そんな怖い顔しないでくださいよぉ……弔くんは神経質ですかぁ?」
「うるせぇぞ精神破綻者」
「それは弔くんには言われたくないですよー。私達同じヴィランで精神破綻者じゃないですか」
「チッ……」

調子が狂うとは正にこの事だろうと死柄木は思う。
なんで尾行をこうも簡単に許してしまったのか……。

「それより周りがやかましいですよねー? 殺してもいいですか?」
「口を開けばそれか。我慢くらいしておけ……」
「はぁい♪ ニシシ……」
「はぁ……」

死柄木は深いため息を吐く。
だが、トガがいるならちょうどいいとも思い、一つ聞いてみることにした死柄木。

「なぁ、トガヒミコ……」
「そんな他人行儀じゃなくていいですよー。トガでもヒミコでもどちらでもいいですよー?」
「はぁ……ならトガ。お前はステインをどう見る?」
「ステ様ですかー? そうですねぇ、とっても殺したいです!」
「…………」

聞いた俺が間違いだった……と死柄木はまたも深いため息を吐く。
だが、そこでトガはある事を言う。

「でもー。ステ様は信念がとってもおありだと思いましたねー」
「信念……信念か。お前もそう言うんだな」
「間違っていませんよー? ステ様はとっても理想のお高い方です。それに比べて弔くんはそういう思いとかはないんですかー?」
「おまえ……まさか今回つけてきた理由は……」
「はいー……弔くんが私が付いていくに値する人なのかを……見定めたいかとー」

『アハッ♪』と笑みを浮かべるトガを見て、死柄木は理由もなくムシャクシャな思いをしていた。
それが分かれば苦労はしない……。
自身とヒーロー殺しとの違いは何なのか……?
まずはそれを明確にしないといけない。
そうでないと、こいつもいつ背中を刺しに来るか分かったものではない。
だが、時間だけはありがたいことにまだ結構ある。
とある作戦決行までじっくりと答えを出せばいいのだ。
そう考えながらも二人はショッピングモールの中をただ目的もなく歩いていた。
だが、そこで二人はとある人物の顔を目にする。

「あいつは……」
「あ! あの子は!!」

二人の反応の差はあれど、見た先には出久が他の子たちと一緒に楽しそうに歩いている光景を目にする。
死柄木は舐めさせられた苦渋の思いと、同時に目的発見という思い。
トガはステインに助けられた出久がどんな子なのかという興味本位。

「ちょうどいいな……あいつにも聞いてみるか」
「弔くん! 出久ちゃんと接触するんですか? ですか!?」

もうトガはそれは嬉しそうにはしゃいでいる。
そんなトガを視界に入れずに死柄木はタイミングを見て出久へとゆっくりと近づいて行った。
いずれは標的にするのだから見定めておくのもいいものだと……。







出久達は集合してそこそこにショッピングモールへと足を向けていた。
だがその前に切島が出久にとあるお願い事をしていた。

「緑谷、すまねぇ! ちょっといいか?」
「なに、切島君?」
「今の緑谷の格好、写真撮ってもいいか?」
「え? うん、いいけど……」

出久は迷うことなく承諾していたが、そこにセ〇ムお茶子が横から出てきて、

「切島君……写真を撮ってどうするつもりなのかな……? かな……?」

某鉈女のような口調で首を傾げながら目を据わらせていた。
そんなお茶子に切島は内心でとてつもない恐怖を感じながら、

「(逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ……ッ!!)」

と、某凡庸人型決戦兵器に乗る少年のような言葉を脳内で連呼しながらも恐怖に抗っていた。
そして意を決して、

「い、いやな……せっかくだから爆豪に送ってやろうかと思ってな……今の緑谷、普通に可愛いし……あいつ、絶対直で見られなくて悔しがりそうだしな」
「んー……まぁ、仕方がないかな。いいと思うよ」
「え? かっちゃんに送るの……? それはちょっと恥ずかしい、かな……」

思わず頬を赤らめる出久。
前に爆豪の家で図らずも爆豪の気持ちを知ってしまった出久。
だから気恥ずかしい事間違いないのである。
そこに峰田が話に入ってきて、

「それじゃ轟にも送ってやろうぜ! あいつらの悔しがる顔を想像するだけで飯がうまくなるってもんだし!」
「かっちゃんは分かるけど、なんで轟君……?」
「緑谷、あんた……さすがにその反応はないと思うよ?」
「ほぇ……?」

耳郎にそう言われて間抜けな顔になる出久。
実際出久は言葉にされないと通じないくらいには鈍感だし、まだ直接轟から気持ちを伝えられていないが為にこういう反応をしてしまうのも仕方がないのである。
出久の中では轟はみんなと同じでまだ友達止まりが現状である。
そんな出久に対して他の女子達も轟に対する憐みの気持ちがあるのか、目を瞑って今後の轟の挽回の機会が訪れるように幸運を祈るばかりであった。

「ま、いいけどな。それじゃ撮るぞー」
「うん」
「できれば笑顔で頼むわ」
「わ、わかった……」
「でしたら緑谷さん! スカートの裾を摘まんでみるのはいかがでしょうか! 絶対に可愛く映りますわ!」

八百万の熱弁に圧されながらも、言われるがままに写メを撮ってもらい、それはすぐに切島の手で爆豪と轟の携帯に送られるのであった。
果たして送られた二人はこの写真を見てどういう反応をするのか楽しみだ、と出久以外の全員は思わずにはいられなかった。


そんな感じですでに楽しそうに騒いでいる一行がショッピングモールに入って行って、すると雄英体育祭の影響か、まだ覚えている若者たちが「体育祭、ウエェーーーーーイ!!」と叫んで来た事に対して、

「や、やっぱりまだ覚えている人はいるもんなんだね……」
「それはそうですわ」
「うんうん」
「まぁ多少は仕方がないか……」

と、全員は気にしないようにする事にした。
それだけど、遠くでは女子勢……特に出久の姿を見て、

「おい、あの子。今もっぱらの噂の緑谷ちゃんじゃね……?」「インゲニウムを治したっていう……」「生で見るとやっぱり可愛いな」「猫耳がとってもキュート!」

と、もうすでに話が人を集めている事に対して、

「と、とにかくばらけようか。それぞれ目的のものがあるだろうし……」
「そうだね! それじゃ集まる時間と場所を決めよう!」
「あそこの噴水でお昼過ぎでいいんじゃね……?」
「決定!!」

そんな感じで全員はばらけていった。
そんな中で、出久とお茶子だけその場に残っていた。

「みんな早いね……」
「そうだね」
「麗日さんはどうするの?」
「うん。私はちょっと虫よけでも買ってこようと思う。デクちゃんはどうするの?」
「僕は別のものかな……それじゃ少ししたら僕達だけですぐに集合しよう」
「わかったよ、すぐに買ってくるね!」

そう言ってお茶子もその場を離れていった。
出久はそれで自身も目的のものを求めて歩き出そうとしたところで、

「お! 君って雄英体育祭で二位なった子じゃん!」
「お話聞かせてくれませんかー?」

少し勢いのある感じで二人組の男女が近寄ってきて、女の子のほうが肩に手を置いてきた。
出久は多少は有名になってしまったから仕方がないと諦めようとしたところで、男性の方も反対側の肩に手をなぜか中指だけ立てた感じで置いてきて、

「いや、ほんと……保須市での事件も知っているよ……ヒーロー殺しと遭遇したんだって……?」
「よ、よく知っていますね……」
「本当に運命みたいなもんだよ……まさかこんなところで会うなんてな……」

だんだん男性の言葉のトーンが下がっていくことに出久は違和感を感じて、フード越しに男性の顔を見て、そして、

「ッ!?」

気づいてしまった。
その男性の顔はUSJで襲ってきたあの、

「因縁みたいなもんか……お前にとっては雄英襲撃以来だとは思うがな……」
「し、死柄木……弔……」
「少し、お茶でもしようぜ? 緑谷出久……」
「ですですぅ!」

出久はこうして死柄木弔と……そしてトガヒミコと最悪のエンカウントをしてしまったのであった。


 
 

 
後書き
エンカウントをして次回に続く感じです。
トガちゃんを追加してみました。


オマケ


爆豪side

「なっ……おまっ、がっ!?(慌てて角に指をぶつけて盛大に転がる)」


轟side

「……焦凍?どうしたの……?」
「か、母さん……俺は!(尊い顔をして倒れる)」 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧