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戦国異伝供書

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第一話 語ることその三

「様々なことを思い出してしまいまする」
「全くじゃ、わしもじゃ」
 信玄も謙信のその言葉に頷き言う。
「これまでまことに色々あったわ」
「わたくし達は川中島でどれだけ戦ったか」
「激しくな」
「そういえば我等もな」
 島津四兄弟もいる、ここから義久が言ってきた。
「何かとあったわ」
「はい、そのことときたら」
「もうどれだけあったか」
「わからぬ位ですな」
 義弘、歳久、家久も言う。
「何かとです」
「思い出すことが多くて」
「どれだけのことがあったか」
「ははは、どの御仁も同じの様で」
 伊達政宗もいる、後ろには今も片倉や成実が控えている。
「それではここはです」
「ここは?」
「ここはといいますと」
「それぞれのことを詳しく聞きたいですな」
 政宗は信玄と謙信に応えて述べた。
「どういったことがあったか」
「それを話すとかなり長くなるであろう」
 北条氏康は政宗のその言葉に目を向けて言った。
「やはりな」
「しかしそれでもです」
「それぞれのこれまでのことを話してか」
「楽しむのもいいかと」
 今はというのだ。
「如何でござろうか」
「そこで傾くか」
 氏康は政宗が傾奇者でもあることから言った。
「そうするか」
「いけませぬか」
「悪いとは言っておらん」
 特にとだ、氏康は政宗に答えた。
「わしもな。かく言うわしもな」
「これまでですな」
「何かとあった、この二人とそれぞれ戦になった」
 信玄と謙信を見つつ言うのだった。
「そのことを思うとな」
「感慨がありますか」
「そのことを話すのもな」
「一興ですな」
「そうじゃ、ではじゃな」
「それぞれ話をしましょうぞ」
「ではじゃ」
 一同の中で長老格、織田家の筆頭家老であり今は大老の地位にあり幕府でも重きを為している平手正秀が言ってきた。
「これより話をしようぞ」
「おお、ではあれですな」
 ここで前田慶次が明るく言ってきた。
「酒でも出して」
「うつけ者、酒なぞ出ぬわ」
 平手は慶次のふざけた言葉に真剣な顔で話した。
「それだからお主は大名になってもじゃ」
「一万石のですな」
「それ位なのじゃ」
「ははは、むしろそれがしなぞが大名にさせてもらうなぞ」
 慶次は戦の場での槍働きが認められ実は十万石も考えられたが慶次自身が信長に自分には過ぎると言って一万石になったのだ。
「果報でござる」
「だからよいか」
「はい、それがしは今で十二分です」
 満足してもまだ足りないというのだ。
「何よりも」
「全く、欲がないわ」
「傾きたいですが、今でも」
「それでも今は酒はないわ」
「では茶ですか」
「茶と菓子じゃ」 
 出すのはこの二つだというのだ。
「それでよいな」
「ほう、茶と菓子でござるか」
 慶次は平手にこの二つを言われた、するとそれはそれでだ。
 目を輝かせてだ、こう言ったのだった。
「それはまた有り難いですな」
「そういえばお主甘いものも好きであったな」
「はい」
 その通りだとだ、慶次は平手に笑って答えた。 
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