| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「冬寂月」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

四十五




 草はらや

   緑の衣

    なほ深く

 留めし想ひの

     隠しけるかな



 梅雨も近くなれば、草木はより深い緑となり…まるで緑の衣をもう一枚羽織ったかのような…。

 それはまるで春の思い出を逃すまいとしているかのようで…私の想いすらも隠してくれているような気がした…。



 風待ちて

  雲居に惑ふ

   朧月

 影そ幽かに

    想ひ零るゝ



 蒸し暑い夜…空には雲がかかるが、時折薄っすらと月が見える。

 雲間から見えるのは朧月…足元を照らすだけの力はないが、その微かな光は…不意に、消えぬ想いを胸の内に溢れさせた…。

 この寂しさも、いつかはこの月のように…朧気になるのだろう…。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧