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ロボスの娘で行ってみよう!

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第51話 謎の女流作家E・W


2話連続投稿です。
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第51話 謎の女流作家E・W

宇宙暦793年〜794年 帝国暦484年〜485年

帝国からヘルクスハイマー伯爵が亡命し、彼の娘である伯爵令嬢マルガレータの愛らしさが連日マスコミにより報道されていた頃、自由惑星同盟の各地の星系で帝国の内情やゴールデンバウム王朝の内情を描いた暴露本などを執筆した女流作家が話題にのりつつあった。

彼女はマスコミの前には姿を現さずに、謎の女流作家として次々に話題作を執筆していた。しかも経歴がもの凄い事も話題に花を添えていた。何と彼女は銀河帝国第36代皇帝フリードリヒ4世の娘にあたり、母親がお忍びのフリードリヒ4世と出会い恋に落ち彼女を身ごもったが、夫が皇帝陛下と判り自ら姿を隠し彼女を産み育ててきた。

そしてある時、彼女の存在を知った彼女が居ると継承権等で困る大貴族が彼女達母子の殺害を企てたために同盟へ亡命してきたと言っているのである。その経歴だけでなく、命を狙われているために姿を現さない事がミステリアスに感じるのである。何と言っても編集者でさえ彼女にあったことがない為に軍や政府により匿われて居るというのが定説になりつつあった。

次々に執筆される著書はベストセラーとして、同盟中の話題を攫った。

第5代皇帝カスパーとフローリアン少年の青春を書いた【皇帝陛下と男の娘】
帝国騎士の若者が姉の親友のために決闘する【競馬場の決闘】
帝国軍下級将兵達の葛藤を書く【駆逐艦ハーメルンの叛乱】

初代皇帝ルドルフの最後の子を書く問題作【劣悪遺伝子ルドルフ】
フリードリヒ4世の御乱行を書く【土下座皇帝】
社会秩序時局の悪を書く【地獄の使者がやってくる】

憲兵隊の悪癖を描く【私利私欲の裁き】
ユリウス一世の毒殺事件前後を書く【皇帝暗殺】
アウグスト二世の狂気を書く【流血帝と止血帝】

ダゴン星域会戦前後を帝国側から見た【暗赤色の六年】
帝国幼年学校での連続殺人事件を解決する若い二人を書いた【2人は勇敢《ムーティヒ》】
男爵夫人の性活を描いた問題作【男爵夫人と7人の恋人】

劣悪遺伝子排除法を怨んだ障害のある帝国貴族の復讐劇【義眼の人】
寵姫の弟がそれを元に出世する【スカートの中の大将閣下】
苦労人の副官の話し【赤毛のデューク】

簒奪を狙う若き提督の物語【レオンハルト・フォン・ローゼンクランツ】シリーズ
寵姫1万人の性欲皇帝を描いた【好色一万人男】
財務尚書の悪行を描く【カストロプ式汚職法】

フリードリヒ4世の性癖を書いた問題作【ロリコン皇帝・少女を抱く】
フリードリヒ4世の性癖による宮内省の混乱を描いた【戦死者は宮内省に獲る】
ランズベルク伯爵の先祖が作成した地下迷宮の話【ノイエ・サンスーシでかくれんぼ】

フリードリヒ4世の侍従武官が残した貴族の醜聞文章【やばい文書を受け取ろう】
サイオキシン麻薬の密売を書いた問題作【フォルゲン伯爵のマチアス君】
シャフト科学技術総監の汚職と情報漏洩を告発した【汚職の人】

寵姫同士の啀み合いを書いた【B夫人とG夫人】
帝位継承のゴタゴタを描いた【皇子3人殺物語】

等々、若干名前などがぼかされたりしているが、帝国内部と皇室の内情をよほど詳しく知らなければ描けない物ばかりなのが、女流作家の経歴に信憑性をもたらした。この本はフェザーンの高等弁務官経由で帝国報告されたが、最初単なる妄想で不敬なる文章という考えであったが、その文章で逮捕者が出たことで、貴族社会で大混乱をもたらしたのである。

実際、カール・マチウス・フォン・フォルゲンがサイオキシン麻薬密売を行っていた上に、ハルテンベルク伯爵とフォルゲン伯爵の共謀で殺害されていた事が確認された事。更にカイザーリング艦隊参謀長バーゼル少将がサイオキシン麻薬密売を行っていたことが判明し逮捕されたのである。

その結果、ハルテンベルク伯爵、フォルゲン伯爵が逮捕の上お家取り潰しとなり、その他サイオキシン麻薬に関与していた貴族や軍人が多数検挙されるに至ったのである。その為に政治、軍事は大混乱に陥っていったのである。

その結果、これら各種本の内容、その多くが現実の事であり得るとされ、帝国の根底を揺るがす大問題とされた。その結果リヒテンラーデ侯爵は皇帝と閣僚達との間を事情を聞くために行き来し挙げ句に過労で倒れる始末であり。財務尚書カストロプ公爵は汚職が軍及び貴族全体に判明し自領へ逃げ帰る始末であった。

軍部においてもサイオキシン麻薬を軍が製造密売していたことで、帝国軍三長官の面目が完全に潰れたのである。その為に軍務尚書エーレンベルグ元帥、統帥本部長シュタイホフ元帥、宇宙艦隊司令長官ミュッケンベルガー元帥が辞表を提出したのであるが、フリードリヒ4世により慰留され、彼等は汚名返上の為に綱紀粛正と出兵を考えるようになるのであった。

更に、簒奪を狙う若き提督【レオンハルト・フォン・ローゼンクランツ】シリーズ。貧しい帝国騎士の若者が、最愛の姉を皇帝に奪われ、復讐のために出世して帝位を簒奪する物語。
その主人公がラインハルトのことだとは、当時の階級が低かったために気づかれなかったのであるが、後々ラインハルトが出世し始めると、あまりに小説の描写に似すぎていたために、危険視する貴族が非常に多くなっていったのである。

帝国は484年から軍事、政治、貴族、各省庁でもこの極秘文書の影響で大混乱に陥り、カストロプ騒動なども起こり、各所で人材の枯渇が更に進むことに成ったのである。それだけ小説と言いながら、内情を知りすぎている文章であったために、各所でスパイ容疑により検挙される者が続出したが、大半は冤罪であったが、拷問の末そのまま処刑や流刑されていった。

しかも科学技術総監アントン・ヒルマー・フォン・シャフト大将は長年にわたる収賄罪、公金横領罪、機密漏洩罪などの証拠が発見され逮捕された。此によりシャフト閥の科学者は殆どが連座したのである。その後シャフトがフェザーンに機密漏洩を行っていたことが判明し、帝国側のフェザーンに対する警戒感が非常に高く成り、フェザーン叩くべしの声が軍部から上がるようになった。

その為ルビンスキーは、機密漏洩は前自治領主ワレンスキーの仕業であると弁明に努めることに成ったのである。此からしばらくの間にルビンスキーの帝国に対するスパイ活動能力が低下したのは仕方が無いことであった。

余りの大事件により帝国情報部やフェザーンも、この女流作家について調べるように命令がされたのであるが、判った事は恐れ多くもフリードリヒ4世陛下の私生児と名乗っている事と、E・Wと言うイニシャルを名乗っている事だけであり、本名はおろか年齢も実際の性別さえ不明のままであった。

帝国側も調べまくったのであるが、フリードリヒ4世が清廉潔白なら私生児などその作家の戯れ言と言い張れるが、フリードリヒ4世の御乱行を知る者にすれば十分あり得る話である事が益々信憑性をもたらしていた。

帝国では一般市民には流さないように社会秩序時局、警察、憲兵隊が厳しく流通しないように取り締まっているが、【人の口に戸は立てられぬ】の諺のように反戦組織の地下文書などで流通し、多くの帝国臣民が帝国の醜聞を知ることに成って行き、帝国臣民の忠誠度は非常に低くなっていくのであった。

この物語で実際の性癖を暴露された、ヴェストパーレ男爵夫人は表を歩けなくなり、貴族同士のパーテーにも参加が殆ど出来なく成った為に、各種パーテーで、アンネローゼを庇う事すら出来なく成ったのである。

又【B夫人とG夫人】が、ベーネミュンデ侯爵夫人とグリューネワルト伯爵夫人との争いであると判ったために、益々貴族社会ので醜聞が広がる始末であった。

帝国では、この醜聞や混乱を起こしたE・Wに対しては、例え皇女で有ろうと帝国に仇なす者として抹殺指令が下り、多数のスパイを使いながら人物を特定するために動くのであった。しかしその為に同盟にスパイが多数検挙されるはめに成るのである。

そんな混乱の中、同盟軍が6度目のイゼルローン要塞攻略に空前絶後の新兵器を開発し襲撃してくるとの情報が帝国にフェザーン経由でもたらされたのであった。その情報により帝国の混乱は益々大きくなっていったのである。

帝国軍は艦隊の再編をしようにも二進も三進も行かない状態に陥り始めていた。僅かな紙媒体の書籍のために数百万の将兵がまともに動けないのであるから。E・W女史の功績は凄まじい事に成っているが、本人が全く表に出ないために謎のままであった。

 
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