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天体の観測者 - 凍結 -

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束ねるは星の息吹 輝ける命の奔流 其は……

 
前書き
皆さんお気づきかもしれませんが前話のコカビエルの墜落の仕方は、セルとの「どうした?笑えよ ベジータ」以降のベジータの再現です

つまりコカビエルは上空からセルに肘打ちされ、墜落するベジータのように墜落したわけです
所謂、『ゴキータ&オチータ』です

ではどうぞ 

 
 リアスからウィスという男の存在は聞き及んでいた。
 彼女曰く、彼は自分達の師であり、恩人であると。
 
 今彼女の隣で対峙しながらでも強く感じる。
 リアスの悪魔としての実力が飛躍的に上昇していることを。

 ライザーとのレーティングゲーム以降リアスの実力は以前とは比較できないレベルで上昇しているのだ。 

 一体どんな修行をウィスから教授されたのだろうか。
 非常に好奇心がそそられる。

 加えて現在自身の眷属達の実力の伸びも芳しいものではない。
 これを機に"ウィス"という存在に自分達の修行を頼み込んでみようと画策するソーナ。
 
 全ては自分の夢を叶えるために。
 リアスが拗ねてしまいそうだが、これはこれ、あれはあれである。

 だがそれよりも今は懸念すべき事がある。

「…リアス。コカビエルがこの町に潜伏しているのに私達はこの場に流暢にいていいのですか?」

 そう、今の自分達は先程からこの場にずっと突っ立ているだけなのだ。
 この非常事態に何か対策を行う必要があるにも関わらず。

「ええ、構わないわ、ソーナ。」

「それは、…何故?」

「ウィスが…、今回は自分で対処すると言っていたのよ。なら何も心配する必要はないわ。」

 リアスの口から語られるはウィスに対する絶対的なまでの信頼。
 否、既にウィスの勝ちを確信しているかのような口ぶりだ。
 ウィスが負けるなど少しも考えていない。

 正直な話、リアス達は気になっていた。
 ウィスの本当の実力に。

 彼は今回の騒動に対して何か思う所があったのか珍しく闘志を強く表していたのだ。
 好奇心が湧くのは仕方がないことだろう。

「あの、お言葉を挟むようですけど本当にそのウィスという人に頼って大丈夫なんですか?」

 主であるソーナの意見に同意するようにリアスへと諫言するは彼女の兵士である匙元士郎。
 
「まあまあ、気持ちは分かるが、ウィスさんの実力を見たら嫌でも納得せざるを得ないと思うぜ、匙?」

「兵藤…。」

 匙は自身の肩に手を乗せ、己を諌める兵藤にいぶかし気な視線を向ける。
 見ればソーナ・シトリーの眷属達は皆一様に眉をひそめ、現状に不満を抱いているのが見て取れた。

「……来ました。」

 遥か遠方に目を向けていた小猫がぼそりと呟く。





 途端、もの凄い速度で此方に突っ込んでくる、否、投げ飛ばされた2人がグラウンドに激突する。

 地は大きく震え、震撼し、土煙が巻き上がる。
 前方を見れば謎の2人の男が校舎のグラウンドへ頭から上半身を埋没する形でめり込んでいた。

 恐らく奴らこそ今回の暗躍者であるバルパー・ガリレイとフリード・セルゼンであろう。

「……ナイスコントロールです。」
「あらあら。」

 得意げな小猫とどこか愉しそうな朱乃の2人。

 続けて第二波。

 今度は大気を大きく浸透させ、波紋状の衝撃波を生み出しながらある1人の堕天使の男がリアスとソーナ達の前方へと勢い良く墜落した。

 その男こそ、此度の首謀者であるコカビエル本人に他ならない。
 コカビエルは無様にも全身を隈なくグラウンドに埋没させ、満身創痍の状態と化していた。










 その後コカビエルが何とか復活し、激情した様子を見せ勢い良くウィスに突貫したが相手にさえならなかった。
 否、闘いと呼べるものでもなかった。

 例えるなら、まるで蟻が恐竜に挑むが如き無謀な光景が前方に広がっていた。

 堕天使の力である光力を無数に投げつけるも対するウィスは全くの無傷。
 ウィスへと光力が直撃し、大爆発を引き起こしているにも関わらず、一切のダメージを受け付けていないのだ。

 ならば接近戦で挑もうにもウィスには届きもせず、逆にコカビエルが創り出した光力の光が無残に砕け散る有り様。

 対面するウィスはその場から一歩も動くことなくただ静観しているだけ。
 
 ソーナ達はあの堕天使の幹部であるコカビエルが赤子の手をひねるように軽くいなされている事実に驚愕を隠せない。
 匙に至っては眼球が飛び出しそうな勢いで前方の光景を見据えていた。

 リアス達も同様の有り様であり、ウィスから目を離せないようだ。
 兵士である一誠も匙と同じ様に目を大きく見開き、口をあんぐりと開けてしまっている。

 やはりリアス達もウィスの超越的なまでの実力は予想外であったらしい。

 前方を見ればウィスとコカビエルの両者の闘いとも呼べない戯れが終わろうとしていた。

「くそ!?何故だ!?何故、届かない!?」

 自身の全力の光剣をいとも簡単に受け止められ、コカビエルは絶叫せざるを得ない。
 ウィスは変わらずその場から動くことはない。

「なに、簡単なことですよ。貴方と私とではレベルが違うんですよ。レベルが…ね!」

 次の瞬間、ウィスの紅玉の瞳が強く光る。
 
「……!?」

 途端、コカビエルの身体に神速の不可視のラッシュが撃ち込まれ、コカビエルは上空へと吹き飛ばされる。

 コカビエルは血反吐をぶちまけ、陥没する程の威力を秘めた余りにも重い攻撃をその身に受けた。







「はぁはぁ、ゲボォ…!はぁ…はぁ…、一体何者なのだっ!貴様はっ!?」

 遂にコカビエルは満身創痍の血みどろの姿で叫ぶ。
 眼前の理解不能の存在であるウィスに対して。

「そもそもエクスカリバーに対する認識そのものが私達との間では異なっているのですよ。」

 ウィスはそんなコカビエルに見向きさえせず、フリードが握る聖剣を掴み上げる。
 
 そしてウィスは世界に知らしめた。
 この世界の常識を覆す言葉を、光景を、絶対的な力の奔流を。

「最後です。教えましょう。





……真の聖剣の姿をね。」

 途端、先の大戦でその力を大きく失った聖剣が眩いまでの輝きを解き放った。

 過去の大戦で砕け散り、失われたはずの霊核がウィスから供給される莫大なまでのエネルギーにより一時的にその霊器を取り戻していく。

 今此処で、7つに別たれた聖剣は伝説に誉れし最強の聖剣へと昇華した。
 その神々しいまでの光は周囲を幻想的に照らし出し、リアスとソーナの眷属を含む全員を照らし出す。

 ウィスから供給されるエネルギーに際限は存在せず、今なお聖剣の輝きは広がり、その存在感を圧倒的なものにしていく。

 ウィスが手に持つ聖剣は既にこの世界の聖剣の規格を優に越え、全く異なる何かになりつつあった。

「光が…。」

 金色の光の粒子が周囲から顕現し、ウィスが天へと掲げる聖剣の刀身へと集束されていく。

「綺麗…。」
「これが…。」
「本当の聖剣…。」

 誰もが圧倒される。
 これが伝説に語られし最強の聖剣。





 輝ける、かの剣こそは、過去、現在、未来を通じ戦場に散っていく全ての強者達の今際の際にいだく悲しくも尊き夢

 その意志を誇りと掲げ、その信義を貫けと正し、今、常勝の王は高らかに手に取る奇跡の真名を謳う

 其は……




「エクス─」

──束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流

 人々の希望、願望、憧憬、理想、大願という数多の概念が星の内部で結晶・精製された神造兵装にして最強の幻想(ラスト・ファンタズム)

 星を滅ぼしうる悪を打ち倒すべく絶対的な輝きを有する最強の聖剣

 ウィスは深く閉じていた紅き瞳を見開き、両手で宙に構えていた聖剣を大きく振りぬいた。

「─カリバー。」

 そして遂に、ウィスから供給される膨大なまでのエネルギーを光に変換・集束・加速させることで運動量が増大し、光の断層による“究極の斬撃”が放たれる。

 放たれた一撃は黄金の奔流となり一直線に宙に浮遊するコカビエルへと迫った。

 射線上に位置するコカビエルは既に満身創痍の身体であり、呆然と自身に迫る黄金の光を眺めることしかできない。
 否、回避する意志も存在していなかった。

「─。」

 やがてエクスカリバーより放たれた最強にして伝説の最強の幻想(ラスト・ファンタズム)の光がコカビエルに直撃する。

 背より生える漆黒の翼は無残にも千切れ、消滅し、滅され、光の奔流へと呑み込まれていく。
 エクスカリバーの聖なる力に抗うまでの膂力は既にコカビエルには残っていなかった。

 為す術無くエクスカリバーの極光に呑まれ、吹き飛ばされるコカビエル。
 その顏に浮かぶは死への恐怖などではなく、どこまでも穏やかな表情だ。 

 聖なる光に呑まれたコカビエルが今際の際に回顧するは過去の数多の記憶。

 神に仕えていた天使時代。
 天界から追放され、堕天し堕天使へと堕ちた遥か太古の時代。
 アザゼルを頭に三大勢力と三つ巴の争いを繰り広げた血肉沸き踊る大戦期。
 死した仲間の無念を晴らし、あの血肉沸き踊る闘いを享受することを渇望した自分。
 平和を謳うアザゼル達に業を煮やすしかなかった忌まわしき記憶。
 再び三大勢力の三つ巴の闘いを再開すべく暗躍した現在。

 全てが走馬灯の様に自身の頭の中を駆け巡り、輝かしい記憶として脳裏に浮かび上がる。
 






この光は…間違いない。この光は天界にて聖なる父、聖書の神から祝福を受けた輝き…。







俺は一体…

 此方に優し気に微笑みながら手を伸ばす、かつての仲間達に弱々し気な様子で手を伸ばしたコカビエルの意識は此処で途絶えた。

 全ては黄金の光に呑まれ、天へとその聖なる力の奔流は昇っていく。

 やがてエクスカリバーの極光の光は天に十字架を刻む様にその姿を世界に現し、その力を周囲へと波及させ、惑星全体を震撼させた。

 








 この瞬間、世界が浸透した。

 天空の神々が、次元の狭間に住まう夢幻を司る真龍が、全ての人外達が、人々が、この惑星に住まう生きとし生ける全ての生物がウィスの存在を、そしてエクスカリバーの絶対的な力を感じた。

 今日、この日リアス達は見た。
 聖なる輝かしい聖剣の光を。

 ある者はエクスカリバーの真の姿に涙を流し、ある者はウィスの姿に神の姿を、否、天使の輝きを見た。

 ある者は最強の聖剣から放たれる神々しい極光の輝きに祈りを捧げ、信仰心を確たるものにした。
 またある者は聖剣を担うウィスの姿を心に刻み込み、そしてある者達はウィスの超越的な力に驚きを隠せなかった。

 周囲を見渡せばその圧倒的な余波に巻き込まれ、無残にも吹き飛ばれる白銀の鎧の姿も。


 







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後書き
はい、ウィスの無双回でした
コカビエルさんは相手にすらなりませんね

そしてエクスカリバーはビーム兵器、はっきり分かんだね
ウィスがエクスカリバーを使用するシーンはFate/Zeroにてアルトリアが海魔にエクスカリバーを使用したときのostを脳内再生して頂ければ幸いです

次回は遂に三大勢力の和平会議編です。
長かった、本当にこの会議へと話を繋げるのに…

感想と評価お待ちしております
私の執筆意欲のために…
恐らく明日は更新なしです…
レポートと課題に取り組む予定なので…
感想と評価よろしくお願いします! 
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