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蒼穹のカンヘル

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二十枚目

飛び出した俺は魔法で姿を消した。

クソッ…

まだ近くには姫島本家の奴等が居るかもしれない!

早く探さないと…

セルピヌス、何か方法は無いか?

『マーカーは持たせてないのか?』

それだ!

姉さんの翼の羽の一枚。

その先端部のみを結晶化させてある。

俺は全ての結晶の位置を知る事が出来る。

さて…姉さんは…

商店街か…

ロストを使い、姉さんの近くに瞬間転移する。

だが…

「はっはっはっは!穢れた血め!コレで我等の恥が一つ減ったな!」

そこには、耀く刀で心臓を貫かれた姉さんが居た。

「はっはっ……ん?」

オマエラ…

「貴様も来たか…丁度いい…者共!奴を殺せ!」

ヨクモ…

「ここに結界陣は無い!かかれ!」

ヨクモ…

姉サンヲ!

心ノ奥底カラ、黒イ物ガ込ミ上ゲテクル。

アァ…アァ…!

「オマエラ…ゼッタイニ…ユルサナイ!」

奴等ガ、武器ヲ持ッテ迫ッテ来ル。

正面カラノ二振ノ刀。

ソレヲ、腕デ受ケル。

カァン!

刀ハ俺ノ鱗ニ阻マレタ。

「ウウォォォォォォォォォォォォォォ!」

俺ノ咆哮ニ奴等ハ怯ンダ。

ミシミシ…

パキ…ピキ…

チカラガ…アフレテ来ル…

オレハ、ソノ力ニシタガッタ。

キヅクト、オレハ龍ニナッテイタ。

丁度イイ。

奴等ハ怯エテイル、ダケド、奴等が張ッテイル結界ハ奴等の声ヲトドカセナイ。

オレハ、奴等を喰ッタ。

オレハ、奴等ヲヒキサイタ。

オレハ、奴等ヲフミツブシタ。

ソシテ、ダレモイナクナッタ。

辺リニハ、紅イ華ガサイテイタ。

「グルルルルゥゥ…」

オレハ、ネエサンニ近ヅイタ。

【リライブ】

ダケド、ネエサンは甦ラナイ。

『奴等め、魂を攻撃する武器まで持ち出していたか』

セルピヌス…今度ハ何ヲサシ出セバイイ?

『もう、お前に差し出せる物は無い』

ナラバ、オレノ命ヲ…

『ダメだ。お前には命が無い。
生きても、死んでも居ないのだから』

ナラバ!ドウスレバイイ!?

『お前の前世の記憶を思い出せ。
彼の物は…この世界の主人公は、如何に甦った?』

イーヴィルピース!

俺はスグさまヒとに戻ッた。

ポケットを漁る。

そこには二枚の紙があった。

そのうち一枚を取りだした。

爪で腕を裂き、その血を擦り付ける。

「来い!」

それだけの短い命令。

しかし、陣はそれに応えた。

現れたのは、魔王少女だった。

「おや、少年どうしたのかな☆」

「イーヴィルピースで姉さんを劵属しろ…」

「それは…」

「対価は俺に対する全ての権利だ。
奴隷にしようがどうしようが好きにしろ」

セラフォルーレヴィアタンはその言葉に目を見開いた。

「正気?」

「ああ…姉さんを救うためならなんでもしよう。
さぁ、これでどうだ?」

彼女は少し、悩んで、言った。

「わかったよ…少し、待ってて…」

彼女は魔方陣が描かれた紙を取り出した。

現れたのは…

「セラフォルーお姉ちゃん?」

紅髪の少女だった…

「リアスグレモリー…」

何故彼女が?

そう思っていると、セラフォルーレヴィアタンはリアスグレモリーに言った。

「リアスちゃん、この子を…君の劵属にして欲しいんだ」

「この子?」

そういってリアスグレモリーは姉さんを見た。

「いいよ。駒は…」

リアスグレモリーは何処からかピースケースを取り出した。

あぁ…そうか…

リアスグレモリー…正史における姉さんのキング…

世界の大筋は…変わらないのか…

ならば…

「クイーンだ、姉さんは君を支えるクイーンに成れる」

「ちょ、ちょっと少年…」

「アンタは黙ってろ」

「むぅ…」

セラフォルーレヴィアタンは子供のように頬を膨らませ、抗議の視線を送ってきた。

「クイーン?」

「そうだ…クイーンだ…姉さんならその雷光で君の敵を討ち滅ぼすだろう…」

「わかった」

彼女は、クイーンの駒を手に取った。

「我、リアスグレモリーの名に於て命ず。
汝…」

「姫島朱乃だ」

「汝、姫島朱乃よ。我が女王とならんがため。
その御霊を帰還させ、悪魔となれ!
汝、わが女王となりて、新たな生に歓喜せよ!」

イーヴィルピースが、姉さんの胸に吸い込まれた。

紅い、紅い光に包まれ、姉さんの傷が消えた。

「かが…り?」

あぁ…!

俺は、姉さんを抱きしめた。

「よかった…姉さんが…」

「私…は…たし…か…」

「ごめん…姉さん…」

「何故…謝るのですか?」

それ…は…

「弟君が君と自分の魂を悪魔に売ったからさ」

「え?」

「君は悪魔になったのさ…姫島朱乃ちゃん☆」

四人しか居ない昼間の商店街に、魔王少女の声はとても良く響いた。
 
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