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世界に痛みを(嘘) ー修正中ー

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潰えたオアシス・『ユバ』

 砂漠へと足を踏み入れたルフィ達
 その歩みを邪魔する者など存在せず、彼らは順風満帆な様子で『ユバ』へと進んでいた。

「アー、重い上に熱い。畜生……」
「ジャンケンに負けた敗者は黙って俺達全員分の荷物を運べ」
「ア~、畜生、熱い……」

 今は唯の荷物持ちに成り下がっているルフィが呻き声を上げる。
 全ては荷物持ちを賭けたジャンケンにて敗北したルフィの自業自得に他ならない。

 ゾロ達は荷物持ちのルフィよりも一歩先を歩き、会話に花を咲かせている。
 アキトもその一人であり、チョッパーを頭に乗せながら会話を楽しんでいた。

「チョッパー、どうだ?少しは気分は楽になったか?」
「ああ、だいぶ楽になってきた。ありがとう、アキト……」
「俺の能力を遣えばこの砂漠の熱さと太陽光を多少は緩和することができるからな」
「でも今のアキトの体調を考えたらやっぱり無理してるんじゃ……」

 アキトの身を案じ、チョッパーはアキトの顏を本人の頭上から文字通り見下ろす形で伺う。
 チョッパーの指摘は的を得ていたが、この程度でアキトは弱音を吐くわけにはいかなかった。

 これから先の航海でワポルなど比較にならないレベルの実力者が現れた際にあの力は必ず役に立つ。
 あの力を遣いこなすためにも普段からジカジカの実の力を体に馴染ませておく必要がある。
 その為にもアキトは無理をしてこの猛暑の中でも能力を発動していた。

「大丈夫だ、チョッパー。これぐらいどうということはない」
「うっ、分かった。だけど少しでもキツかったら遠慮なく俺に言ってくれよ」
「分かったよ、ドクター」

 チョッパーはアキトに"ドクター"と呼ばれたことに嬉しさを隠せず、アキトの頭の上で上手く踊っている。

「ねえ、もしかしてアキトの周囲ってアキトが能力を遣っているからかなり涼しいの?」

 そう尋ねてくるはナミ。
 彼女の表情からは好奇心と期待の色がありありと見て取れる。  

「気休め程度だけどな。……入りたいのなら入っていいぞ」 
「じゃあ失礼して……。想像以上に涼しいじゃないのよ、アキト!」

 そうなのだろうか。
 この砂漠を歩き始めた当初から能力を行使していたために余り実感が沸かないが。

「ビビも入りなさいよ!アキトの周りかなり涼しいわよ!」

 ナミは興奮が最高潮に達したのかビビも此方に来るように誘う。

「えっと、それでは私もそちらに行っていいですか、アキトさん?」

 躊躇い気味に此方にチラチラと確認の視線を送ってくるビビ
 好奇心を隠せない様子だ。

どうぞ、どうぞ

 ビビはいそいそと此方に近付き、お互いの肩がくっつきそうな程の距離に迫る。

「あっ、確かに涼しいですね」

 ビビもアキトの能力の有用性をその身を持って体感したのか感嘆の声を上げる。
 
 これでアキトの周囲は一気に暑苦しいものになった。
 右側にはナミ、左側にはビビという形でアキトは砂漠の大地を踏みしめる。
 
 瞬く間に人口密度が上昇した。
 予想外に熱い、その一言に限る。

 サンジからは殺意を内包した鋭い視線を感じ、ウソップは揶揄うような視線を此方に飛ばしてくる。
 ゾロは我関せずといった様子であり、ルフィは後方で今なお呻き声を上げている。
 ナミとビビは余程アキトの周囲が気に入ったのか自分から離れようとはしない。

 チョッパーは頭の上でバタンキューしている。
 言わずもがなカオスな状況の出来上がりである。

どうしてこうなった

 誰かこの混沌とした状況を打開してくれ。
 アキトは心の中でそう切に願う。


「おお─!前方に休憩できそうな岩場発見!」

 朦朧とする意識の中でアキトはウソップの救いの声を聞いた。

「何──!?本当かっ!?休憩タイムだっ──!!」

 ウソップからの朗報を聞き、目の色を変えるルフィ
 先程までの覇気の無さを霧散させ、即座にルフィは前方の岩場まで移動する。

 先程までのルフィの弱々しい様子が嘘のよう速度で岩場まで辿り着いたルフィはその場で寝転がる。

 そんなルフィにゾロ達は呆れるしかない。
 だが、ルフィはすぐさま岩場から駆け戻ってきた。

 尋常ならざる様子で血相を変え、ルフィは此方に一気にまくし立ててくる。

「大変だ!岩場に瀕死の鳥達が倒れてる!?」
「……鳥?」
「ちょっと待って、ルフィさん!?その鳥ってまさかっ……!」

 ビビの言葉に従いルフィ達は岩場に戻るも岩場には荷物が綺麗さっぱり無くなっていた。
 倒れていた鳥達の姿も見受けられない。

 全てがもぬけの殻だ。

「おいおい、これは一体……?」
「多分、"ワルサギ"の仕業よ……」
「"ワルサギ"……?」

 ウソップが首を傾げ、疑問の声を上げる。
 見ればウソップ以外の全員がビビの次の言葉を待っている。
 この惨状の犯人の全容を知りたくて仕様がないようだ。

 ビビは重々し気な様子で口を開く。

「ワルサギは巧みに旅人を騙して荷物を盗む"砂漠の盗賊"よ。ごめんなさい、事前に伝えておくべきだったわ……」
「怪我した振りをっ!?何つゥー鳥だよっ!?そりゃサギ(・・)じゃねーかっ!?」

ほんとそれ

 周囲を見れば誰もがこの炎天下とした気候の影響を受け冷静な判断力を失っている。
 普段女性関係以外ならば頼りになるはずのサンジがルフィに食って掛かっている。
 頭ではどうしようもないことであると理解しながらもその怒りの矛先をルフィに向けるしかないのだろう。

「3日分の食料と水を鳥なんぞに取られただとっ!?何やってんだ、手前ェはっ!?」
「しょうがねーだろ!?騙されたんだからっ!?」
「手前ェの頭は鳥以下かっ!?」
「何を──っ!?」

 口々に口論し合うルフィとサンジの2人
 互いに内から沸き上がる怒りの矛先をお互いに向け合うことしか出来ない。

 広大なこの砂漠で食料と水を失うことは自殺行為であり、生死を分かつ死活問題に他ならない。
 ゾロはそんな2人を諌め、ルフィとサンジが渋々怒りを抑え、ルフィが何気なく前方を見ると……


 ワルサギ達が悠然と佇んでいた。

 奴らはルフィから奪ったバッグをその身に担ぎ、これまた得意げな顔で水をぐびぐびと飲んでいる。

「あいつらだァアア──っ!!」
『ゴァァア──♪』
 
 何ともまあ、殺意の沸く顏をしている、アキトは猛暑で意識を朦朧とする中思う。

 ワルサギ達は一目散にその場から走り去る。
 正に立つ鳥跡を濁さずと言わんばかりのすがすがしい程の逃げ足だ。

「……待て。俺達の荷物をどこに持っていくつもりだ」

 しかし、アキトはワルサギを逃がすつもりなど毛頭ない。

 アキトを中心に微風が周囲に吹き荒れる。
 見えざる不可視の力が今なお笑いながら逃げるワルサギ達へと即座に迫った。
 ワルサギ達はアキトの能力によって強制的に引き寄せられ、宙にて身動きを封じられる。

 奴らは為す術も無く足をバタつかせることしか出来ない。
 抵抗、反抗、逃亡、全てが無駄無駄ァである。
 アキトに目を付けられたワルサギ達はもう駄目みたいである。

「うおおおぉおおぉ──、流石アキト!」
「ナイスだぞ、アキト!」

 拍手喝采を行うルフィ達

 チョッパーも興奮の余りアキトの頭の上で手を動かしまくっている。
 その度に自身の頭部に当たるチョッパーの手が地味に痛かった。

「……今のうちに早くあのワルサギ達を捕まえてくれ。能力をこのまま行使し続けるのも今の状態ではキツイ」

 アキトは興奮の波から抜け出さないルフィ達に苦言を申し立てる。
 流石に能力を発動し続けるのは今の自身のコンディションを考慮するとかなりキツイものがあった。

「ありがとう。アキトさん!一時はどうなることかと!」

 ビビは感極まった様子でアキトの背中へと思い切り腕を回し、抱擁する。
 余程嬉しかったのかアキトを抱きしめる両腕に込められる力に迷いは無い。

 アキトは煩悩を表情におくびにも出すことなく、ビビの豊かな果実を存分に味わった。
 真横からナミの刺すような視線は敢えて無視した。

 ルフィ達の不幸は止まることを知らず、サンドラ大トカゲがルフィ達を襲うもそのトカゲはルフィ達の昼食となった。

「トカゲに何もそこまで……」
「流石にあのトカゲに同情しちゃうわ……」

 サンドラ大トカゲの余りの諸行無常さにナミとウソップの2人は涙を流した。 
 チョッパーはルフィ達が肉を食べる傍ら、救出したラクダと意思疎通を行う。

「『俺を助けてくれてありがとう。乗っけてやってもいいが俺は女性しか背に乗せない派だ』って言ってる」
「こいつ生意気だぞ!」
「誰がお前をあのトカゲから救い出したと思ってんだ!」
「調子に乗ってんじゃねーぞ、この野郎が!」

 ラクダはルフィ、サンジ、ウソップによりボコボコにされ、ボロボロの状態へと早変わりした。

「やめなさい、あんた達!この子が可哀想じゃない!」

 ナミは多勢に無勢な状況でラクダをボコるルフィ達を戒める。
 ルフィ達は渋々といった様子で怒りの矛先を抑める。

「『しかもそこの男は両手に花かよ、良いご身分だな。カーペッ!』とも言ってる」

 しかし、ラクダの口撃が止まることはなく、その口撃の標的を今度はアキトへと変えた。
 チョッパーは知らず知らずのうちにラクダの寿命を縮める後押しをしてしまう。

 アキトの表情は恐ろしい程に無反応であり、無表情
 これまで怒った様子を見せたことがないアキトが怒っているのであろうか。

「……」

 今のアキトは静かに眼前のラクダに怒りに似た感情を覚えていた。

 アキトは無言で右手の掌を垂直に伸ばし、頬横にて指先を空へと向ける。
 アキトの紅き瞳は静かに怒りの炎を燃やしていた。
 今のアキトはこの砂漠の炎天下とした過酷な気候と蓄積した疲労が影響しているのか、普段よりも上手く感情を抑えられそうになかった。

「ねえ、ちょっと待って、アキト?その手で何するの……?」

 ナミは少し怯えた様子を見せながらアキトへと申し立てる。
 見ればアキトの手の周囲はアキトの能力なのか微風が渦巻き、今にもその矛先がラクダへと向かおうとしている。

 ナミが焦った様子でアキトの袖を握る。
 だが、今のアキトはナミに構う余裕など余りなかった。


砂漠と化してゆくこの大地のど真ん中に、お前の墓を立ててやろう。


「『おっ、お前だけは特別に乗せてやってもいいぞっ……!?』っと焦った様子で言ってる」

 ラクダは冷や汗ダラダラな様子で先程の発言を撤回する。
 顔面は蒼白であり、足は震えている。

「ねっ!?このラクダもそう言っていることだし!?」

 ナミもあたふたと焦った様子でアキトを宥める。
 今のアキトを煽ってはいけないことはナミは理解していた。

「……」

 ナミの必死の説得が功を奏したのかアキトは静かに手を降ろす。

 どうやら自分も想像以上にこの砂漠の熱さにやられていたらしい。
 アキトは直情的になりかけた自身を恥じ、猛省する。

 前方ではビビがラクダの手綱を握っている。
 ラクダは未だにアキトにビビりまくっているが


「よし、これで3人乗ったわね」
「それにしても私が手綱を握っていてもいいんですか、アキトさん?」
「まあ、たまには自分が背負われるのも悪くない」

 ビビ、アキト、ナミの順でラクダに跨る。
 アキトとナミは足を横に投げ出す形で腰を下ろしていた。

「それ行け、マツゲ!」
「ヴォッ!」
「あのナミさん、マツゲと言うのは……?」
「この子の名前よ?良いと思わない?」
「う、うん、素敵な名前だと思うわ」

 マツゲは瞬く間にルフィ達の姿が彼方へと消えていく。

「ちょっと待て──っ!」
「俺達を置いていくな──っ!」
「おーい、ちょっと?」

 取り残されたルフィ達はただ呆然とナミ達を見送ることしか出来なかった。
 マツゲに背負われたビビ一行は一足早く『ユバ』へと向かうべく砂漠の道を突き進む。

 ビビが手綱を握り、最後部に座るナミは後方のルフィ達を望遠鏡にて見据える。
 2人に挟まれる形で座っているアキトは先程から一言も喋らない。

 そんなアキトの様子を怪訝に思うナミとビビ
 2人の視線に晒されながらもアキトは変わらず返事を返すことはない。
 安否を問うべくアキトの肩を揺さぶるべきか逡巡するナミにアキトがもたれかかる。

「……アキト?」

 見ればアキトはナミの肩を枕代わりに寝息を立てていた。
 肩を静かに上下させ、アキトは深い眠りについていた。

 余程疲労を抱えていたのかアキトは彼女達の声に反応することはない。
 今なおアキトはナミに力なくしなだれかかっている。

「……今は寝かせておきましょうか」
「そうですね」

 アキトはドラム王国でかなり無茶をしたと聞いている。
 Dr.くれはから身体に外傷は無くとも、アキトの身体はボロボロの状態であることも伺っている。

 加えて、砂漠に入って以降もアキトは能力を行使し続けていた。
 疲労が蓄積していないわけがない。
 
 アキトがドラム王国でどんな無茶をしたのか自分は知らない。
 だが、アキトが自分の治療費代わりに戦ってくれたことは知っている。
 ならば今自分はアキトが快眠を取ることができるように心掛けることをナミは決意した。

 思えば先程のアキトもどこか普段のアキトらしくなかった。
 想像以上にアキトは無理をしていたのだろう。

「……」

 ナミは優し気な表情を浮かべながらアキトの前髪をかきあげ、無防備なアキトの寝顔を見詰める。

 アキトがマツゲから滑り落ちることがないように軽く抱きとめることも忘れない。
 ナミは此方にもたれかかるアキトの身を掻き抱くように己の胸にアキトの顏を誘導した。

 やはりアキトは細身なわりに筋肉質な体をしている。
 長年に渡る鍛錬の成果が如実に伺えた。

 この身体で自分の故郷であるココヤシ村を支配していたアーロンを撃破したのだと考えると何か感慨深いものが込み上げてくる。

 勿論、アキトの意識が無いこの瞬間にアキトの筋肉を堪能することもナミは忘れない。
 アキトを掻き抱く傍らナミはアキトの筋肉を触り続けた。
 手綱を握り、進路を取るビビはナミの行動に気付くことはない。

 こうして昏睡するアキトを乗せたマツゲは一足早く『ユバ』へと向かっていくのであった。







▽▲▽▲







 ルフィ達はようやくアラバスタ王国・『ユバ・オアシス』へと辿り着く。

「アキト、『ユバ』に着いたわよ」

 ナミの声を聞き、アキトは深く沈んでいた意識を覚醒させる。
 
 アキトが眠たげな瞼を開けた先にはナミの端正に整った顏が映る。
 ナミの整った睫毛の一本一本だけでなく、ぷっくらと膨らんだ綺麗な桜色の唇まで見ることが出来た。
 そして、ナミは現在自分を抱きしめている状況であるためナミの匂いを直に感じる。

 加えて、現在自分が頭を置いているのはナミの豊かな女性の象徴である大きな果実
 その感触がダイレクトに自分に伝わってくる。

 先程からナミの魅惑的な肢体が直に触れ、偶然に偶然が重なることによって生まれた奇跡的な状況が生まれていた。
 合法的にこの至福の時を享受したアキトは最高の目覚めを遂げる。

「あと、5時間……」
「馬鹿言ってないさっさと起きて、アキト」

 ナミは恥ずかしさの余り頬が紅潮させる。
 気恥ずかしいのせいかナミはルフィ達の方を直視するが出来なかった。

 こうしてアキトは渋々ナミから離れ、マツゲから降りることになった。



 目的地『ユバ』

 既に周囲の大気の温度は氷点下まで落ち、寒気が肌を容赦無く襲う。
 砂漠の昼夜間の温度の差は激しく、誰もがその砂漠の猛威に苦しめられることになった。

 だが漸く目的地である『ユバ』にルフィ一行は辿り着くことができた。
 疲労困憊の身でありながらもルフィ達は前方の『ユバ』と思しき場所を見据える。

 しかし、様子がおかしい。 

 砂嵐が『ユバ』を襲っていた。  
 地響きが『ユバ』の大地を大きく揺らし、砂嵐が目先の光景さえ見通すことが困難な状況を作り出している。

 オアシスとまで呼ばれた『ユバ』は酷く崩壊し、人っ子一人いない状態である。
 『ユバ』は既に崩壊寸前の状態と言っても過言ではなく、辺り一面が荒れに荒れ果てていた。

「そ、そんな『ユバ』が……」

 ビビはそんな凄惨な状態の『ユバ』の実態に驚愕を禁じ得ない。

「おいおい、辺り一面が砂に埋もれているぞ」

 困惑しながらもビビ達は歩を進める。

 木は無残にも枯れ、地面は砂に埋もれている。
 周囲の建物は崩れ、空気は死んでいた。

「旅の方々かね。すまんな……。この町は既に死んでいる。だが宿なら幾らでも空いているからゆっくり休んでいくといい」

 眼下を見下ろせばとある一人の老人が懸命にスコップを地面へと突き立てていた。

 身なりはボロボロの状態であり、スコップを握る手は弱々しい。
 見るに疲労困憊の状態だ。
 
 その老人は語る。

 砂嵐の猛威はここ3年の間止まることはなく、この『ユバ』の地を蝕んでいったのだと
 物資の流通も滞ってしまった地に反乱軍が在留する理由など存在しない。
 故に、既にこの『ユバ』に反乱軍はおらず、彼らは次なる本拠地である『カトレア』に身を移したのだと

「どうすんだよ、ビビ……?」
「そんな、じゃあ私達は一体何のためにここまで……」

 皮肉にも『カトレア』とは『ユバ』へ渡るために物資を買い込んだ『ナノハナ』の隣に位置するオアシスのことだ。
 ルフィ達は完全に無駄足を踏んでいた。

ビビ(・・)?今、ビビと言ったか?」

「ビビちゃんなのかね…?私だよ!分からないか!?」

 次の瞬間、その老人は鬼気迫る表情にてビビへと声を掛ける。
 戸惑いの声を上げるビビの肩に乗せている手に力はなく、ビビは困惑することしか出来ない。

「まさかトトおじさん……?」
 
 ビビはだいぶ瘦せてしまっているがあのトトおじさんであることを確信する。

いや、だがこの変わり様は一体……?

「そうだよ……。生きていたんだね、ビビちゃん。良かった、良かった……」

 その場でひざを折り、泣き崩れるトトおじさん
 ビビは時の経過という名の残酷なまでの変化に言葉が出てこなかった。


―既にアラバスタ王国はビビの思惑から大きく外れ、残酷なまでの破滅へのレールを歩いていた― 
 

 
後書き
まあ原作の長門も"地爆転星"を使った後は吐血し、疲労困憊の様子でしたしこれぐらいの代償わね?
 
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